お金がなくても離婚する方法|別れた後の財産の得方も紹介
離婚は結婚よりエネルギーを使うと言われています。
特に女性は夫の収入に頼って生活している人も多いため、経済的な理由で離婚後の生活に不安を抱き、我慢しながら結婚生活を続けるという人も多くいます。
しかし、人生はたった1度しかなく、我慢をしながら送る結婚生活は貴重な時間を無駄にしてしまいかねません。
ここでは離婚を考えている女性のための離婚の手続きと離婚にまつわるお金問題について解説していきます。
- 目次
離婚にかかるお金
離婚にはお金がかかりますが、どれくらいかかるかは千差万別です。
離婚が成立するまでにはいくつかの段階があります。離婚事由は何であれ、まずは夫婦のどちらかによる意思表示です。
その後、双方で協議を行いますが、場合によっては両親や仲人・友人などに間に入ってもらうこともあります。
協議がうまくいかない場合は離婚調停を申し立てます。離婚調停は、裁判所が間に入り、双方の言い分を聞いたうえで意見の調整をしてくれるものです。
離婚調停でもうまくいかない場合は裁判に進みます。ここまでくると時間もお金もかなりかかります。
協議離婚ならお金はかからない
協議離婚は最もお金のかからない離婚方法です。
協議離婚とは、夫婦で話し合い、互いに合意できたら各市区町村の役場や役所で離婚届をもらい、必要事項を記入して提出するだけで離婚が成立する方法です。
離婚するときに懸念となる親権・財産分与・養育費などについても双方で話し合いを行います。
協議離婚はお金もかかりませんし、双方の意見が合致していれば時間もそれほど取られません。
ただし、法律や専門知識が乏しい場合、協議をしても本来得られる権利が十分に得られないこともあります。
話し合いがまとまりそうにないときは弁護士に仲介を依頼することもできます。この場合、弁護士費用を支払う必要があります。
離婚後、約束したことを配偶者に履行してもらえないこともあります。そのため、離婚時に合意した事項を公正証書に残しておくと良いでしょう。
ただし、公正証書を作成する場合は所定の手数料が発生します。
調停離婚でかかるのは2,000円程度
調停離婚とは、当事者間での協議がうまく行かないときに、どちらか一方が家庭裁判所に申し立てを行い、離婚の話し合いを進めることです。
申し立てがあると家庭裁判所は調停委員を選任します。調停委員は双方から話を聞き、中立な立場から意見の調整を行います。
また調停により合意された事項は法的な拘束力を持ちます。したがって、相手の合意不履行に対して、より強い態度で臨むことができます。
調停離婚というと大げさで費用がかかるイメージもあるでしょう。
しかし、調停申立てに必要な経費としては申立書に貼る印紙代1,200円と、裁判所にあらかじめ納める切手代(800円程度)ですので、2,000円ほどあれば申立てができます。
なお、裁判所にあらかじめ納める切手代は申立てを行う裁判所によって異なりますので、必ず確認するようにしましょう。
弁護士に依頼した場合
離婚調停を行っても合意できなかった場合、裁判に進むことになります。裁判を起こすのは弁護士に依頼しなくても可能です。
しかし、本人に法律など専門知識があるならともかく、そうでない場合は本来勝てる裁判なのに負けてしまうリスクが発生するため、おすすめできません。
以下で離婚問題を弁護士に相談・依頼したときの費用相場を見ていきます。
相談料の相場
現在、ほとんどの法律事務所では弁護士による法律相談を行っています。離婚を有利に進めるには、信頼の置ける弁護士を見付けることが大切です。
弁護士による法律相談は、依頼者が自分に合った弁護士を見極めるたり、法律的な観点からアドバイスをもらうなどの目的で行っています。
相談料は1時間あたり5,000円から10,000円というのが一般的な相場です。最近では無料相談を受け付けている法律事務所もあります。
着手金の相場
着手金は弁護士に仕事を依頼したときに支払う手付金です。この着手金は依頼の成否に関わらず支払うもので、仮に望んだ通りの結果にならなくても返還されることはありません。
着手金の相場は、おおむね20~50万円前後となっています。
着手金が少なくても、成功報酬が高額という法律事務所もありますので、仕事を依頼する際は着手金の多寡のみにとらわれないようにしたほうが良いでしょう。
成功報酬の相場
成功報酬とは、裁判でこちらの申し立てが認められた場合、つまり離婚が認められた場合に弁護士に支払われる報酬のことです。
成功報酬ですので敗訴の場合には支払う必要はありません。
しかし、どのラインを「成功」とするのかは法律事務所によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
離婚の成功報酬金の相場としては、20~50万円が一般的です。離婚訴訟にともなって財産分与や子供の親権・養育費について争った場合はその分が加算されます。
日当や実費
依頼した業務に関連して弁護士が遠方へ出向いたりした場合には日当が発生します。
弁護士の日当の相場ですが、時給換算で2万円程度となります。半日で3〜5万円、1日で5〜10万円というところです。弁護士の日当は移動時間中にも発生します。
また、遠方へ出向く際に交通費、宿泊費が生じた場合はその分の費用も請求されることになります。こちらは実費と呼ばれており、手数料や印紙代なども含まれます。
そのため、裁判が長引くと大きな負担になってくることがあります。
離婚後のお金の分け方
離婚は、ただ単に離婚届を出して夫婦関係を解消して終わりというものではありません。長い年月の間に夫婦で築き上げてきた財産を分けるという作業があります。
さらに子供がいる場合は養育費をどちらが負担するかという問題も生じます。
特に女性は、パートタイマーであったり専業主婦であるケースも多いため、離婚後の生活費に不安を覚えて望まない婚姻を継続しなければならないということもあります。
そうならないためにも、離婚を決意したら離婚後のお金の分け方について知識をしっかりと身につけておく必要があります。
財産分与によって取り分を決める
財産分与とは婚姻中に築いた財産を離婚時に分けることです。財産分与には清算的財産分与と扶養的財産分与の2つがあります。
清算的財産分与は結婚中に夫婦2人で築き上げた共有財産を原則として2分の1ずつ分けることをいいます。離婚の原因がどちらにあるかに関わらず、公平に財産を分けます。
扶養的財産分与は、どちらか一方が病気などの理由から離婚後に生計を立てるのが難しい場合に行われます。扶養的財産分与は一括払い以外にも継続的にお金を支払う方法があります。
多くの場合、財産分与は現物分割という方式を取ります。現物分割とは財産の形を変えず、「現物」のまま分けることをいいます。
例えば、ある夫婦が土地Aと土地Bを持っていたとして、それらを現金化せずにAとBをそれぞれ受け取るのが現物分割です。
慰謝料を取れる場合がある
離婚では慰謝料を受け取れることがあります。慰謝料とは、結婚しているときに何らかの精神的な苦痛を受けたことに対して、相手側に請求できる損害賠償金のことです。
離婚で慰謝料を請求できるケースとしては、主に以下の4つがあります。
- 相手に不貞行為(不倫)があった場合
- 「悪意の遺棄」があった場合
- DV(家庭内暴力)があった場合
- モラハラがあった場合
不貞行為や不倫とは、配偶者以外の異性と性的な関係になることを指します。しかし、ハグやキスなどをしただけでは、法律上、不貞行為とみなされることはありません。
また、酔った勢いで肉体関係を持ってしまったという場合も、不貞行為による離婚は認められないことがほとんどです。
悪意の遺棄というのは、理由のない別居や生活費を渡さないなど、夫婦の義務を履行しようとしない行為を指します。
DVは配偶者からの暴力行為、モラハラとは理由もなく無視をしたりバカにしたりする行為を指します。
結婚相手から不貞行為やDVなどを受ければ婚姻を継続することが困難になることもあります。
この場合、「その行為によって婚姻を継続することが困難である」ということを理由に離婚を申し立て、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料の金額には相場というものがありません。ただし、相手の収入が多い場合は相場より高い慰謝料を請求できる可能性もあります。
反対に、慰謝料を支払うことが決まっても、相手に支払い能力がない場合、慰謝料の回収が困難になることもあります。
子供がいる場合は養育費を請求する
未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合、日本では父親か母親のどちらかが親権を持ちます。このとき、親権者は親権を持たない親に対して養育費を請求できます。
養育費とは子供の養育に必要な費用のことです。
養育費の支払い義務は生活保持義務と呼ばれ、親権を持たない親(非監護親)の生活水準と子供の生活水準が同等であるように支払うべきとされています。
つまり、「生活が厳しい」などの理由で養育費の支払いを免除されることはなく、自分の生活を切り詰めてでも払うべきお金ということになります。
また、養育費は子供のための権利なので、もし親権者が「養育費はいらない」といっても、子供は養育費を受け取る権利を失いません。
養育費の額ですが、夫婦の話し合いで決まればいくらでもかまいません。ただし、一般的には「養育費・婚姻費用算定表」によって決めることが多いです。
養育費の支払いは長期にわたって行われます。そのため、場合によっては支払いが滞ってしまうという問題があります。
このような場合に備えて、養育費の支払いについて公正証書に残しておくと、支払いが滞った場合に強制執行などがしやすくなります。
お金が原因で離婚するケース
離婚の原因と聞くと不倫やDVといったものが思い浮かびますが、お金が原因で離婚を請求できるケースもあります。
具体的には「生活費を入れない」「ギャンブルなどにお金をつぎ込む」「家族に相談もなく多額の借金をする」といったことなどです。
婚姻費用が支払われていない
裁判で離婚が認められる理由の1つに「悪意の遺棄」があります。悪意の遺棄とは配偶者との結婚生活を見捨てる行為のことです。
例えば、理由もなく家を出ていったり、婚姻費用(生活費)をまったく家に入れないことなどが該当します。
結婚生活を維持するために生活費を家に入れることは夫婦の義務です。
そのため、家にまったくお金を入れないという場合は、「悪意の遺棄」に該当し、夫婦の義務を果たさないことになります。
お金に対する価値観の違い
離婚の理由にはさまざまなものがありますが、お金に対する価値観の違いは、離婚理由として上位に来るものです。
ギャンブルや高級ブランド品を買い漁るといった配偶者の金銭の浪費に頭を抱えている方は多くいます。
お金に対する価値観の違いによって夫婦関係に大きな溝が生じた場合は離婚の理由とすることができます。
多額の借金を抱えている
「配偶者が多額の借金を抱えていて生活が苦しい」 この理由が離婚理由になるかは、ケースバイケースです。
実は借金という事実だけで離婚理由とすることは法律上難しいのです。
しかし、借金をするにいたった理由や金額などを踏まえ、婚姻生活を継続できないと判断された場合は離婚が認められることがあります。
例えば、どちらか片方が風俗通いやギャンブル、過度の飲み歩きやショッピングといったもので借金を作った場合は離婚理由として認められる可能性があります。
ただし、住宅ローンや自動車ローン、子供の学費など、夫婦2人が共同生活を送るためにした借金の場合は日常家事債務と呼ばれており、夫婦が連帯して支払い義務を負うことになります。
まとめ
「離婚する際に必要なお金」「離婚後のお金の分け方」「お金が原因の離婚」など離婚に関わるお金の問題について解説しました。
離婚には必ずお金に関わる問題がついてきます。 有利に離婚したいなら、しっかりと準備をして進めることが大切です。
そのためには、離婚を考えた段階で弁護士などの専門家に相談することが重要です。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。後悔しないためにも早い段階で相談することをおすすめします。
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