よくある離婚の原因は?理由がなく離婚はできる?

基礎知識
弁護士監修
よくある離婚の原因は?理由がなく離婚はできる?

離婚をするためには、どのような理由が必要になるのでしょうか。

協議離婚であれば、どのような理由であっても双方の合意があれば認められますが、裁判までもつれてしまった場合、離婚原因や理由が重要になります。

今回はよくある離婚の原因にはどのようなものがあるのか、どのような理由や原因であれば離婚が認められるのかについて説明していきますので、参考にしてください。

目次
  1. よくある離婚の原因は?
    1. 性格の不一致
    2. 相手の浮気・不倫などの異性問題
    3. 相手からのDVやモラハラ
    4. 借金や浪費などの金銭問題
    5. 性の不一致やセックスレス
    6. 家族や親族と折り合いが合わない
  2. 熟年離婚の場合に多い離婚原因
  3. スピード離婚の場合に多い離婚原因
  4. 裁判で離婚するために必要な理由
    1. 配偶者による不貞行為
    2. 配偶者による悪意の遺棄
    3. 配偶者が3年以上の生死不明
    4. 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない
    5. その他婚姻を継続し難い重大な理由がある
  5. 離婚原因として認めづらい理由で離婚を認められるには?
    1. 性格の不一致や価値観の違いを離婚原因として認められるには?
    2. 借金問題を離婚原因として認められるには?
    3. 同居問題・嫁姑問題を離婚原因として認められるには?
    4. 性の不一致を離婚原因として認められるには?
    5. 子供ができないことを離婚原因として認められるには?
    6. モラハラを離婚原因として認められるには?
  6. まとめ

よくある離婚の原因は?

現在の日本では、3組に1組の割合で離婚していると言われています。 それだけ離婚は身近なものとなっています。

もちろん夫婦円満に生涯を楽しんでいきたいところですが、離婚をしたほうが幸せな場合もあります。

まずはここで、「どうして離婚をしてしまうのか?」について触れていきます。

性格の不一致

離婚にいたった原因で必ず上位に食い込んでくるのが、この性格の不一致です。

他人同士、価値観の違う人間が同じ屋根の下で一緒に暮らすわけですから、性格が合わなければ生活するだけでも苦痛を感じるようになります。

結婚すると、カップルのときには見えなかった相手の欠点がよく見えてきます。それが耐えられなくなって、離婚手続きにまで進んでしまう夫婦はとても多いのです。

相手の浮気・不倫などの異性問題

相手の不倫・浮気などの不貞行為は常に離婚原因の上位に入っています。セックスレスだったり、単純に他に好きな人ができてしまったり、きっかけは人それぞれです。

また、最近では妻側が不倫をして離婚するケースが非常に増えてきています。ネットの普及で出会いの場が増えてきたことが要因の1つとして挙げられます。

相手からのDVやモラハラ

相手からのDVやモラハラが原因で離婚する人もいます。

DVには肉体的なものと精神的なものがあり、昨今、よく耳にするモラル・ハラスメント(通称モラハラ)は精神的なDVとも言われます。

DVは傷やアザがあればケガをしていると分かるため、外部の人間がDVに気付くことがありますが、モラハラはなかなか周囲に気付かれないという問題があります。

DV被害者が加害者に離婚を切り出そうとすると、加害者の逆鱗に触れ、暴力がエスカレートする可能性もあります。

また、モラハラ被害者は精神的に追い詰められ、疲弊していることも多くあります。

そのため、被害者は離婚を切り出す勇気が削がれ、肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまう人も少なくありません。

ともあれ、このDVやモラハラが離婚原因となるケースも増えています。離婚をするなら、平常心を保ち、何をされたか証拠となるメモなどを残すようにしましょう。


借金や浪費などの金銭問題

「結婚して初めて相手の借金に気付いた」「浪費癖が激しくお金を湯水のように使う」など、金銭問題で離婚するケースも多いです。

残念ながら、これらの金銭面は結婚してみないと分からない部分もあり難しい問題です。だからこそ、離婚原因として多いと言えるわけです。

ただし、相手方に借金があるだけでは離婚の理由としては認められません。

認められる場合とは、夫婦関係が破綻する原因と判断されたときです。具体的には、ギャンブルで多額の借金をする、ブランド品を買いあさって借金をするなどです。

夫婦生活の維持と無関係の出費が著しく多い場合は、婚姻関係の継続が困難と認められる場合があります。このようなケースであれば借金も十分な離婚理由になります。

性の不一致やセックスレス

夫婦に関する話題で、たびだび出てくるのがセックスレスです。

特に、妻が子供を産んだあと、子育てで疲れた妻がセックスを断るケースや、妻に対して夫が興味をなくすケースがあったり、根が深い問題です。

また、相手の性癖に嫌悪感を覚えてしまいノーマルな性行為も嫌になってしまうこともあるようです。

その結果、夫婦関係の維持がだんだん難しくなり、浮気などの不貞行為に走ってしまうこともあります。

拒まれた期間の長さや回数の多さ次第では慰謝料をもらえる場合もあります。

家族や親族と折り合いが合わない

結婚は夫婦間だけの話ではありません。結婚すれば相手方の親族とも家族になるため、単純な話ではないのです。

そんななか、どうしても相手方の親族と上手くいかず関係が悪化してしまうことが多々あります。よく言われる嫁姑問題を思い浮かべると良いでしょう。

相手方の親族との関係が悪化した結果、配偶者との関係もギクシャクしてしまい、離婚にいたることも少なくありません。

熟年離婚の場合に多い離婚原因

熟年離婚の場合に多い離婚原因

熟年離婚という言葉がありますが、この言葉が定着してきたのは、それだけ晩年を迎えてから離婚をする人が多くなったことを意味しています。

熟年離婚に多い離婚原因には以下のようなものがあります。

  • 相手が家にいることがストレス:配偶者に対して、その一挙手一投足にいら立ちを感じる状態。もう愛はなくただの他人として見てしまっている。
  • 親の介護:相手の親の面倒をみることに疲れてしまい、自分の身を守る意味で離婚を決意するケースも多い。
  • 子供が自立した:親の役目を果たしたため、あえて夫婦関係を続ける必要がないと判断して離婚にいたる。
  • モラハラ、DV:亭主関白の夫から横柄な口の利き方をされたり、暴力をふるわれたりして、長年のストレスが限界を迎えてしまう。
  • まった家事をくしない:家事は妻がするものと決めつけ何もしない。夫が定年後、何もせずに家でゴロゴロしているだけで妻が我慢の限界を迎えてしまう。

スピード離婚の場合に多い離婚原因

ワイドショーを見ていると、スピード離婚という言葉をよく耳にすると思います。

これは言葉通りの意味で、結婚してすぐに離婚してしまうことを指しますが、なぜスピード離婚にいたってしまうのでしょうか。

スピード離婚の原因はいろいろあります。例えば、相手のことを理解しない状態で結婚をしてしまったという場合です。

交際期間が短くても婚期を逃したくないため数ヶ月で結婚した、交際して間もなく子供ができてしまったという理由で早く結婚をしたなどが具体例になります。

また、理想としていた結婚生活と現実があまりにほど遠いものであると知ってしまった場合も、ギャップの大きさに失望して、スピード離婚に繋がることもあります。

ほかには、交際前につくった借金が結婚後に発覚し、相手に不信感を抱いて離婚するケースも多いです。

裁判で離婚するために必要な理由

実際に離婚をするとなっても、残念ながらすぐに離婚ができるわけではありません。さまざまな段階を踏むことで初めて離婚が成立します。

まずは夫婦で話し合うことで離婚成立を図りますが、話し合いがこじれてしまった場合、最終的には離婚裁判となり、「離婚できる」「離婚できない」の判決がくだされます。

では、裁判離婚をするために必要な理由とは何かを説明していきます。

配偶者による不貞行為

配偶者による不貞行為は有力な離婚理由になります。しかし、必ずしも不貞行為が離婚理由として認められるわけではありません。

認められないケースとしては、夫婦仲が破綻している状況で不貞行為があった場合が挙げられます。

少し話がややこしくなりますが、配偶者の片方が夫婦仲の破綻を理由に不倫を始め、その不倫相手と結婚したいから離婚をしたいとなった場合、不倫された側としては文句を言いたくなると思います。

しかし、不貞行為が原因で夫婦仲が破綻していなければ、不貞行為を離婚理由にすることは認められない可能性があります。

配偶者による悪意の遺棄

「悪意の遺棄」とは、簡単に言えば、結婚生活を放棄する行為を指します。例えば、働いたお金を家に入れない、まったく家に帰ってこない、そもそも同居を拒むなどです。

こうなると、結婚した意味があるのか疑問に感じてしまいますよね。

ほかにも、「配偶者が大病を患い、長い入院生活を余儀なくされる状況で金銭的な負担を放棄した」「子だくさんすぎて家に帰るのが嫌になり、実家へ帰ってしまった」など、現状を受け入れることができずに逃げ出してしまったような場合も、悪意の遺棄と判断され、離婚理由として認められます。

配偶者が3年以上の生死不明

配偶者が3年以上行方が分からず生死が不明な場合、離婚理由として認められることがあります。

災害に遭って行方不明になってしまったり、犯罪に巻き込まれた可能性があると判断されたり、家を出て完全に行方をくらましてしまったなどが挙げられます。

配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない

配偶者が強度の精神障害などを患い、夫婦の協力義務が果たせなくなったときに離婚が認められることがあります。

協力義務とは夫婦で生活を助け合うことを指します。この義務が果たせなければ結婚生活の継続は難しくなります。

ただし、この場合、看護する側がしっかりと誠意を持って看病してきたかが重要になってきます。

また、離婚後、その配偶者の生活を保障する用意があるかどうかで離婚の可否が変わります。

この2つの条件を満たしていない場合、離婚理由として認められない場合もあります。

その他婚姻を継続し難い重大な理由がある

上記4つの離婚理由には該当しないけれど、夫婦生活をこれ以上継続することが困難であると判断された場合は「婚姻を継続し難い重大な理由」として離婚が認められます。

どのようなケースで離婚が認められるかはケースバイケースですが、性格の不一致、働く意欲がない、親族と不仲である、DVなどの暴行や性交拒否といったことなどでも状況によっては結婚生活の継続が困難と判断されることがあります。

離婚原因として認めづらい理由で離婚を認められるには?

離婚原因として認めづらい理由で離婚を認められるには?

残念ながら、単純に「相手への気持ちが冷めてしまったから離婚したい」という主張を通すのは難しいでしょう。

このように認められにくい理由で離婚をするには、どうしたら良いのでしょうか。ここからは、離婚が認められにくい理由を認められやすくする方法を紹介していきます。

性格の不一致や価値観の違いを離婚原因として認められるには?

単純に「性格が合わないから離婚したい」と訴えても「改善する努力をしてください」と言われてしまうことは目に見えています。

大切なのは、性格の不一致だったり価値観の違いがあることで、どのような問題があるのかを具体的に主張することです。

例えば、価値観の違いから配偶者から責められ、圧迫感を覚えて動悸が激しくなってしまうなどです。

あくまでも、性格の不一致や価値観の違いは起因となる事象です。その事象によって夫婦生活にどのような問題があるのかを説明する必要があります。

借金問題を離婚原因として認められるには?

結婚生活を継続するには、当然のことながらお金が必要です。もし、相手方に多額の借金があった場合、生活費が捻出できないという状況になりかねません。

この借金のせいで婚姻生活が継続できない重大な理由になると判断されれば、裁判を通じて離婚することができます。

裁判に進む前に、相手方がどれぐらいの借金があり、その借金でどのように生活が苦しくなったのかをきちんと説明できるように準備をしておくと良いでしょう。

同居問題・嫁姑問題を離婚原因として認められるには?

残念ながら、嫁姑問題を理由に裁判離婚を成立させることは難しいです。なぜなら、離婚はあくまでも夫婦間の問題であって、姑は関係がないからです。

親の同居についても同様で、相手方の両親と一緒に暮らしたくないだけの理由で離婚を成立させるのは難しいです。

もちろん、この場合であっても協議離婚であれば離婚は可能です。

しかし、まったく方法がないわけではありません。例えば、姑の激しいいじめに対して夫が何も対処してくれなければ、愛想を尽かしてしまうでしょう。

その結果、婚姻関係が難しいと証明ができれば離婚を認められる可能性があります。大切なのは、これらの事実を証拠に残しておくことです。

例えば、肉体的な攻撃があるなら、医師の診察を受け、診断書を手に入れたり、夫の対応をこと細かに記録しておくといったことが挙げられます。

性の不一致を離婚原因として認められるには?

性の不一致から婚姻関係の継続が難しくなってしまったなど、性は結婚生活をするうえで重要な要素と言えます。

性の不一致で離婚理由として認められるのは以下のような場合があります。

  • セックスレス:どちらかが性交渉を望んでいるにも関わらず、特別な理由がないのに数ヶ月以上断り続けた場合
  • 性交不能:身体的な理由・精神的な理由で性交渉ができなくなってしまい、それが原因で喧嘩が多くなってしまった場合
  • 性的異常:性癖を一方的に押し付け、性交渉しようとした場合(やめるようにお願いしても強要してくるなど)
  • 妊娠不能:妊娠ができない状態で婚姻関係がギクシャクしてしまい、喧嘩が絶えなくなってしまった場合

子供ができないことを離婚原因として認められるには?

子供ができないことのみを理由に離婚するのは難しいです。

しかし、不妊治療によってストレスが溜まり、配偶者が暴力やモラハラにおよんだ場合は離婚が認められることがあります。

一方、セックスレスが原因で子供ができないという場合は性の不一致で離婚が認められるケースがあります。

モラハラを離婚原因として認められるには?

モラハラは離婚理由として認められにくいものの1つです。なぜなら、モラハラ加害者は家族以外には良い人に見られるよう演技をすることが多く、モラハラの立証が難しいからです。

したがって、離婚の話し合いのまえに、モラハラの証拠となるものを準備しておく必要があります。

暴言を録音したものや映像があればベストですが、いつ何を言われたのかなどを細かく記録しておくのも重要です。

証拠を集めておくことで、調停や裁判の際に離婚を認めてもらえる可能性が高まります。

まとめ

離婚をするためには相応の理由が必要です。

特に離婚裁判に進んだ場合は、その原因によって夫婦関係が破綻してしまい、婚姻関係を継続させることが難しいということを証明することが重要になります。

しかし、自分のケースで離婚が認められるのかどうか、素人では判断できないこともありますよね。

また、婚姻関係が破綻していることを証明するにはどのようなものが有効かわからないこともあるでしょう。このような場合は離婚問題に強い弁護士に相談すると良いでしょう。

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