離婚でかかる弁護士費用の相場|法テラス活用法や安く抑えるコツ
離婚問題で弁護士に依頼したいと思っても、弁護士費用が高くて依頼できないという方もいるでしょう。
この記事では、離婚問題を弁護士に依頼すると弁護士費用はいくらかかるのかを解説したうえで、法テラスや弁護士費用を抑えるコツを紹介します。
離婚問題を弁護士に依頼したいとお考えの方、弁護士費用を抑えたいとお考えの方は最後までお読みください。
- 目次
離婚でかかる弁護士費用の種類
弁護士費用にはさまざまな種類がありますが、一般的にはそれらをまとめて弁護士費用と呼ぶことが多いです。弁護士費用の種類は次の通りです。
- 法律相談料
- 着手金
- 報酬金
- 日当
- 実費
離婚でかかる弁護士費用の相場
離婚問題で弁護士に依頼する場合、弁護士費用の相場は次のようになります。
離婚協議 | 離婚調停 | 離婚裁判 | |
---|---|---|---|
相談料 | 無料または 5,000円〜10,000円 ※30分〜1時間 |
||
着手金と報酬金の 合計金額相場 |
40万円〜60万円 | 50万円〜70万円 | 60万円〜90万円 |
このほか、離婚協議で協議書作成を依頼した場合は5~10万円、日当が発生する場合は5~10万円、養育費や慰謝料などの経済的利益を得た場合はその利益に合わせて報酬金が発生します。
上記の金額はあくまで相場であって、地域によって若干の差があります。また、必ずしも表と同じ金額になるわけではありません。
実際の弁護士費用は必ず法律事務所に確認しましょう。 それぞれの費用について、詳しく説明します。
法律相談料
法律相談料とは、弁護士に相談すると発生する費用です。自分が弁護士に対して何を依頼したいのか、どういった事件を任せたいのかを相談することで法律相談料が発生します。
相談料は、弁護士に依頼しなかったとしても支払う必要があります。
30分から1時間で5,000円から1万円ほどかかるというのが一般的ですが、最近では、無料相談を受け付けている法律事務所も増えています。
なお、法律相談料は依頼前に発生する費用です。依頼後の相談で支払う必要はありません。
着手金
契約を結ぶと発生する、初期費用のような料金が着手金です。依頼人の都合で途中解約したり、希望する条件で離婚することができなかったりしても、戻ってきません。
着手金は基本的に一括で支払うことになります。
協議・調停・裁判など、手続きの内容によって着手金の値段は違ってきますので、依頼する前には事前にいくら着手金がかかるかを確認しておきましょう。
報酬金
報酬金は、弁護士に依頼して事件が解決した場合に発生する費用です。報酬金は解決内容によって金額が変わってくるため「成功報酬金」とも呼ばれています。
離婚の場合、慰謝料や財産分与など獲得できた金銭の金額によって報酬金の額は変わります。
そのほか、親権を獲得した場合や養育費の支払いを認めさせた場合などでも発生することがあります。
報酬金の額は、法律事務所によって違いますので、着手金と同じく事前に確認が必要です。
日当
日当は、弁護士が半日~1日以上事務所を離れて仕事をする場合にかかる費用です。例えば、遠方の家庭裁判所に行ったりするケースなどが該当します。
離婚調停などは相手の住所地にある家庭裁判所で行われる場合があるため、状況によっては前泊や後泊の必要が出てきます。
この場合、離婚調停当日だけでなく、前泊・後泊の分も日当が発生します。
実費
実費とは、相手側に送る書類の郵送代、裁判所に提出する印紙代、裁判所までの交通費など、実際に発生する各種費用のことです。
裁判に進むと証人尋問が行われ、調書が作られますが、この調書の写しである謄本を作る際の費用も実費となります。
なお、印紙代や謄本の費用などは、弁護士に依頼せずに、自分で離婚を進める場合も発生します。
弁護士費用が払えない場合は法テラスを活用
弁護士費用が高くて支払うのが難しい場合は、法テラスを利用することがおすすめです。
法テラスとは、日本司法支援センターという国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所で、以下の特徴があります。
- 無料相談
- 民事法律扶助
それぞれについて詳しく解説します。
法テラスの無料相談を活用
通常、法律事務所に法律相談をすると、30分から1時間で5,000円~10,000円前後の相談料が発生しますが、法テラスの相談料は無料となっています。
法律相談を行うのは、法テラスと契約している弁護士・司法書士で、1回の面接時間は約30分、1つの問題に対して3回まで相談をすることができます。
法テラスの無料相談の対象となるのは、離婚問題などの民事、家事または行政に関する問題についてのみで、刑事事件は対象外となります。
法テラスの民事法律扶助を活用
民事法律扶助とは、経済的に余裕がない方が法的トラブルにあった時に弁護士・司法書士の費用の立替えを行う制度です。
弁護士を雇う費用や、司法書士に書類を作成してもらう費用が支払えない場合、その費用を法テラスの民事法律扶助という形で立て替えてもらうことができます。
立て替えた費用の返済は、援助開始の決定後から無利息で月々の分割払いで行われます。
事件進行中は、毎月5,000円もしくは毎月10,000円ずつ返済していき、事件が終わると3年以内に完済できるように、月々の返済金額が調整されます。
ただし、生活保護を受けているなど特殊な事情がある場合は、猶予や免除が行われることがあります。
また、離婚などで慰謝料などを得た場合は、そこから一括で支払うことになります。
法テラスと一般弁護士相場との比較
法テラスの弁護士に依頼する場合と一般弁護士に依頼する場合では、着手金・報酬金の金額に大きな差があります。
法テラスと一般弁護士の費用の相場は、それぞれ下記になります。
離婚協議 | 離婚調停 | 離婚裁判 | |
---|---|---|---|
法テラス 利用時 |
8万6,000円 〜 13万円 |
10万8,000円 〜 14万2,000円 |
23万3,000円 〜 28万8,000円 |
一般的な 弁護士 |
40万円〜60万円 | 50万円〜70万円 | 60万円〜90万円 |
法テラスの弁護士に依頼する場合と一般の弁護士に依頼する場合では、着手金・報酬金の金額に大きな差があります。
法テラスと一般的な弁護士の費用の合計の相場は、それぞれ下記になります。
参考:法テラス「別表3 1.代理援助立替基準(https://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/yamaguchi/tatekaekijun.files/tatekaekijunhyou.pdf)」※1
法テラスに契約している弁護士と、一般の弁護士に頼む場合では、依頼金額にかなりの開きがあります。
なお、慰謝料などの財産給付を得た場合、報酬金が加算されます。
法テラスでは獲得した財産給付が3000万円まではその10%(税別)が、3,000万円を超える部分については超える部分の6%(税別)が加算されます。
一般的な法律事務所の場合、財産給付が3,000万円以下であっても15%程度以上かかるところが多いため、かなり費用を抑えることができます。
法テラス利用には条件がある
法テラスは一般の弁護士と比べて、少ない費用で弁護士に依頼できますが、誰でも利用できるわけではありません。
東京・大阪などの大都市以外であれば、単身者で手取り月収が182,000円以下に加え、家賃や住宅ローンの負担分として41,000円以下、合計223,000円までの収入であれば利用できます。
東京や大阪のような大都市の場合は、単身者で手取り月収が20,0200円以下、家賃や住宅ローンの負担分として53,000円以下、合計253,200円までの収入であれば利用できます。
民事法律扶助(代理援助、書類作成援助)を利用するためには、上記の条件を満たしていることに加え、現金・預貯金額が180万円以下であることが条件です。
弁護士費用を安く抑えるコツ
収入・月収が条件を満たしておらず、法テラスが利用できない方は、一般の弁護士を利用する必要があります。
法テラスを使わずに、少しでも安く抑えたいというのであれば、次の3つのポイントを抑えておきましょう。
- 無料相談の活用
- 費用の安い法律事務所を探す
- 自宅に近い法律事務所を探す
無料相談の活用
人間には相性がありますが、それは依頼人と弁護士でも同じです。依頼前に弁護士に相談をすることで、弁護士との相性を確認することができます。
相性が良い弁護士であれば、しっかりとこちらの要望をくみ取り、対応してくれます。実際に依頼する前に複数の弁護士に相談し、自分と相性の良い弁護士を見つけましょう。
なお、弁護士に何度も相談すると、相談費用だけで高額になってしまいます。費用を抑えたい場合は、無料相談を活用しながら相性の良い弁護士を探しましょう。
費用の安い法律事務所を探す
弁護士費用は一律ではなく、法律事務所によってさまざまです。弁護士費用が安いからといって腕が悪いというものではありません。
また、値段が安いからといって、相性を無視してはいけません。離婚問題は、依頼人と弁護士が二人三脚で取り組むものです。
相性が悪いと望んだ結果にならなかったり、コミュニケーションが取りづらくトラブルにつながったりする可能性もあります。
自宅近くの法律事務所を探す
法律事務所へ行くのは1度や2度ではないため、法律事務所が遠ければ交通費が嵩んでしまいます。
せっかく弁護士費用が安い法律事務所を選んだものの、交通費が高くなり、出費が嵩んでしまう可能性があります。
法律事務所は、自宅から近く、通いやすいところを選びましょう。
なお、法律事務所が家庭裁判所と遠い場合、弁護士の交通費や宿泊費が発生します。
法律事務所と裁判所の距離にも注意して、交通費が高額にならないような事務所を選ぶことも大切です。
弁護士費用を支払うときの注意点
弁護士費用を支払う際、注意すべき点があります。
二段階で支払うケースがある
離婚調停から離婚裁判に進む際、調停・裁判の両方で着手金と報酬金がかかることになります。
法律事務所によっては、それぞれの手続きごとに着手金と報酬金を請求することがあるということです。
また、慰謝料や財産分与など、離婚以外に争点がある場合も別途着手金や報酬金が発生することがあります。
いずれも、依頼前にしっかりと確認しておくことが重要です。
弁護士費用は特有財産から支払う
弁護士に依頼する際の弁護士費用は基本的に依頼する当事者の特有財産から支払うのが当然と言えます。
無断で共有財産から弁護士費用を払った場合、財産分与の再に減額される可能性もありますので注意しましょう。
弁護士費用を支払うタイミングに注意
弁護士費用を支払うタイミングが以下のとおりです。
- 法律相談料:相談したあと
- 着手金:依頼したとき
- 成功報酬・日当・実費:事件が終わったとき
弁護士費用をいつ支払えば良いかわからないでいると、支払いの際にお金を準備できないということもあり得ます。 法律事務所によって支払い方法が異なることもあるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
法テラスを利用すれば弁護士費用を抑えることができます。また、一般の弁護士に依頼する場合も、ポイントを抑えれば費用を抑えることは可能です。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は法テラスの利用や無料相談可の事務所も多数掲載しています。ぜひお役立てください。
※1 法テラス「別表3 1.代理援助立替基準」
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