財産を渡したくない!浪費癖の夫(妻)と離婚して財産を守る方法。

財産分与
財産を渡したくない!浪費癖の夫(妻)と離婚して財産を守る方法。

常識を著しく逸脱する浪費をする夫(妻)を見限り、妻(夫)が離婚を決意したとします。しかし離婚をするなら、夫婦で財産分与をしなければなりません。

つまり家庭の現金や不動産や株式などの財産を、夫婦で分け合ってから離婚しなければならないのです。

しかしいくら夫婦で築き上げた財産とはいえ、浪費癖の夫(妻)と、つつましく暮らしてきた妻(夫)が5対5で分かち合うのは正義に反します。

もちろん法律も、離婚時の財産分与では、夫(妻)の浪費を十分考慮しています。相当ひどい浪費は離婚事由にもなりますし、分与される財産も減らされるのです。

目次
  1. 浪費癖が原因で離婚はできる
    1. 「相当ひどい浪費」と「普通の浪費」の違い
  2. 離婚の際に浪費癖の夫(妻)に分与する財産を減らすことはできる
    1. 例外的に妻(夫)に分与する財産を多くすることもある
    2. 浪費離婚による財産分与の考え方はマイナス財産の分与と似ている
    3. 浪費癖離婚の財産分与は浪費を「夫婦の財産を勝手に減らした」とみなす
    4. 浪費した夫(妻)が妻(夫)にお金を支払うケース
  3. このような場合に浪費が原因で離婚につながる
  4. まとめ

浪費癖が原因で離婚はできる

財産分与を解説する前に、浪費癖を理由とした離婚は可能なのかどうか考えてみます。結論を先に紹介すると、次の2つになります。

  • 「相当ひどい浪費」であれば離婚できる
  • しかし「普通の浪費」程度では離婚は難しい

ここでは便宜上、離婚できる浪費を「相当ひどい浪費」と呼び、離婚の理由としては弱い浪費を「普通の浪費」と呼んでいます。

離婚には、夫婦の合意で離婚する協議離婚のほかに、法律が介在して離婚を目指す調停離婚裁判離婚などがあります。

民法770条第1項に、次の理由(離婚事由)がある場合、離婚できると規定されています。

  • 配偶者に不貞行為があったとき
  • ★配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
  • ★その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

このなかに「浪費」は含まれていないので、普通の浪費は離婚事由になりません。

しかし「相当ひどい浪費」は★の「悪意の遺棄」や「婚姻を継続できない事由」に該当します。遺棄とは、同居や協力や扶助を放棄することです。

「相当ひどい浪費」と「普通の浪費」の違い

ここで問題になるのが「相当ひどい浪費]と「普通の浪費]の違いです。

「月〇万円以上の浪費を相当ひどい浪費とする」といった法律の規定はなく、ケースバイケースで判断することになります。

博打や洋服や宝飾品、交遊費や遊戯費など、夫(妻)が自分自身だけの楽しみのためにお金を使い、その額が巨額になり、その妻(夫)は浪費をしていない場合、「相当ひどい浪費」と認定されるでしょう

巨額かどうかの判断は、夫婦の家計によって異なります。

例えば夫(妻)の月給20万円(年収300万~400万想定)だけで生活している夫婦で、妻(夫)が毎月50万円浪費して借金をしたり貯金を減らしたりすれば「相当ひどい浪費」になり得ます。

しかし同じ毎月50万円の浪費でも、夫(妻)の年収が2,000万円あれば、「相当ひどい浪費」と認定されるかどうかは微妙です。

離婚の際に浪費癖の夫(妻)に分与する財産を減らすことはできる

離婚の際に浪費癖の夫(妻)に分与する財産を減らすことはできる

夫婦の財産には、現金株式貯蓄型の民間保険年金型の民間保険などがあります。

ほとんどの夫婦では、夫が稼ぎ頭となり大きな収入を得て、妻はパートか専業主婦のため収入が少ないかゼロです。

しかし妻の支えがあればこそ夫は仕事に精を出すことができたわけですから、離婚時の財産分与の原則は夫婦折半(5対5)です

例外的に妻(夫)に分与する財産を多くすることもある

しかし、離婚後のお金を稼ぐ力が不均衡だったり夫婦の片方が離婚原因をつくったりしていることもあります

この場合は夫婦の片方に分与する財産を増やし、他方の財産を減らす方法をとることもあります。

浪費離婚による財産分与の考え方はマイナス財産の分与と似ている

財産には、借金というマイナスの財産もあります。住宅ローン自動車ローン教育ローンは夫婦共同の借金なので、これも原則5対5で折半します。

しかし夫(妻)がパチンコなどでつくった借金は、責任がない妻(夫)にマイナス財産を分与する必要はありません

このマイナス財産分与の考え方は次で見る浪費癖離婚による財産分与の考え方と似ています。

浪費癖離婚の財産分与は浪費を「夫婦の財産を勝手に減らした」とみなす

例えば夫(妻)が300万円浪費したとします。その結果、夫婦の預金残高が700万円になり、それ以外の財産はなかったとします。

この状態で夫婦が離婚したときの財産分与は「浪費した300万円が存在し、預金残高は1,000万円ある」ものとして計算します。よって次のように財産分与していきます。

  1. 1,000万円あったものとして夫婦で折半する
  2. 浪費していない妻(夫)は500万円受け取る
  3. 浪費した夫(妻)の取り分も500万円だが、浪費した300万円を差し引いた200万円を受け取る

夫(妻)は浪費した分を分与財産から引かれているので公正といえるでしょう。

浪費した夫(妻)が妻(夫)にお金を支払うケース

夫(妻)が浪費したことで、妻(夫)の財産分与分が減った場合、夫(妻)は妻(夫)に減額分を支払う必要があります。

例えば夫(妻)が700万円浪費したとします。その結果、夫婦の預金残高が300万円になり、それ以外の財産はなかったとします。

この状態で夫婦が離婚したときの財産分与は、浪費した700万円が存在し、預金残高は1,000万円あるものとして計算します。

  1. 1,000万円あったものとして夫婦で折半する
  2. 浪費していない妻(夫)は500万円受け取れるはずだが、預金残高が300万円しかないので、とりあえずその全額を受け取る
  3. 浪費した夫(妻)の取り分も500万円だが、浪費した額が700万円なので、夫(妻)は妻(夫)の分与財産を不当に200万円使ったとみなす
  4. 浪費した夫(妻)は妻(夫)に200万円を支払わなければならない

ただこうした事案が訴訟になった場合、浪費した夫(妻)に支払い能力がないことが多く、実際に夫(妻)が妻(夫)に200万円を支払えるかどうかはわかりません。

民事案件の場合、裁判所の決定と決定とおりに実施されるかどうかが別問題になってしまうことがあるのです。

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このような場合に浪費が原因で離婚につながる

裁判所は、どのような浪費があったとき離婚を認め、どのような浪費だと離婚を認めないのでしょうか。

公務員の夫と専業主婦、子ども1人という家庭で、妻の浪費がやまなかったケースがありました。このとき地裁は、夫からの離婚の申立てを認めました。

妻は毎月夫の給料の2~3倍の家電製品をローンで購入し、その家電をすぐに転売する方法で現金をつくり浪費していました。借金が発覚したとき、妻は夫に「生活態度を見直す」と誓いましたが、妻の浪費は続きました。

妻が夫婦の関係を破綻させているので離婚が認められたわけです

ただ別のケースでは、裁判所は借金を理由にした離婚を認めませんでした。

夫は結婚直後に600万円の借金をつくり、その後200万円の借金を重ねました。サラ金からの取り立てを苦にした妻は子どもを連れて実家に戻り、離婚訴訟を起こしました。しかし裁判所は、妻からの離婚請求を棄却しています。

それは夫がつくった借金の使い道が、

  • 夫の両親の入院費
  • 夫の弟の学費
  • 夫婦の結婚費用

だったからです。 裁判所は借金問題以外に婚姻関係を壊す事由がないと認定し、離婚を認めませんでした。

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「離婚」といっても、当事者同士での話し合いによるもの、裁判所が関与するものなどいろいろあります。では…

まとめ

「相当ひどい浪費」をしている夫(妻)との離婚を検討している妻(夫)は、別れ話を切り出す前に次のものを準備しておいたほうがいいでしょう。

  • 浪費物品の実物の写真
  • 遊戯中、パチンコ中、豪華な食事中など、夫(妻)がまさに浪費している場面の写真
  • 浪費物品のレシート
  • 浪費の記録(わかる範囲をメモ書きしておけばOK)
  • 夫婦の源泉徴収票または給与明細(5年分あればベター)
  • 夫婦の預貯金通帳
  • クレジットカードの利用明細書
  • 借金の明細書

このような証拠が多ければ多いほど、離婚協議がスムーズに進み、財産分与でも有利な裁定がくだるでしょう。預貯金通帳などはコピーでもかまいません。

さらに、弁護士に相談することも忘れないでください。弁護士は証拠集めの助言をしてくれるだけでなく、夫(妻)の浪費をやめさせる方法をアドバイスしてくれるかもしれません。

浪費がとまって結婚が継続できれば、それが最もよい解決法になるでしょう。

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