「好きな人ができた」で離婚できる?離婚前に考えるべきことと離婚の進め方
結婚しているにも関わらず、他の人を好きになることもあるでしょう。また、「好き」という気持ちが強くなり、配偶者と離婚してその人と一緒になりたいと思うこともあるかもしれません。
独身なら好きな人ができることは喜ばしいことであり、大恋愛のすえゴールインすることも可能です。
しかし、結婚している場合、離婚しなければ好きな人と一緒になることはできません。
この記事では、
・「好きな人ができた」という理由で離婚できるのか
・配偶者以外の異性を好きになり離婚したいと思ったときに考えること
・配偶者以外に好きな人ができたときにすべきこと
・好きな人ができたという理由で離婚する際の進め方
について解説します。
好きな人ができて離婚したいと思う理由
好きな人ができたて離婚まで考えてしまう理由には主に以下のようなものがあります。
- 配偶者への不満が溜まっていた
- 配偶者への気持ちが冷めた
- 好きな人と自由に恋愛したい・再婚したい
それぞれ下記で解説します。
配偶者への不満が溜まっていた
配偶者に対して不満が溜まると、配偶者以外の異性に気持ちが向きやすくなります。例えば以下のようなケースです。
- 自分のことを異性として見てくれない
- セックスレス
- 配偶者が不倫をしている
- 配偶者のDV・モラハラ
- 配偶者の収入が低い
- 配偶者の金遣いが荒い
- 価値観の違いがある など
また、配偶者以外の異性に気持ちが移り、「好き」という気持ちが強くなると「離婚したい」という気持ちにつながっていきます。
配偶者への気持ちが冷めた
配偶者を異性として見ることができなくなり、配偶者への気持ちが冷めてしまったことに気づくことがあります。
配偶者に恋愛感情を抱かなくなっても、信頼関係を築いており、互いを大切に思う気持ちがあれば問題ありません。
しかし、配偶者と過ごす時間を窮屈に感じたり、物足りなさを感じたりするようになると、配偶者以外の異性に気持ちが移ることがあります。
その人に恋愛感情を抱いていることを自覚すれば、配偶者への気持ちはどんどん冷めていきます。
好きな人と自由に恋愛したい・再婚したい
婚姻中は好きな人と自由に会うことはできません。また、2人で会うときは人目を気にしながら、後ろめたい気持ちで会うことになります。
普通の恋人のように自由に会いたい、恋愛をしたいという思いが強くなり、離婚したいと考えることがあるようです。
また、配偶者以外の異性と恋愛関係を続けていくうちに、「好きな人と新しい家庭を築きたい」と考えることもあります。
配偶者と婚姻中は好きな人と新しい家庭を築くことができないため、離婚を考えるようになるようです。
好きな人ができたから離婚する前に考えること
離婚は人生を変える大きな決断です。好きな人ができたからといって離婚に踏み切る前に考えることがあります。
- 好きな人ができた以外に離婚理由があるか
- 夫婦関係が破綻しているか
- 世間からの風当たりに耐えられるか
- 慰謝料を請求されたら払うことができるか
- 子供と会えなくなる可能性がある
- 子供と別居する場合の養育費の支払い
それぞれ、下記で解説します。
好きな人ができた以外に離婚理由があるか
好きな人ができた以外に離婚理由があるケースでは離婚したほうが良い場合もあります。好きな人がいるかどうかに関係なく、以下のような理由がある場合は、離婚したほうが良いと言えます。
- 自分や子供に対してDVやモラハラがある
- 配偶者に対する愛情がない
- 配偶者が不倫をしている
- 金銭感覚や価値観が合わず喧嘩が絶えない
- 配偶者が重度の精神病や依存症などの病気を抱えている
- セックスレス
夫婦関係が破綻しているか
すでに夫婦関係が冷え切っており破綻しているのであれば、離婚を考えるのは自然なことです。例えば、以下のようなケースでは、離婚を考えるのも不思議ではないでしょう。
- 会話がない
- 同じ空間にいるのが苦痛
- スキンシップが生理的に無理
- 別居中 など
一方、恋人のような恋愛感情はないにしろ、家族・パートナーとしてうまくやっているという場合、離婚は考え直したほうが良いでしょう。
世間からの風当たりに耐えられるか
婚姻中に好きな人ができて離婚すれば、世間からの風当たりが強くなったり、陰口を叩かれたりすることがあります。
世間と一口に言っても、親族や友人はこれまでの経緯や状況を知っているため、距離を置かれたり、冷ややかな視線を浴びせられたりすることもあります。
また、勤務先に知られれば、陰口を叩かれ、会社に居づらくなることもあります。
社内不倫の場合、不倫だけを理由に減給や解雇されることはありませんが、どちらか一方が異動させられたりするケースもあります。
慰謝料を請求されたら払うことができるか
不貞行為があったことを相手方が知っている場合、配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
好きな人ができたという理由で離婚を切り出す場合、慰謝料を支払わなければならないことを覚悟してしましょう。
不倫を理由に離婚する場合の慰謝料相場は50~300万円です。金額に幅がありますが、婚姻期間が長いケースや不貞関係が長いケース、子供がいるケースでは金額は高額になります。
子供と会えなくなる可能性がある
子供がいる夫婦が離婚する場合、夫婦のどちらか一方を親権者に決める必要があります。
親権者指定では離婚理由とわけて考え、「どちらの親と一緒に生活するほうが子供にとって幸せか」という観点で親権者を決めることになります。
子供をほったらかしにして好きな人と会っていると、親権を獲得できない恐れもあります。
最初は「好きな人がいればそれで良い」と思うかもしれませんが、時が立てば子供に会いたくなることもあります。
面会を求めたとしても、子供からしてみれば「家庭を壊しておいて、今更何を言っているのか」と思うでしょう。
子供と会えなくなる可能性があることも踏まえて、慎重に検討すべきでしょう。
子供と別居する場合の養育費の支払い
子供と離れて暮らす親には養育費支払い義務があります。たとえ子供と会えなくなっても、子供が経済的に自立するまでの間、養育費を支払い続けなければなりません。
また、養育費を支払ったからといって子供が面会してくれるようになるわけでもありません。
好きな人ができたときにすべきこと
好きな人ができたら、まずすべきことがあります。
- まずは冷静になる
- 好きな人ができた理由を考える
- 配偶者と向き合ってみる
- 離婚のデメリットを考える
- 自分の人生にとって一番大切なものが何かを考える
それぞれ下記で解説します。
まずは冷静になる
あなたは今、配偶者以外に好きな人がいることにより、周りが見えなくなり、冷静な判断ができなくなっています。まずは一人になり、深呼吸をして落ち着きましょう。
恋愛感情は長く続いても数年です。ラブラブな気持ちはなくなり、空気のような存在になっても、かけがえのない存在として支え合い一緒に年を重ねていくのが夫婦です。
好きな人ができて離婚し、月日が経ったときに残るのは世間の風当たりや養育費など金銭の支払いなどです。
一生添い遂げると決めて結婚した相手を捨て、新しい相手と信頼関係を築きながら一生添い遂げられるかは疑問が残ります。
好きな人ができた理由を考える
結婚しているにも関わらず、配偶者以外に好きな人ができた理由を振り返ってみましょう。
冒頭で述べたとおり、好きな人ができた理由の多くは、配偶者への不満が溜まっていた・気持ちが冷めたというものです。
今は好きな人に対して恋の炎が燃えあがっているため、良いところしか見えていないかもしれません。
しかし、時が立つにつれ、相手の悪いところも見えるようになりますし、異性として見えなくなるかもしれません。
好きな人に対する感情が本物なのか、現実から逃げるためなのか、しっかりと見極める必要があります。
配偶者と向き合ってみる
配偶者への不満が溜まっていたとき、配偶者への気持ちが冷めたとき、配偶者と向き合い、自分の気持ちを伝え、夫婦関係を改善しようとしたか今一度確認しましょう。
「何度も向き合ったが無視された、もう配偶者の顔を見るのも嫌だ」というなら、離婚も一つの手段でしょう。
しかし、配偶者のことが嫌いになったわけではない、向き合おうとしなかったという場合、離婚すると後悔する可能性が高いです。
好きな人ができたからといってすぐに離婚を考えるのではなく、まずは配偶者と向き合い、夫婦関係改善に努めましょう。
離婚のデメリットを考える
離婚すれば好きな人と結婚でき、幸せになれると考えているかもしれません。しかし、離婚する際はデメリットも踏まえて考える必要があります。
- 【離婚のデメリット】
-
- 子供と会えなくなる可能性がある
- 子供を連れて離婚する場合は子育てと仕事を両立する必要がある
- 財産分与や慰謝料、養育費の支払いがある
- 離婚の手続きが複雑
- 社会的な信用が落ちる可能性がある
- 生活水準が下がる恐れがある
現在専業主婦やパートタイマーの人は配偶者が生活費を稼いでくれていたから今の生活を維持できていたことになります。離婚すれば生活水準が下がることは必至です。
子供がいる場合、子供と会えなくなる可能性もありますし、子供を連れて離婚する場合は子育てと両立しながら生活費を稼ぐ必要があります。
あなたの収入のほうが多い場合も、養育費や財産分与の支払いが生じるため、出費が嵩みます。また、好きな人ができて離婚したことが周りに知られれば、周囲からの信用は落ちる恐れもあります。
自分の人生にとって一番大切なものが何かを考える
あなたの人生にとって一番大切なものは何でしょうか。 前述のとおり、離婚にはデメリットがあります。
子供が一番大切だという場合、離婚によって子供と会えなくなるかもしれません。また、両親の離婚によって、子供の苗字が変わり、転校や転居を余儀なくされれば、子供の精神的な負担は大きくなります。
離婚や再婚は親の問題です。
子供を連れて再婚する場合、あなたは「好きな人と一緒になれて嬉しい」と思うかもしれませんが、子供にとって本当の親と離れて知らない人と暮らすことは簡単に受け入れられるものではないでしょう。
今の生活を変えたくない、金銭的に苦労したくないという場合、あなたが配偶者の収入で生活が維持できていたのであれば、離婚によって生活水準が下がる恐れがあります。
好きなものを買ったり、外食したり、趣味を続けたりといったことができなくなるかもしれません。
社会的信用が大切だという人は、好きな人ができて配偶者と離婚したことで周りからの信頼を失ったり、評判が悪くなったりする恐れがあることを覚悟しましょう。
それでも離婚したいと思ったら
配偶者と向き合い、離婚のデメリットを知ったうえでそれでも離婚したいと思ったときの進め方を解説します。
相手が納得できる離婚理由を準備する
あなたが離婚したいと思った理由について配偶者が納得しなければ離婚に合意しないでしょう。円満に離婚を進めるためにも配偶者が納得できる離婚理由を準備することが重要です。
具体的には以下のようなものがあります。
- 以前から抱えていた不満
- 価値観や金銭感覚の違い
- 親族間トラブル など
離婚理由を伝える際は、何度も改善を試みたうえで伝えましょう。
何も行動しないまま、離婚理由だけを伝えても「これから直すから」と言われ、離婚を拒まれる恐れもあります。また、あなたの気持ちを本気だと受け取らない可能性もあります。
「何度も夫婦関係を改善しようと努力したができなかった」としたうえで、離婚理由を伝えましょう。
好きな人ができたことを敢えて告げる必要はない
好きな人ができたことを配偶者が知らないのであれば、敢えて知らせる必要はありません。わざわざ好きな人ができたことを配偶者に伝えれば離婚自体が不利になります。
また、慰謝料を請求されたり、不貞行為がなかったとしても不貞行為があったと疑われたりする可能性があります。
すでに夫婦関係が冷え切っていたとしても、あなたに好きな人ができたことを知ることで嫉妬され、離婚を拒まれる可能性もあります。
離婚したい理由が好きな人ができたということであっても、相手が知らないのであれば言わないほうが無難です。
協議離婚の成立が難しい場合は別居も視野に入れる
離婚は以下の流れで進みます。
- 協議離婚
- 離婚調停
- 離婚裁判
協議離婚とは夫婦が話し合いで合意することで成立する離婚です。話し合いがまとまらない場合、離婚調停、離婚裁判へと移ります。
なお、離婚裁判では以下の5つの法定離婚事由がなければ離婚が認められません。
- 【法定離婚事由】
-
- 配偶者に不貞行為があった
- 配偶者から悪意の遺棄があった
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない
- 配偶者が強度の精神病で、回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
法定離婚事由に該当する離婚理由がなく、話し合いで離婚がまとまりそうにないという場合は別居も視野に入れましょう。
長期間別居することで「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると判断されれば裁判で離婚が認められる可能性があります。
なお、別居のやり方を間違えると離婚の際に不利になる可能性があります。離婚を前提とした別居については以下の記事を参考にしてください。
弁護士に相談する
結婚しているのに好きな人ができたことは仕方がないことです。弁護士に相談することでどのように進めれば円満かつ有利に離婚できるかアドバイスがもらえます。
また、弁護士に依頼することで、代理人として相手方と交渉したり、法的な手続きを代行したりしてもらえるため、不利益を回避しながら有利に離婚を進めることができます。
相手方も弁護士が交渉相手となればスムーズに交渉に応じてくれる可能性があります。
まとめ
「好きな人ができた」という理由だけでは裁判では離婚が認められません。また、状況によっては慰謝料などの金銭を請求されたり、子供と会えなくなったりする可能性もあります。
好きな人ができたら離婚を考える前にまずは冷静になり、離婚のデメリットやなぜ好きな人ができたのか、自分にとって大切なものは何かなどをじっくりと考えましょう。
それでも離婚したいと思ったら離婚問題に強い弁護士に相談・依頼することが重要です。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。是非お役立てください。
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