離婚の切り出し方|ケース別のタイミングと注意点
離婚したいと思っても、いざ切り出すとなるとどうすれば良いかわからないと悩む方も多いでしょう。
離婚を切り出したら円満に解決したいものですが、切り出し方によっては相手の感情を逆撫でしたり、話し合いが拗れてしまったりすることもあります。
この記事では、ケース別の離婚の切り出し方についてご紹介します。切り出すタイミングや離婚を切り出す際の注意点についても解説しています。
離婚したい、円満に離婚を進めたいとお考えの方は最後までお読みください。
- 目次
離婚の切り出し方【ケース別】
離婚の切り出し方をケース別にご紹介します。
配偶者に不貞行為がある場合
配偶者に浮気や不倫がある場合、証拠を示しながら離婚を切り出すことで話し合いがスムーズに進むことが多いです。
不倫や浮気を理由に離婚する場合は不貞行為(配偶者以外の者と肉体関係を持つこと)があったことを立証する証拠が必要です。
相手が言い逃れできないよう、事前に十分に証拠を集めておくことが重要です。
配偶者からDV・モラハラ行為を受けている場合
DVやモラハラを受けている場合は身の安全を確保することが最優先です。離婚を切り出す前に安全な場所に避難し、身を守りましょう。
離婚を切り出す際も、2人だけで話し合うと相手方の暴力や暴言がひどくなる可能性があります。身の安全を確保したうえで、弁護士を通じて離婚の意思を伝えるほうが良いでしょう。
性格の不一致を理由に離婚する場合
性格の不一致は民法に定める法定離婚事由に該当しません。そのため、性格の不一致を理由に離婚したい場合、話し合いまたは調停で離婚を成立させる必要があります。
感情的になってしまうと話がこじれる可能性があります。離婚を成立させるためにもまずは冷静になり、相手の言い分にも耳を傾けながら話し合うようにしましょう。
自分に好きな人がいる場合
ほかに好きな人ができた場合、「正直に相手に伝えたほうが良いのでないか」と考える人もいます。
しかし、正直に自分の気持ちを伝えることで、相手の感情を逆撫でしたり、泥沼化したりすることもあるため、相手に伝えるのは避けたほうが無難です。
直接離婚を切り出す方法
離婚を切り出す際にどのような文言を使うのかは個々の状況によって異なります。しかし、「どのように伝えれば良いのかわからない」という方もいるでしょう。
ここでは、離婚を切り出す際の例文と伝え方をご紹介します。
口頭で伝える場合
夫婦がともに冷静に話し合える状態であれば、口頭で切り出すのも一つの選択肢です。
このとき、一方的に話すのではなく、相手の意見にも耳を傾けながら、あくまで「離婚を提案する」というスタンスで切り出しましょう。
「いつも家族のために働いてくれて、本当にありがとう。・・・あなたも薄々感じていたと思うけど、ここ数年、私たちは口を開けば喧嘩ばかりで普通の会話ができていないよね。このまま一緒にいてもお互いのためにならないし、子供にもよくないと思う。お互いの将来のためにも、離婚か別居を考えてもらえないかな」
なお、不倫や金銭トラブルなど、離婚理由が明確であれば離婚も切り出しやすいですが、性格の不一致や価値観の違いといった理由の場合、自分の思いを上手く伝えられないこともあります。
離婚を切り出す際は事前に紙を書き出しておき、相手方が理解しやすくなるようにまとめておきましょう。
メール・LINE・手紙
口頭でうまく離婚を切り出せる自信がないという場合は手紙やLINE、メールなどで伝えるのも良いでしょう。面と向かって話すより、自分の気持ちを整理しながら伝えられますし、相手方も冷静に受け取ることができます。
ただし、文字だけで伝えることになるため、文面によっては相手にあなたの真意が伝わらないことがあります。
また、「話したいことがある」といった曖昧な表現では、相手方が勘ぐったり、不安になったりしてしまう恐れがあります。
自分の気持ちだけでなく、相手方の意見も尊重したいという意思を盛り込むことで、相手方も受け入れやすくなります。
「突然連絡してごめんなさい。私たちの将来について大切な話があります。面と向かっては言える自信がないので、手紙(またはLINEやメール)で伝えさせていただきます。あなたの浮気を知ってから、私は2人の将来についてずっと考えてきました。でも、どうしても以前のようにあなたのことを信頼することができず、苦しく感じています。お互いの将来のためにも別々の道を歩むほうが良いと考えています。あなたの意見も聞きたいので、返信を待っています」
離婚を切り出すタイミングとは
離婚は子供や家族の状況や環境変化なども考えて切り出す必要があります。
子供の年齢
子供がいる場合、子供の年齢によって離婚を切り出すタイミングは異なります。
子供が幼い場合
子供が幼い場合、子供の学校が変わるタイミングがおすすめです。例えば小学校から中学校、中学校から高校に進学するタイミングであれば、苗字が変わっても目立ちにくいと言えます。
また、学校が変わるタイミングであれば、気持ちの切り替えもしやすく、新しい環境になじみやすいと言えます。
子供が受験生の場合
子供が受験生の場合、環境変化によって受験勉強に集中できなくなる恐れがあります。DVなど 一刻も早く離れたほうが良い場合を除き、子供が成人するのを待ってから離婚するほうが良いでしょう。
配偶者の退職・転職
退職や転職など、環境やライフスタイルが変わるタイミングは離婚を切り出しやすいと言えます。
離婚を切り出せば相手方が驚くのは当然ですが、人生の転機として冷静に受け止めてもらえる可能性もあります。実際、夫の定年退職をきっかけに離婚する夫婦もいます。
なお、配偶者が離婚を拒むことが想定される場合、定年退職後ではなく、退職前に離婚を切り出すほうが良いでしょう。
離婚を拒まれて別居することになった場合、配偶者に婚姻費用を請求できます。婚姻費用の金額は支払い義務者と権利者の収入によって変わるため、定年退職後だと婚姻費用が低額になる恐れがあります。
相手の性格にもよりますが、定年退職時に離婚を切り出すと、定年後に1人で暮らすことに不安を感じ、離婚に応じないケースもあります。
配偶者が離婚に応じそうもないと思ったら定年退職後ではなく、定年退職前に離婚を切り出すことが重要です。
離婚準備が整ったとき
「離婚後の生活の目途が立った」「冷静に切り出せる精神状態である」など、離婚準備が整ったときも離婚を切り出すタイミングとして適しています。
どのような場面であっても、離婚を切り出された配偶者は驚き、取り乱したり、反発したりする可能性があります。
配偶者が離婚を拒んできたときに情に流されてしまえば、離婚は進みません。配偶者がどんな反応をしても冷静に対応できる精神状態であることは重要です。
離婚を切り出すタイミングは相手方の状況も重要です。相手が仕事から疲れて帰ってきたときや、ほかに悩み事があるときに離婚を切り出せば、感情的になる可能性があります。
休前日や休日など、相手方がゆっくりと考えられるタイミングを選びましょう。
離婚を切り出す際に伝えること
離婚を切り出す際は必要な項目だけを冷静に伝えます。伝えるべき項目は以下の3つです。
- 離婚理由
- 離婚後の生活
- 修復の可能性はないこと
離婚理由
互いに離婚を意識しているような状況でない限り、離婚理由を相手に伝えなければ話が進みません。まずは離婚理由を丁寧に伝えましょう。
ただし、相手方が離婚を拒んでいるときはいくら離婚理由を伝えても受け入れてもらえない恐れがあります。離婚理由を伝える際は以下のポイントを押さえて伝えましょう。
- 離婚理由は伝えるだけ(議論をしない)
- 具体的なエピソードも踏まえて伝える
離婚後の生活
離婚後の生活の算段がついていることも伝えましょう。離婚後の生活の目途が立っていなければ、離婚したい気持ちが本気だと受け取ってもらえない恐れがあります。
特に子供がいる場合、離婚を切り出された側は子供のことが気になるはずです。あなたが子供を連れて離婚する場合、子供のことも含めて生活できることも伝えましょう。
一方、相手方が離婚後に経済的に困窮する恐れがある場合、相手方が離婚後の生活に不安を抱かないように良い条件を提示することも重要です。
修復の可能性はないこと
離婚を切り出された側は「今後は頑張るから」「浪費癖を直すから」などと言って関係修復を求めてくることがあります。
あなたのなかで修復する気持ちがないのであれば、修復の可能性がないこと、離婚の意思が固いことをしっかりと伝えましょう。
以下のことを伝えることで、離婚の意思が固いことが伝わりやすくなるでしょう。
- 考えぬいた結果であること
- 相手が変わっても過去は消せず離婚理由は消えないこと
- 離婚後の生活の算段がついていること
離婚を切り出すときの注意点
離婚を切り出す際は以下の点に注意しましょう。
感情的にならない
離婚を切り出された側はショックを受け、正常な判断ができないこともあります。逆上させないためにも感情的にならずに冷静に話をしましょう。
相手を非難しすぎない
離婚理由には少なからず相手への非難が含まれます。そのため、どうしても「悪口」のようになってしまうことがあります。
このとき、相手に対する悪口が続けば「自分だけが悪者にされるのは納得できない」と感じ、離婚を拒んだり、離婚協議が長期化したりする恐れがあります。
離婚理由を伝える際は、相手ではなく自分を主語にして伝え、相手を責めるような言い方を和らげるようにしましょう。
例:相手方の浮気が理由の場合
「あなたが浮気したのが嫌だ」⇒「私はあなたが浮気を繰り返すことがどうしても受け入れられなかった」
感謝の気持ちも伝える
非難されると人間は言い返したくなるものですが、感謝の気持ちを伝えれば何も言えなくなるものです。
離婚したい相手であっても「毎日家族を養うために働いてくれた」など、感謝すべき点がどこかにあるはずです。
離婚協議を少しでも穏やかに進めるためにも、感謝の気持ちを伝えましょう。
密室を避ける
自宅などの密室で2人だけで離婚の話し合いをするのは危険です。もし相手が逆行して暴力行為があったとき、周りに助けを求めることができません。
また、状況によってはどちらが加害者か被害者がわからなくなることもあります。
離婚を切り出す側も感情が高ぶり、冷静に話すことが難しくなることもあります。離婚を切り出す際は、適度に夫婦の距離を保つためにも家のなかではなく家の外を選び、密室を避けましょう。
カフェやレストランなどのボックス席なら、周囲の目が気になりにくく、おすすめです。
離婚を切り出す前にすべきこと
離婚を切り出す際は事前に以下の準備をしておきましょう。
- 不倫やDVなどの証拠を集めておく
- 離婚後の生活設計を立てておく
- 気持ちを整理しておく
- 相手の反応をシミュレーションしておく
不倫やDV、モラハラなどを理由に離婚する場合は離婚理由を立証できる証拠を集めておきましょう。
離婚を切り出すと相手が証拠を隠す恐れがあります。裁判に進むことも想定し、法的に有効な証拠を十分に集めておきましょう。
離婚後の生活設計も非常に重要です。離婚後にいくらかかるのかなど、子供を連れて離婚する場合は子供の分も含めて具体的に算出しましょう。
すでに働いている場合は自分1人で十分な生活費を稼げるのか、働いていない場合は生活費を賄えるだけの仕事に就いておきましょう。
また、行政によるひとり親向けの支援も調べておくと良いでしょう。
離婚を切り出す際は毅然とした態度で冷静に対応することが大切です。また、離婚の意思が固いことを示すためにも、自分の気持ちを紙に書き出し、整理しておきましょう。
気持ちを書き出す際は以下の点に沿って自問自答しながら書き出すと良いでしょう。
- 離婚理由は事実か
- 夫婦関係に改善の余地はないか
- 離婚以外の解決方法はないか
また、離婚を切り出したあとの相手の反応もシミュレーションしておきましょう。特に手紙やメール、LINEで伝えた場合、相手からの返事がないこともあります。
相手から返事がなければ直接話し合う必要が出てきますが、相手方と連絡が取れない場合は直接話し合うことが難しいケースもあります。
このような場合、弁護士に依頼するなどの対応が必要になる可能性があります。
離婚の意思を伝えたあとの対応
離婚の意思を伝えたあと、「少し考えさせてほしい」と言ったまま、うやむやにされることもあります。このような場合、離婚協議を進める方法として以下のようなものがあります。
返事に期限を設ける
「今は仕事が忙しいので難しい」「少し考えさせてほしい」と言われたときは、相手を責めるのではなく、一旦理解を示しましょう。
ただ、いたずらに時間が過ぎていきそうな場合は返事の期限を設けると良いでしょう。
期限を設けただけだと相手方が動かないこともあります。そのため、期限を過ぎても返事がなかった場合の対応についても伝えると良いでしょう。
このとき、下記のように具体的に書くことが大切です。
- 〇〇までに返事がなければ家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
- 〇〇までに返事がなければ家を出る
もし、期限内に返事がなかった場合は伝えたとおりに行動を起こすことになります。できそうもないことを書くことはやめましょう。
弁護士を入れて話し合う
相手方から返事がない場合や当事者だけだと話が前に進まないという場合、弁護士を通して話し合いを進めることも手段の1つです。
弁護士が間に入ることで、相手方が話し合いに応じる可能性がありますし、あなたの離婚の意思が強いことを示すことにもつながります。
まとめ
離婚の切り出し方について解説しました。離婚を切り出す際は事前にしっかりと準備を行いましょう。また、個々の状況に適したタイミングを選ぶことも大切です。
離婚の切り出し方に悩んだら弁護士に相談し、アドバイスをもらうと良いでしょう。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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