弁護士に依頼するときの費用と流れ|断られないための注意点も紹介
離婚や金銭トラブル、相続問題からご近所トラブルなど、日常生活にはさまざまなトラブルがあります。
これらのトラブルに巻き込まれてしまったときに強い味方となってくれるのが弁護士です。弁護士に依頼すると多くのメリットがあります。
早期の問題解決には弁護士に相談すると良いですが、気になるのは依頼方法や料金などですよね。
この記事では弁護士に依頼するための費用や流れ、依頼時に弁護士から断られないためのコツなどを紹介します
- 目次
弁護士に依頼するのに必要な費用
弁護士に依頼をするとき、最初に気になるのはその費用です。普段はあまり関わり合いのない職業ということで、その費用について知っている方は少ないでしょう。
一般的に弁護士に依頼する際の費用の内訳は次のようになります。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 実費
- 日当
このように弁護士費用にはいくつもの種類があります。これらの費用はそれぞれ支払うタイミングが異なります。タイミングや金額の相場は次のようなものです。
なお、以下の例は離婚相談についての相場になります。
相談料
相談料は依頼の相談をすると発生するもので、相場は30分5,000~10,000円程度となっています。
最近では初回無料や依頼内容で無料にする弁護士も増えています。
着手金
着手金は、弁護士と契約を結ぶと発生する費用で、事件解決が成功しても失敗も必ず発生する費用です。相場は弁護士によって違い、200,000~300,000円程度が目安です。
着手金は弁護士に依頼をするならば必ず用意しておかなければならない費用となります。
報酬金
報酬金は事件解決が成功した際に発生する費用で、成功報酬とも呼ばれます。金額は契約次第で大きく変わってきます。
事件解決で得られた経済的利益によって額が変わり、得られた利益の10~16%が目安と言われています。この割合もまた契約次第で変わるため、必ず事前に確認しましょう。
実費
実費は、事件解決のために活動するなかで発生するさまざまな雑費です。
調停や裁判を起こす際などは、裁判所に書類を郵送したりしますが、その郵送代や手続きに必要な収入印紙代、事務手数料、記録謄写費用などがあります。
また、弁護士が裁判所に行く際にかかる交通費や宿泊費もここに含まれます。
日当
日当は、弁護士が事務所を離れて活動する際に発生する費用です。主に遠方の裁判所などに行く場合に発生し、半日以上の活動で費用が発生します。
具体的な金額については、出張する距離によっても変わってくるため、一概には言えません。実費に含まれる交通費や宿泊費などとは別途支払うことが多いです。
費用以外に準備しておくといいもの
依頼をする際には、費用の以外に次のようなものを用意しておくと良いでしょう。
- 相談内容の整理
- 事案に関する資料
- 身分証明書
- 印鑑
まず、相談内容を事前に整理したメモなどです。相談時間は有限ですから、効率良く話をするためにも、事前にどういったことを相談するのか整理しておきます。
相談したいことや要望などをメモにしておきましょう。
次に事案に関する資料です。事案の時系列や証拠となるものをできるだけ多く持っていきましょう。
一見資料にならなさそうなものであっても弁護士から見れば重要な証拠になることもあります。
身分証や印鑑は契約時に必要となるものですから、これを忘れると契約ができません。すぐに着手してもらいたいのであれば、忘れず用意しておきましょう。
弁護士への依頼の流れ
実際に弁護士へ依頼をする際の流れは、おおむね次のようになります。
- 弁護士を探す・選ぶ
- 弁護士に相談する
- 契約を結ぶ
- 着手金を支払う
- 交渉/調停/訴訟
- 報酬金を支払う
以降ではそれぞれの項目ごとに詳しく解説していきましょう。
弁護士を探す・選ぶ
まず最初にするべきは、依頼する弁護士を見つけることです。
日本には男女合わせておよそ40,000人の弁護士がいますが、このなかから問題解決に最適な弁護士を選ばなくてはなりません。
この章では弁護士の選び方・探し方を紹介します。
弁護士の探し方
弁護士は以下のようにさまざまな方法で探すことができます。
- 知人に紹介してもらう
- 弁護士会の会員検索から探す
- 弁護士会の法律相談窓口を利用する
- 法テラス(日本司法支援センター)を利用する
- インターネットで検索する
- タウンページやチラシで調べる
知人に紹介してもらう
1つめは知人からの紹介です。信頼できる人からの紹介という点では良い弁護士を選びやすい方法です。
しかし、相性というものがありますので、知人にとっては良い弁護士でも自分にとって良い弁護士かはわかりません。
弁護士会の会員検索から探す
2つめは弁護士会から検索する方法です。各弁護士会のサイトでは、所属する弁護士の検索が可能となっています。
弁護士会は地域別になっているので利用しやすい地域の弁護士を探すことができます。
弁護士会の法律相談窓口や法テラス(日本司法支援センター)を利用する
3つめと4つめは、弁護士会や法テラスの法律相談窓口を利用する方法です。自分で探すのではなく、弁護士会や法テラスから紹介してもらう形になります。
インターネットで検索する
5つめはインターネットで直接弁護士事務所を検索する方法です。ネットが普及した現在では一番早くて簡単な方法で、慣れた人であれば即日で相談や依頼まですることができるでしょう。
タウンページやチラシで調べる
6つめは、タウンページやチラシで調べる方法です。これは基本的にお住まいの地域の近くで活動している弁護士が見つけられます。インターネットなどと組み合わせて使うと良いでしょう。
弁護士の選び方
弁護士の探し方がわかったら自分に合った弁護士を選びます。その際は以下のポイントを考慮して選びましょう。
- 相談内容が得意分野か
- 料金が明確で納得できる金額か
- 自分と相性が合うか
相談内容が得意分野か
1つめですが、弁護士は基本的にどのような問題でも解決してくれますが、やはり経験や知識次第で得意分野というものが出てきます。
相談内容に強い弁護士を選びましょう。何が得意かはホームページで調べたり、直接電話で聞いてもかまいません。
料金が明確で納得できる金額か
2つめは料金です。
弁護士によって同じ相談内容であっても料金に大きく差があり、なかにはわかりづらく高額な設定にしていることもあります。
料金が明確で相場に近く納得できる金額かをしっかり確認しましょう。
自分と相性が合うか
3つめは自分との相性です。評判の良い弁護士でも、自分と相性が悪ければ衝突してしまうことがあります。
ホームページやブログ、最終的には実際に話をしてみて、相性が良さそうな方を選ぶようにしましょう。
弁護士に相談する
実際に弁護士と相談するときは次のポイントを重視しましょう。
- 嘘をつかない
- 費用の見積もりをもらう
- 複数の弁護士を比較する
嘘をつかない
必ず守らなければいけないのは弁護士に嘘をつかないことです。自分にとって不利になりそうなことを隠して相談する人も多いですが、これは信頼関係を損ね、正常な解決を妨げる行為です。
契約後に嘘が発覚した場合、契約解除や契約無効となることもあります。
費用の見積もりをもらう
次に、費用の見積もりをもらうことです。弁護士によって費用は違うため、なかには相場よりもはるかに高額な料金設定にしているところもあります。
その料金が正当かどうかを確認するためにも、まずは見積もりを出してもらいましょう。
複数の弁護士を比較する
最後に複数の弁護士と比較することです。弁護士による法律知識の解釈や運用は必ずしも1つではありません。
依頼する弁護士によって最終的な結果も違ってきますから、必ず複数の弁護士と比較して良い結果を望める人を選びましょう。
契約を結ぶ
弁護士と契約を結ぶ際には必ず委任契約書を作成します。
委任契約書は、どのような事件をどのような金額で弁護士に委任するかを記載しているものです。
委任契約書を取り交わす際には、以下の点に注意しましょう。
- 事件が正しく記載されているか
- 委任する範囲は正しいか
- 報酬金の金額
これらの委任内容に間違いがないか、依頼前に必ず確認しましょう。途中で委任契約書作成当時と別の事件だと判断された場合は、別途新しい契約を結ぶ必要があります
着手金を支払う
弁護士を利用する際、依頼内容に着手する前にも費用が発生します。
着手前の費用は主に次の2つです。
- 相談料
- 着手金
相談料は契約前の相談時に発生するものです。前述のように弁護士によっては無料としていることがありますので、必ず発生するというわけではありません。
着手金は契約時に発生するものです。これは必ず発生するうえ、仕事の成功不成功に関わらず返却されることはありません。
基本的には一括払いですが、分割払いなどに対応してくれる場合もあります。
交渉/調停/訴訟
依頼を受けると、事件解決のために弁護士は以下の手順で仕事を進めます。
- 交渉
- 調停
- 訴訟
交渉
相手との交渉から弁護士に依頼すると、弁護士が窓口となって相手との話し合いを行います。
基本的にはお互いの言い分や要望をまとめた書類を送ったり、必要に応じて面談するという形で進めていきます。この段階で離婚が成立しない場合は調停に進むことになります。
調停
調停とは裁判所で調停委員を間に挟んで行う交渉です。
調停は非公開の会議室にて行われ、相手方と入れ替わりで調停委員に説明を行い、調停委員を介して言い分や要望をやり取りします。
調停が開かれるのは月に1回程度です。まったく協議ができない場合は、数回で打ち切られることもありますが、長い場合は1年以上におよぶこともあります。
訴訟
訴訟とは法廷で裁判官に離婚などの可否を判断してもらうものです。交渉や調停と違い、当事者同士の話し合いではなくなります。
お互いに言い分を立証する証拠を提出するなどして、自分の主張をを立証していきます。
第一審の判決が出るまでに約1年ほどかかることが多く、さらに長引くこともあります。
報酬金を支払う
事件が解決すれば、最後に以下の費用を払います。
- 報酬金
- 実費
- 日当
報酬金は、事前に取り交わした委任契約書に基づいて支払われます。
成功報酬型で契約している場合は、結果によって支払い額が変わるため、失敗に終わった場合は支払う必要がないこともあります。
実費、日当に関しては、前述したようにかかった分だけ支払うことになります。
依頼を断られる理由と注意点
弁護士は、依頼をすれば必ず受けてくれるわけではありません。
場合によっては依頼を断られてしまうこともあり、次のようなケースは断られることもあります。
- 費用倒れしてしまう
- 勝てる見込みがない
- 業務の範囲外/得意分野でない
- 利益相反行為になる
- 依頼者と信頼関係を築けないと判断した
費用倒れしてしまう
弁護士に依頼して得られる利益より弁護士費用が上回る場合、弁護士は相談者のことを考えて依頼をお断りすることがあります。
ただし、依頼して得られる利益とは相談者によって異なってきます。
自分自身でどのようなゴールを希望するのか弁護士に伝え、その希望と、弁護士費用が見合うものか十分にご検討ください。
勝てる見込みがない
相談者の希望が法的に達成困難な場合、依頼をお断りすることもあります。
どの程度困難な事件かは、事前相談である程度予想がつきます。適切な情報や資料を渡し、妥協できるところは妥協するなどすることで、受任してくれる可能性も高くなります。
業務の範囲外/得意分野でない
依頼した内容が弁護士の業務の範囲外だったり、得意分野でない場合も依頼を断ることがあります。
弁護士の得意分野や範囲業務はネットなどでも簡単に調べられます。自分の相談内容と照らし合わせ、事前にその専門家を選べば問題ありません。
利益相反行為になる
利益相反行為とは、すでに契約中の依頼主に不利益をもたらす契約を結ぶことです。
例えば離婚する相手が同じ弁護士に依頼していた場合などが該当します。この場合は別の弁護士に依頼するしかありません。
依頼者と信頼関係を築けないと判断した
弁護士は、依頼者の相談時の対応で信頼を築けるかどうかを見極めます。アドバイスに従わなかったり、連絡が取りにくい依頼主からの依頼は断られることがあります。
自分の相談姿勢を見直し、可能な限り冷静に会話をすれば信頼を築きやすくなります。
まとめ
弁護士に依頼する場合、さまざまな手間や費用がかかります。弁護士にもさまざまな方がいますので、ここで説明したポイントを踏まえて選ぶようにしましょう。
しかし、実際は会って話してみなければどのような弁護士かわかりません。
大事なのは、「まず相談してみる」ことです。
弁護士に相談する際、わからないことがあれば積極的に質問しましょう。信頼のできる弁護士に依頼することが問題解決へ繋がります。
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当サイトのようなポータルサイトは地域や条件によって弁護士を検索することができますので、ご活用ください。
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