姑が嫌いすぎて我慢できない!嫁姑問題を理由に離婚できるのか
夫はうまくやっているけれど、姑との折り合いが悪い… 嫁姑問題は昔も今もよく耳にする問題です。
姑と同居している場合はもちろんですが、同居していなくても姑に何かと気を遣いますし、姑から家庭内の問題に口を出されることもあります。
この記事では姑が嫌いという理由だけで離婚できるのかについて解説していきます。
- 目次
姑と折り合いが悪いことが原因で離婚する人もいる
2020度の司法統計によると、女性側の離婚申立て理由10位に「家族親族との不仲」がランクインしています。
嫁姑問題は昔からいわれますが、現在でも姑をはじめ夫の家族・親族との関係に悩み、離婚を考える人がいるということです。
参考:裁判所「令和2年 司法統計年報3家事編(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/253/012253.pdf)」※1
姑が嫌いで離婚を考えるきっかけ
姑を嫌いになり、離婚を考えるきっかけとしては主に以下の3つがあります。
- 姑との同居
- 夫が味方をしてくれない
- 帰省
それぞれ、以下で解説します。
姑との関係性 - 同居・過干渉・介護 -
嫁姑問題が顕著に現れるのが姑と同居しているケースでしょう。朝から晩まで姑と顔を合わせるわけですから、同居していないケースと比べてストレスも増えてしまいます。
一方、姑は同じ家に住む嫁の行動が気になってしまいます。
「どこへ行くの?」「今日のご飯は何?」などと嫁の行動にいちいち口を出し、しまいに育児の仕方や教育方針にまで意見することもあるようです。
せっかく自分の家にいるのに好きなように行動できず、姑に干渉されながら生活するのはストレスが溜まります。
もちろん、姑との同居は義務ではありません。同居を解消し、顔を合わす時間を減らせばその分ストレスは減るでしょう。
しかし、これには夫の同意が必要です。
夫が妻のつらさを理解せず、自分にとって居心地の良い実家を出るのは嫌だと別居に同意してくれなければ、同居を解消できず、妻のストレスは溜まる一方になってしまいます。
また、同居の有無に関わらず義両親の介護は避けて通れない問題です。介護問題は自分の両親であってもストレスになります。義両親であればなおさらです。
義両親の介護に夫が協力的なら良いのですが、妻に丸投げされるようだと離婚を考えてしまうのも無理はありません。
夫が味方をしてくれない
姑に対してストレスを感じても、夫が自分の味方をしてくれたり、間に入って仲を取り持ってくれたりすればまだマシです。しかし、実際はそううまくは行かないようです。
姑に言いにくいことを伝えてもらおうとしても、「俺には関係ない。巻き込まないでくれ」と嫁姑問題から逃げようとする人もいます。
妻の悩みに夫が真摯に向きあおうとしなければ信頼できなくなります。
姑の愚痴を夫が聞いてくれたとしても、夫にとって姑は自分の母親なので悪口をいわれるのは気持ちの良いものではありません。「母さんも『よかれ』と思って言っているはずだ」などと姑をかばうことさえあります。
こうなると、悪口をいっている自分が悪者のように思えたり、疎外感を感じてしまったりします。
帰省
姑と同居していなくても、年末年始やお盆は夫の実家に帰省する人が多いのではないでしょうか。
写真に関するさまざまな意識調査を行っているフォト総研によると、夫の実家への帰省を「気が重い」と感じる女性は34.2%を占める結果となりました。
これは男性の6.9%に対して約5倍の多さになります。この結果は女性のほうが義実家に帰省した際に手伝いをしたり、会話などに気を遣ったりする場面が多いことが理由と考えられます。
また、「姑や夫の家族と同じお墓に入りたくない」と考える人もいます。
もちろん、嫁いだからといって嫁ぎ先のお墓に入らなければならないわけではありません。また、最近は散骨や樹木葬といった選択肢もあります。
「姑が嫌いだけど生きているうちは何とか我慢できる。でも、死んでからも姑と同じお墓に入るのは絶対に嫌!」という理由だけで離婚を考えているのであれば、姑とは別のお墓に入る、または散骨や樹木葬を利用する、ということをまずは検討してみても良いかもしれません。
参考:フォト総研「「帰省」に関する調査アンケート(https://www.asukanet.co.jp/main/photo/enq_33.html)」※2
姑が嫌いすぎて離婚する前に確認すべきこと
姑が嫌いすぎて離婚したいと思ったとき、実際に行動に移す前に確認すべきことがあります。
姑と円満に過ごせる方法はないのか
離婚はさまざまなリスクを伴います。離婚を考える前に、姑と円満に過ごせる方法は本当にないのか考えてみましょう。
離婚の目的は離婚して幸せになることです。
「姑が嫌いすぎて一刻も早く離れたい」という気持ちはわかります。しかし、夫婦間のトラブルではなく、「姑が嫌い」という理由だけで離婚して本当に困らないか、後悔することはないかもう一度よく考えてみましょう。
特に子供がいる場合、両親の離婚は子供に大きな影響をおよぼします。姑と円満に過ごせる方法はないのか、今一度じっくりと考えてみましょう。
離婚後の住居
義両親との同居している場合、基本的には妻である自分が家を出ていくことになります。 同居していない場合であっても離婚後に住む家についてはしっかりと考えておく必要があります。
新しく家を借りる場合は審査が通るかどうか、家賃や敷金を払えるかどうかも考えましょう。
離婚後の収入や生活
離婚すれば自分の収入だけで生活をしていかなければなりません。
婚姻中は夫婦二人の収入で生活していた人が、自分ひとりの収入でやりくりする必要があります。新たに家を借りたり、家具・家電を揃えたりすれば出費もかさみます。
婚姻中は夫と家事や育児をうまく分担していたから仕事に打ち込むことができ、十分な収入が得られていたのかもしれません。離婚すれば残業や休日出勤がし辛くなり、仕事に打ち込みにくくなる可能性もあります。
離婚後の収入や働き方によって、生活水準を下げなければならないケースもあります。離婚後に自分ひとりの収入でやっていけるのか、どこまでなら生活水準を下げられるのか確認しておきましょう。
専業主婦の場合は再就職が必要
婚姻中、専業主婦だったという人はまず就職先を探すことになります。しかし、ブランクが長かったり、手に職がなかったりした場合はすぐに十分な収入が得られる仕事が見つかるとは限りません。
また、子供を連れて離婚する場合は子育てとの両立も考えて就職先を探さなければなりません。
特にここ数年はITやデジタル化が急速に進んでおり、数年ブランクがあるだけでついていけなくなる業種もあります。
仕事についていけるのか、子育てと両立できる仕事があるかなどしっかりと見極める必要があります。
子供を育てる環境問題
子供を連れて離婚する場合は離婚後の子供の養育環境についても考えておきましょう。
子供が姑や夫に懐いていたかもしれません。学校や保育園の友達と離れたくないかもしれません。離婚すれば家族構成も住む環境も大きく変わります。これは子供にとっては大きなストレスになります。
婚姻中は、自分が家を空けている間も義両親や夫が子供の面倒を見てくれていたことでしょう。しかし、離婚すれば自分ひとりで子供を育てなければなりません。
仕事に出る際は子供をひとりにしてしまうことになります。また、保育園や学童保育を利用する場合、その費用負担分まで多く稼ぐ必要があります。
離婚で生活費や教育費を稼ぐために長時間働くことになると、子供と接する時間はさらに減ってしまいます。
現在、子供と触れ合う時間が取れているのは、夫が外で働いて家族を養えるだけの給料を持ってきているからではないでしょうか。
最近は待機児童問題に力を入れている自治体も多いですが、それでも希望する保育園にすんなり入れる状況にはいたっていません。
保育園や学童の費用や入園の可否、子育て費用の確保、子育てや家事を夫や義両親に頼れなくなることだけでなく、子供の精神面への影響など、しっかりと考えましょう。
姑が嫌いという理由で離婚するためには
ここまで離婚せずに解決する方法を探ってきました。それでも「やっぱり離婚したい」と思うこともあるでしょう。
離婚では親が絡むと話が複雑になりがちです。姑が嫌いという理由で離婚するためにはどうすれば良いのか説明していきます。
夫と別れることを決断する
姑が嫌いという理由であっても離婚を争う相手は夫です。離婚を勝ち取るためにも「絶対に夫と離婚する」としっかりと決意を固めておきましょう。
姑が嫌で離婚するためには別居
姑が嫌いで離婚するには夫との別居が有効です。
なぜ姑が嫌いという理由で離婚するのに夫と別居する必要があるのでしょうか。
離婚には協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つの種類があります。
日本では離婚した夫婦の約9割が協議離婚で離婚しています。
夫婦が離婚条件について話し合い、合意にいたると協議離婚が成立します。協議離婚であれば、夫婦が合意すればどのような理由であっても離婚できます。
もし話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所に申し立て、離婚調停を行います。ただし、調停も調停委員を介して話し合いを行う方法ですので、離婚が成立するとも限りません。
調停でも離婚が成立しなかった場合は訴訟を起こし、離婚裁判を行います。裁判で離婚を認めてもらうには民法に定める以下の法定離婚事由が必要です。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
法定離婚事由に姑に関するものがありません。そのため、夫と別居し、「夫婦関係が破綻していること」を証明できれば離婚が認められやすくなります。
なお、審判離婚は、審判の告知を受けた日から2週間以内に不服の申し立てを行えば、裁判官が判断した決定(審判)の効力が失われてしまうため、あまり利用されていません。
嫁姑問題による離婚では慰謝料請求できるケースもある
嫁姑問題が起こっているにも関わらず、夫が妻に協力しないどころか、妻の人格否定をする発言をしたり、さらには暴力をふるったりする場合は、夫に対して慰謝料を請求できる場合があります。
例えば、夫が姑の味方について、嫁の人格を否定する発言を繰り返した、叩いたり殴ったりするといった暴力を振るった、などのケースが該当します。
嫁姑問題で夫に慰謝料請求ができるかどうかは証拠の有無や状況によって異なるので、弁護士に相談してみましょう。
姑が嫌いという理由だけで離婚するには弁護士に相談
ここまで説明したように、姑が嫌いという理由だけで離婚するのは難しいものです。
また、夫と別居する場合であっても、正当な理由もなく一方的に別居してしまうと「夫婦同居の義務に反した(離婚原因を作った)のは妻」として慰謝料を請求される可能性もあります。
姑が嫌いという理由だけで離婚したいと思ったら、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士なら不利にならないようにどう行動すれば良いか、法的な立場でアドバイスしてもらえます。
まとめ
姑が嫌いという理由だけで離婚できるのかについて説明しました。
姑が嫌いという理由だけで離婚するのは難しいというのが現実です。また、仮に離婚できたとしても、「姑が嫌い」という理由だけで離婚すると失うものが多すぎて後悔することがあります。
夫に協力を仰いでもまったく関知しようとせず、「離婚しかない」と思ったら離婚問題に強い弁護士に相談しましょう。
離婚問題に強い弁護士であれば、どのようにすれば離婚を有利に進められるか、慰謝料を請求できるかどうかなど、さまざまな相談に応じてくれます。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。嫁姑問題や姑が嫌いで離婚を考えたときは、ぜひご活用ください。
※1 裁判所「令和2年 司法統計年報3家事編」
※2 フォト総研「「帰省」に関する調査アンケート」
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