連帯保証人のまま離婚するとどうなる?契約を解除する方法と注意点

基礎知識
連帯保証人のまま離婚するとどうなる?契約を解除する方法と注意点

配偶者の住宅ローンの連帯保証人になっている場合、そのまま離婚すると離婚後にトラブルに発展する恐れがあります。この記事では、

・連帯保証人とはどのようなものか
・連帯保証人のまま離婚するリスク
・連帯保証人から外れる方法

について解説します。

目次
  1. 連帯保証人とは
  2. 夫婦が住宅ローンを組むときの保証人との関係
    1. 単独名義
    2. 連帯債務
    3. 連帯保証
    4. ペアローン
  3. 連帯保証人の義務
  4. 連帯保証人のまま離婚するとどうなるのか
    1. 返済義務を負う
    2. 家を売却される恐れがある
  5. 連帯保証人から外れる方法
    1. 保証人の差し替え
    2. 住宅ローンの借り換え
    3. 不動産の売却
  6. 離婚時に連帯保証人を外れる方法
  7. 連帯保証人の契約解除目的で家を売却する際の注意点
  8. まとめ

連帯保証人とは

保証人は、お金を借りたり、不動産の賃貸契約を結んだりする際、契約した人(主債務者)がお金を返済できなくなったときに主債務者の代わりに返済義務を負う人のことを言います。 主

債務者の代わりに返済するという点において、保証人と連帯保証人は同じです。

しかし、連帯保証人はほかの保証人に認められている一部の権利が制限されており、主債務者と同等の責任が課せられるという点で違いがあります。

夫婦が住宅ローンを組むときの保証人との関係

夫婦が住宅ローンを組む場合、住宅ローンと保証人の関係性には下記の4つのパターンがあります。

  • 単独名義
  • 連帯債務
  • 連帯保証人
  • ペアローン

それぞれ、下記で詳しく解説します。

単独名義

単独名義とは、夫婦のどちらか一方に十分な信用力があり、金融機関が了承することによって、単独で住宅ローンを組むことを言います。

単独名義であれば、連帯保証人を立てる必要はありません。

連帯債務

連帯債務とは一つの住宅ローンの借り入れ契約に対し、債務者が複数いる状態を言います。

夫婦を連帯債務にすることで、夫婦の収入を合算した形で審査されるため、単独で住宅ローンを組むより借り入れ金額を増やせます。

なお、夫婦で連帯債務による借入をした場合、一方が主債務者、他方が連帯債務者になります。

連帯債務の場合、夫と妻いずれも住宅ローン全額の返済義務を負います。そのため、夫婦のどちらか一方が返済できなくなった場合、他方が全額返済を求められます。

債権者から返済請求を受けた場合、「先にもう一人の債務者に請求してほしい」と主張することもできません。

連帯保証

連帯保証とは、夫婦の一方が債務者となって借り入れた住宅ローンを、債務者とは別の連帯保証人が保証するものです。

債務者が住宅ローンを返済できなくなった際は連帯保証人が返済を肩代わりすることになります。

連帯債務と連帯保証の違いは債務者かどうかという点です。

連帯債務は夫婦のいずれもが債務者になるため、住宅ローン控除を受けることができ、夫婦連生型の団信に加入できる可能性もあります。

一方、連帯保証人は債務者ではないため、住宅ローン控除を受けたり、団信に加入したりすることはできません。

  • 連帯債務:夫婦いずれも債務者である。住宅ローン控除利用可。団信加入できる場合あり。
  • 連帯保証:連帯保証人は債務者でない。住宅ローン控除利用不可、団信加入不可。

ペアローン

ペアローンとは、一つの家に対して夫婦で2つのローンを組むことを言います。この場合、夫婦は互いに連帯保証人となります。

2つの住宅ローンを組むことになるため、夫婦それぞれが団信に加入でき、住宅ローン控除を利用できます。

連帯保証人の義務

連帯保証人の義務

前述のとおり、連帯保証人は主債務者と同等の責任が課せられます。

一方、他の保証人とは異なり、連帯保証人には下記の3つの権利がありません。これにより、連帯保証人は主債務者と同様の返済義務を負うことになります。

  • 催告の抗弁権
  • 検索の抗弁権
  • 分別の利益

催告の抗弁権とは、債権者(お金を貸す側)から支払いを求められた際に「まずは主債務者に催告してほしい」と請求する権利です。

連帯保証人は主債務者が払えなくなったときに初めて支払い義務が発生するものと勘違いされることもあります。

しかし、連帯法証人が債権者から返済を求められた際、「まずは主債務者に請求してほしい」と主張する権利がありません。

そのため、法的には債権者が主債務者より先に連帯保証人に返済を請求しても問題ないことになります。

検索の抗弁権とは、債権者から返済を求められた際、主債務者に十分な資産があることを立証することで支払いを断る権利になります。

連帯保証人が債権者から返済を請求された場合、「主債務者に資産があるから先に主債務者へ請求してほしい」と主張する権利がないということです。

分別の利益とは保証人が複数いる場合、保証人の数で按分した金額だけを負担することを言います。

連帯保証人は分別の利益がないため、連帯保証人が複数いた場合であっても、連帯保証人全員が全額返済を求められます。

もし、配偶者が住宅ローンを返済できない場合は自分が支払わなければならず、最悪の場合は自己破産する恐れもあります。

連帯保証人のまま離婚するとどうなるのか

連帯保証人の義務は離婚しても変わらないため、離婚すること自体は可能です。しかし、連帯保証人のまま離婚することにはリスクがあります。

返済義務を負う

離婚しても連帯保証人の義務は免れません。連帯保証人は一度契約を結べば、完済するまで効力は残るため、離婚後も返済義務を負い続けることになります。

家を売却される恐れがある

家を売却される恐れがある

住宅ローンの返済が滞り続けると、債権者により、家を競売にかけられ売り払われてしまう恐れがあります。

この場合、売却代金は住宅ローン返済に充てられるため、家に住み続けることができなくなります。

さらに、売却代金だけでは住宅ローンを完済できない場合、債権者から不足金額を請求されます。

連帯保証人から外れる方法

ここまで説明したとおり、連帯保証人のまま離婚することはリスクがあります。離婚する際は連帯保証人から外してもらうことが重要です。

連帯保証人から外れる方法は以下となります。

  • 保証人の差し替え
  • 住宅ローンの借り換え
  • 不動産の売却

それぞれ下記で解説します。

保証人の差し替え

連帯法証人の差し替えとは、文字通り、誰か別の人を連帯保証人にすることで自分が連帯保証人から外れる方法です。

銀行などの金融機関は不払いのリスクを避けるため、何の保証もないまま連帯保証人が外れることを認めてくれません。

そのため、連帯保証人から外れるためには、現在の連帯保証人と同等以上の信用力のある人を連帯保証人にする必要があります。

なお、頼める人がいない場合は土地や建物などを担保に入れることで連帯保証にする方法もあります。

ただし、物的担保や連帯保証人の差し替えによって連帯保証人から外れることができるかどうかは金融機関の判断によります。

住宅ローンの借り換え

夫が主債務者で妻が連帯保証人の場合、夫が別の金融機関で住宅ローンを組み直すことで、現在のローンは完済されます。

新たに組んだ住宅ローンで妻が連帯保証人にならなければ、現在のローンが完済した時点で連帯保証人から外れることができます。

ただし、この場合、主債務者が新たなローンの審査を通過する必要があります。

特に夫婦の収入を合算してローンを組んでいる場合、夫単独の収入では新たなローンの審査に通らない可能性があります。

不動産の売却

不動産の売却

保証人の差し替えや住宅ローンの借り換えもできず、連帯保証人から外れることができなければ、将来的に返済義務を負い続けます。

このような場合に備え、家を売却して連帯保証人の立場を解消する方法があります。しかし、自分の家を失うことになるため、主債務者が売却に応じないことも想定されます。

一方、連帯保証人がローンを返済することができない場合、家を強制的に売却することになります。

この場合、家の売却額で住宅ローンを完済できるかどうかによって売却の進め方が変わってきます。

離婚時に連帯保証人を外れる方法

ここまで説明したとおり、連帯保証人のまま離婚することはリスクが大きいため、離婚時に連帯保証人から外れておくことが重要です。

離婚時に連帯保証人から外れるためのポイントは下記の3つです。

  • 配偶者と話し合う
  • 代わりの連帯保証人を探す
  • 弁護士に相談

まずは主債務者(配偶者)と話し合い、連帯保証人をどうするのか取り決めます。

このとき、主債務者側の親族に自分と同等以上の信用力のある人がいる場合は連帯保証人になってもらうようお願いします。

連帯保証人になってもらえる人が決まらない場合は物的担保なども検討しましょう。

ただし、そもそも連帯保証人から外れることを主債務者である配偶者が了承しなければ連帯保証人から外れることはできません。

配偶者が連帯保証人から外れることに合意しない場合は弁護士に間に入ってもらうことも検討しましょう。

弁護士に依頼することで、夫婦にとってどのような手段が適切かアドバイスしてもらえますし、配偶者との交渉も代行してくれますので手続きをスムーズに進めることができます。

連帯保証人の契約解除目的で家を売却する際の注意点

連帯保証人の契約解除目的で家を売却する際の注意点

前述のとおり、連帯保証人の契約解除目的で家を売却することに主債務者(配偶者) が応じない可能性があります。

冷静に話し合い、状況によっては弁護士に依頼して話し合いを進めるなど相手の同意を得られるよう勤めましょう。

また、住宅ローンの残債が家の売却金額を上回っている場合は家を売却した金額では住宅ローンを完済できません。

このような場合、金融機関の了承を得たうえで任意売却によって家を売却することになります。

任意売却とは売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産について、一定条件のもとで金融機関の合意を得たうえで売却する方法です。

任意売却によって得られた売却代金は住宅ローンの返済に充てられます。返済しきれない部分については金融機関との協議により、返済免除や少額での返済などを行うことになります。

住宅ローンや任意売却については下記記事を参考にしてください。

関連記事≫≫
離婚したら家の住宅ローンはどうなる?家を出るタイミングや名義変更の方法を解説

まとめ

連帯保証人のまま離婚すると離婚後も返済義務を負い続けることになります。離婚の際に連帯保証にから外れておくことがベストですが、相手が応じないことも想定されます。

自分の場合はどのような方法が良いか、まずは弁護士にご相談のうえ、対応方法を探ってみましょう。

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