離婚後に子供を元配偶者と面会させたくない!拒否はできる?

親権・養育費
離婚後に子供を元配偶者と面会させたくない!拒否はできる?

離婚して未成年の子供の親権を獲得した人が、別れた配偶者から「子供と会いたい」といわれたとき、その申し出を拒否することはできるのでしょうか。

原則は、非親権者(親権を失った親)にも面会交流権があるので、子供と会うことができます。したがって親権者は原則、非親権者と子供の面会交流を拒否することはできません。

ただこれは原則の話であって、子供の福祉に合致しない場合は、例外として面会交流権が制限されるので、親権者は別れた配偶者と子供の面会を阻止できます。

面会交流権の原則と例外を理解するには法律的な知識が必要ですので、詳しく解説していきます。

目次
  1. 面会交流権とは?
    1. 法律によって定められている面会交流権
    2. 面会交流は離婚前の別居中も認められる
    3. 結婚していないが認知をした子供に対しても認められる
  2. 面会交流の内容・決め方
    1. 面会交流で決める内容
    2. 面会交流の決め方
  3. 面会交流を拒絶する事はできる?
    1. 離婚した相手との面会交流の調整をしたくない
    2. 面会交流を拒絶できるケースは?
    3. 養育費の未払いを理由に拒否することはできない
  4. 面会交流を禁止、または制限すべきケースは?
    1. 面会交流が禁止・制限される具体的なケースは?
    2. 面会交流が認められないと判断される要因は?
  5. 一方的に面会交流を拒否する問題点
    1. 履行勧告されることも
    2. 強制執行の可能性も
    3. 慰謝料や罰金を請求されることも
  6. 面会交流を拒否するために取りたい対策
  7. 面会交流は誰のためにある権利なのか
  8. まとめ

面会交流権とは?

面会交流権は、子供のいる夫婦が別居したり離婚したりしたときに、子供と暮らしていないほうの親(非親権者)に発生する権利です。

言い換えると、別れて暮らしていても自分の子供と会うことができる権利です

法律によって定められている面会交流権

面会交流権は民法第766条で定められています。同条は、「父母が離婚したら、父と子、または母と子の面会交流方法を協議によって定めること」としています。

離婚後の子の監護に関する事項の定め等

第766条 

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。

3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。

4 前3項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

日本では、離婚をすると父母のどちらかが子供の親権を得て、他方が親権を失うことになります。子供は、親権を持った親と暮らすことになります。

しかし子供の成長や教育には、親権を失った親との交流も必要と考えられています。そこで面会交流権を設定し、親権を失っても子供と会えるようにしたのです。

ここで監護権について解説しておきます。監護権は子供を育てる権利と義務を有した権利で、親権の一部です。

一般的には「親権者=監護権者」となるのですが、経済力がある父親が親権者になり、子育てが得意な母親が監護権者になることもあります。

親権者と監護者がわかれた離婚では、子供は監護権者と住むことになるので、このときは親権者に面会交流権が発生します。この記事では「親権者=監護権者」として解説していきます。

面会交流は離婚前の別居中も認められる

面会交流権は、元夫婦の2人が協議を行い、面会交流の方法を具体的に定めることで効力を発揮します。

この面会交流に関する協議は、離婚前、離婚協議中、離婚後、いずれに行ってもかまいません

離婚前に協議をするのは、例えば離婚をしないまま別居が続いているときで、子供と暮らしていない親が面会交流権に関する協議を請求することができます。

つまり離婚前の別居中であっても、面会交流権は発生します

結婚していないが認知をした子供に対しても認められる

面会交流権は、結婚も離婚もしていない、認知だけしている父親にも発生します

例えば不倫相手の女性との間に子供をつくった男性が認知した場合、その男性に面会交流権が発生します。

面会交流の内容・決め方

それでは次に、面会交流で決める内容と、面会交流の決め方について解説します。

面会交流で決める内容

法律は面会交流の内容を定めていないので自由に決めて良いのですが、多くの場合、大体以下の内容を定めています。

  • 日時や頻度
  • 1回の面会交流の時間
  • 面会交流する場所
  • 子供の引き渡し方法
  • 面会交流以外の交流
  • 元の夫婦間の連絡方法

例えば泥沼離婚裁判のすえに親権を勝ち取った親は、なるべく面会交流の内容を狭めたいと考えるかもしれませんが、それはよい考えとはいえません。

面会交流権は子供の健やかな発育を実現するための権利なので、元の夫婦間の憎悪はいったん脇に置いておき、次の項目を軸に協議したほうが良いでしょう

  • 子供の精神状態
  • 子供の希望
  • 子供のしつけや教育
  • 子供の年齢

また面会交流権を行使する側の親は、なるべく緩やかな条件を提示したほうが良いでしょう。そうすることで「ルール違反」にならずに済みます。

また、やむを得ずルールを守ることができなくなった場合の「特別ルール」を定めておくと、いさかいを予防することができます。

面会交流の決め方

面会交流に関する協議は、基本的には元の夫婦が面談して行いますが、双方とも弁護士などの代理人を立てることもできます。

双方で合意した内容は、口頭で確認し合うだけでも良いのですが、合意書などの文書をつくったほうがルールを厳守できます

その合意書も任意のものではなく、公証役場で公正証書をつくれば効果が強まります

双方の意見が対立して面会交流の内容が決まらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停委員という第三者が入ることで双方が妥協しやすくなります。

その内容は調停調書に記されるので、これも効果を強めることになります。

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面会交流を拒絶する事はできる?

離婚をして面会交流の内容を定めた後で、親権者が「やはり子供を会わせたくない」「面会交流の調整をするのがストレスだ」などと感じた場合、面会交流を拒絶することはできるのでしょうか。

原則はできませんが、例外的に可能になることがあります

離婚した相手との面会交流の調整をしたくない

親権を獲得した親が、例え面会交流権の行使であろうと、元の配偶者と話したくないと考えるのは自然なことです。もちろん相手側も同じように感じていることもあるでしょう。

この場合、双方の親族が面会交流の調整を行うことができます

面会交流を拒絶できるケースは?

面会交流が設定された場合でも、子供の都合がつかなかったり、子供が嫌がったりした場合は、親権者は面会交流を拒絶できます

子供が病気になった場合は面会交流の期日でも拒絶できます。ただその場合、代替日を設定する必要があるでしょう。

また、15歳以上で自分の意見がはっきりいえる状態にある子供が、親権のない親と会いたくないと主張した場合は、面会交流を拒絶できます。

さらに、面会交流を禁止するケースや制限すべき状況がありますので、後段で解説します。

養育費の未払いを理由に拒否することはできない

非親権者から養育費を受け取っている親権者が、養育費の支払いが滞っていることを理由に面会交流を拒否することはできません。

逆に、正当な理由で面会交流が制限されている場合、非親権者がそのことをもって養育費の支払いを止めることも許されていません。

養育費と面会交流はまったく別の問題であり、養育費を面会交流の条件にすることはできません

面会交流を禁止、または制限すべきケースは?

面会交流を禁止、または制限すべきケースは?

子供への不利益が大きいと判断された場合、非親権者(子供と同居していない親)の面会交流権は制限されます。一度面会交流が始まっても禁止されることもあります。

どのようなケースがあるのか、紹介します。

面会交流が禁止・制限される具体的なケースは?

次のような場合、面会交流が禁止されたり制限されたりします。

  • 子供に暴力をふるう可能性がある
  • 面会交流が親権者に大きな精神的負担を与え、それが子供の福祉を害する恐れがある
  • 子供を連れ去る危険がある
  • 子供と暮らす親を貶める可能性がある
  • 親権者が再婚し子供がその新しい親を慕っている

これらはいずれも「子供のためにならない」という点で一致しています。

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面会交流が認められないと判断される要因は?

家庭裁判所は、面会交流が子供の福祉に合わないと判断したら、非親権者の面会交流権を認めないことがあります。子供の福祉は、次の7つの観点で検討されます。

  • 子供の意見
  • 子供の生活環境への影響
  • 親権者の意見
  • 親権者の養育や監護への影響
  • 同居していない親の問題点
  • 元夫婦が離婚にいたった経緯
  • 元夫婦の離婚後の状態

「子供の福祉の観点」といっても面会交流の対象となる子供は未成年者なので、親権者(同居している親)への影響に配慮しています

未成年者は精神面で、同居している親(親権者)に多くを依存しているからです。

一方的に面会交流を拒否する問題点

親権者が正当な理由なく一方的に面会交流を拒否することはできません

例えば家庭裁判所の調停で非親権者に面会交流権が認められ、面会交流の内容が確定した場合は、親権者は面会交流が円滑に進むよう協力しなければなりません。

履行勧告されることも

家庭裁判所での調停を経て面会交流が設定されたにも関わらず、親権者が正当な理由なく面会交流を妨害すれば、家庭裁判所が親権者に対し面会交流を履行するよう勧告することがあります

ただこの履行勧告は「調停で取り決めたことを守ってください」といっているだけなので、強制力はありません。

強制執行の可能性も

親権者が家庭裁判所の履行勧告や調停内容を無視した場合、強制執行という措置が取られます。

ただ強制執行といっても、家庭裁判所の職員が子供を強制的に連れ出すことはできないので、間接強制という手段を取ります

間接強制は、「履行勧告を無視して会わせない場合は、制裁金5万円を科す」といった内容になります。

慰謝料や罰金を請求されることも

親権者が面会交流の強制執行すら妨害した場合、罰金を科されたり、非親権者(面会交流を妨害された親)から慰謝料を請求されたりすることもあります。

面会交流を拒否するために取りたい対策

面会交流の拒否問題では、「拒否が子供の福祉に合致する」ケースと「拒否が子供の福祉に反する」ケースの2つのことが起こり得ることをみてきました。

これは「子供の福祉にとってよいこと」を判断することの難しさを物語っています。

つまり、一見すると「面会交流は子供の福祉に合致する」と思われるときでも、長期間にわたって一緒に暮らしている親権者だからこそ「面会交流が子供の福祉に合致していない」ことがわかる場合があります。

そのとき親権者は、面会交流を拒否するためにどのような行動を取ることができるのでしょうか。

最も有力な手段は、家庭裁判所に「合理的に」「冷静に」「段取りを踏んで」説明することです。家庭裁判所が納得すれば、あらためて面会交流を拒否することができます。

ただし、感情的に「元配偶者は子供に悪影響を与える」と強く主張しても、家庭裁判所は納得しません。

また親権者は、元の配偶者から面会交流権をはく奪することの重大性を忘れてはならないでしょう。子供にとっては離婚しても両親は両親です。面会交流の阻止は、子供を親から引き離すことになるからです。

そのことに注意して、「それでも面会交流を拒否しなければならない」理由があれば、家庭裁判所も力になってくれるはずです。

しかし一般の人が家庭裁判所に「合理的」「冷静に」「段取りを踏んで」説明することは簡単ではありませんので、子供への影響が微妙なケースでは弁護士の力を借りることを強くおすすめします。

面会交流は誰のためにある権利なのか

親権者も非親権者も、すなわち、子供と一緒に暮らしている親も離れて暮らしている親も、面会交流権は誰のためにあるのか、考えましょう。

面会交流権は子供のためにあります。もちろん、非親権者の「子供に会いたい」という欲求を満たすことができる権利でもあるのですが、それは2次的、3次的なものと考えましょう。

面会交流を求める非親権者は、親権者に対し「自分の面会交流がなぜ子供の福祉に貢献するのか」を、誠意をもって説明しましょう

もし子供の成長にメリットがあるとわかれば、親権者は面会交流を拒否しないでしょう。

面会交流を拒否する親権者も、非親権者に「なぜあなたの面会交流が子供の成長に悪影響をおよぼすのか」を、説明しましょう。

例えば、「ストレスを与えたくないから、中学受験が終わるまで面会交流を遠慮してほしい。その代わり、合格したら旅行に連れて行ってほしい」と伝えれば、非親権者も協力してくれるはずです。

離婚した事実だけで、子供は大きなストレスを抱えています。それに加えて面会交流で両親がさらにもめれば、子供の心は余計に傷つくことになります。

まとめ

面会交流の問題は、子供のメンタルに大きな影響を与えかねません。

したがって両親は、自分たちの「会わせたくない感情」と「会いたい感情」をひとまず脇に置き、面会交流することのメリットとデメリットを話し合うべきでしょう。

ただ離婚した両者が、相手へのネガティブな感情を押し殺して冷静に判断することは簡単ではありません。

そこで、離婚案件に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は第三者の立場で子供の将来について考えてくれるはずです。

また弁護士を依頼すれば、面会交流を、取り決めた内容とおりに進めることができます。

元の配偶者からの面会交流要請について悩んだら、ぜひ一度、離婚弁護士相談リンクに問い合わせてください。「弁護士に依頼するかどうか検討する」ことが、解決に向けた大きな一歩になるからです。

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