離婚でかかる弁護士費用の相場|法テラス活用法や安く抑えるコツ

離婚の際に弁護士を雇うのはとてもポピュラーな方法で、トラブルを未然に防ぐ意味でもとても有用な方法です。しかし、弁護士を雇うには費用がかかり、その費用次第では雇うのが難しいという方もいらっしゃるでしょう。
そこで、実際に弁護士を雇うにはいくらかかるのか、少しでも安く抑えたいならばどうすれば良いのかなどをご紹介します。
- 目次
離婚でかかる弁護士費用の種類
弁護士費用にはさまざまな種類のものがあり、一般的にはそれらをまとめて弁護士費用と呼ばれています。弁護士費用の主な種類は次の通りです。
【弁護士費用の種類】
- 法律相談料
- 着手金
- 報酬金
- 日当
- 実費
弁護士費用の種類は、細かく設定されていることをまずは認識しておきましょう。
離婚でかかる弁護士費用の相場
離婚問題で弁護士に依頼する場合、それぞれの費用の相場は次のようになります。
どの項目でも決して安くない費用となっていますが、これはあくまでも目安であり、都心部とそれ以外の地域によって若干の差があります。
また、この金額はあくまでも相場であって、必ずしもこの通りの金額になるわけではありません。正確な金額は弁護士事務所にその都度確認しましょう。
それぞれの費用について、次から詳しく説明していきます。
法律相談料
法律相談料とは、弁護士に相談をすると発生する費用です。自分が弁護士に対して何を依頼したいのか、どういった事件を任せたいのかについて相談することで法律相談料が発生します。
相談料は、弁護士に依頼しなかったとしても支払う必要があります。法律相談料は、一般的に1時間に対して5000円から1万円ほどかかります。ただし最近では、無料相談を受け付けている弁護士事務所も存在します。
なお、法律相談料は依頼前に発生する料金ですので、依頼後に何か相談をした場合に相談料を支払う必要はありません。
着手金
契約を結ぶと発生する、初期費用のような料金が着手金です。依頼人の都合で途中解約したり、自分が希望する条件で離婚することができなかったとしても、着手金を支払う必要があります。
着手金は基本的に基本的に一括で支払うことになります。
協議・調停・裁判など、手続きの内容によって着手金の値段は違ってきますので、依頼する前には事前にいくら着手金がかかるかを確認しておきましょう。
報酬金
報酬金は、弁護士に依頼して事件が解決した場合に発生する費用です。報酬金は解決内容によって金額が変わってくるため「成功報酬金」とも呼ばれています。
離婚の場合では、慰謝料や財産分与などで得た金額によって報酬金の額は変わります。その他報酬金は、親権を取った場合や養育費の支払いを認めさせた場合などでも発生します。
解決内容による報酬金の額は、弁護士事務所によって違いますので、着手金と同じく事前に確認が必要です。
日当
日当は、弁護士が事務所を半日~1日以上離れて仕事をする場合にかかる費用です。例えば、遠方の家庭裁判所に行ったりするケースでは、日当が発生します。
離婚調停などでは、相手の住所地にある家庭裁判所で行われる場合があるので、場所によっては前泊や後泊の必要が出てきます。その場合、離婚調停当日だけでなく、前泊・後泊の分も日当が発生します。
実費
実費とは、相手側に送る書類の郵送代、裁判所に提出する印紙代や、裁判所へ行くまでの交通費など、実際に発生する各種費用のことです。
また、裁判になると証人尋問が行われ調書が作られますが、この調書の写しである謄本を作る際の費用も実費となります。
なお、印紙代や謄本の費用などは、弁護士に依頼せずに、自分で離婚を進める場合でも発生します。
弁護士費用が払えない場合は法テラスを活用
説明してきた通り、弁護士に離婚を依頼する場合は、多額の費用が発生します。費用が高額で、払うのが難しいという場合は、法テラスを利用することがおすすめです。
法テラスとは、日本司法支援センターという国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所です。経済的に余裕が無くても弁護士をつけられるよう、次のような特徴があります。
【法テラスの特徴】
- 無料相談
- 民事法律扶助
こうした特徴によって、費用が払えない方でも弁護士を利用することができるのです。ここからは、どのような特徴なのか詳しく解説していきます。
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離婚したいが弁護士費用が払えない場合の対処法|出る費用もあるが貰えるお金もある!
法テラスの無料相談を活用
通常、弁護士事務所に法律相談をすると、30分5,000円~10,000円前後の相談料が発生しますが、法テラスでは相談料が無料となっています。
相談に乗ってくれるのは、法テラスと契約している弁護士・司法書士の方で、1回の面接時間は約30分、1つの問題に対して3回まで相談をすることができます。
法テラスで相談対象となるのは、離婚問題などの民事、家事または行政に関する問題についてのみで、刑事事件は対象外となります。
法テラスの民事法律扶助を活用
民事法律扶助とは、経済的に余裕がない方が法的トラブルにあった時に弁護士・司法書士の費用の立替えを行う制度です。
弁護士を雇う費用や、司法書士に書類を作成してもらう費用が支払えない場合、その費用を法テラスの民事法律扶助という形で立て替えてもらうことができます。
立て替えた費用の返済は、援助開始の決定後から無利息で月々の分割払いで行われます。事件進行中は、毎月5,000円もしくは毎月10,000円ずつ返済していき、事件が終わると3年以内に完済できるように、月々の返済金額が調整されます。
ただし、生活保護を受けているなど特殊な事情がある場合は、猶予や免除が行われることがあります。また、離婚などで慰謝料などを得た場合は、そこから一括で支払うことになります。
法テラスと一般弁護士相場との比較
法テラスの弁護士に依頼する場合と一般弁護士に依頼する場合では、着手金・報酬金の金額に大きな差があります。法テラスと一般弁護士の費用の相場は、それぞれ下記になります。
法テラスに契約している弁護士と、一般弁護士に頼む場合では、依頼金額にかなりの開きがあります。
表で確認する限りでも、離婚協議で約10万円の差がありますが、パートナーから慰謝料を得た場合、報酬金が加算されます。これを財産給付というのですが、法テラスと一般の弁護士の場合では、給付額から加算する割合が大きく異なり、法テラスの方が割合が少なくなります。
また、法テラスは財産給付の10%が報酬金の標準金である84,000円より大きい場合、それを基本額は支払わなくても良いシステムになっています。
そのため法テラスは、財産給付がある場合でも、一般弁護士と比べてかなり費用を抑えることができるといえます。
法テラス利用には条件がある
一般弁護士に依頼する際と比べて、少ない費用で弁護士が利用できるようになる法テラスですが、誰でも利用できるわけではなく、収入や資産が一定以下の方しか利用できないという利用条件があります。
- 無料相談
- 民事法律扶助
それぞれの条件について、自分1人で依頼したと仮定して、どれぐらいの収入まで利用できるのかを紹介します。
まず無料相談ですが、手取り月収が182,000円以下に加え、家賃や住宅ローンの負担分として41,000円以下、合計223,000円までの収入であれば利用できます。
東京や大阪のような大都市の場合は、手取り月収が200,200円以下、家賃や住宅ローンの負担分として53,000円以下、合計253,200円までの収入であれば利用できます。
民事法律扶助を利用するためには、上記の条件を満たしてることに加えて現金・預貯金額が180万円以下であることが条件です。
弁護士費用を安く抑えるコツ
収入・月収が条件より多く、法テラスが利用できないという方は、一般の弁護士を利用する必要があります。法テラスを使わずに、少しでも安く抑えたいというのであれば、次の3つのポイントを抑えておくことをおすすめします。
- 無料相談の活用
- 費用の安い弁護士事務所を探す
- 自宅に近い弁護士事務所を探す
次からそれぞれのポイントについて詳しく紹介します。
無料相談の活用
人間には相性がありますが、それは依頼人と弁護士でも同じです。
依頼前に相談をすることで、弁護士との相性を確認することができます。相性が良い弁護士であれば、しっかりとこちらの要望をくみ取って行動してくれます。
そのため依頼前の相談は複数の弁護士行い、自分にとって相性の良い人を見つける必要があります。
しかし、依頼前に何度も相談すると、相談費用だけでも高額になってしまいます。本来であれば依頼前の相談には費用が発生しますが、最近では初回無料といった形で無料相談を行っている場合も多いです。
そこで、費用を抑えたい場合は、無料相談を活用しながら相性の良い弁護士を探しましょう。
費用の安い弁護士事務所を探す
弁護士費用は一律ではなく、弁護士によってさまざまです。同じ離婚事件でも安くしている弁護士もいれば高く設定している弁護士もいます。
弁護士費用は安いと手腕が悪い・高いと手腕が良い、というものではありません。値段と腕は切り離して考えましょう。
また、注意したいのは、依頼費用が安いからといって相性を無視して依頼をしないようにすることです。
離婚問題は、依頼人と弁護士が二人三脚で取り組むものですから、相性が悪いと望んだ結果にならなかったり、トラブルにつながる可能性が高くなってしまいます。
自宅近くの弁護士事務所を探す
離婚問題では、弁護士事務所へ行くのは1度や2度ではありません。そのため、依頼する弁護士事務所が遠ければ、相談に行くたびに交通費がかかってしまいます。
結果、依頼費用が安い弁護士事務所を選んでいるのに、離婚費用が高額になる可能性があります。弁護士事務所は、自宅から近く、通いやすいところを選びましょう。
また、弁護士事務所が家庭裁判所と遠い場合、弁護士の交通費や宿泊費が発生します。弁護士事務所と裁判所の距離にも注意して、できる限り交通費などの実費が高額にならない事務所を選びましょう。
まとめ
高額である弁護士費用ですが、お金があまりないという場合でも、弁護士を雇う手段はあります。収入が無い専業主婦の方などでも、法テラスなどを利用すれば手持ちが無くても雇うことができますし、立替えてもらった費用も返済しやすくなっています。
また、一般の弁護士に依頼する場合でも、ポイントを抑えれば費用を安くすることは可能です。費用のことも頭に入れながら弁護士を比較検討し、自分に最適な弁護士を選ぶようにしましょう。
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