いつがベスト?離婚を弁護士に依頼するメリットとタイミングとは。
現代は、約3組に1組の夫婦が離婚していると言われており、弁護士に対する離婚の相談件数も増えていると言われています。
離婚事件を弁護士に依頼することでどのようなメリットがあるのでしょうか?そして、どのタイミングで依頼すればいいのでしょうか?
- 目次
離婚事件を弁護士に依頼するメリット
法的な論点について正しく対応できること
離婚と一口に言っても、離婚するかどうか・離婚できるかどうかという問題だけではありません。
親権者の指定、養育費の金額、財産分与の金額、慰謝料の金額、年金分割、面会交流など、法的な論点はいろいろとあり、たくさんの判例があります。
いくらインターネットで自分に有利な情報を調べて、相手に伝えても、当事者間の交渉では、相手が嫌だといえばそれで終わりです。
また、インターネットの情報は一般論にすぎないため、自分のケースに最適な情報までは分からないこともあります。
ということは、個々に弁護士に考えてもらった方がよりよい条件で離婚することができます。
感情的になりやすい部分を冷静に対処できること
夫婦で交渉すると、どうしても双方ともに感情的になりがちで冷静な話し合いができないということもあります。
「あのときはああだった」などと過去を掘り返しても泥沼の言い合いになるだけです。
また、相手に丸め込まれてしまったり、論理的で建設的な話し合いをすることは難しいことが多いので、非常にストレスもたまります。
弁護士に依頼すれば、弁護士が交渉してくれますので、感情論ではなく法的根拠から話し合いを行うことができ、結果として解決が早くなります。
また、離婚の話し合いのために相手と接触することがなくなるだけで精神的にとても楽になったと言う人も多いです。
調停委員を説得してもらえること
離婚調停では、話し合いを仲介してくれる調停委員を説得して、調停委員に相手を説得してもらうということになります。
ところが、判例や実務を知らないまま調停に臨むとどうしても、調停委員のいうことに引きずられてしまうということもあります。
調停委員は中立な立場であり、話し合いをまとめるのが仕事です。
「あなたはこういう主張をすれば有利ですよ」とか「こういう証拠を出せば有利になりますよ」ということは教えてくれません。
弁護士はどういう証拠を提出してどういうふうに調停委員を説得すればよいかを考えながら調停を進めてくれます。
複雑な訴訟手続きを任せられること
離婚訴訟での訴状、答弁書、準備書面、陳述書などの決まった形式での書面の作成や証拠の選び方、提出の仕方、訴訟の進行の仕方などは、やはり一般の人では対応が難しくなってきますので、弁護士に依頼するべきです。
また、訴訟では「書面での言い合い」という形になります。特に離婚訴訟の書面は、なぜ離婚したいのかという理由の記載や慰謝料を求める内容を記載します。
そのため、どうしても相手の悪いところなどをあげつらうような内容や、責めるような内容になっていることが多いものです。
受け取った側が、これを1人で読んで1人で抱えるのは精神衛生上よくないことと言えます。
弁護士と話をしていると「こういう主張はよくありますよ」「気にすることないです」「ここはこういうふうに反論しましょうか」というふうに冷静に意見してくれます。
そのため、自分も冷静になることができ、紛争を客観的に見ることができるようになっていきます。そういう意味でも、弁護士に訴訟を任せる意味は大きいと言えます。
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離婚事件を弁護士に依頼するタイミング
離婚紛争の流れ
まずは離婚の紛争の流れを把握しましょう。
離婚協議
離婚をするかどうかや、離婚する場合の条件などについて、当事者間で話し合いをすることです。
離婚調停
当事者間での離婚協議では話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所で調停委員会に離婚の話し合いを仲介してもらう離婚調停の申立をします。
離婚訴訟
離婚調停でも、話し合いがまとまらない場合は、離婚するかどうかや離婚条件などを家庭裁判所に決めてもらうために離婚訴訟を提起することになります。
離婚協議前に依頼
もっともベストなのは、相手に離婚を切り出す前に弁護士に相談してアドバイスを得ておくことです。この段階では、予想できる争点やそのための準備などのアドバイスをもらいます。
例えば、不貞に関する証拠や相手名義の財産に関する証拠など、離婚の話を切り出す前に集めておいた方がいいものもあります。
また、話し合いが始まったときに、予想された争点について「弁護士さんがこう言っていた」「こういう判例があると聞いた」というふうに言えれば話し合いが有利になります。
もっとも、この段階で依頼までするかどうかはケースバイケースでしょう。
などは、弁護士に早期に依頼した方がいいでしょう。
早期解決は、時間の節約だけではなく、ストレスの軽減にもなります。
離婚協議中に依頼
もっとも、話し合いの前にアドバイスをもらっても、まずは夫婦やお互いの親も交えて話し合ってみるという人は多いです。
そうすると、
という離婚の争点が明らかになります。
その段階で、明らかになった争点について弁護士に相談すれば、より具体的なアドバイスを得ることができます。
そのうえで、これ以上当事者間で話し合うよりも弁護士に交渉に入ってもらった方がいいと考えられる状況であれば、弁護士に依頼した方が早期解決できるでしょう。
離婚調停のときに依頼
調停を申し立てるとき
離婚調停は自分でも申し立てることができます。調停を申し立てるときに弁護士に依頼した方がいいかどうかは、その離婚の争点が何かにもよります。
財産分与や慰謝料がほとんどないのに弁護士に依頼すると費用倒れになることもあります。
もっとも、お金はほとんどもらえないであろう場合でも、絶対に親権を取りたいなどお金に換えられない強い希望がある場合には弁護士に依頼すべきです。
離婚調停を最初から有利に進めるためには、自分の主張を的確にまとめ、これを裏付ける証拠を提出していくなど戦略が必要です。
弁護士に依頼して調停の準備をしてもらい、調停期日にも一緒に行ってもらったほうがよいでしょう。
調停を申し立てられたとき
離婚調停を申し立てるときは申立書に離婚したい理由を記載して提出します。
これに対して、何の手立ても講じずに調停に出席すると、調停委員は申立人の言い分だけが頭に入った状態で話し合いが始まります。
もちろん、相手方(申立をされた側)の言い分を丁寧に聞いてくれる調停委員もいますが、予断を持ってしまって相手方に冷たい対応をする調停委員もいると聞きます。
特に、相手が弁護士をつけて離婚調停を申し立ててきたときには、弁護士が申立人の言い分をまとめて提出しているということです。
このような場合には、自分も弁護士に依頼して初回までに自分の言い分をまとめた書面を提出してもらうほうがいいでしょう。
調停で不利な状況だなと感じたとき
調停で自分の言い分が全く通らない、なにか風向きが悪いなと感じることがあったら弁護士に相談してみるべきでしょう。
特に相手に弁護士がついた場合には自分も弁護士に依頼することを考えるべきです。
弁護士の知識や経験に一般の人が対抗するのは難しいことが多いと言えます。
なお、調停で相手有利の流れを作られてしまっていると、途中から弁護士が受任しても巻き返しが難しいこともあります。
調停で不利な雰囲気を感じ始めたら、なるべく早めに弁護士に依頼することを考えましょう。
離婚訴訟のときに依頼
離婚訴訟は、形式に則った書面の作成や証拠の提出、訴訟の進行のさせ方など専門的な知識と経験が必要となりますので、初めから弁護士に依頼するべきです。
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まとめ
離婚の場合、離婚協議や離婚調停は自分ですることもできますが、弁護士に依頼した方がよいケースもあります。
弁護士に依頼しない場合でも相談に行ってアドバイスだけは受けておきましょう。離婚訴訟になると弁護士に依頼するべきです。
離婚とは次の人生へのステップです。よりよい条件で離婚することにより、再スタートも切りやすくなります。
弁護士費用は高いと思い込んで相談にすらいかないと、結果として弁護士費用以上の損をしてしまうこともあります。
まずは弁護士に相談に行くことから始めてみましょう。
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