離婚に伴ってかかる税金|何に税金がかかるのかと控除などの節税対策も紹介

基礎知識
弁護士監修
離婚に伴ってかかる税金|何に税金がかかるのかと控除などの節税対策も紹介

日常生活のなかで借金や離婚など、さまざまなトラブルに巻き込まれることがあります。これらのトラブルが発生したとき、弁護士は力強い味方になってくれます。さらに、日本ではいろいろなことに対して税金がかかります。

離婚する際、慰謝料や財産分与といったお金の問題が発生しますが、離婚で生ずる利益にも税金がかかるものがあります。税金関連の問題についても弁護士は相談に乗ってくれますが、あらかじめ相談者も知識として知っておくとより有益な話し合いができます。

この記事では財産分与など離婚で発生する税金について解説します。

目次
  1. 離婚に伴ってかかる税金
  2. 税金の対象になる財産分与や項目
    1. 不動産
    2. 有価証券
    3. 高価な美術品
    4. 一部の慰謝料や養育費
  3. 離婚に伴う税金対策
    1. 離婚する時期
    2. 不動産名義変更(売却)は離婚後に行う
    3. 特別控除
    4. ひとり親控除・寡婦控除
  4. まとめ

離婚に伴ってかかる税金

離婚では財産分与や不動産の名義変更などさまざまな手続きが発生します。財産分与とは、婚姻中の共有財産を夫婦で公平にわけることです。

財産分与の対象となるものにはさまざまなものがありますが、課税の対象となる項目には以下のようなものがあります。

  • 不動産
  • 有価証券
  • 高価な美術品
  • 一部の慰謝料や養育費

財産を支払う側は、これらすべてに対して譲渡所得税が発生することがあります。また財産を受け取る側にも税金が発生することがあります。例えば不動産に関しては「固定資産税」「登録免許税」「不動産取得税」がかかる可能性があります。

何に対してどのような税金がかかるのかについては次の章で解説していきます。

税金の対象になる財産分与や項目

税金の対象になる財産分与や項目

財産分与による課税ですが、受け取った財産すべてに必ず課税されるというわけではありません。課税されるケースはいくつかありますが、課税対象となる可能性があるのは、不動産、株式などの有価証券、高額な美術品などがあります。

金銭で受け取る場合は基本課税されませんが、金銭以外の形で財産を受け取る際には注意が必要です。

不動産

住居や土地といった不動産の財産分与の際は基本的に次の4つの税金がかかることになります。

  • 不動産取得税
  • 固定資産税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税

ただし、これらの税金もケースによっては課税されない場合もあります。
それぞれがどのような税金なのか次で詳しく紹介します。

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産の所有権を得た際に都道府県から課せられる地方税の1つです。

基本的に財産分与で不動産を得た場合、不動産取得税は発生しません。財産分与は財産を清算する性質を持つものです。そのため、財産分与は本来持っているものの所有権を明確にしただけにすぎないからです。

では不動産取得税が発生するのはどのようなケースなのでしょうか。不動産取得税が発生するのは以下のいずれかのケースになります。

  • 離婚の原因がどちらか一方にある離婚で、慰謝料を不動産で支払う場合
  • どちらか一方が離婚して生活に困窮するという場合に行う「扶養的財産分与」

この扶養的財産分与とは、離婚時に財産を公平に分ける財産分与とは異なります。後者の財産分与は清算的財産分与といい、一般的に財産分与といえばこの清算的財産分与のことを指すことが多いです。

固定資産税

不動産を所有すると固定資産税がかかります。対象となるのは毎年1月1日時点の不動産所有者です。

固定資産税の金額は「固定資産評価額×1.4%(標準税率)」となっています。固定資産評価額とは、固定資産評価証明書に記載されているほか、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に付いている「課税明細書」などで知ることができます。

固定資産評価額3,000万円の不動産を所有する場合は次のように計算されます。
例:3,000万円×1.4%=42万円

年度の途中で離婚して財産分与される場合は、その年度の固定資産税をどういう形で分担するかも話し合う必要があります。

登録免許税

登録免許税は不動産などの登記や登録に対して課税される税金です。

ケースによって税率が変わりますが、離婚による財産分与の際は「固定資産評価額×2.0%」となっています。

3,000万円(固定資産評価額)の不動産を財産分与で受け取ったケースであれば、次の計算式となります。
例:3,000万円×2.0%=60万円

高額になりがちな登録免許税を惜しんで、名義変更しないまま離婚するケースは少なくありません。

しかし、後々トラブルの元になるので、登録免許税の支払いをどうするのかは離婚時にしっかりと話し合いましょう。

譲渡所得税

冒頭で説明したとおり、不動産や有価証券の譲渡の際は譲渡所得税が発生することがあります。注意しなくてはいけないのは、譲渡所得税は「財産分与をする側」に課せられる税金であるということです。

なぜ財産分与をする側に税金が課せられるのでしょうか。

実は、譲渡所得税が発生するのは「土地や建物の売却時の価格が購入時よりも高い場合」です。譲渡所得税はこの差額部分に対して課税されるというわけです。

有価証券

株式などの有価証券については通常、現金化してから財産分与することが多いです。現金化すれば課税されることはありません。しかし、現金化せずに財産分与する場合は有価証券を渡す側に対して譲渡所得税が課せられることがあります。

有価証券を現金化せず、そのまま受け渡す場合の譲渡所得税の計算方法については弁護士に相談しましょう。

高価な美術品

高価な美術品も、株式と同じように譲渡所得税がかかることがあります。

美術品に対する譲渡所得税の計算は複雑ですので、弁護士に相談することが大切です。

一部の慰謝料や養育費

慰謝料や養育費は原則的に非課税です。しかし、一般的な基準よりもはるかに高額であった場合は受け取った側に贈与税が課税されることがあります。この場合、受け取ったお金全額に課税されるわけではなく、一般的な基準を超過したとみなされる部分に対してのみ課税されます。

養育費を一括払いで支払う場合などは、贈与税が課税される可能性が高いので、事前に弁護士などに相談しましょう。

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離婚に伴う税金対策

離婚に伴う税金対策
離婚時に発生する税金は、さまざまな方法で節税が可能です。一般的に行われる節税対策は、以下の4つとなっています。

  • 離婚する時期
  • 不動産名義変更(売却)は離婚後に行う
  • 特別控除
  • ひとり親控除・寡婦控除

どれも特別難しい手段ではなく、比較的簡単に行える節税方法です。詳細は次の項で解説します。

離婚する時期

離婚は1年を通して行えるものではありますが、それに適した時期というのがあります。税金の観点で離婚に最も適している日は年始めの1月1日になります。元日ということでめでたい日といわれますが離婚には最適なのです。

これには婚姻時に適用される配偶者控除の計算が関係しています。配偶者控除は申告年の12月31日時点で控除対象となる配偶者がいるかどうかで決定されます。翌日の1月1日に離婚すれば、対象となる年は配偶者控除が適用されるため、税金面で得をするわけです。

不動産名義変更(売却)は離婚後に行う

財産分与で不動産を受け取る場合は名義変更を行う必要があります。このとき、離婚後に名義変更を行うことで節税になります。なぜ離婚後に名義変更することが節税になるのでしょうか。

離婚後の財産分与で受け取った財産は、基本的に贈与税が課税されません。しかし、離婚前の不動産の名義変更は贈与とみなされ、贈与税が発生してしまいます。ただし、離婚前であっても配偶者控除の適用条件を満たしていれば、2,000万円までは非課税となります。

離婚前に合意していたとしても財産分与の恩恵を受けられるのは離婚後になります。法務局で名義変更する場合でも、離婚前には財産分与を原因とする所有権移転登記はできません。もし離婚前に手続きを取った場合は贈与税が発生するため注意が必要です。

特別控除

財産分与の特別控除を利用するのも節税対策の一つです。特別控除とは、自宅などの住居用不動産を売却して現金化し、得た利益を分配した金額が3,000万円までは譲渡所得税が非課税となる制度です。ただし、この制度は離婚前の夫婦には適用できません。

離婚後に財産分与を行う場合はこの特別控除を適用できるため、利益が3,000万円以下になることがわかっているのであれば特別控除による節税が可能です。

ひとり親控除・寡婦控除

離婚で受けられるひとり親控除や寡婦控除も節税対策の一つです。納税者がひとり親や寡婦(離婚したり死別した女性)にあたる場合には、所得控除を受けることができます。

かつて同種の制度として「寡婦(寡夫)控除」がありましたが、令和2年に制度内容が変更となり、「ひとり親控除」と「寡婦控除」となりました。

ひとり親控除とは、婚姻をしていないこと又は配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の三つの要件の全てに当てはまる場合に適用されます。

  1. その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
  2. 生計を一にする子がいること(総所得金額が48万円以下であり、他の人の同一整形配偶者や扶養親族になっていない者に限る。)
  3. 合計所得金額が500万円以下であること。

ひとり親に該当する場合、控除される金額は35万円になります。

また、ひとり親に該当しない場合でも、合計所得金額が500万円以下の者で、以下の条件のいずれかに該当する場合には、寡婦控除が認められることになります。

  1. 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる者(総所得金額が48万円以下であり、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない者に限る。)
  2. 夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死が明らかでない者

寡婦に該当する場合,控除される金額は27万円になります。

ひとり親控除では性別の制限はありませんが、寡婦控除は女性のみが対象です。

また、それぞれの条件に当てはまるか否かは、その年の12月31日時点での状況で判断されます。

【令和2年度税制改正について】
※寡婦控除及びひとり親控除は、令和元年以前は寡婦(寡夫)控除と呼ばれていました。令和2年度税制改正により、適用対象に以下のような変化がありました。

【女性の場合】

  1. 従来は35万円の所得控除の対象となるためには、離婚・死別・生死不明が要件とされていましたが、新制度では未婚のひとり親もその対象となりました。
  2. 新制度では扶養親族である子の対象を総所得金額が38万円以下の者とする制限もなくなったため、控除の適用範囲が拡大されています。しかし、
  3. 合計所得金額が500万円を超える方が寡婦控除の対象外となったため、所得金額が500万円を超える方は、従来控除を受けていた場合にも令和2年からは寡婦控除の対象外となります。

【男性の場合】

  1. 離婚・死別・生死不明のみならず、新制度では未婚のひとり親も控除の対象とされました。
  2. 「生計を一にする子」の総所得金額の要件も38万円以下から48万円以下に拡大されました。
  3. 所得控除の金額が27万円から35万円に拡大されました。

令和2年の制度変更は男性にとっては、全面的に有利な改正となっています。

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まとめ

離婚で発生する税金は金額が大きくなりやすいため、課税されることを知らずに放置していると後々多大な請求をされる可能性があります。一方、離婚で発生する税金はうまく進めていけば節税することもできます。

今回紹介した制度などをしっかり使って、離婚時の税金を少しでも軽減できるようにしましょう。ただし、離婚では課税されるかの判断に迷うケースや計算方法が複雑なものも多くあります。

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