束縛夫(妻)との離婚を進める方法は?放置がNGな理由と解決策を解説

その他離婚理由
弁護士監修
束縛夫(妻)との離婚を進める方法は?放置がNGな理由と解決策を解説

適度に束縛されるだけなら、人によっては「愛されている」と感じ、愛しさや愛情が深まるかもしれません。

しかし、「行動を常に監視される」「許可を得ないと行動できない」など、配偶者の束縛にストレスを感じるようであれば問題といえます。

最初はルール作りをしただけだったかもしれませんが、束縛がエスカレートするとモラハラやDVに発展する恐れもあります。

この記事を最後まで読むと以下のことがわかります。

・束縛を理由に離婚できるのか
・配偶者からの束縛が離婚原因として認められやすいケースと認められにくいケース
・束縛を理由に慰謝料請求できるのか
・束縛する人の心理
・束縛を放置してはいけない理由と束縛から解放される方法

目次
  1. 束縛を理由に離婚できるのか
    1. 法定離婚事由があれば離婚が認められる
  2. 配偶者からの束縛が離婚原因として認められやすいケース
  3. 配偶者からの束縛が離婚原因として認められにくいケース
  4. 束縛を理由に慰謝料請求できるのか
  5. 束縛を放置してはいけない理由
  6. 束縛する人の心理
    1. 夫(妻)を誰にも奪われたくないから
    2. 夫(妻)を自分の思い通りにコントロールしたいから
    3. 過去に浮気されたことがあるから
    4. 親の影響を受けている
    5. 自分に自信がないから
    6. 夫(妻)を信用していない
  7. 息苦しい束縛から解放されるための6つの方法
    1. 夫婦で話し合い、何をされることが嫌かを伝える
    2. 束縛の原因を取り除く努力をする
    3. 愛していることを伝える
    4. 夫婦カウンセリングを受ける
    5. 心療内科で診てもらうように勧める
    6. 離婚する
  8. まとめ

束縛を理由に離婚できるのか

結論から申し上げますと、夫婦間で合意ができればどのような理由であっても離婚できます。

話し合いで合意したら、離婚届を役所に提出し、受理されれば離婚が成立します。これを協議離婚といいます。

合意ができない場合、最終的には離婚訴訟を提起して、裁判で離婚を認めてもらう必要があります。

法定離婚事由があれば離婚が認められる

裁判で離婚を認めてもらうためには民法に定める下記の法定離婚事由が必要です。

  1. 配偶者の不貞行為があったとき
  2. 配偶者の悪意の遺棄があったとき
  3. 配偶者が3年以上生死不明であるとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
  5. 婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

このうち、④の回復の見込みのない強度の精神病は、2024年の民法改正により削除されています。

束縛は法定離婚事由にはありません。そのため、「束縛された」という理由だけであれば裁判では離婚が認められません。

束縛を理由に裁判で離婚が認められるためには、⑤の婚姻を継続し難い重大な事由に該当するかどうかが鍵になります。

なお、束縛以外に法定離婚事由があれば、それを理由に離婚が認められる可能性があります。

例えば以下のようなケースがあります。

  • 家計が苦しいのに生活費を渡してくれない
  • 束縛したうえで、自分は不倫をしている

家計が苦しいにも関わらず、生活費を渡さないことは悪意の遺棄に該当する可能性があります。

また、不倫をされた場合は不貞行為に該当する可能性があります。

束縛を理由とした離婚が難しい場合はほかの法定離婚事由があるかどうかも考えてみましょう。

配偶者からの束縛が離婚原因として認められやすいケース

前述のとおり、束縛を理由に裁判で離婚が認められるためには「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかが重要です。

暴力やモラハラによって束縛されるなど、束縛が「相手の人格を無視したもの」であれば、離婚が認められる可能性があります。

具体的には以下のようなケースです。

  • 「連絡が遅い」「帰りが遅い」と怒鳴ったり、長時間説教を続ける
  • 自分と違った意見を言うと長時間説教をされたり、暴力を振るわれる
  • 友達や親戚との付き合いを一切認めない、家を出ることを許さない
  • 自分の思い通りにならないと怒鳴りちらし、長時間説教を続ける など

配偶者からの束縛が離婚原因として認められにくいケース

配偶者から束縛されているものの、裁判では離婚原因として認められにくいケースとしては以下のようなものがあります。

  • 自分の言う通りに従わせようとするが、従わないからといって暴れたり、何か言ってきたりするわけではない
  • 家計を全部管理されているが生活に必要な額は受け取っている
  • 外に働きに出ること良い顔はしないが、暴れたり、妨害したりするわけではない
  • 友達や親戚との付き合いに対して良い顔をしないが、付き合うこと自体を妨害するわけではない など

ご自身のケースでは離婚が認められるのかどうかの判断については、弁護士にご相談ください。

束縛を理由に慰謝料請求できるのか

束縛を理由に慰謝料請求できるのか

慰謝料とは不法行為によって被った精神的苦痛に対する損害賠償金のことをいいます。

もし、束縛の状況が不法行為に該当する場合は慰謝料請求が認められる可能性があります。

例えば、DVやモラハラがあり、それによって精神的苦痛を受けたことが認められれば慰謝料請求が認められる可能性があります。

なお、慰謝料請求する際は、DVやモラハラなどの不法行為があったことを立証する証拠が必要です。

束縛を放置してはいけない理由

妻や夫を束縛する理由について「愛しているから」「好きだから」と言う人もいます。

しかし、ほとんどの場合、それは建前であって、自分の支配下に置きたいという理由で束縛していることもあります。

この場合、放置するとエスカレートしてDVやモラハラに発展する可能性もあります。

また、暴力や暴言がなかったとしても、「言われたとおりにしないと不機嫌になるから」といって、配偶者の言うとおりに行動し続けていると、精神的に疲弊してしまうこともあります。

一方、配偶者が束縛する理由として、自分が浮気をしているから「夫(妻)も浮気をしているのではないか」と疑っている可能性もあります。

不倫を放置していると、不倫相手に本気になり、子供ができてしまったり、生活費を使い込まれたりする恐れもあります。

なお、不倫の証拠の集め方は下記の記事を参照ください。

関連記事≫≫
不倫の証拠の集め方3選!夫(妻)の行動から浮気を見破る方法とは。

束縛する人の心理

束縛する人の心理

ここからは、配偶者が夫や妻を束縛する心理について解説します。

配偶者がが夫(妻)を束縛するのには以下のような理由があると考えられます。

  • 夫(妻)を誰にも奪われたくないから
  • 夫(妻)を自分の思い通りにコントロールしたいから
  • 過去に浮気されたことがあるから
  • 親の影響を受けている
  • 自分に自信がないから
  • 夫(妻)を信用していない

それぞれについて、下記で解説します。

夫(妻)を誰にも奪われたくないから

夫(妻)が好きすぎるあまり、束縛することもあるかもしれません。

良好な夫婦関係を築くためには適度な愛情表現が重要です。しかし、それも度が過ぎれば逆効果となります。

「好きだから」「愛しているから」というのは建前で、相手に依存しており、「夫(妻)誰にも奪われたくない」という独占欲から束縛しているケースもあります。

夫(妻)を自分の思い通りにコントロールしたいから

束縛が「夫(妻)の行動を把握したい」という心理から来るケースもあります。

これは、夫(妻)の行動を把握して、自分の支配下に置いておきたいということでもあります。

夫(妻)が自分のコントロールを超えた行動をとることを許せないのです。

例えば以下のようなケースです。

  • 自分の思っている時間より遅く帰ってくると「どうして連絡しなかった?」「連絡できない事情でもあったの?」「どうして早く帰って来られないの?」と問い質す
  • 自分の知らない人と電話していると、「誰?何の電話?」「今電話しないといけない?」などと問い質す
  • 急に友達と出かけることになったとき「どうして急に行くことになったの?」「行かないといけない用事なの?」と問い質す

過去に浮気されたことがあるから

過去に浮気された経験がある人は、次に恋愛する人や結婚する人に対して「この人も浮気するのでは」と疑うことがあります。

過去の苦い経験がトラウマになり、「二度と浮気されたくない」と考え、束縛するケースがあるのです。

親の影響を受けている

親の影響により、妻や夫を束縛するケースもあります。

例えば、自分の父が母を束縛しており、母が父に対して従順であった場合、「妻は夫に従うのが当たり前」という価値観を持って育った可能性があります。

夫が親の影響を受けている場合、「自分の母は夜に出かけたりしなかった」「遅くなるときは連絡を欠かさなかった」などと親を引き合いに出し、自分の妻を従わせようとすることがあります。

また、妻が親の影響を受けている場合も、「妻は夫の意見に従うのが当たり前」「言い返してはいけない」と思い込み、夫の言いなりになっていることもあります。

自分に自信がないから

自分に自信がないため、夫(妻)を自分から離れないようにしておきたいという心理が働く場合もあります。

「もし相手を自由にさせたら、他の異性のところに行ってしまうのではないか」と不安になるのでしょう。

夫(妻)を信用していない

夫(妻)を信用していないから束縛するケースもあります。

一度でも裏切られた経験があれば、「もう浮気なんてしない」「二度とギャンブルをしない」と言っても、「またやるのではないか」と疑ってしまうのも無理はありません。

この場合、夫(妻)を束縛し、相手の行動をすべて把握しておくことによって安心感を得たいという心理が働くのかもしれません。

息苦しい束縛から解放されるための6つの方法

息苦しい束縛から解放されるための6つの方法

自由に行動できず、束縛される生活が続けば息苦しくなります。このような状態を放置すれば、精神的に疲弊してしまいます。

息苦しい束縛から解放されるための方法を6つご紹介します。

  • 夫婦で話し合い、何をされることが嫌かを伝える
  • 束縛の原因を取り除く努力をする
  • 愛していることを伝える
  • 夫婦カウンセリングを受ける
  • 心療内科で診てもらうように勧める
  • 離婚する

それぞれ下記で解説します。

夫婦で話し合い、何をされることが嫌かを伝える

夫(妻)はあなたのことを束縛しているとは思っていない可能性もあります。また、あなたが嫌がっていることに気づいていないケースもあります。

そのため、まずは何をされることが嫌なのかを伝えることが重要です。

このとき「束縛をやめて」と言うだけでは、具体的に何が束縛なのか、何をされることが嫌なのかが伝わらない可能性もあります。

また、話し合いの際に「どうして束縛するの!」などと責めるように伝えてはいけません。

相手が逆上し、建設的な話し合いができなくなる可能性もあります。

話し合う際は下記のように具体的かつ冷静に伝えることが重要です。

  • 仕事中はすぐに連絡できないこともあるから返信が遅くても文句を言わないでほしい
  • 職場の飲み会や食事会くらいは行かせてほしい
  • 門限を〇時まで緩めてほしい など

話し合いの際、夫(妻)は「君のためを思って言っている」「心配して何が悪い」などと束縛を正当化しようとしたり、開き直ったりする可能性もあります。

このような場合、「心配してくれる気持ちは有難い。でも、私には息苦しく感じる」「気持ちが休まらない」など、束縛されることに息苦しさを感じていることを伝えましょう。

「よかれ」と思ってやっていたことが相手にとって苦痛であること、自分とは違う価値観を持っていることが伝われば、夫(妻)も理解を示すかもしれません。

束縛の原因を取り除く努力をする

相手がどうして束縛してしまうのか、その原因を探り、相手が不安に感じる要素を取り除くよう努力することも重要です。

もし、過去にあなたが浮気や浮気未遂をしたことが原因で束縛するのであれば、束縛も多少は受け入れる必要があります。

例えば、「仕事が終わったら必ず連絡を入れる」「飲み会があるときは飲み会の場所や時間を伝える」などの努力は必要かもしれません。

もちろん、「家から一歩も外に出さない」「家族以外との付き合いを許さない」というのは過剰といえます。

愛していることを伝える

愛していることを伝える

前述のとおり、配偶者が束縛する理由は「夫(妻)を誰にも奪われたくないから」というケースがあります。

そのため、配偶者のことを愛していることをきちんと伝えることも重要です。

言葉で伝えることも重要ですが、態度でも示すことが重要です。

定期的に夫婦でデートの時間をとる、2人で話す時間をとる、適度なスキンシップなども有効です。

夫婦カウンセリングを受ける

夫婦だけで話し合うことが難しい場合は夫婦カウンセリングを利用することも選択肢のひとつです。

ほとんどの場合、束縛は夫婦両方に問題があることが多いです。

しかし、当事者同士の話し合いでは「どちらが悪い」という話になり、建設的な話し合いにならないこともあります。

中立的な立場のカウンセラーからアドバイスをもらうことで、自分たちの関係を客観的に見ることができ、建設的な話し合いがしやすくなります。

心療内科で診てもらうように勧める

精神的な病気によって不安を感じやすくなり、夫(妻)を束縛するケースもあります。

束縛の原因を取り除き、話し合いを行っても、夫(妻)が在りもしないことを想像し、不安を感じて束縛を辞められない場合、何か精神的な病が隠れているかもしれません。

不眠や食欲不振などがある場合も同様です。

このような場合は心療内科や精神科に診てもらうことも検討すると良いでしょう。

最近では夫婦カウンセリングを行う心療内科も増えています。

いきなり病院で診てもらうことに抵抗がある場合は、そういったところを利用するのも良いでしょう。

離婚する

様々な手段を講じたものの、束縛を辞めてくれず、我慢の限界に達したら、離婚も選択肢のひとつです。

ただし、冒頭で説明したとおり、束縛は法定離婚事由にはありません。そのため、法定離婚事由がない場合は話し合いで合意を図ることが重要になります。

しかし、当事者同士の話し合いはスムーズに進まないことも多く、束縛がよりエスカレートする恐れもあります。

また、離婚は養育費や親権、財産分与など、決めなければならない事項が多くあります。

「早く離婚したい」などの理由で不利な条件で離婚すると離婚後に後悔することもあります。

束縛を理由に離婚する際は弁護士に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。

まとめ

束縛から解放される方法と束縛を放置してはいけない理由について解説しました。

ここでご紹介した方法を試しても、束縛を辞めてくれず、エスカレートするようなら、離婚も選択のひとつといえます。

離婚は決めなければならないことも多く、交渉が難しいケースもあるため、相手に離婚を切り出す前に弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士なら束縛が「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか、他に離婚理由はないか、離婚成立の可能性や適切な離婚条件などの専門的なアドバイスをもらうことができます。

また、弁護士に依頼すれば、面倒な交渉や裁判に進んだ場合の手続きも代行してくれます。

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