再婚禁止期間が短縮!女性がすぐ再婚するには〇〇が大切!

離婚率が1.73%と、3組に1組の夫婦は離婚している計算になるなか、再婚も増加の傾向にあります。
厚生労働省による平成28年度の人口動態統計における婚姻に関する統計によると、夫側では30代前半までに離婚した男性が離婚後5年以内に再婚をした割合は35%を超えています。
一方、妻側は20代のうちに離婚した方が離婚した年次を含む離婚後5年以内に再婚をした割合は3割を超えており、夫側も妻側も約3割の人が5年以内に再婚していることがわかります。
ただし、女性はある理由によって離婚から再婚まで一定の期間を開ける必要があるとされています。
ここでは民法で定められた再婚禁止期間とその根拠について解説します。また、離婚後なるべく早く再婚したいと思う人が期間を置かずに再婚する際に必要な要件や注意点を紹介します。
- 目次
女性が離婚してから再婚できるまでの日数が法律で決まっている
離婚したあと何かの縁で再婚することになったとします。男性は離婚後期間を置かずに再婚できますが、女性はすぐに再婚できません。
男女平等が叫ばれて久しい日本ですが、なぜこのようなことが起こっているのでしょうか。
再婚禁止期間とは
実は、女性は離婚後100日間経たなければ再婚できません。この期間を再婚禁止期間といいます。
再婚禁止期間とは民法によって定められたものです。これにより、女性だけが離婚から再婚までの期間を拘束されているのです。
第733条
1 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
再婚禁止期間が設けられている理由
女性だけに再婚禁止期間が設けられているのはある理由によるものです。
それは、離婚後すぐに再婚して妊娠していた場合、前夫との子どもなのか再婚後の夫との子どもなのかが客観的かつ容易に証明できないからです。
平成28年の法改正で変わったこととは
再婚禁止期間が半年から100日に短縮
再婚禁止期間が100日という根拠
民法では、女性の妊娠から出産までの期間を元に「離婚してから300日以内に生まれた場合は元夫の子ども」「再婚してから200日以降に生まれた場合は現夫の子ども」と定めています。
もし、離婚後60日で再婚したとします。
再婚後201日で子どもが生まれた場合、再婚後200日以降なので再婚した夫の子どもになりますが、離婚後300日以内に生まれた子なので離婚した夫の子にもなります。
再婚禁止期間を100日と定めているのは子どもの父親が誰なのかを推定するためなのです。
再婚禁止期間が短縮された根拠とは
再婚禁止期間が100日に短縮されたのは平成28年ですので比較的最近のことです。それまで女性は離婚してから再婚するまでの間、半年も待たなければなりませんでした。
しかし、「再婚期間が生まれた子どもの父親を推定する目的であるなら、6カ月という期間に意味があるのか」ということが問題視されていました。
この問題について最高裁は平成27年12月に「再婚禁止期間は100日で足りる」という判決を出しました。これにより、再婚禁止期間の見直されるようになったのです。
離婚時に妊娠していなければすぐ再婚できる
女性のみに定められた100日という再婚禁止期間ですが、実はこの再婚禁止期間を待たずに再婚できる場合があるのです。
民法改正の際、再婚禁止期間の短縮と同時に以下の項目を定めました。
第733条
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合
一は、女性が離婚時に妊娠していなかったことが証明された場合、再婚禁止期間の規定を適用しないということです。
つまり、離婚時に妊娠していないことが証明できればすぐにでも再婚できるということです。
二については、離婚して再婚するまでに出産していた場合を指します。再婚する前に出産しているわけですから、これが証明できれば次に妊娠する子どもは離婚した夫の子どもでないことは明らかです。
これらはいずれも再婚禁止期間を設けている理由である「出産した子どもの父親を判定する」必要がありません。したがって再婚禁止期間を待つ必要がないのです。
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再婚禁止期間を破るとどうなるのか
再婚禁止期間を守らなくても逮捕されるわけではない
「再婚禁止期間が民法で定められている」というと、「万が一再婚禁止期間を守らずに再婚してしまったら逮捕されてしまうのでは?」または「何十万円~何百万円も罰金を徴収されるのでは?」と心配になる人も多いでしょう。
しかし、100日以内に再婚したとしても罪に問われることはありません。
再婚禁止期間を破ると子どもの父親を裁判所が決める
再婚禁止期間を守らなかったからといって罰則はありません。では、再婚禁止期間守らずに再婚した場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
再婚禁止期間を守らないと、子どもの父親が前夫か現夫かについて裁判所によって判断されてしまうという事態が起こります。
こうなると、生まれた子どもがどちらの子どもになるのか、妻側の意見も夫側の意見も考慮されず、裁判所の決定事項に従うしかなくなってしまうのです。
離婚をして、せっかく新しいパートナーと再スタートを切ろうとしていても、裁判所の決定によって前夫の子どもと判定されることがあるということです。
この場合、面会の設定などが発生して子どもと思うように生活できないというパターンもあります。したがって、妊娠中に離婚するという場合は特に再婚禁止期間を遵守したほうがよいでしょう。
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再婚禁止期間の例外となるケースもある
民法改正によって離婚時に妊娠していないことが産婦人科などの医療機関により証明された場合は、再婚禁止期間が適用されないと説明しました。
これ以外にも再婚禁止期間が適用されない場合があります。
高齢女性の場合
高齢者になっても妊娠する女性はまれにいますが、女性が科学の力を借りずに自然妊娠できる年齢が45歳で1%まで低下します。
したがって、それ以上に妊娠する可能性が低い高齢者に関しては再婚禁止期間が適用されません。
高齢者同士が離婚し再婚する場合、女性側も離婚した次の日から再婚することが可能ということです。
元夫との再婚
再婚禁止期間は、「離婚時に妊娠していた子どもの父親が元夫なのか現夫なのか」という問題のために設けられたものです。したがって同一人物との再婚の場合は適用されません。
何度も元サヤにおさまる夫婦もまれにいますが、このような場合は離婚と再婚を期間に限定されることなく繰り返すことができるのです。
子宮の全摘出をしたことがある場合
再婚禁止期間が設けられた理由から考えると、身体的な理由で今後妊娠する可能性のない女性についても再婚禁止期間が適用されません。
過去に手術で子宮をすべて摘出した女性については、その手術があった事実を医療機関が発行する診断書などで証明できれば、再婚禁止期間を守らなくてもよいのです。
再婚禁止期間がなくとも再婚には厳しい目が向けられる
年配の人にとっては特に離婚・再婚は受け入れられ難い
再婚禁止期間の有無に限らず、離婚して間もない人がすぐに再婚することは世間的にあまり聞こえのよいものではありません。
団塊の世代など年配の人のなかには「離婚することは辛抱が足りないからだ」や「生涯連れ添うのが夫婦」という偏った考え方をする人もいます。
まして離婚後すぐの再婚ともなれば、「尻軽」などと揶揄されることもあるかもしれません。
「不倫していたのでは?」と疑われる
離婚後すぐに再婚すると、なかには「まだ離婚する前から付き合っている人がいて、それが原因で離婚したのではないか」と勘繰る人もいるものです。
「結婚中から不貞行為があって、結局離婚して不倫相手を選んだ」と誤解されることもあります。
自分と相手の親に再婚を反対されることもある
離婚後間もない再婚は、自分の親や再婚相手の親など親族に反対されることも多くなっています。
特に自分が子連れで相手が初婚の場合、再婚相手の親の反対に合うことは覚悟しておきましょう。
離婚して間もない再婚は、世間では受け入れられないことも多いものです。
離婚によってあなた自身がネガティブな印象を持たれないためにも、モラルを意識しながら再婚のタイミングをしっかりと考えましょう。
また、周囲に再婚を知らせる方法についてもしっかりと計画したうえで実行することをおすすめします。
どうしても再婚するなら引越しも視野に入れる
再婚禁止期間を経過したとしても、離婚後すぐに再婚する人に対して周囲はあまりいい顔をしません。
「それでもすぐに再婚したい!」と思うなら、自分たち夫婦のことを知る人のいない場所に引っ越すのもひとつです。
周囲が自分たち夫婦のことを知らない人ばかりなら、他人の目を気にすることなく、新しい生活をスタートできるでしょう。
まとめ
民法では女性のみ100日間の再婚禁止期間を定めています。ただし、離婚時に妊娠していないことが医療機関で証明されれば離婚後すぐに再婚してもかまいません。
そのほか、父親の推定が必要のない場合は再婚禁止期間の例外となります。
しかし、再婚禁止期間の例外であるかどうかに関わらず、離婚後すぐに再婚することをよく思わない人も多くいます。
再婚するタイミングや周囲への連絡についてはモラルの範囲内で計画的におこないましょう。
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