「離婚は言った方が負け」は本当?不利にならないための離婚戦略

基礎知識
「離婚は言った方が負け」は本当?不利にならないための離婚戦略

「離婚を自分から切り出すと不利になるのではないか」
「離婚は言った方が負けになると聞いたけど、本当なの?」

離婚を考えている方のなかには、このような不安を抱えている方もいるかもしれません。

結論から申し上げますと、離婚を切り出したからといって、法的に不利になることはありません。

では、なぜ「離婚を切り出した方が負けになる」という噂が広まっているのでしょうか。

この記事では、「離婚は言った方が負け」という噂の真相を解き明かし、「負けない」離婚を実現するための具体的な戦略を解説します。

目次
  1. 離婚を切り出すと不利?法的な真実と負けないための基礎知識
    1. 法的には離婚を言った方が不利になることはない
  2. なぜ「離婚を言った方が負け」という誤解が広まったのか
    1. 感情的な交渉になってしまう
    2. 引け目を感じてしまう
    3. 情報不足
  3. 離婚で負けない!賢い離婚を実現する具体的な戦略と準備
    1. 情報収集
    2. 証拠の収集
    3. 離婚後の生活設計
    4. 冷静な姿勢と話し合いのシミュレーションの実施
    5. 弁護士に相談する
    6. 調停や裁判も視野に入れる
  4. 離婚を切り出した方が不利にならないための注意点
    1. 相手方の同意なしで離婚届を出してはいけない
    2. 配偶者以外の人と交際してはいけない
    3. 一方的に別居してはいけない
    4. 脅迫や暴力はNG
  5. まとめ

離婚を切り出すと不利?法的な真実と負けないための基礎知識

そもそも、離婚における「負け」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。

何をもって「勝ち」「負け」となるかの明確な定義はありませんが、おそらく離婚で「負け」と感じるのは、以下のようなケースが多いと考えられます。

  • 親権を獲得できない
  • 慰謝料がもらえない・少ない
  • 財産分与や養育費で損をする
  • 精神的に追い詰められた など

自分の理想通りに離婚が進まなかった場合に「負け」と感じてしまうのかもしれません。

法的には離婚を言った方が不利になることはない

一方、離婚は法的な手続きになります。そのため、敢えて言えば法的に不利になることを「負け」と捉える方もいるかもしれません。

結論から申し上げますと、離婚を切り出したということで法的に不利になることはありません。

日本の離婚手続きは、まず夫婦が話し合いで合意を図る協議離婚の成立を目指します。

夫婦が合意したうえでの離婚ですので、協議離婚の成立において「どちらが負け」ということはありません。

また、合意が得られない、または話し合いが難しい場合は、調停、裁判へと進むことになります。

調停は家庭裁判所の手続きですが、あくまで夫婦の合意を図る手続きです。そのため、調停離婚は合意したうえでの離婚ということになります。

また、裁判は裁判所が離婚の判断をくだす手続きです。裁判で離婚が認められるためには法定離婚事由が必要です。

どちらが先に離婚を切り出したかに該当する項目は法定離婚事由にありません。

そのため、法的な意味では「離婚したいと言った方が負けになる」ということはありません。

離婚を先に切り出したから慰謝料を払わなければならない、養育費がもらえない、といったこともありません。

なぜ「離婚を言った方が負け」という誤解が広まったのか

なぜ「離婚を言った方が負け」という誤解が広まったのか

繰り返しになりますが、離婚を切り出した方が不利になることはありません。

では、なぜ「離婚を先に言った方が負け」という噂や言説が広まっているのでしょうか。

これには、下記のような交渉や心理的な側面が関係しているといえます。

  • 感情的な交渉になってしまう
  • 引け目を感じてしまう
  • 情報不足

それぞれについて下記で解説します。

感情的な交渉になってしまう

離婚を切り出した方はしっかりと考え、準備をしたうえで離婚を切り出したかもしれません。

しかし、相手方は心の準備ができていない状態であったり、寝耳に水であったりすることもあります。

そのため、ショックのあまりに感情的になり、頑なに離婚を拒んだり、話し合いが膠着したりすることがあります。

相手方にとって、離婚に応じることでメリットが得られる場合であっても、「離婚を切り出された」という事実によって感情的になり、話が拗れてしまうことがあるのです。

また、相手方の感情的な反応に対して、売り言葉に買い言葉で対応してしまい、話が拗れたり、望まない結果になってしまったりすることがあります。

引け目を感じてしまう

離婚を切り出した側が、相手方に対して引け目を感じたり、罪悪感を覚えたりすることがあります。

そのため、相手方から無理な要求をされても「受けざるを得ない」と感じたり、不利な条件で離婚に合意してしまったりすることがあります。

情報不足

離婚に関する情報を集めず、勢いで離婚を切り出すと、相手方の無理な言い分を受け入れてしまったり、不利な条件で離婚してしまったりする可能性があります。

また、情報不足により「離婚を先に切り出した方が負け」という噂を鵜呑みにしてしまい、「先に切り出したから不利になる」と思い込んでいるケースもあります。

離婚を切り出す際は、事前に情報を集め、慎重に考えたうえで、判断することが重要です。離婚を切り出す際は特に下記の情報を集めておくと良いでしょう。

  • 離婚の手続きの流れはどうなるのか
  • 親権はどのようにして決まるのか
  • 離婚に伴って支払い義務があるお金
  • 離婚に伴って受け取る権利のあるお金
  • 離婚後の生活はやっていけるのか など

離婚前に集めておくべき情報については下記記事を参考にしてください。

参考記事≫≫
賢い離婚の仕方|円満に離婚するために知っておくべきこと

離婚で負けない!賢い離婚を実現する具体的な戦略と準備

離婚で負けない!賢い離婚を実現する具体的な戦略と準備

離婚を先に切り出した方が負けないためには以下のポイントがあります。

  • 情報収集
  • 証拠の収集
  • 離婚後の生活設計
  • 冷静な姿勢と話し合いのシミュレーションの実施
  • 弁護士に相談する
  • 調停や裁判も視野に入れる

それぞれについて下記で解説します。

情報収集

離婚手続きでは離婚するかどうかに加えて、以下の項目を話し合うことになります。

  • 財産分与
  • 親権(子供がいる場合)
  • 養育費(子供がいる場合)
  • 慰謝料

それぞれの項目について、離婚を切り出す前に何を決めなければならないのか、何が争点になるのか、どの項目をどこまでなら譲歩できるかについて整理しておきましょう。

話し合う項目 整理すること
財産分与 共有財産(預貯金、不動産、有価証券、自動車など)には何があるか
・それぞれの共有財産をどのようにわけるか 相手方の財産は何で、いくらあるのか
親権 ・親権はどちらが持つのか
・親権を獲得したい場合、獲得できる見込みはあるのか
養育費 ・養育費の相場はいくらか
・養育費の希望額
慰謝料 ・慰謝料の支払い義務があるか、相場はいくらか

証拠の収集

相手方に不倫やDV、モラハラなどの離婚原因がある場合はその事実を立証できる証拠を集めておきましょう。

法的に有効となる証拠としては以下のようなものがあります。

離婚原因 証拠の例
不倫 ・不倫関係の2人がラブホテルに出入りしている写真や動画
・不貞行為を示すようなメールの文面
・2人で宿泊したことを示すレシートや写真
DV ・DVによるケガを診察した医師による診断書
・DVによるケガの写真 暴力をふるわれている最中の録音・動画
・警察や公的相談窓口への相談記録 など
モラハラ ・暴言を吐かれたときの動画・録音
・精神科や心療内科などの診断書 配偶者から送られてきたLINEやメール
・モラハラを記録した日記やメモ 公的相談窓口での相談記録 など

離婚後の生活設計

離婚後の生活設計も重要です。離婚後の生活費がどのくらい必要になるのか、具体的に計算してみましょう。

住居費、食費、教育費など、細かく見積もることで、相手に請求すべき養育費や財産分与の額を明確にできます。

また、離婚後に子供を連れて行く場合は下記のことも踏まえて考えましょう。

  • 自分ひとりの収入で子供を育てていけるか
  • 仕事と家事・育児の両立ができるのか(職場の勤務体制や頼れる親族がいるかどうかなど)

冷静な姿勢と話し合いのシミュレーションの実施

離婚を切り出す際は、できる限り冷静に、感情的にならずに話し合いを進めることを心がけましょう。

前述のとおり、離婚を切り出すことで、相手方が反発したり、感情的になったりして、話し合いが難しくなる可能性があります。

まずは冷静な話し合いの姿勢を保ち、相手の反発や感情的な言動に惑わされず、あなたが望む解決策を明確に伝えることが重要です。

感情的な反応をされた場合も、冷静かつ毅然と、あなたの意思が固いことを伝えることも重要です。

実際に相手方に切り出す前に、どのような反応が予想されるかシミュレーションをしておくと良いでしょう。

弁護士に相談する

離婚を切り出す前にできるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談することで、あなたの状況に合わせた法的なアドバイスがもらえます。

また、どれだけシミュレーションを行っても、当事者同士で話し合いを行うと感情的になってしまう傾向があります。

弁護士に依頼すれば代理人として離婚の交渉を行ってくれるため、話し合いをスムーズに進めやすくなります。

調停や裁判も視野に入れる

話し合いで合意できない場合、調停や裁判での離婚成立も視野に入れましょう。

調停は調停委員を介して話し合いを行う手続きです。当事者だけの話し合いと比べて冷静な話し合いがしやすくなります。

調停でも話がまとまらない場合は訴訟を提起し、裁判所に離婚について判断してもらうことになります。

調停や裁判で不利にならないためには、適切な手続きと法的な知識が鍵を握ります。

弁護士に依頼すれば離婚を有利に進めるためのアドバイスを受けることができますし、書類作成や法的手続きをしてもらうことができるため、安心です。

離婚を切り出した方が不利にならないための注意点

離婚を切り出した方が不利にならないための注意点

離婚を切り出した方が不利にならないために、以下の点に注意しましょう。

  • 相手方の同意なしで離婚届を出してはいけない
  • 配偶者以外の人と交際してはいけない
  • 一方的に別居してはいけない
  • 脅迫や暴力はNG

それぞれについて下記で解説します。

相手方の同意なしで離婚届を出してはいけない

まず相手に無断で離婚届を提出してはいけません。役所で受理されたとしても、相手方から裁判を提起されれば離婚が無効となる可能性が高いです。

また、無断で離婚届を作成・提出すると、刑事罰に問われる恐れがあります。

引け目を感じるから、反発を避けたいからといって、勝手に離婚届を提出してはいけません。

配偶者以外の人と交際してはいけない

配偶者以外の人と交際してはいけません。不倫をしていることが発覚すれば、相手方から慰謝料請求されたり、離婚を拒絶されたりする可能性があります。

また、裁判に進んだ場合、有責配偶者からの離婚請求は認められにくいため、不利になる可能性があります。

一方的に別居してはいけない

離婚前に別居を考えることもあるでしょう。

離婚前の別居は夫婦が話し合いで合意したうえで行うのが原則です。

話し合いができる状態にも関わらす、一方的に家を出ていくと、同居義務違反に該当する恐れがあります。

ただし、DVやモラハラがある場合は身を守るためにも直ちに別居することが重要です。

この場合、無断で家を出たからといって、不利になる可能性は低いといえます。

脅迫や暴力はNG

「離婚に合意しなければ殴るぞ」などと相手を脅したり、実際に暴力をふるったりしてはいけません。

この場合、あなたが有責配偶者となり、離婚手続きにおいて不利になる恐れがあります。また、状況によっては刑事責任に問われる恐れがあります。

まとめ

「離婚は言った方が負け」というのは単なる俗説です。

ただし、情報不足や引け目を感じてしまうといった心理的な側面により、交渉が不利になるというケースはあるでしょう。

あなたが離婚を切り出すことで「不利だ」「負けた」と感じないためには、事前準備と冷静な対応が重要です。

後悔しないためにも、離婚を切り出す前に専門家である弁護士に相談し、自分の状況に合ったアドバイスをもらい、戦略を立てましょう。

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