日本の離婚率はどのくらい?離婚の実態と原因について解説
日本では「3組に1組の夫婦が離婚している」と言われていますが本当にそうでしょうか。
離婚を考えている方のなかには、実際の離婚率や離婚の理由を知りたいと思う方も少なくありません。
この記事では、年齢や結婚期間、都道府県、子供の有無などいろいろな視点で離婚率について解説します。
離婚をお考えの方、本当の離婚率について知りたいという方は最後までお読みください。
日本の離婚率
厚生労働省の人口動態統計によると、令和3年の離婚件数は18 万 4,384組、同年の婚姻件数は 50 万 1,138 組です。
婚姻件数と離婚件数を単純比較すると、およそ3組に1組の夫婦が離婚しているように見えます。
しかし、令和3年中に離婚した夫婦の結婚年はさまざまです。そのため、この数字で離婚した割合を語ることはできません。
一方、統計上で用いられている離婚率は人口1,000人あたりの離婚件数になります。
厚生労働省の報告によると、令和3年の日本の離婚率は1.50になります。これは人口1,000人あたり1.50組が離婚しているということになり、1.5%という意味ではありません。
参考:厚生労働省「令和3年(2021) 人口動態統計(確定数)の概況( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/dl/15_all.pdf)」※1
年齢別の離婚率
令和2年の離婚時の年齢別の離婚件数を見ると、夫の年齢は35~39歳が21,586件と最も多く、次いで40~44歳、20,594件、30~34歳で20,526件という結果でした。
一方、妻の年齢は30~34歳が23,312件で最も多く、35~39歳が21,902件、25~29歳が20,216件と続きます。
参考:e-Stat「別居時の年齢(5歳階級)別にみた夫-妻・年次別離婚件数・離婚率(人口千対)(各届出年に別居し届け出たもの)( https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411865)」※2
婚姻期間別の離婚率
令和2年の離婚率を婚姻期間別に見ると、5年未満が最も多いという結果でした。
令和2年の平均初婚年齢は夫が31歳、妻が29.4歳ですので、5年未満で離婚したと仮定すると、夫が35~39歳、妻が30~34歳で離婚する夫婦が多いことも頷けます。
昭和25年以降、離婚率が最も高い婚姻期間は「5年未満」ですが、年々低下傾向にあります。
一方、婚姻期間が「20年以上」の離婚率が昭和25年以降上昇傾向にあります。
参考:厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況(6)同居期間別にみた離婚の年次推移(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon22/dl/suii.pdf)」※3
参考:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況 結果の概要(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/kekka.pdf)」※4
都道府県別の離婚率
令和3(2021)年の都道府県別の離婚率は高い順に下記となります。
都道府県 | 離婚率(人口対千) |
---|---|
沖 縄 | 2.20 |
大 阪 | 1.70 |
福 岡 | 1.70 |
宮 崎 | 1.69 |
北 海 道 | 1.68 |
一方、離婚率の低い都道府県は低い順に下記となります。
都道府県 | 離婚率(人口対千) |
---|---|
福 井 | 1.36 |
岐 阜 | 1.35 |
長 野 | 1.33 |
島 根 | 1.32 |
石 川 | 1.24 |
参考:厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況 (https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/index.html)」※5
離婚率の多い県、少ない県の特徴
離婚率の高い都道府県である北海道や沖縄、大阪などに人口や気候・風土などの共通項は見られません。
厚生労働省の調査によると、令和元年の都道府県別にみた「結婚期間が妊娠期間より短い出生」の「嫡出第1子出生」に占める割合(以降、授かり婚率と呼ぶ)は沖縄が第1位、宮崎県が4位といずれも上位でした。
一概には言えませんが、子供を授かり慌てて結婚したものの、夫婦関係を築くことができずに離婚にいたる、といったこともあるかもしれません。
北海道は開拓によって開かれました。開拓民は厳しい寒さのなか賢明に働きながら生きる必要があったため、北海道民は男女ともに独立心が強いとも言われています。
また、北海道の結婚式は会費制が主流で、慣習に囚われにくい傾向もあります。独立心が強く、慣習に囚われない自由な生き方を望み、離婚を選択しやすいのかもしれません。
参考:厚生労働省「令和3年度「出生に関する統計」の概況 人口動態統計特殊報告(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo07/dl/gaikyou.pdf)」 ※6
一方、離婚率が低い都道府県は東北・北陸地方に偏っています。
東北・北陸地方は豪雪地帯かつ、3世帯同居率が高い地域です。
厳しい冬の環境を乗り越えるには家族が多いほうが都合が良いこと、親と同居していることで離婚のハードルが上がるなどから離婚率が低いのかもしれません。
参考:厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査(平成28年)の結果から グラフでみる世帯の状況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28.pdf)」※7
子供有無の離婚率
厚生労働省の調査によると、未成年の子供の有無による離婚件数は以下となります。
総数(件) | 子供なし(件) | 子供あり(件) | |
---|---|---|---|
2020年 | 193,253 | 81,918(42.4%) | 111,335(57.6%) |
2019年 | 208,496 | 89,832(43.1%) | 118,664(56.9%) |
2018年 | 208,333 | 87,836(42.2%) | 120,497(57.8%) |
2017年 | 212,296 | 88,878(41.9%) | 123,418(58.1%) |
2016年 | 216,856 | 90,873(41.9%) | 125,983(58.1%) |
()内の数字は総数に対する割合です。 いずれの年も子供ありの離婚率が子供なしの離婚率より高いことがわかります。
「子供はいないほうが離婚しやすい」という話を耳にしたこともあるかもしれませんが、実際は子供がいる夫婦の離婚率のほうが高いという結果でした。
子供がいないほうが離婚の手続きは簡単ですが、子供を持つことで夫婦の価値観の違いに気づいたり、相手の欠点が目立つようになったりするのかもしれません。
なお、結婚持続期間15~19年の夫婦のうち、2021年時点の子供なしの夫婦の割合は1割未満です。
少子化が社会問題化していますが、子供ありの夫婦と比べて子供なし夫婦の絶対数が圧倒的に少ないため、子供がいたほうが離婚しやすい・しにくいとは一概には言えません。
参考:e-Stat「年次別にみた夫妻が親権を行う子の数別離婚件数及び百分率・親が離婚した未成年の子数及び率(未成年人口千対)(https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411867)」※8
参考:国立社会保険・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査 結果の概要(https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16gaiyo.pdf)」※9
世界の離婚率
日本と他国の離婚率を比較したデータはあるのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、令和2年(2020年)のアメリカ、韓国、フランス、スウェーデン、イギリス、シンガポール、イタリア、ドイツと日本の離婚率を比較した結果は下記となります。
国名 | 離婚率(人口対千) |
---|---|
アメリカ | 2.90 |
スウェーデン | 2.47 |
韓国 | 2.10 |
フランス | 1.93 |
シンガポール | 1.80 |
イギリス | 1.80 |
ドイツ | 1.79 |
日本 | 1.69 |
イタリア | 1.51 |
参考:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況 2人口動態総覧(率)の国際比較(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/jinkou.pdf)」※10
世界と比較して日本の離婚率は低い
調査した9か国のうち、アメリカが2.90と最も離婚率が高く、スウェーデンが2.47、韓国が2.10と続く結果となりました。
日本の離婚率は1.69ですので、今回離婚率を調査した国と比べると日本の離婚率は低いと言えます。
ただし、国によって、婚姻や離婚の考え方、制度が異なるため、この結果だけを見て離婚率が高い、低いということはできません。
離婚の原因
離婚率について解説してきました。 実際に離婚する夫婦はどのような理由で離婚をするのでしょうか。男女別に離婚理由を見てきます。
女性の離婚理由
令和2年の司法統計によると、女性の離婚理由は多い順に下記となります。
離婚理由 | |
---|---|
1位 | 性格が合わない |
2位 | 生活費を渡さない |
3位 | 精神的に虐待する |
4位 | 暴力を振るう |
5位 | 異性関係 |
6位 | その他 |
7位 | 浪費する |
8位 | 不詳 |
9位 | 家庭を捨てて省みない |
10位 | 性的不調和 |
男性の離婚理由
令和2年の司法統計によると、男性の離婚理由は多い順に下記となります。
離婚理由 | |
---|---|
1位 | 性格が合わない |
2位 | その他 |
3位 | 精神的に虐待する |
4位 | 異性関係 |
5位 | 家族親族と折り合いが悪い |
6位 | 浪費する |
7位 | 性的不調和 |
8位 | 暴力を振るう |
9位 | 同居に応じない |
10位 | 家庭を捨てて省みない |
参考:裁判所「第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/253/012253.pdf)」※11
まとめ
離婚率について解説しました。日本では3組に1組の夫婦が離婚すると言われていますが、それは離婚した夫婦の数と結婚した夫婦の数を比較しているためです。
離婚率は人口1,000人当たりの年間の離婚件数を指すため、3組に1組の夫婦が離婚しているわけではありません。
「離婚率が多いから・少ないから」ではなく、離婚を考える際は夫婦関係や家庭の状況を鑑みて、慎重に考えましょう。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
※1 厚生労働省「令和3年(2021) 人口動態統計(確定数)の概況」
※2 e-Stat「別居時の年齢(5歳階級)別にみた夫-妻・年次別離婚件数・離婚率(人口千対)(各届出年に別居し届け出たもの)」
※3 厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況(6)同居期間別にみた離婚の年次推移」
※4 厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況 結果の概要」
※5 厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況」
※6 厚生労働省「令和3年度「出生に関する統計」の概況 人口動態統計特殊報告」
※7 厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査(平成28年)の結果から グラフでみる世帯の状況」
※8 e-Stat「年次別にみた夫妻が親権を行う子の数別離婚件数及び百分率・親が離婚した未成年の子数及び率(未成年人口千対)」
※9 国立社会保険・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査 結果の概要」
※10 厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況 2人口動態総覧(率)の国際比較」
※11 裁判所「第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別 」
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