ギャンブル依存症の配偶者と離婚できる?進め方と注意点

その他離婚理由
ギャンブル依存症の配偶者と離婚できる?進め方と注意点

配偶者がギャンブルをやめられず、生活費や貯金にまで手をつけてしまう。

何度話し合っても改善せず、「もう離婚するしかないのではないか」と悩んでいる方は少なくありません。

一方で、「ギャンブル依存症は病気だと聞いたことがある」「本人の意思の弱さだけの問題ではないのでは」と、離婚に踏み切ることへのためらいを感じている方もいるでしょう。

結論から言うと、夫婦が合意すればギャンブル依存症が理由であっても離婚することは可能です。

ただし、相手が離婚に応じず裁判に進む場合は、法律上の要件を満たす必要があります。

また、ギャンブル依存症は意思の力だけでコントロールできる問題ではないため、離婚を考える前に知っておきたいことがあります。

この記事では、ギャンブル依存症の配偶者と離婚する方法や離婚条件、そして離婚するかどうかを決める前に自分にできることについて解説します。

目次
  1. ギャンブル依存症は浪費癖とは何が違うのか
    1. ギャンブル依存症は精神疾患の一種として認識されている
    2. 意思の力だけでは治らない特性
    3. 意思だけでは治らないからこそ離婚を考える前に知るべきこと
  2. 夫(妻)のギャンブル依存症を理由に離婚できるのか
    1. 夫婦が合意すれば離婚できる
    2. 裁判に進むと法定離婚事由が必要
  3. 離婚すべきか迷ったときの判断軸
  4. ギャンブル依存症の夫(妻)と離婚する方法
    1. 弁護士に相談する
    2. 離婚を切り出す前に証拠を確保する
    3. 借金の状況を把握しておく
    4. 離婚について話し合う
    5. 話し合いがまとまらなければ調停・裁判
  5. ギャンブル依存症を理由に離婚する際の離婚条件
    1. 親権
    2. 財産分与
    3. 慰謝料
    4. 養育費
  6. 配偶者がギャンブルで作った借金は自分にも返済義務があるのか
  7. ギャンブル依存症を理由に離婚する場合の注意点
    1. 不払いに備えて公正証書を作成する
    2. 借金が子供に相続される可能性がある
    3. 自己破産されることを想定しておく
  8. ギャンブル依存症の夫(妻)がいる場合に自分にできること
    1. ギャンブル依存症が病気であることを理解する
    2. 回復に向けた治療を促す
    3. 自助グループを活用する
    4. 配偶者の代わりにお金を管理する
    5. 借金の肩代わりをしない
    6. 自分や子供への影響を考える
  9. よくある質問
    1. Q. ギャンブル依存症であることの診断書がないと離婚できませんか?
    2. Q. 本人が治療を拒否している場合はどうすればよいですか?
    3. Q. 別居中の生活費はもらえますか?
  10. まとめ

ギャンブル依存症は浪費癖とは何が違うのか

離婚を考える前に、まず知っておいていただきたいことがあります。それは、ギャンブル依存症は単なる「浪費癖」や「意思の弱さ」とは違うという点です。

ギャンブル依存症は精神疾患の一種として認識されている

ギャンブル依存症は、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類(ICD-11)において、「嗜癖行動症群」という分類に含まれる「ギャンブル行動症」という精神疾患として位置づけられています。

頻繁に買い物をしてしまう浪費癖とは異なり、脳の報酬系の働きに関わる問題であることが指摘されています。

「意志が弱いからやめられない」のではなく、「病気だからやめたくてもやめられない」という側面がある、という理解が近年広がっています。

意思の力だけでは治らない特性

厚生労働省の資料では、DSM-5(米国精神医学会の診断基準)をもとに、ギャンブル依存症(ギャンブル障害)に見られる特徴として、次のようなものが挙げられています。

  • 耐性:同じ刺激では満足できなくなり、賭け金が高額になったりギャンブルの頻度が上がったりする
  • 離脱症状:ギャンブルの時間や回数を控えると、そわそわして気持ちが落ち着かなくなる
  • コントロール障害:減らそう、やめようとしても、うまくいかない
  • とらわれ:四六時中ギャンブルのことを考えてしまう
  • 気分修正:嫌なことがあったときの発散手段としてギャンブルをしてしまう
  • 損失の後追い:負けた分を取り戻そうとして、さらにギャンブルをしてしまう
  • うそ:ギャンブルにのめり込んでいることを、家族に悟られないよう取り繕ってしまう
  • 社会的問題:人間関係や仕事に支障が出たり、生活が苦しくなって借金をしてしまう

これらは、専門的な治療や支援なしに本人の意思だけで克服することが難しいとされています。

「怒れば直る」「約束させれば直る」というものではない、という前提を持っておくことが大切です。

参考:厚生労働省「ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633402.pdf)」※1

意思だけでは治らないからこそ離婚を考える前に知るべきこと

病気であるからといって、家族が尻拭いをする必要はありません。

生活が破綻し、心身に負担がかかっているのであれば、離婚は自分と子供を守るための正当な選択肢です。

一方で、「治療につながれば回復が期待できる病気でもある」という事実を知っておくことで、離婚するかどうかの判断や、離婚に踏み切るタイミングの整理がしやすくなります。

この記事の後半(8章)では、離婚を選ぶ場合も、しばらく様子を見る場合も、今の自分にできることを具体的に紹介します。

夫(妻)のギャンブル依存症を理由に離婚できるのか

2. 夫(妻)のギャンブル依存症を理由に離婚できるのか

そもそも、夫(妻)のギャンブル依存症を理由に離婚できるのでしょうか。

夫婦が合意すれば離婚できる

日本では離婚の多くは、夫婦の話し合いによる協議離婚で成立しています。

協議離婚では、離婚理由を問わず夫婦双方が合意し離婚届を提出すれば離婚が成立します。

したがって、ギャンブル依存症を理由に離婚したい場合も、相手が合意すれば理由の当否にかかわらず離婚できます。

裁判に進むと法定離婚事由が必要

相手が離婚に同意しない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申立て、それでもまとまらなければ離婚裁判に進むことになります。

裁判で離婚が認められるには、民法が定める法定離婚事由のいずれかに該当している必要があります。

民法第770条1項は、裁判上の離婚事由として次の4つを定めています。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

なお、令和6年の民法改正により、従来あった「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という事由は削除され、2026年4月1日から現在の4つの事由に改められています。

ギャンブル依存症そのものは、この4つに直接は含まれていません。

しかし、事情によっては「2.悪意の遺棄」や「4. その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

たとえば、収入をすべてギャンブルに費やし、正当な理由なく生活費を渡さない場合は、夫婦の扶助・協力義務を怠る「悪意の遺棄」にあたる可能性があります。

また、以下のような事情がある場合は「4. その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

  • 生活費や子供の教育費にまで手をつけ、生活が破綻している
  • 何度注意しても借金を繰り返し、家計の再建が見込めない
  • ギャンブルのために家庭を顧みず、実質的に夫婦生活が破綻している
  • 借金の返済のために配偶者や家族が働かざるを得なくなっている

裁判で認められるかどうかは、借金の金額や頻度、家計への実害の程度、これまでの話し合いの経緯などを総合的に判断されます。

「ギャンブルをしている」という事実だけでは足りず、それによって婚姻生活が実際に破綻していることを示す必要がある点に注意しましょう。

離婚すべきか迷ったときの判断軸

3. 離婚すべきか迷ったときの判断軸

ギャンブル依存症が病気であるという側面を踏まえると、離婚するかどうかは次のような視点で整理すると判断しやすくなります。

  • 本人に治療の意思があるか:専門機関への通院や自助グループへの参加など、回復に向けた行動を取れているか
  • 改善の兆しが実際にあるか:口約束だけでなく、行動として変化が見られるか
  • 生活への実害がどの程度か:生活費が確保できているか、借金が増え続けていないか
  • 自分と子供の心身への負担:話し合いのたびに疲弊していないか、子供に悪影響が及んでいないか

治療の意思がなく、生活への実害が続いている場合は、離婚を含めて距離を置くことが自分や子供を守るために必要な選択となります。

一方、本人が治療に前向きで、家計への影響もまだ限定的な場合は、しばらく治療の経過を見ながら判断する道もあります。

どちらが正しいというものではなく、ご自身の状況に合わせて判断することが大切です。

ギャンブル依存症の夫(妻)と離婚する方法

離婚を決意した場合、次のような流れで進めることになります。

弁護士に相談する

ギャンブル依存症の夫(妻)との離婚を決意したら、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

前述のとおり、ギャンブル依存症そのものは法定離婚事由にありません。

そのため、話し合いで合意に持っていけるか、また、悪意の遺棄や婚姻を継続し難い重大な事由に該当するかどうかの判断が離婚の成立を左右します。

また、ギャンブル依存症を理由とする離婚は、借金の扱いや財産分与など、お金に関する論点が複雑になりやすいです。

弁護士に相談すれば、法定離婚事由に該当する見込みや、集めるべき証拠、離婚条件の交渉方針についてアドバイスを受けられます。

離婚を切り出す前に証拠を確保する

離婚を切り出すと、相手が通帳や書類を隠したり、話し合いに応じなくなったりすることがあります。実際に切り出す前に、以下のような証拠を確保しておきましょう。

  • 消費者金融やクレジットカードの契約書・利用明細
  • 銀行口座の取引履歴(生活費の引き出し状況がわかるもの)
  • 借用書や借金の督促状
  • パチンコ店・競馬などの会員カードの利用履歴
  • ギャンブルに関するメッセージのやり取りやメモ

これらは、裁判に進んだ場合の立証や、財産分与・慰謝料の話し合いで役立ちます。

借金の状況を把握しておく

配偶者の借金の総額や借入先、自分が連帯保証人になっていないかを確認しておきましょう。

連帯保証人になっている場合、離婚後も配偶者の借金の返済義務を負い続けることになります。

自分が連帯保証人になっていることに気づかないまま離婚を進めてしまうと、離婚後に督促を受けて初めて事実を知り、対応が後手に回ってしまう可能性があります。

離婚について話し合う

証拠と借金の状況を確認したら、配偶者と離婚について話し合います。

当事者同士の話し合いでは感情的になりやすいため、伝える内容を事前に整理しておき、可能であれば弁護士に依頼し、交渉を代行してもらうと進めやすくなります。

話し合いがまとまらなければ調停・裁判

話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

調停でも合意にいたらなければ、離婚裁判を提起します。裁判では裁判官の判断で離婚の成否が決まります。

ギャンブル依存症を理由に離婚する際の離婚条件

5. ギャンブル依存症を理由に離婚する際の離婚条件

離婚の際は親権や財産分与などの離婚条件についても取り決めます。ギャンブル依存症を理由に離婚する際の離婚条件について解説します。

親権

2026年4月の民法改正により、離婚後の親権は、これまでの「単独親権」に加えて、父母双方が親権を持つ「共同親権」も選択できるようになりました。

単独親権にするか共同親権にするかは、まず父母の協議で決め、協議がまとまらない場合は家庭裁判所がこどもの利益の観点から判断します。

裁判所が共同親権と単独親権のいずれを定めるかについて、明確な基準が法律で定められているわけではありませんが、以下のような事由がある場合は単独親権となります。

  • DVや虐待がある
  • 共同親権にすることで子供の利益を害する

共同親権では、離婚した父母が協力して子供に関する重要な決定を行うことになります。

しかし、一方がギャンブル依存症である場合、子の養育に関する話し合いが難しく、子供のために迅速で合理的な意思決定を行うことが困難になる可能性があります。

そのため、共同親権ではなく単独親権が選ばれる可能性があります。

一方、親権には、子供の身の回りの世話をする「身上監護権」だけでなく、子供の財産や契約を管理する「財産管理権」も含まれます。

そのため、ギャンブル依存症や借金によって子供の財産や契約を適切に管理できない場合や、ギャンブルにのめり込むことによる育児放棄が懸念される場合は、単独親権の親権者として不適格と判断される可能性があります。

財産分与

夫婦が婚姻中に築いた共有財産は、離婚時に原則2分の1ずつ分けます(財産分与)。

この際、ギャンブルによってつくられた借金は、原則として「個人が負った借金(個人の消極財産)」として扱われ、財産分与の対象から外れます。

ただし、生活用の口座と混在しているかなど、借金と預金の関係性によっては判断が分かれるケースもあり、実際の分与額の算定は個別の事情によって変わります。

より詳しい考え方は、以下の記事で解説しています。

関連記事≫≫
借金があると財産分与はどうなる?借金のケース別に注意点を解説!
借金は離婚の財産分与でどう扱う?ケース別の分け方や進め方を解説。

慰謝料

慰謝料

ギャンブル依存症そのものを理由とした慰謝料請求は認められない可能性が高いです。

ギャンブル依存症そのものを理由に慰謝料を請求するということは病気を理由に慰謝料を請求することになります。

慰謝料は、相手の不法行為によって精神的苦痛を受けた場合に発生するものであり、病気であるという事実そのものは不法行為にはあたらないためです。

一方、以下のようなケースでは慰謝料が認められる可能性があります。

  • ギャンブルのために生活費を渡してもらえなかった
  • 借金の返済のために子供名義の預金に手をつけた
  • 「もうギャンブルはやめる」と何度も約束したにもかかわらず、そのたびに新たな借金をつくるなどしたことで家計への圧迫が継続していた

一方、家計に実害がなく、本人のこづかいの範囲でギャンブルをしていた場合などは、慰謝料請求が認められにくい傾向にあります。

養育費

養育費は、親権の有無にかかわらず、未成熟の子供に対する扶養義務にもとづいて発生するものです。

したがって、ギャンブルによる借金があっても、養育費の支払い義務そのものがなくなるわけではありません。

ただし、支払い能力がない場合、養育費の未払いが起こりやすい点には注意が必要です。この点は7章で解説します。

配偶者がギャンブルで作った借金は自分にも返済義務があるのか

配偶者が個人的にギャンブルでつくった借金について、もう一方の配偶者に返済義務が生じることは原則ありません。

これは、夫婦であっても、個人名義で負った借金は本人が返済すべきものとされているためです。

ただし、次の2つのケースでは例外的に返済義務が生じます。

  • ・ 配偶者の借金の連帯保証人になっている場合:保証人としての支払い義務は離婚後も残ります
  • ・ 日常家事債務にあたる場合:生活費や家賃など、夫婦の共同生活のために生じた債務は、民法第761条により夫婦が連帯して責任を負うとされています

ギャンブルのための借金は基本的にこの「日常家事債務」には含まれませんが、判断に迷う場合は弁護士に確認することをおすすめします。

より詳しい解説は以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事≫≫
離婚をしたら夫の借金はどうなる?借金を理由に離婚をする注意点

ギャンブル依存症を理由に離婚する場合の注意点

7. ギャンブル依存症を理由に離婚する場合の注意点

夫(妻)のギャンブル依存症を理由に離婚する場合の注意点をご紹介します。

不払いに備えて公正証書を作成する

養育費や慰謝料、財産分与について合意しても、あとから支払いが滞るケースは少なくありません。

特にギャンブル依存症のケースでは、支払いに充てるはずのお金がギャンブルに使われてしまうリスクが他のケースより高いと言えます。

合意内容は口約束や私文書ではなく、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことを強くおすすめします。

公正証書があれば、不払いが起きた際に裁判を経ずに強制執行の手続きに進むことができます。

借金が子供に相続される可能性がある

離婚後も、配偶者と子供の親子関係は続きます。そのため、元配偶者がギャンブルによる借金を抱えたまま亡くなった場合、子供がその借金を相続してしまう可能性があります。

万が一に備え、相続が発生した際は、借金の状況を確認したうえで相続放棄の手続き(相続開始を知ってから3か月以内)を検討できることを知っておきましょう。

子供が成人している場合は、あらかじめ相続放棄という選択肢があることを伝えておくと、いざというときに落ち着いて対応しやすくなります。

子供が未成年の場合は、親権者が法定代理人として相続放棄の手続きを行うことになります。

3か月の期限内に手続きをしないと、借金も含めてそのまま相続する「単純承認」とみなされる恐れがあります。

そのため、元配偶者の死亡を知ったら速やかに借金の有無や金額を調査し、早めに手続きを進めることが大切です。

また、離婚前からできる予防策として、子供名義の借金をつくらせない、子供を借金の保証人にしない、子供名義の口座やクレジットカードを配偶者が自由に使えない状態にしておくといった対応も有効です。

自己破産されることを想定しておく

借金の返済が困難になった場合、配偶者が自己破産の手続きを取る可能性があります。

自己破産をしても、養育費のような扶養義務にもとづく債務は「非免責債権」として免除されず、支払い義務が残ります。

ただし、実際に支払い能力がなければ、未払いが続いてしまうリスクは残ります。

この場合、公正証書による強制執行など、法的な回収手段をあらかじめ整えておくことが現実的な対策になります。

なお、近年、民間企業による「養育費保証サービス」が増えています。

しかし、サービスの内容によっては、弁護士でない者が報酬を得て法律事務を取り扱うことを禁じる弁護士法(第72条・第73条)との関係が問題視されており、日本弁護士連合会からも注意喚起がなされています。

利用を検討する場合は、サービス内容をよく確認したうえで、弁護士に相談してから判断することをおすすめします。

ギャンブル依存症の夫(妻)がいる場合に自分にできること

8. ギャンブル依存症の夫(妻)がいる場合に自分にできること

離婚するかどうかにかかわらず、今の自分にできることを知っておくことは、ご自身と子供の生活を守るうえで役立ちます。

ギャンブル依存症が病気であることを理解する

1章でも触れたとおり、ギャンブル依存症は意思の力だけで治せるものではないとされています。

「なぜやめられないのか」を頭ごなしに責めるのではなく、病気であるという前提を持つことで、「治療を促す」「専門機関に相談する」など、今後の対応の選択肢が見えてきます。

なお、これは配偶者の行動を許容することとは異なります。

病気だからといって、生活を犠牲にしてまで支え続ける義務が生じるわけではない、という点も同時に頭に入れておいてください。

回復に向けた治療を促す

ギャンブル依存症の治療は、精神科・心療内科や依存症を専門とする医療機関で受けることができます。

本人が治療を拒否する場合でも、まずは家族だけで精神保健福祉センターなどの公的な相談窓口に相談することが可能です。

自治体の精神保健福祉センターでは、依存症本人だけでなく家族からの相談も受け付けています。

「どう本人に治療を促せばよいかわからない」という段階でも相談してみる価値があります。

参考≫≫
依存症対策全国センター( https://www.ncasa-japan.jp/you-do/treatment/treatment-map/)」※2

自助グループを活用する

ギャンブル依存症当事者向けや家族向けの自助グループを活用するのも良いでしょう。

ギャンブル依存症の本人向けには「GA(ギャンブラーズ・アノニマス)」、家族向けには「GAM-ANONギャマノン」といった自助グループがあります。

同じ悩みを抱える人たちと経験を共有することで、孤立感が和らぎ、対応のヒントが得られることがあります。

特に家族会は、「配偶者の借金にどう向き合うべきか」といった実践的な悩みを相談できる場として役立ちます。

参考≫≫
ギャンブラーズ・アノニマス-GA日本ホームページhttp://www.gajapan.jp/jicab-ga.html ※3
ようこそ ギャマノンへhttps://www.gam-anon.jp/ ※4

配偶者の代わりにお金を管理する

家計を配偶者に任せている場合、生活費用の口座や給与振込口座の管理を自分に移すなど、お金の流れをこちらがコントロールできる状態にしておきましょう。

これは生活の破綻を防ぐ現実的な対策になります。

また、クレジットカードや消費者金融のカードを本人が新たに作れないよう、信用情報の状況を確認しておくことも一つの方法です。

借金の肩代わりをしない

配偶者がつくった借金を、その都度自分の貯金で肩代わりしてしまうと、本人が「借金をしても最終的には何とかなる」と学習してしまい、かえって依存症からの回復を遠ざけてしまうことがあります。

これをイネイブリングといいます。

心情的には難しい判断ですが、肩代わりはせず、専門家や自助グループに相談しながら、対応を考えることが大切です。

自分や子供への影響を考える

配偶者のギャンブル依存症に向き合ううちに、自分自身が疲弊し、心身に不調をきたしてしまう方も少なくありません。

また、生活の困窮や夫婦間の緊張は、子供にも影響を及ぼします。「配偶者を支えること」と「自分と子供の生活を守ること」は、常に両立できるとは限りません。

無理を続ける前に、弁護士や公的な相談窓口など、第三者に頼ることも検討してください。

よくある質問

9. よくある質問

ギャンブル依存症を理由とした離婚でよくある質問をご紹介します。

Q. ギャンブル依存症であることの診断書がないと離婚できませんか?

診断書の有無にかかわらず、夫婦が合意すれば離婚は可能です。

一方、裁判で争う場合は、たとえ診断書があっても、ギャンブル依存症であるという事実だけでは離婚は認められません。

重要なのは、生活費の使い込みや借金の累積などによって婚姻関係が実際に破綻していることを、通帳履歴や借入の記録などの証拠で示せるかどうかです。

診断書は、そうした実害の背景を補足する資料になることはあっても、それだけで離婚の理由になるわけではない点に注意しましょう。

Q. 本人が治療を拒否している場合はどうすればよいですか?

本人が治療を拒否していても、まずは家族だけで精神保健福祉センターや依存症専門の相談機関に相談することができます。

無理に本人を治療に連れて行こうとするより、家族側の対応を専門家に相談しながら整理していく方が現実的な場合もあります。

Q. 別居中の生活費はもらえますか?

婚姻関係が続いている間は、収入の少ない側が多い側に生活費(婚姻費用)を請求できます。別居後も離婚が成立するまでは婚姻費用の請求が可能になるケースが多いです。

ただし、ギャンブル依存症の配偶者の場合、請求が認められても、実際には支払われなかったり、途中で滞ったりするおそれがあります。

口約束で済ませず、調停や審判で取り決めておく、あるいは公正証書にしておけば、不払いが起きたときに給与などの差押え(強制執行)を行うことができます。

なお、婚姻費用は、配偶者が自己破産をしても免除されない債権です。具体的な進め方は、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

ギャンブル依存症を理由とする離婚は、夫婦の合意があれば可能ですが、裁判に進む場合は法定離婚事由に該当することを示す必要があります。

また、ギャンブル依存症は意思の力だけでコントロールできるものではないという特性上、離婚するかどうかの判断や、財産分与・借金の扱いなど離婚条件の整理には、他の離婚理由以上に慎重な準備が求められます。

証拠の確保や借金の状況把握、公正証書の作成など、実務的な備えを一つずつ進めながら、必要であれば専門機関や自助グループも頼りつつ、ご自身やお子様にとって最善の選択を考えていきましょう。

迷ったときは、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。

※1 厚生労働省「ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点」
※2 依存症対策全国センター
※3 ギャンブラーズ・アノニマス-GA日本ホームページ
※4 ようこそ ギャマノンへ

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