離婚の迷いがでた時に考えるべき5つのこと
「長い間結婚生活を続けてきたけど、最近、子供の教育方針などで夫(妻)との衝突が増えてきた」「妻(夫)に対して愛情を感じなくなってきた」
夫婦生活を続けていれば、うまくいかないこともあります。
そんなとき、「このまま結婚生活を続けるより、離婚して、新しい生活、新しい伴侶を迎えたほうが良いかもしれない」などと考えてしまうこともあるかもしれません。
でも、いきなり離婚を切り出すのは待ってください。話を切り出す前に、離婚に対する迷いが出た段階で考えなければならないことがあります。
この記事では、結婚生活を続けるか、離婚するか迷いが出たときに何を考えるべきか詳しく解説していきます。
- 目次
離婚の迷いがでた時に考えるべき5つのこと
「離婚したいかどうか自分でもわからない。でも離婚という文字が頭をよぎる」 そんなときもあるでしょう。
しかし、勢いで離婚するということだけは絶対にやめましょう。
離婚の文字が浮かんだら次の5つのことを考えてみましょう。
- 子供の将来
- 情に縛られていないか
- 離婚を決断するタイミング
- 離婚に応じてもらえるかどうか
- 離婚後に住む場所
以降、それぞれについて詳しく解説していきます。
子供の将来
子供がいる場合、離婚することで子供にどのような影響があるかを考えなければなりません。
両親が離婚すれば子供は片親に育てられることになります。
基本的に子供は両親の愛情に触れながら育つことが良いと言われています。しかし、両親が離婚すれば子供はその権利を奪われるわけです。
また、両親の関係性や家庭環境の変化は子供の精神面にも大きな影響を与えます。
「パパ(ママ)はママ(パパ)と私(僕)を捨てた」 そう感じた子供は、一緒に暮らす親からも捨てられるのではないかと考える可能性があります。
さらに片親に育てられることで経済的に困窮することもあります。両親の離婚により、子供が進学の夢をあきらめなければならなくなることも否定できません。
両親の離婚が子供におよぼす影響は非常に大きなものです。しかし、離婚は夫婦の問題です。両親の離婚によって子供の利益が損なわれてはいけません。
離婚をする場合は子供への影響を考えて行動する必要があります。
なお、親権を持たない親には面会交流権がありますが、子供と離れて暮らすことには変わりありません。
また、親権を持つ側の親は自分1人で生活費を稼ぎながら子供を育てなければなりません。
子供がいる場合、離婚は相当の覚悟が必要になるのです。
情に縛られていないか
「離婚したいけど相手がかわいそうで離婚できない」という人もいます。
夫婦としての愛情はなくても長年一緒に生活してきた相手です。一時であっても人生をともに歩んだ相手ですから、情が生まれるのは自然なことでしょう。
しかし、「離婚したい」ということは、「今後夫婦としての生活を送っていけない」と思っているわけです。
もしかしたら、「かわいそう」と思っているのはあなたの思い過ごしかもしれません。それなのに、「かわいそう」という情だけで破綻した関係を続けることは得策ではありません。
考えるべきは「自分が離婚すべきかどうか」です。相手のことだけを思うのであれば、離婚後の生活をサポートするなどいくらでも方法はあります。
離婚を決断するタイミング
離婚を決断するタイミングの1つに「もう妻(夫)への愛情がなくなった」と実感したときがあります。
「顔を合わせるたびに喧嘩ばかり」「相手の悪いところばかり目につく」「口を開けば相手への不満や愚痴ばかり」
このようなことが常態化しているようだと愛情がなくなってきた証拠かもしれません。
相手に不満があったとしても、相手に対する愛情があれば関係修復を試みるはずです。
しかし、話し合いの時間を作ろうともせず、すれ違いの関係を続けているのであれば「関係を修復しようと思っていない」ということでしょう。
離婚に応じてもらえるかどうか
離婚は基本的に夫婦が合意すれば成立します。反対に、相手の同意がなければいくら離婚したいと思っても話し合いでは離婚できないということです。
夫婦の話し合いで離婚が成立しない場合、裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
調停は調停委員を介して話し合いを行うことです。そのため、調停を申し立てたからといって離婚が成立しないこともあります。
調停でも離婚が成立しなかった場合は、訴訟を起こして離婚裁判を行います。
離婚裁判は法律に則り離婚すべきかどうかを裁判所が決めるものから、民法で定める以下の離婚事由が必要になります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- 婚姻を継続しがたい重大な事由
離婚後に住む場所
離婚では婚姻中の共有財産を夫婦で公平に分けることになります。これを財産分与といいます。
財産分与の対象となるのは現金だけではなく、不動産や住宅ローンなども対象になります。
婚姻中、夫婦いずれか(あるいは両方)の名義の家に住んでいることもあります。この場合、婚姻中に住んでいた家も財産分与の対象になります。
離婚の際、住んでいた家をどうするかが大きな問題になります。自分が家を出ていく場合は離婚後に住む家を探さなければなりません。
親権者指定の際は婚姻中の養育状況に加えて離婚後の養育環境も重視されます。離婚後に親権を獲得したいのであれば離婚後の住環境を整えることが重要です。
最終的には自分自身が何を一番大切にしたいかで決める
結局のところ、離婚するかどうかはあなたが「何を大切にしたいか」で判断するしかありません。
「結婚は我慢するもの」とも言います。
「相手への気持ちがなくなった」「妻のこういうところが気に入らない」と思っても、結婚生活のなかで大切にしたいものがあるのであれば関係修復を試みるのも重要です。
「周りや世間体が気になって離婚できない」という人もいるでしょう。
あなたの悩みが我慢できないほどのものなら離婚を考えるのも1つです。しかし、我慢できるなら関係修復に努めてみるのも良いでしょう。
離婚を迷ったときにやってはいけないこと
離婚を迷ったとき、やってはいけないことが5つあります。
離婚について1人で悩まない
離婚問題はデリケートな悩みですので、誰にも相談できずに1人で抱え込んでしまう傾向があります。
しかし、自分ひとりで考えていても問題を客観視することが難しく、解決策が見出せないこともあります。
離婚が頭をよぎったら、1人で悩まず弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
離婚後の人生を楽観視しすぎない
「離婚すれば何とかなるだろう」それは少し楽観視しすぎです。
あなたが専業主婦(夫)の場合、離婚後の生活費は自分で稼がなければなりません。共働きであっても、離婚後は自分1人の収入で生活をしなければなりません。
今住んでいる家を出ていくのであれば、引っ越し代や敷金、家賃なども発生します。
離婚後、子供を引き取るのであれば、子育てを両立しつつ、子供の分も含めて十分な生活費を稼ぐ必要があります。
「仕事には困らない」という場合であっても、子供が幼い場合は預け先を確保しなければなりません。
離婚後の生活をシミュレーションし、何にいくらかかるのか、自分1人の収入でやっていけるのか、体力が持つかなどを考えておきましょう。
あやふやな気持ちのままで離婚を決めない
「結婚は勢い」とも言いますが、離婚は勢いで決めてはいけません。
「今の生活に生きがいを見いだせない」「結婚生活がつまらない」 楽しくない、つまらないという理由だけで離婚を考える人も少なくありません。
しかし、そこには「相手に幸せにしてもらおう」「結婚したら幸せになるはず」という他力本願な気持ちが隠れています。
新婚当初のようなラブラブな時期を過ぎても良好な関係を築いている夫婦は、自らの力で幸せになろうとします。
相手に依存するのではなく、自分の幸せは自分でつかみましょう。
結論を急がない
離婚は夫婦の問題解決における最終手段になります。
ここまで説明したとおり、離婚後の生活は経済的にも肉体的にも負担が大きくなります。
離婚後に子供を育てながら十分な収入が得られるか、子供を預ける先はあるか、何かあったときに頼れる人はいるかなど、しっかり考えましょう。
関係修復のために十分に努力したが解決にいたらず、離婚後の生活についても見通しが立っているという場合に初めて離婚という選択肢を考えましょう。
離婚を切り出すときは感情的になってはいけない
離婚を決断し、相手方に切り出す際はとにかく冷静になることを心がけましょう。叫んだり、泣いたりするようなことは絶対にNGです。
離婚すると決めた相手ですから、言いたいことは山ほどあるかもしれません。しかし、感情に任せて行動すれば売り言葉に買い言葉で話がこじれてしまうだけです。
また、DVやモラハラなどがある場合、2人きりで話をすると危害を加えられる可能性もあります。
身の安全を確保し、できるだけスムーズに話を進めるためにも以下のことを心がけましょう。
- 第三者に立ち会ってもらう
- 喫茶店やカフェなど、周りの目がある場所で切り出す
- 相手の感情を逆撫でするような言葉は避ける
- 必要なことだけを端的に伝える
- 話し合いは一時間以内で収める
相手と話す際は、相手を責めるような言葉は避けましょう。
相手の嫌な部分を話す場合も「あなたの〇〇が嫌だった」ではなく、「私はあなたの〇〇を受け入れることができなかった」というように主語を自分にすると良いでしょう。
また、結論が出ないからといって長々と話すのは避けましょう。
早く離婚したいからといって、その日に結論を迫るのではなく、1時間ほど話して結論が出ない場合はその日の話し合いは終了という態度で臨みましょう。
離婚したいけどできないときは弁護士に相談する
離婚する前に何を考えるべきか、何を基準に離婚に踏み切るべきかを説明しました。
離婚を切り出したからといって、すんなり離婚が成立することは稀です。離婚の話し合いがこじれたという場合は弁護士に相談すると良いでしょう。
「離婚協議の段階で弁護士に相談するなんて大袈裟だ」と思うかもしれません。しかし、協議の段階で弁護士に相談することで以下のようなメリットがあります。
- 法的な手続きをサポートしてもらえる
- 夫(妻)との離婚交渉を進めやすくなる
- なるべく不利な離婚条件にならないよう取りまとめてもらえる
- 離婚に対する本気度が夫(妻)に伝わる
- 早期解決を図りやすくなる など
まとめ
離婚するか結婚生活を続けるべきか迷いが出たときに何を考えるべきか、何を基準に判断すべきかを説明しました 離婚するかどうかは今後の人生を左右する大きな決断になります。
「離婚すべきか迷っている」「どうすればスムーズに離婚できるのか」などの悩みがあれば、弁護士に相談すると良いでしょう。
離婚に強い弁護士なら専門知識が豊富ですので、法的な立場でアドバイスをしてくれます。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を多く掲載しています。まずはご相談ください。
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