離婚の種類とは?6つの種類と手続きの流れ
離婚は手続きによって6つの種類があります。この記事では、それぞれの離婚の種類にどのような違いがあるのか、実際の件数や割合を含めて解説します。
「離婚したい」
「離婚にはどのような種類があるの?」
「離婚はどのような手続きを踏んでいくの?」
上記のようなお悩みがある方は最後までお読みください。
離婚の種類
離婚は手続きによって以下の6種類があります。
協議離婚 調停離婚 審判離婚 裁判(判決)離婚 和解離婚 認諾離婚 令和4年の厚生労働省の調査によると、2020年に離婚した夫婦の離婚種類は以下の結果でした。
2020年 | 2004年 | |
---|---|---|
離婚件数 | 193,253 | 270,804 |
協議離婚 | 170,603(88.3%) | 242,680(89.6%) |
調停離婚 | 16,134(8.3%) | 23,609(8.7%) |
審判離婚 | 2,229(1.2%) | 152(0.1%) |
裁判離婚 (判決離婚) |
1,740(0.9%) | 3,008(1.1%) |
和解離婚 | 2,545(1.3%) | 1,341(0.5%) |
認諾離婚 | 2(0.0%) | 14(0.0%) |
参考:厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況 人口動態統計特殊報告 統計表(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon22/dl/toukei.pdf)」※1
以下で詳しく解説します。
協議離婚
協議離婚とは、離婚の当事者である夫婦が話し合い(協議)で離婚する方法です。日本では離婚する夫婦の約9割が協議離婚で離婚を成立させています。
協議離婚の場合、離婚理由に関わらず夫婦が合意すれば離婚できます。離婚にともなう財産分与や慰謝料、養育費についても夫婦が合意すれば自由に決められます。
協議離婚は基本的に当事者のみで離婚の話し合いを行い、合意できれば離婚が成立します。裁判官など公的な立場の第三者の仲介はありません。
離婚で合意した内容は口約束ではなく、離婚協議書を作成し、書面に残しておきましょう。また、慰謝料や養育費のなどの未払いを防ぐために、離婚協議書を公正証書にしておくと良いでしょう。
調停離婚
夫婦で話し合いを行っても離婚が成立しなかったり、折り合いがつかなかったりする場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。離婚調停で成立する離婚のことを調停離婚と言います。
離婚調停は調停委員を介して当事者同士が話し合い、離婚する方法です。離婚調停で話し合いがまとまれば、調停証書を作成して離婚が成立します。
離婚調停の流れ
離婚調停における手順は以下のようになっています。
- 1回目の調停までに必要な準備をする
- 1回目の調停(合意が成立しないが、未だ調整の見込みがある場合には2回目へ)
- 2回目の調停 合意が成立しないが、未だ調整の見込みがある場合には3回以上の調停を行う
- 調停不成立の場合は裁判に移行する
離婚調停の申し立てが受理されるとおよそ2週間から4週間ほどの間に開催日程の通知が来て、1回目の調停の日程を決めることになります。
1回で離婚調停が成立することは少なく、多くの場合2回目が行われます。2回目の調停は1回目の約1ヶ月後に行われます。
2回目で調停が成立することもありますが、不成立の場合は3回目の調停となります。以後、成立まで調停回数を重ねていきます。
調停を重ねても合意が得られない場合は調停不成立となり、裁判へと移行していくことになります。
審判離婚
調停でも離婚が成立しない場合、通常は裁判で離婚問題を争うことになります。
ただし、「離婚には同意が得られているが、その条件についてのみ折り合いがついていない」という場合は裁判所の職権で離婚を認めることがあります。これが審判離婚です。
双方離婚の意志が一致しており、なおかつ以下のような理由の際には離婚審判が利用されることがあります。
病気などで裁判所に出頭できない
- 慰謝料や養育費などの条件にわずかな意見の相違がある
- 急な心変わりで離婚・出頭を拒否する
- 双方が審判離婚を望んでいる
- 親権争いで調停が不成立
- 調停の途中から一方が行方不明になった
このほか、どちらか一方が突然離婚したくないと主張したケースや、双方が審判離婚を望んでいるといったケースもあります。
パートナーが外国人で母国に帰ったときや親権をめぐってもめたときも審判離婚になるケースがあります。
特に親権争いで調停が不成立になった場合、審判離婚では裁判官が親権者を判断するので有効な手段となります。
なお、離婚審判では、審判が出されて2週間以内に夫婦いずれかから異議が出されると効力が失われます(家事事件手続法286条、279条)。
離婚審判の効力は弱く、条件が限定されていることから、以前はあまり利用されていませんでした。
しかし、2013年の家事事件手続法施行に伴い、審判離婚の件数は年々増加傾向にあり、2020年には1.2%の夫婦が審判離婚で離婚しています。
裁判離婚(判決離婚)
調停でも離婚が成立せず、夫婦のいずれかがどうしても離婚したい場合、訴訟を起こして裁判に持ち込むことになります。
離婚裁判で判決により強制的に離婚を成立させる手続きを裁判離婚(判決離婚)と言います。
離婚などの家事事件では、調停が不成立のときのみ裁判を行うことが可能となります(調停前置主義)。
判決結果への詳しい理由は判決書に記載され、判決が下された日から2週間以内に当事者双方に送付されます。
離婚裁判では法定離婚事由が必要になります。裁判で法律的に認められる離婚理由とは以下の5つになります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続しがたい重大な理由
離婚裁判の流れ
離婚裁判は夫婦のどちらか一方が裁判所に提訴すると開始されます。離婚裁判の流れは以下の通りです。
- 裁判所に離婚訴訟を提起
- 第1回口頭弁論期日の通知
- 答弁書の提出
- 第1回口頭弁論の開催
- 第2回以降の口頭弁論
- 離婚裁判の判決が確定
和解離婚
訴訟を提起したからとって、すべてが判決で終わるわけではなく、訴訟上の和解という形で終了するケースもあります。
離婚裁判中に双方が歩み寄り、和解することで離婚することを和解離婚と言います。審理を繰り返すなかで裁判官から和解勧告(和解を促す)が行われる場合もあります。
訴訟上の和解で離婚する場合、和解調書という書類が作成されます。なお、和解調書は確定判決と同様の効力を持ちます(民事訴訟法第267条)。
民事訴訟法第267条(和解調書等の効力)
和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
認諾離婚
離婚裁判において、原告の言い分を被告が全面的に受け入れる(認諾する)ことで裁判が終了し、離婚が成立することを認諾離婚と言います。
なお、認諾離婚ができるのは「離婚すること」のみです。原告の請求内容に親権や養育費、財産分与など、離婚以外の内容が含まれる場合、認諾離婚はできません。
認諾離婚が成立すると、裁判所が認諾調書(被告が認諾したことを記載した書面)を作成します。
まとめ
離婚の種類は以下の6つです。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 審判離婚
- 裁判(判決)離婚
- 和解離婚
- 認諾離婚
最初に協議離婚の成立を図り、話し合いがまとまらない場合は調停、審判、裁判へ進みます。
離婚を有利に進めるためには、離婚に踏み切る前に弁護士に相談し、計画的に進めることが大切です。弁護士に相談することで離婚成立の見通しや解決方法についてアドバイスしてもらえます。
また、弁護士に依頼すれば、相手と交渉、調停・裁判に進んだ際の手続きを代行してもらえます。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚に強い弁護士を多く掲載しています。是非ご活用ください。
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※1 厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況 人口動態統計特殊報告 統計表」
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