離婚後に扶養控除はどうなる?子どもがいる場合の扶養手続き

親権・養育費
離婚後に扶養控除はどうなる?子どもがいる場合の扶養手続き

離婚前は専業主婦やパートタイマーをしていて夫の扶養に入っていたという人も多いでしょう。また、子供がいる場合は子供も夫の扶養に入っていますよね。

このとき、離婚後の扶養控除の扱いや自分や子供の健康保険はどうなるのでしょうか。扶養と一口に言っても、税法上の扶養と社会保険(健康保険)上の扶養があります。

この記事では、自分や子供が夫の扶養に入っていた人が離婚した場合、税法上の扶養である扶養控除や社会保険上の扶養がどうなるのかについて説明します。

目次
  1. 扶養控除とは?
    1. 扶養控除の対象になる要件は?
  2. 離婚後はまず健康保険!夫の扶養に入っていた場合は要注意!
    1. 夫の勤め先の健康保険に加入していた場合に必要な手続き
    2. 夫が自営業で国民健康保険に加入していた場合に必要な手続き
    3. 自分の勤め先がある場合に社会保険に加入する手続き
    4. 両親の扶養に入る場合の手続き
  3. 離婚後の子供の扶養の取り扱い
    1. 子供の扶養は勝手に親権者の扶養に移動しない
    2. もしも夫が子供の扶養を外してくれない場合は
    3. 別れた親(夫)が養育費を支払っている場合は扶養控除を申告できる
    4. 子供の扶養が重複した場合
  4. まとめ

扶養控除とは?

扶養控除とは納税義務のある人に扶養家族がいる場合、扶養している人数や年齢、続柄に応じて納税者の所得から一定金額を控除する制度のことです。

つまり、扶養控除が認められれば一部の税金が減額されるのです。扶養控除の対象となるにはいくつか要件があります。

扶養控除の対象になる要件は?

扶養控除の対象となるのは納税者の親族である必要があります。親族とは、配偶者を除く6親等内の血族と3親等内の姻族です

血族とは文字どおり本人と血縁のある人たちであり、姻族とは本人の結婚によって関係が生じた人たちになります。

6親等内の親族とは、直系で高祖父母(祖父母の祖父母)の祖父母や玄孫(孫の孫)の孫までになります。3親等内の姻族は配偶者の甥・姪とその配偶者までになります。

一般的には、両親・子供・兄弟・祖父母・おじ・おば・配偶者の親兄弟が対象になることが多いです。

なお、納税者の配偶者は扶養控除の対象ではありませんが、配偶者控除という別の控除があります。

生計が同一であること

扶養控除の対象となるには納税者と生計が同一であることが必要です。

生計が同一とは納税者が養っているということです。納税者が養っているのであれば、必ずしも同居している必要はありません。

例えば、実家を出て納税者から仕送りを受け取りながら生活をしている子供は、納税者と生計が同一であるとみなされます。

対象者の年間の合計所得金額が38万円以下であること

扶養控除の対象となる者の年間の合計所得金が38万円以下であることも必要です。これは所得税の基礎控除(一律で差し引かれるもの)によるものです。

ただし、対象者に給与収入がある場合は年間103万円以下であれば控除対象となります。

事業専従者に該当しないこと

扶養対象者が事業専従者に該当しないことも必要です。これは納税者が自営業者である場合に考慮しなければならない項目です。

自営業者である納税者が、自分の営む事業に従事している親族に給与を支払っているということもありますよね。

このように、納税者と生計を一にし、納税者の営む事業に年間6か月以上従事する配偶者や15歳以上の親族のことを事業専従者と呼びます。

事業専従者には青色事業専従者と白色事業専従者の2つがあります。

自分が青色事業専従者であるか白色事業専従者であるかは、納税者が確定申告時に青色申告をするか白色申告をするかで決まります。

なお、青色事業専従者に対する給与は一定金額までを経費とすることができます。

また、白色申告とは青色申告以外の確定申告のことをいいます。したがって、青色申告の申請をしない場合はすべて白色申告になります。

扶養対象者が事業専従者に該当すると扶養控除を受けることができません。ただし、その年に給与の支払いを受けていない青色事業専従者に限り、扶養控除の対象になります。

その年の12月31日の時点で16歳以上であること

扶養控除対象者はその年の年末時点で16歳以上でなければなりません。一方、16歳未満の子供に対しては児童手当が適用されます

離婚後はまず健康保険!夫の扶養に入っていた場合は要注意!

婚姻中に夫の社会保険上の扶養に入っていた場合、夫の加入する社会保険の健康保険証を使用していますよね。

離婚したら婚姻中の健康保険の資格を喪失することになりますので、健康保険証を会社に返却し、14日以内に市区町村役場・役所で国民健康保険に加入しなければなりません

具体的な手続き方法について以下でみていきます。

併せて読むと役立つ記事
離婚後の手続きチェックリスト|子供の有無で異なる必要書類と流れ
基礎知識
離婚後の手続きチェックリスト|子供の有無で異なる必要書類と流れ

「離婚したいけど何から始めたら良いのかわからない」「このまま離婚に踏み切って良いのかな」など、離婚する…


夫の勤め先の健康保険に加入していた場合に必要な手続き

離婚すると夫の加入する健康保険の資格を喪失することになります。そのため、離婚後14日(2週間以内)に市区町村役場・役所で国民健康保険加入手続きを行う必要があります

国民健康保険の加入手続きには健康保険資格喪失証明書が必要です。健康保険資格喪失証明書は夫の加入する会社や健康保険組合に発行してもらうことになります。

ただし、健康保険資格喪失証明書はすぐ発行してもらえるとは限りません。国民健康保険への切り替えは離婚から14日以内です。

したがって、期限内に切り替え手続きを間に合わせるためにも、あらかじめ夫から勤務先に発行をお願いしてもらうようにしておきましょう。

夫が自営業で国民健康保険に加入していた場合に必要な手続き

夫が自営業者である場合は夫婦ともに国民健康保険に加入していることになります。このときも居住地の市区町村役場・役所で世帯主変更届を提出する必要があります。

婚姻中は夫を世帯主とした国民健康保険に加入していたことになります。したがって、離婚後は自分を世帯主とする国民健康保険に加入することになるのです

自分の勤め先がある場合に社会保険に加入する手続き

離婚の際、あなたが会社勤めをしているのであれば、加入条件を満たすことで自分の会社の健康保険に加入することもできます

自分の会社の健康保険に加入する際は勤務先に申請すれば手続きしてもらえます。

離婚の段階では専業主婦だったが、離婚後に働く予定があるということもあるでしょう。

この場合、一旦国民健康保険に加入し、その後、勤務先の社会保険への切り替え手続きを行うことになります。

なお、社会保険の加入条件は勤務先や法制度によって変わりますので、必ず勤務先に確認しましょう。

両親の扶養に入る場合の手続き

離婚後に自分の両親の扶養に入ることもあるでしょう。この場合は自分の両親の勤務先に健康保険の手続きをしてもらいます

もちろん、扶養に入るのですからあなたの年収が130万円未満である必要があります。

さらに親の勤務先の健康保険によっては同居が必要だという場合もあります。また、同居が必要でない場合も、親からの仕送りなど援助を受けていることを証明する必要が出てきます。

詳しくは親の勤務先や加入する健康保険組合に確認しましょう。 離婚後に親の扶養に入る場合、元の居住地から転居することもあるでしょう。

また、親の扶養に入らない場合であっても離婚後に転居することがあると思います。

このような場合、国民健康保険は、転居前の居住地の市区町村役場・役所で国民健康保険の資格喪失手続きを行い、転居先の市区町村の役場・役所で健康保険の加入手続きを行う必要があります。

離婚後14日以内であれば転居してからも手続きはできますが、転居先から転居前の居住地の役場・役所に行くのはたいへんです。

転出の際は健康保険資格喪失手続きを忘れないようにしましょう。

離婚後の子供の扶養の取り扱い

離婚後の子供の扶養の取り扱い

ここまでは夫の扶養に入っていた妻の扶養控除と健康保険の扱いについて説明しました。子供を持つ夫婦が離婚する場合、子供も夫の扶養に入っていることが多くあります。

では、両親が離婚したあとの子供の扶養控除や社会保険の扶養の扱いはどうなるのでしょうか。

子供の扶養は勝手に親権者の扶養に移動しない

婚姻中に妻が夫の健康保険の扶養に入っていた場合、子供も夫の扶養に入っていることが多いでしょう。

未成年の子供を持つ夫婦が離婚すると母親が親権者となるケースがほとんどです。

しかし、親権者が母親になったからといって、自動的に父親の社会保険の扶養から抜けて母親の扶養に入るということはありません。

したがって、離婚後に子供を妻の扶養に入れる場合は、夫の扶養から外す手続きを行わなければなりません。

具体的には元夫が勤務先の健康保険組合に子供の健康保険証を返却し、扶養を外す手続きを取ります

もしも夫が子供の扶養を外してくれない場合は

離婚の際、妻の扶養に子供を入れることを双方が認めたにも関わらず、元夫が子供の健康保険の資格喪失手続きをしてくれないこともあります。

このとき、子供の健康保険証を元夫が持ったままだと、子供を病院に連れて行く際に健康保険を使えないため、治療費が全額自己負担となる可能性もあります

このような場合は、自分の加入する健康保険組合やお住まいの自治体の役場・役所の国民健康保険窓口で相談しましょう。

自治体や勤務先によって対応が異なりますが、やってくれたとしても「元夫に伝える」くらいが限度でしょう。

また、夫がこれに応じなかったからといって強制力が働くわけではありません。

もし、勧告を受けても元夫が健康保険の資格喪失手続きをしてくれない場合は、市区町村の役場・役所にある離婚相談窓口に相談すると良いでしょう。

相談内容や状況に応じて、お住まいの自治体の役場・役所から元夫に内容証明が送付され、健康保険の資格喪失手続きをうながしてもらうケースもあります。

内容証明は自分で作成することもできますが、弁護士や行政書士に依頼することもできます。

また、内容証明自体に強制力があるわけではありません。困ったときは専門家と相談しながら進めると良いでしょう。

別れた親(夫)が養育費を支払っている場合は扶養控除を申告できる

冒頭で、扶養する子供が要件を満たしていた場合、納税者は扶養控除を受けられると説明しました。

離婚後に妻が親権を持つ場合であっても、夫が養育費を支払っているのであれば、養育費を支払っている間は扶養控除を申告できます

ただし、扶養控除を申告できるのはどちらか一方の親だけですので、父親が申告した場合は母親が申告することはできません。

養育費以外の支払いは扶養にはならない

離婚をすると、慰謝料や財産分与、婚姻費用などさまざまなお金を受け取ることができます。

しかし、扶養控除が認められるのは養育費の支払いがあることだけです。それ以外のお金は扶養控除の要件として認められません。

養育費で扶養控除が認められる要件

養育費を支払っていることで扶養控除を認めてもらうためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  • 養育費を支払っていること
  • その支払いが継続的なものであること

なお、養育費を一括で支払う場合は扶養控除の対象とみなされません。

離婚で取り決めた内容を残しておかないと、まったく関係のない支払いに対して元夫が「これは養育費だ」と主張してくる可能性もあります。

このような場合に備えて、「何を、いつ、どう支払うことに決めたか」など、離婚の際に双方で決めたことを契約書として離婚協議書に残しておきましょう。

離婚協議書の作成については、弁護士などの専門家に相談するとトラブルを回避しやすくなります。

併せて読むと役立つ記事
離婚後の養育費を多くもらうには?相場を知ってできる限り多く請求しよう!
親権・養育費
離婚後の養育費を多くもらうには?相場を知ってできる限り多く請求しよう!

「養育費っていくらもらえるの?」「離婚して数年経ったけど後から養育費って請求できるかな?」このような…


子供の扶養が重複した場合

もし子供の扶養控除の申請が重複した場合、税務署から「扶養控除等の見直し」という通知が届きます。

この場合、元夫婦で話し合い、扶養控除をいずれか一方にする必要があります。このとき、扶養控除を取りやめる側は修正申告を行うことになります。

まとめ

離婚後の妻や子供の扶養控除や健康保険について説明しました。

離婚したからといって自動的に夫の扶養から抜けるわけではありません。子供がいる場合も夫の扶養から自動的に抜けるわけではありません。

さらに、親権を獲得した(獲得できなかった)からといって税法上の扶養控除が認められる(認められない)わけでもありません。

このように離婚後の扶養は税法上だけでなく、社会保険上も複雑なことが多く、知識がないとトラブルになりかねません。

さらに、扶養から外れるには自分だけでなく、夫の協力が必要です。そのため、交渉の仕方を間違えると夫の協力が得られない可能性もあります。

離婚後のトラブルを回避するには、離婚を考えた段階で離婚問題の専門家に相談することが大切です。

弁護士は法的な知識や配偶者との交渉経験が豊富ですから、扶養だけでなく、離婚問題全般に幅広く対応することができます。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を多数掲載しています。当サイトからの電話相談は無料ですので、ご活用ください。

離婚コラム検索

離婚の親権・養育費のよく読まれているコラム

新着離婚コラム

離婚問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!

離婚問題の慰謝料は弁護士に相談して適正な金額で解決!

離婚の慰謝料の話し合いには、様々な準備や証拠の収集が必要です。1人で悩まず、弁護士に相談して適正な慰謝料で解決しましょう。

離婚問題に関する悩み・疑問を弁護士が無料で回答!

離婚問題を抱えているが「弁護士に相談するべきかわからない」「弁護士に相談する前に確認したいことがある」そんな方へ、悩みは1人で溜め込まず気軽に専門家に質問してみましょう。

TOPへ