面会交流の第三者機関とは?利用したほうが良いケースと支援内容
子供がいる夫婦が離婚する際、離婚後の面会交流について取り決めることが多いです。
面会交流は子供の福祉を目的としたものですが、様々な事情で「子供を会わせたくない」「離婚後も元配偶者と連絡を取るのは嫌」など、面会交流を消極的に考える方も少なくありません。
このような場合、面会交流の第三者機関の利用を検討することも手段の一つです。
この記事では、面会交流の第三者機関とはどのようなものか、面会交流の第三者機関の費用や支援内容、面会交流の第三者機関を利用する際の注意点について解説します。
- 目次
面会交流で起きやすい問題
面会交流は子供の健やかな成長のために重要です。
面会交流を行うためには、両親が話し合い、協力し合う必要があります。しかし、夫婦の関係性によっては、面会交流の取り決めや実施ができないケースもあります。
なお、面会交流の取り決めでは下記の項目を決めることになります。
- 面会交流の頻度・場所
- 面会交流の方法(直接面会、オンライン面会など)
- 面会交流の連絡方法
- 子供の受け渡し方法
- 宿泊の可否
- 行事への参加の可否
- プレゼントや写真の受け渡しの可否
- 面会交流にかかる費用負担について
- 子供の成長に応じて面会交流の内容変更の再協議をするかどうか
- 第三者機関・支援団体等の利用 など
面会交流は取り決め時だけでなく、面会交流実施時も元夫婦で連絡を取り合う必要があります。
そのため、離婚・別居にいたった理由や元夫婦の状況によっては連絡のたびに喧嘩になり、子供に悪影響をおよぼす恐れがあります。
面会交流における第三者機関とは
面会交流の取り決めや実施について、両親が協力し合えない場合、面会交流の第三者機関の利用を検討すると良いでしょう。
面会交流の第三者機関とは、両親の間に入り、面会交流のサポートを行う機関です。自治体が主体となるものとNPO法人など民間団体が主体となるものの2種類があります。
自治体
都道府県や市区町村といった自治体のなかには面会交流支援を実施しているところがあります。自治体が運営する第三者機関には以下のようなものがあります。
- 東京都:東京都ひとり親家庭支援センターはあと(https://haat.or.jp/)※1
- 千葉県:千葉県母子寡婦福祉連合会(https://chiboren.com/)※2
- 兵庫県:明石市政策局市民相談室親子交流(面会交流)コーディネート事業(https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/soudan_shitsu/kodomo-kyoiku/youikushien/menkaikouryu_support.html)※3
- 熊本県:熊本市母子家庭等就業・自立支援センター(https://shiboshi-kumamoto.com/)※4
自治体のなかには、民間団体に委託する形で面会交流支援を実施しているケースもありますが、明石市では独自の面会交流支援を実施していますので、ご紹介します。
- 利用条件:明石市在住の中学3年生までの親子
- 支援内容:面会交流日程の連絡調整・子供の引渡し・プレイルームでの付き添い
自治体が実施する面会交流支援では、所得制限があるケースが多いですが、明石市では所得制限がありません。
民間(NPO法人、公益社団法人、一般社団法人など)
民間団体が主体の面会交流支援団体をご紹介します。
- 公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)(https://fpic-fpic.jp/)※5
- 一般社団法人びじっと 離婚と子ども問題支援センター(https://npo-visit.net/)※6
- NPO法人ウィーズ(https://we-ed-s.com/)※7
公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)は家庭裁判所調査案のOBOGが立ち上げたもので、自治体の委託先にもなっています。
一例としてFPICの支援内容をご紹介します。なお、費用はすべて税込です。
- 事前相談(約60分) 父母それぞれ5,000円
- 付添型(長期 1年) 申込金 父母併せて1万円、利用料 父母併せて1万円(1回あたり)
- 付添型(短期 3か月)申込金 父母併せて5,000円 利用料 父母併せて1万円(1回あたり)
- 引渡型 父母併せて5,000円(1回あたり)
付添型の支援の回数や時間等、機関によって利用条件が異なります。
各支援内容の詳細については次項で後述します。
このほか、FPICでは1~2回の短期間の面会交流支援も実施しています。父母の自力での面会交流につなげることを目的としており、支援は付き添い型となります。
FPICは多く利用されているため、申込を行ってもなかなか希望の日時で調整できないというケースもあるようです。
このほか、法務省のウェブサイトに面会交流支援団体について一覧表が掲載されています。地域別に掲載されていますので、所在地から第三者機関を探すことができます。
参考:法務省「親子交流支援団体等(面会交流支援団体等)の一覧表 (https://www.moj.go.jp/content/001402576.pdf)」※8
第三者機関の面会交流のサポート内容とは
面会交流の第三者機関のサポート内容は以下の3種類にわけられます。
- 面会交流の付き添い
- 子供の受け渡し
- 連絡(日程)調整
それぞれ以下で解説します。
面会交流の付き添い
付き添い型とは、第三者機関の職員が面会交流の場に付き添い、居合わせることで、面会交流が安全安心な状況で行われるようサポートするものです。
面会場所は第三者機関の事務所内であったり、現地集合・現地解散であったり様々です。付き添う時間は1~3時間程度、費用も数万円程度と3つのなかで最も高額となります。
付き添い型を利用するメリットがあるのは以下のようなケースです。
- 父母の仲が険悪
- 相手が子供を連れ去らないか不安である
- 相手が子供に暴力をふるわないか不安である
- 取り決めた条件で相手がきちんと面会交流してくれるか不安である
- 子供が乳幼児 など
子供の受け渡し
父母が直接顔を合わせたくない場合に父母に代わって第三者機関の職員が子供の受け渡しをします。
付き添い型と異なり、職員が立ち会うのは子供の受け渡し時のみで、面会交流の場に居合わせるものではありません。
子供の受け渡し型を利用するメリットがあるのは以下のようなケースです。
- 子供と相手の面会交流に不安がないが父母の仲が険悪である
子供の受け渡し型の費用は1万円~と、付き添い型の次に高額となります。
連絡(日程)調整
連絡(日程)調整型は、第三者機関が父母の間に入って面会交流の日程や場所の調整を行うものです。
何等かの事情で父母間の連絡や日程調整ができない場合に利用することがあります。付き添い型や受け渡し型と異なり、子供の受け渡しは父母で行う必要があります。
連絡(日程)調整型の費用は3つのなかで最も安く、数千円~となります。
第三者機関利用の検討
面会交流で第三者機関の利用を検討すると良いケースは主に以下の3つとなります。
- 元配偶者と直接顔を合わせたくない
- 子供と元配偶者を1対1で会わせることに不安がある
- 面会交流の日程調整が困難なケース
それぞれ以下で解説します。
元配偶者と直接顔を合わせたくない
子供の年齢が幼い場合、子供の受け渡しの際に父母が顔を合わせる必要があります。
子供を受け渡すという性質上、本来であれば父母が直接行うことが望ましいです。
しかしながら、どうしても直接顔を会わせられない場合等には、第三者機関による受け渡し支援の利用も選択肢の一つとなります。
子供と元配偶者を1対1で会わせることに不安がある
元配偶者が子供を連れ去る恐れがある・暴力をふるわれる恐れがあるなど、元配偶者と子供が1対1で会うことに不安がある場合は、第三者機関の付き添い支援の利用が考えられます。
付き添い型であれば、第三者機関の職員も立ちあうこととなるため、連れ去り等の抑止効果が期待できます。
面会交流の日程調整が困難
元配偶者との間で直接連絡が取れない場合は、第三者機関による日程調整型支援の利用を行うことで、面会交流を円滑に行えるケースもあります。
第三者支援機関を利用する際の注意点
面会交流において第三者機関を利用する際は以下の点に注意しましょう。
- 費用
- 利用条件がある
- 支援期間
それぞれ以下で解説します。
費用
面会交流の第三者機関を利用するには費用がかかります。自治体が運営する第三者機関のサポートは無料(実費除く)です。
しかし、すべての自治体に面会交流の第三者機関が存在するわけではありません。また、自治体が運営する第三者機関の利用には所得や子供の年齢に制限があるケースがほとんどです。
自治体の第三者機関を利用できない場合、民間団体が運営する第三者機関の利用を検討せざるを得ません。
前述のとおり、民間が運営する第三者機関を利用する際は費用がかかり、サポート内容や依頼する第三者機関によって金額が異なります。
- 付き添い型 数万円〜
- 受け渡し型 1万円~
- 連絡調整型 数千円〜
面会交流の第三者機関の費用負担は父母が話し合いで決めることになりますが、面会交流は子供の福祉を目的としているため、折半するというのが一般的です。
面会交流は定期的に行うものですので、利用期間が長ければ長いほど費用も嵩みます。よく話し合い、双方が納得したうえで利用するようにしましょう。
利用条件がある
第三者機関の利用は月1回までという規定があるケースがほとんどです。月2回以上の面会を望む場合は第三者機関の利用が難しいでしょう。
また、宿泊を伴う面会交流には対応していないというのが一般的です。
支援期間
面会交流の第三者機関は、最終的には父母だけで面会交流を実施することを目標としています。そのため、サポート期間が1年までと定めていることが多いです。
サポート期間終了後は父母で協力して面会交流を続ける必要があります。
そのため、第三者機関を利用しながら、徐々に父母間での連絡や子供の受け渡しをできるようにしておくことが大切です。
なお、民間の第三者機関のなかには、父母双方の合意があれば利用を延長できる場合もあります。
第三者機関を利用した面会交流の決め方
第三者機関を利用した面会交流の決め方について順を追って解説します。
夫婦間で話し合う
離婚や別居をする際、夫婦で面会交流を実施するかどうか、実施する場合はどうのように実施するかを話し合いで決めることになります。
面会交流の頻度・場所など、冒頭で説明した事項を具体的に決めることになります。
第三者機関・支援団体の利用について話し合う際は併せて下記の項目についても決めることになります。
- 面会場所(第三者機関によっては面会場所が限定される場合があります)
- 面会の代替手段
- 第三者機関の費用負担
- 第三者機関の利用期間 など
なお、第三者機関によっては面会交流について合意した内容を書面で提出するよう求めることがあります。
話がまとまらなければ調停・審判、訴訟へ
話し合いがまとまらなければ調停などの裁判所の手続きを利用して決めることになります。
面会交流で第三者機関を利用すること自体に争いがある場合や面会交流の第三者機関の支援内容に争いがある場合も同様です。
まとめ
父母間で面会交流を実施することが難しい場合は第三者機関の利用を検討することをおすすめします。
どのような機関・支援を利用するかは夫婦で話し合って決めることになりますが、「面会させたくない」「第三者機関に付き添われたくない」などの理由で揉めることもあります。
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※1 東京都:東京都ひとり親家庭支援センターはあと
※2 千葉県:千葉県母子寡婦福祉連合会
※3 兵庫県:明石市政策局市民相談室親子交流(面会交流)コーディネート事業
※4 熊本県:熊本市母子家庭等就業・自立支援センター
※5 公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)
※6 一般社団法人びじっと 離婚と子ども問題支援センター
※7 NPO法人ウィーズ
※8 法務省「親子交流支援団体等(面会交流支援団体等)の一覧表」
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