離婚後の生命保険の手続きと見直しの仕方|保険の悩み相談を解決
離婚で生じた家族構成やライフスタイルの変化に伴い、生命保険や健康保険の手続きが必要になることをご存知でしょうか?
生命保険については単に名義や受取人を変えるだけでなく、保障内容の見直しも生じます。
また、健康保険についても、夫の扶養から抜けたら自分で入り直さなくてはなりません。
離婚の際は何かと多忙ですが、保険は今だけでなく将来のためにも大切なものなので、これから説明する必要な手続きなどを参考にしてみてください。
- 目次
離婚後の生命保険の手続き
離婚すると家族構成やライフスタイルが変わります。生命保険、医療保険、学資保険、損害保険など、それまで加入していた保険について、内容確認と、変更の手続きや見直しが必要になります。
ここでは、変更の手続きについて説明していきます。
それぞれの保険について、現状を確認した上で、各保険の問い合わせ窓口に連絡します。
離婚で変更が必要になる手続き
保険の解約を検討、契約・名義の変更をする
生命保険は、自分が亡くなった時の家族のために入っている、という方が多いかと思います。それでは離婚後、家族構成が変わったら、誰のためにどんな保険に入るとよいのでしょうか。
離婚後のために、保険解約や内容の見直しの検討をしましょう。
解約しない場合でも、契約者名義や受取人の変更が必要です。
生命保険、病気やケガに備えた医療保険、学資保険、損害保険など各保険についてそれぞれ現状と今後どうするかを夫婦で確認し、変更手続きを行いましょう。
契約者と受取人が夫の場合
離婚した妻(自分)の保険を例に説明します。
契約者を夫から自分に変更すれば、自分の保険として継続できます。 解約すると、保障はなくなり、今まで払い込んだ額と解約返戻金の差額で損をする場合があります。また、後からもう一回入ったら良いと思っても、新たに加入する時は前より年齢が上がって保険料が高くなる可能性があるので、解約の検討は慎重に行います。
保険金の受取人は自分の親または子供に変更し、もしもの時に備えましょう。
契約者が妻で受取人が夫の場合
同じく離婚した妻(自分)の保険を例に説明します。
契約者が妻(自分)の場合は契約者が自分なので、手続きが簡単になります。離婚時に受取人を自分の親または子供に変更します。
指定代理請求人を夫にしていた場合
離婚前は夫→離婚後は自分の親または子供に変更
自分が保険金請求をできなくなった場合に代わって請求できる、指定代理請求人について、離婚前は夫になっていた場合、離婚後は自分の親や子供に変更します。
指定できる人の範囲や子供が未成年のケースなど、詳細は各保険の問い合わせ窓口でご確認ください。
離婚後の保険の見直し方
離婚すると、一人になったり、シングルマザーになったりと家族構成が変わります。また、専業主婦だった人が働き始めるなど、ライフスタイルにも変化があります。
先述しましたが、離婚後の変化に合わせて、保険の保障内容も見直しが必要になります。
特に、子供を引き取った場合と引き取らなかった場合で保障のポイントが変わるので、それぞれのケースについてみていきましょう。
子供を引き取った場合
保険に関して、結婚中は、働く夫の保障を手厚くしており、専業主婦もしくはパート・アルバイトの妻(自分)は保障額の低い葬儀費用程度だったという人は、離婚後の子供のために保障を手厚くする見直しが必要です。
離婚後に妻が子供を引き取った場合、自分で子供を養っていかなくてはなりません。生活費、子供の学費などがかかりますし、養育費をもらったり各種ひとり親支援制度を利用したりしても、それだけで生活するには足りず、やはり働かなくては暮らしていけないでしょう。
子供が独立するまでは自身が一家の大黒柱として家計を担うため、病気やケガで働けなくなった時や、万一亡くなった際に備え、生命保険、医療保険、就業不能保険などの保障の設定をしましょう。
子供のためにかけてきた学資保険も、できるだけ継続して、出費のかさむ進学時にお金がもらえるようにしておくことが望まれます。
- 保険を見直すポイント
-
- 子供1人につきにかかる費用を把握する(必要な学費)
- 子供の生活費や学費をカバーできる手厚い保障内容に変える
- 生命保険(死亡保険)、医療保険、就業不能保険の保障内容や保険料のバランスを見直す
相手が子供を引き取った場合
主な収入が夫の給与で、妻や子供が扶養家族だった場合、妻の保険は家計を担っていた夫に比べて保障額が低く設定されていたことが多いでしょう。
子供を夫が引き取った場合、妻は子供のためにお金を残さなくてよいので今までと同じ低額でいいのでしょうか。この場合でも、様々なリスクに応じて、今度は自分のために手厚くしなくてはなりません。
離婚後は、夫という家計の支えがなくなるので、自分で働かなくては生活できません。病気やケガで病院を受診すると医療費がかかり、働けなくなると収入がなくなってしまいます。生命保険や医療保険、就業不能保険など、保障内容の見直し、加入の検討をしましょう。
- 保険を見直すポイント
-
- もしものことを考える(病気やケガ)
- 病気やケガをして働けなくなった場合、必要な保障額を把握する
- 収入が途絶えても生活していけるだけの保障額なのか確認する
- 生命保険、医療保険、就業不能保険の保障内容や保険料のバランスを見直す
離婚後の健康保険の手続き
次に、健康保険の手続きについて説明します。
国民皆保険といって、日本の国民は、主に会社員が加入する組合健保、協会けんぽなどの健康保険、自営業者などが加入する国民健康保険など、全員何らかの公的医療保険に入るしくみになっています。
この制度があるため、1割~3割負担で病院を受診することができるのです。
専業主婦の場合、夫の会社の健康保険や、夫が自営業者の場合の国民健康保険に、被扶養者として入っていたところから離婚後は抜けることになります。今まで病院を受診する際に使っていた保険証を、離婚後もそのまま使うことはできません。抜けた後は自分で新たに加入手続きをする必要があります。
健康保険・国民健康保険の脱退・加入の手続きをする
それでは、専業主婦だった妻が離婚前に夫の会社の健康保険に入っていたのか、もしくは、夫が自営業者の場合の国民健康保険に入っていたのか、離婚後、妻が自分で行う必要のある手続きについて、保険によって異なるのでそれぞれみていきましょう。
夫の会社の健康保険に加入していた場合
夫の会社で、妻が被扶養者として健康保険に加入していた場合は、離婚でその保険から脱退することになります。
子供については、婚姻中は妻と同じように夫の被扶養者で、離婚後、母親が親権者となり、自分の扶養に子供を入れる場合は、離婚前の健康保険からの脱退と、新たな健康保険への加入の手続きを、母子の分それぞれ行う必要があります。
- 夫の会社へ健康保険被扶養者(異動)届、保険証など必要なものを提出し、妻(自分)や子供の削除を届け出ます。
- 夫の会社から健康保険資格喪失証明書を受け取ります。
- 新たに妻(自分)が世帯主として国民健康保険に加入する手続きを住所地の役所・役場で行い、子供の加入手続きも一緒にします。②の健康保険資格喪失証明書のほか、子ども医療証や身元確認用書類など、手続きに必要なものについてあらかじめ役所・役場へ確認しておきましょう。
働いていた妻の場合、条件が合えば自分の勤め先の健康保険に加入できるかもしれないので、担当部署に問い合わせてみましょう。
会社の健康保険加入には勤務日数や労働時間、月収などの条件があります。
例えば婚姻中は夫の扶養内におさめるよう短時間パートで働いていた妻が、もし離婚後、勤務時間を延ばしたり、勤務日を増やしたりなどで条件に合えば、会社の健康保険に加入できる場合があります。
また、自分の親の会社などの健康保険へ被扶養者として入るという選択肢もあります。その場合は親の会社の被扶養者の条件に合うかどうか確認しましょう。
夫の国民健康保険に加入していた場合
夫を世帯主とした国民健康保険に入っていた場合は、夫の会社の健康保険に入っていた場合と同様に、離婚後、妻は自分で新たに何らかの健康保険に加入する必要があります。
自分を世帯主とした国民健康保険や自分の勤め先の健康保険、自分の親の健康保険に被扶養者として加入する選択肢があります。
夫の国民健康保険から抜けること、新たに自分の国民健康保険へ入ること、新規加入に伴い住民票の世帯主を自分にすること、これらに必要な手続きの内容は離婚後の住所変更の有無によって異なります。
- 離婚後の住所変更のパターン
-
- なし:夫が家を出て自分は家に残る
- あり(同じ市町村内)
- あり(他の市町村へ転出)
住所変更の有無、その内容により、手続きをする役所・役場、必要な書類、世帯主変更届提出の必要等に違いがあります。詳しくは市区町村の役所・役場にお問い合わせください。
まとめ
お金は後から何とかなる、と思っていても、病気やケガで働けなくなっては稼げませんし、ましてや子供がいる場合は、大切な子供との生活を守っていかなくてはなりません。
そのためには、生命保険など各種保険について現状を把握した上、未来を考えて見直し、もしもの時に備えることが大切です。
どうしたらいいかわからないという方、離婚に際して相手と話をするのが難しい場合など、ファイナンシャルプランナーや弁護士をはじめとした専門家に相談するのもおすすめです。
また、保険証が使えなくて全額いったん自己負担ということのないよう、健康保険の変更手続きも忘れずに行いましょう。
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