【保存版】離婚の財産分与で損しない方法とは?財産分与を徹底解説。

財産分与
離婚の財産分与で損しない方法とは?財産分与を徹底解説。【保存版】

夫婦が離婚する場合、離婚すること自体のほかにさまざまな取り決めをしなければなりません。

女性の場合は専業主婦やパートをしている方も多く、離婚後の経済的な基盤が不安定になることから、財産分与や慰謝料などを少しでも夫から多くもらいたいと思うでしょう。

しかし、財産分与についての十分な知識がないと、本来もらえるはずの財産分与がもらえないというおそれも否定できません。

そこで今回は、財産分与についての基本的な考え方や、2分の1以外の割合が定められた具体例、財産分与を有利に進める方法などを解説します。

目次
  1. 財産分与とは
  2. 財産分与の対象となる財産とは
    1. 基本的な考え方
    2. 財産分与の対象となる財産
    3. 財産分与の対象とならない財産
  3. 財産分与の割合
    1. 原則として2分の1
    2. 財産分与の寄与割合を夫4、妻6とした事例
    3. 夫名義の建物の清算割合について妻4分の3、夫4分の1とした事例
    4. 夫の経営する医療法人の出資持分について夫6、妻4とした事例
  4. 財産分与を行う具体的方法
    1. 現物を分割する
    2. 売却して売却益を分割する
    3. 一方が財産を取得し、他方に寄与の割合に応じて金銭を支払う
    4. 住宅ローンが残っている場合
  5. 財産分与を有利に進める方法
    1. 財産を正確に把握する
    2. 2分の1ルールを修正する事情を主張する
  6. 財産分与に税金はかかる?
    1. 原則として贈与税はかからない
    2. 譲渡所得税がかかることがある
  7. まとめ

財産分与とは

財産分与とは、夫婦が婚姻中に共同で築いた財産を貢献度に応じて分割して清算することをいいます。

法律上の根拠として、次の規定があります。

民法768条1項

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

民法771条

第766条から769条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。

財産分与の対象となる財産とは

2-1.基本的な考え方

「財産分与とは」で紹介したように、民法は「財産」の分与というのみで、具体的にどのような財産が分与の対象となるのかは明らかではありません。

ただし、財産分与について当事者間の協議が整わなかった場合、家庭裁判所は「当事者双方がその協力によって得た財産の額」などを考慮して分与の額・方法を定めるとされており(民法768条2項、3項)、清算的な側面が強調されています。

このことから、財産分与の対象となる財産は、

  • 婚姻中に取得した財産であること
  • 夫婦が共同で築いた財産であること

の要件を満たす必要があると考えられます。

2-2.財産分与の対象となる財産

婚姻中に取得した財産

婚姻中にためた現金預貯金取得した不動産有価証券家財道具などです。

退職金

退職金には、給与の後払い的な性格があると言われています。

そのため、すでに支払われた退職金だけでなく、近い将来に退職が予定されており、退職金が確実に支給される見込みがあるような場合には、財産分与の対象となります

借金

婚姻期間中に夫婦の共同生活のためにした借金(住宅ローンなど)も、財産分与の対象となります。

例えば、婚姻中に夫名義で住宅ローンを組んで夫名義で自宅を購入し、現在の自宅の価値が2,000万円、ローン残額が1,000万円という場合を想定してください。

この場合、妻は家の価値2,000万円を基礎に財産分与をもらい、住宅ローン1,000万円は夫が支払い続けるのではあまりにも不公平です。

そこで、家の価値の2,000万円からローン残額1,000万円を差し引いた1,000万円を財産分与の対象とするという処理をすることになります。

2-3.財産分与の対象とならない財産

下記のようなものは財産分与の対象とはなりません。

  • 婚姻前にためていた預貯金
  • 婚姻中に相続により取得した財産
  • 洋服などの個人的な持ち物

財産分与の割合

3-1.原則として2分の1

財産分与の割合については、漠然と折半と考えている方が多いと思われます。

しかし、法律上は特に定めはありません。ですから、当事者間の協議で2分の1以外の割合で合意することは差し支えありません

当事者間の協議が整わずに家庭裁判所が財産分与の割合を定める場合、財産の取得・維持についての夫婦の寄与の割合を原則2分の1とします。

それから個別事情に応じて修正するのが一般的です。

修正要素となる個別事情とは、

  • 夫婦の一方の特別な努力・能力によって高額の資産が形成された場合
  • 夫婦の一方がもっぱら財産の維持管理に寄与した場合

などです。

いくつか具体例を紹介しましょう。

3-2.財産分与の寄与割合を夫4、妻6とした事例

【東京家審平成6年5月31日】

双方が婚姻前からそれぞれ作家、画家として活動しており、婚姻後もそれぞれ各々が各自の収入、預貯金を管理し、必要な時に夫婦の生活費用を支出するという形態をとってきた。

しかし、夫婦がそれぞれ芸術家としての活動に従事するとともに、妻が約18年間専ら家事労働に従事してきたことなどを総合考慮し、寄与割合を妻6、夫4とした。

3-3.夫名義の建物の清算割合について妻4分の3、夫4分の1とした事例

【東京地裁平成15年4月11日判決】

婚姻期間30年のうち別居期間14余で、妻が独力で夫名義の建物(自宅、アパート、マンション)の維持管理や、アパート、マンションの賃貸管理を行い、賃料収入から生活費を賄って子どもを養育してきた。

妻の努力により各建物が資産として維持されてきたが、夫が特有財産である借地を無償で提供してきたことを考慮し、建物の価額の4分の3に相当する額を妻に分与することとした。

3-4.夫の経営する医療法人の出資持分について夫6、妻4とした事例

【大阪高裁平成26年3月13日】

夫は婚姻前から医師の資格を獲得するまでの勉学などについて個人的な努力をしてきた。

さらに婚姻後に医師の資格を活用し、多くの労力を費やして高額の収入を得ていることを考慮して、夫の寄与割合を6、妻を4とした。

財産分与を行う具体的方法

財産分与の割合が決まったとして、具体的にどのように財産を分ければいいのでしょうか。財産分与の方法としては、次のようなものが考えられます。

4-1.現物を分割する

財産分与の対象となる財産が現金・預貯金のみであるような場合、寄与の割合に応じて現金・預貯金を分けることができます。

株式などの有価証券の場合も、寄与の割合に応じて名義変更することで分割することができます。

4-2.売却して売却益を分割する

財産分与の対象となる財産を売却し、諸経費を差し引いた売却益を分割することがあります。

特に居住用不動産や自動車のように現物を分割しにくい財産がある場合、よくとられる方法です。

4-3.一方が財産を取得し、他方に寄与の割合に応じて金銭を支払う

居住用不動産や自動車について、離婚後も売却せずに夫婦の一方が利用を続けたい場合もあるでしょう。

そのような場合、一方がその財産を単独で取得し、その財産の価額に寄与割合をかけた価額を他方に金銭で支払うという方法もあります。

4-4.住宅ローンが残っている場合

住宅ローンが残っている住宅の財産分与についても、基本的にこれまで解説した方法で処理することができます。

たとえば、

  • 住宅を売却して諸経費やローン残額を差し引いた残額を分割する。
  • 住宅の価値から住宅ローンの残額を差し引いたものに寄与の割合をかけた額を金銭で支払い、住宅を取得する

などの方法が考えられます。

住宅ローンが残っている場合に特有の処理として、妻(と子ども)が離婚後も住宅に住み続け、住宅ローンは夫が支払っていくというケースがあります。

この場合、夫が住宅ローンの支払いを滞納すると住宅が競売にかけられ、退去せざるを得なくなるおそれがあるので、注意が必要です。

財産分与を有利に進める方法

財産分与を有利に進める方法

5-1.財産を正確に把握する

財産分与は、現に存在する財産を分けるものです。したがって、財産分与の対象となる財産を正確に把握することが重要です。

そのためには預貯金通帳や給与明細、確定申告書などの証拠が必要になります。

しかし、配偶者が金銭の管理をしている場合は、証拠を集めるにも苦労するでしょう。

そのような場合は、弁護士に依頼して、弁護士会から関係機関に照会してもらう方法があります(弁護士会紹介制度)。

これにより、個人では取得できなかった証拠を取得できる場合があります。

また、すでに調停などの裁判所の手続を利用している場合には、裁判所の調査嘱託という制度を利用して、配偶者の預貯金口座を調査することもできます。 

調査嘱託とは、裁判所が官公庁やその他の団体に対し、必要な調査を嘱託するというものです(民事訴訟法186条)。

調査嘱託に対しては公法上の回答義務があるとされていますので、個人では把握することのできなかった財産を発見できる場合があります。

5-2.2分の1ルールを修正する事情を主張する

「財産分与の割合」で解説したとおり、夫婦の寄与の割合は原則として2分の1とされますが、個別事情に応じて修正されることがあります。

そこで、夫婦の一方が財産分与の対象となる財産の形成・維持に特別な貢献をした事情がある場合には、その事情を主張して2分の1以上の割合を定めるよう求めていく必要があります。

財産の形成・維持に特別な貢献をした事情の例としては、「財産分与の割合」で紹介した事例のほか、

  • 配偶者が長期間刑務所に服役していた
  • 相続した賃貸アパートの賃料収入を生活費に充てたので給与等を貯蓄できた
  • スポーツ選手が多額の年俸・スポンサー料を得ていた

などが考えられます。

財産分与に税金はかかる?

一般的に、財産を贈与した場合には贈与税などの税金がかかりますし、不動産や有価証券を処分した場合には譲渡所得税がかかります。

それでは、財産分与により財産を取得した場合はどうでしょうか。

6-1.原則として贈与税はかからない

財産分与は、贈与そのものではなく、夫婦の共同財産の清算や離婚後の扶養のために行われるものです。したがって、原則として贈与税はかかりません。ただし、

  • 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
  • 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合

には贈与税がかかるとされています。

参考:国税庁HP「離婚して財産をもらったとき」

6-2.譲渡所得税がかかることがある

財産分与が現金ではなく不動産などの譲渡によって行われる場合、譲渡所得税がかかる場合があります

具体的には、財産の譲渡時の価値が財産の取得時の価値を上回っている場合、財産を譲渡した側に譲渡所得税が課税される可能性があります。

もっとも、財産を取得してから期間によって税額が変わりますし、居住用不動産に関する特別控除などもありますので、税金の計算は非常に複雑です。

現金以外の譲渡を検討している場合には、あらかじめ専門家に相談するといいでしょう

まとめ

財産分与について解説しました。財産分与は複雑な問題を多数含んでいるので、適正な財産分与を獲得するには専門的な知識が不可欠です。

最近では初回無料で法律相談を受け付けている法律事務所も増えてきたので、財産分与についてお悩みの方は、弁護士に相談してはいかがでしょうか。

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