夫婦が離婚する原因ランキング|最も多い理由は“性格の不一致”!
近年、若い夫婦だけではなく、熟年夫婦でも離婚という生き方を選ぶ方が増えています。そこにはさまざまな背景があると考えられますが、原因はどこにあるのでしょうか。
この記事では、離婚の原因を男女別に分類し、ランキング形式で紹介します。
離婚しようか迷っている方はもちろんのこと、離婚したくないという方もこれらの原因を知り、自分にとって最良の結果を得るための参考にしてみてください。
- 目次
夫婦が離婚する原因ランキング
まず、令和元年度の司法統計年鑑のランキングに基づき、何が離婚の原因になっているのかを男女別に見ていきます。
男性の離婚原因ランキング
男性の離婚原因は以下のようになっています。ひとつひとつの原因について順番に解説していきましょう。
参考:司法統計年報「家事 令和元年度 19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/274/011274.pdf)」※1
1位 性格の不一致(性格が合わない)
「性格なんて結婚前から分かるはず!」と思う方は多いでしょう。
実は「性格が合わない」というのは世間に対するタテマエで、本当は妻の異性問題だったり暴力だったりすることも、少なくはありません。
ただし、「性格が合わない」ことのみを理由に離婚するのは困難です。
法的に離婚が認められるためには、性格の不一致により夫婦生活が破綻しており、さらに将来的にも修復の見込みがないことを証明しなくてはいけません。
2位 精神的に虐待する
妻から「給料が少ない」とか「デブ」などの暴言を吐かれ続けたら、夫はどう思うでしょうか。
次第にストレスが溜まっていき「こんな女性とは一緒に暮らせない」となるかもしれません。
また、相手の痛いところを過剰に責め続ける女性とは一生を共にする自信がないと思うかもしれません。
そもそもこれらの暴言は精神的なDVに該当する恐れがあります。そのため、立証できれば離婚理由として認められる可能性があります。
3位 異性関係
実際に妻が誰かと浮気している、あるいは自分以外の男性に惹かれているなどの事実が発覚したら、夫婦関係は最悪修復不可能になってしまうでしょう。
ここで妻が謝罪して生活を改め、夫がそれを許した場合は、まだ修復の可能性は十分にあります。
しかし、妻の生活態度に反省の色が見られなかったり、逆に開き直ったりした場合では、夫としては離婚を考えざるを得なくなりますよね。
もちろん、子供がいる場合、子供のために我慢をして結婚生活を続ける人もいます。
しかし、限度を超えれば男性としてのプライドが傷つきますし、不誠実な態度をとる妻に対し次第に愛情もなくなり共に暮らす意味がなくなってしまいます。
4位 家族親族と折り合いが悪い
夫としては、自分の家族・親族と妻が仲良く楽しくやってくれることが理想でしょう。
しかし、核家族化が進んだ現在では、相手の親や親族と同居したりする家庭も少ないうえに、人間同士の相性もあり、妻が努力していても、夫の親族との折り合いが悪くなることは実際にあります。
このような場合、夫が仲裁することで解決の糸口が見えるかもしれません。
しかし、妻が一方的に夫の親族を毛嫌いするような態度をとったり、夫が関係修復に努めなかったり、あるいは状況次第では夫が夫の親族との付き合い方を考え直さなければ、夫婦関係にも影響をおよぼす恐れがあります。
なお、家族・親族間の問題は第三者が判別しにくい問題でもあり、夫の誤解だったということもありえるため、慎重に見極めなくてはなりません。
5位 浪費する
どこからが浪費なのかということについては線引きがなく、判断が難しいかもしれません。
しかし、収支と支出のバランスを考えず、分不相応な買い物を続けるようでは夫婦関係が成り立ちません。
化粧品や衣類などは女性の身だしなみにとって大切なものなので、それらの購入費用を浪費だと考えるのは厳しすぎるかもしれません。
しかし、生活が圧迫するほど分不相応な物を買い漁る、あるいは不必要と思われるものにお金を使い続ける、ギャンブルに通い詰める、などは浪費と考えることができるでしょう。
一度注意したことで妻が収支と支出のバランスを考えて生活を改めれば、解決の糸口が見つかるかもしれません。
6位 性的不調和
他人に相談できない悩みといえば、夫婦の性的不調和です。
性行為に関しては双方の合意が重要なので、互いに歩み寄りクリアできれば離婚にまで発展することはないという考え方もできます。
しかし、妻があからさまに嫌な態度を示した場合では、「もう自分に対して冷めてしまった」「他に男性ができたのでは?」と疑っても仕方ありません。
こうなると修復が難しくなり、離婚に至るケースもあります。
7位 暴力を振るう
妻から一方的に暴力を振るわれる生活が続いたら、夫の心と身体はボロボロに傷ついてしまいます。
また、子供に暴力を振るう母親(妻)から、父親(夫)が子供を引き取って離婚するケースがあります。
8位 同居に応じない
夫婦が結婚したら、同じ住居で暮らすのが基本ですが、何らかの理由で夫との同居を拒否する妻もいるようです。
転勤や入院などやむを得ない理由を除き、法的には夫婦は同居する義務があります。
そのため、正当な理由がなく同居を拒み続ければ離婚の原因になります。
9位 家庭を捨てて省みない
以前は男性がワーカホリックで家事や育児に一切関与しないことも少なくありませんでした。
近年では女性の社会進出も増え、夫婦で協力し合わなければいけないことが増える一方、「妻が家のことを全くしない」といったケースも見られます。
ここで妻が考え方を改め互いに協力し合えれば解決の可能性がありますが、そうでなければ関係の修復は難しいでしょう。
10位 生活費を渡さない
小遣い制を取り入れている夫婦の間で起こりやすいのが、妻が夫に小遣い(生活費)を渡さないというケースです。
妻が家計を考えてくれるのはありがたいことですが、自由が効かないというのも問題です。
もちろん、カードで支払う手もありますが、現金が手元にないというのは何とも心もとないです。
この問題は話し合いで解決することもありますが、折り合いがつかずこじれることもあるでしょう。
夫と妻は財産を共有しているので、夫は生活費を請求する権利があります。それでも妻が生活費を渡してくれなければ、離婚理由になり得ます。
女性の離婚原因ランキング
男性には男性の不満があるでしょう。しかし、女性にも女性の不満があるのです。ここからは、女性の離婚ランキングを紹介していきます。
出典:司法統計年報「家事 令和元年度 19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/274/011274.pdf)」※1
1位 性格の不一致(性格が合わない)
女性の離婚原因第1位も、男性と同じく性格の不一致となっています。
女性の場合では、結婚後にいきなり上から目線になった夫や、年齢とともにキレやすくなった夫に対して失望することなどが挙げられます。
しかし、女性もまた、夫の異性問題や暴力など他人に言いづらい理由を「性格が合わない」と表現する場合は多いです。
世間体を気にして離婚理由を「性格が合わない」とすることも多いという事情があるのです。
2位 生活費を渡さない
共働きの場合では、夫が妻に生活費を渡さず、妻の収入だけで生活費をまかなっていることが離婚の原因になることがあります。
また、夫の不貞などで夫の気持ちが妻や家族から離れて生活費を入れなくなり、離婚に至るケースもあります。
夫の勝手な都合によって生活費を渡してもらえない場合、離婚理由として認められる可能性があります。
3位 精神的に虐待する
たいしたことではない間違いをネチネチといつまでも責め立てる。人格を否定する。
このように妻を精神的に追い詰める夫と暮らすのは、かなり難しいことです。
しかし、精神的DVをする人というのは、自分が加害者であるという自覚がないため、なかなか離婚に応じてくれず調停でこじれるケースもあるようです。
4位 暴力を振るう
夫からの身体的暴力(DV)で離婚するケースもあります。
しかし、DV夫は外では愛想が良い傾向があり、周囲が夫のDVに気付くことなく妻だけが傷付いて泣き寝入りしてしまうケースはも少なくありません
最悪の場合、DVで生命をおびやかす可能性もあります。警察や専門家に相談し、加害者から逃げることを考えましょう。
5位 異性関係
民法第770条には離婚ができる条件として5つの項目が記載されており、最初に来るのが「配偶者に不貞な行為があったとき」です。
つまり、不貞行為は離婚原因として認められるということです。
また、風俗店の女性に夫が熱を上げて、お店に通い詰めるようになったときも離婚原因になる恐れがあります。
特定の女性目当てでそのようなお店に通い続けたとしても、女性と不貞関係がなければ離婚や慰謝料請求の対象にならないことが多いですが、妻としては、夫に対して止めてほしいと言い続けていたにもかかわらず夫が改めなかったというような事情があれば、離婚や慰謝料請求の対象となる可能性があります。
また、実際に不貞関係があってそれが発覚したときには、離婚や慰謝料請求の対象になります。
なお、それらのお店に通うことが家庭の経済を圧迫し、夫婦関係の危機をもたらす原因になっているのなら、別の角度から慰謝料を請求できる可能性もあるでしょう。
6位 浪費する
趣味を持つというのは大変素晴らしいことです。ただ、妻に節約を強要して自分は好きな趣味にお金をかけ放題という状況では、家庭は成り立ちません。
もちろん、浪費を繰り返す夫にとってはそれが大切な趣味にかけるお金であるため、浪費だという自覚がありません。
しかし、妻に節約を強要して、なおかつ趣味にかかっているお金が家庭内の経済を圧迫している状況なら、離婚原因の一つになるでしょう。
7位 家庭を捨てて省みない
夫が家庭を省みなくなる原因の多くは女性問題です。
妻への気持ちが冷めてしまう原因には、「子供が生まれてから自分をかまってくれない」「子供が生まれてから性行為の回数が減った」などがありますが、このような言い訳はなかなか通りません。
何か問題があったとき、お互いに歩み寄るというのが夫婦の基本原則です。
これに反する状況が長引くようなら「家庭を捨てて省みない」と見なされ、離婚に発展するケースもあります。
もちろん、「浮気もせず、ちゃんと生活費を入れている」という場合であっても、家庭を顧みない夫に対して気持ちが冷め、離婚を突きつけるケースもあります。
8位 性的不調和
夫婦生活において、性の問題は切っても切れません。
仕事が多忙などを理由にして、夫からセックスを拒まれては妻の精神的ショックも大きいでしょう。逆に応じたくない性行為を迫られ続けるのも負担になります。
また、単にセックスをしたくないのではなく、夫側が「子供がほしくない」といった理由で性行為を拒むこともあります。
9位 家族親族と折り合いが悪い
夫婦生活を継続するためには、妻の親族との関係も大切です。
離れて暮らしていれば良いのですが、義両親と同居することになると関係も悪化しやすくなります。
家族親族との折り合いが悪くなると、夫婦関係に影響をおよぼす恐れがあるのです。
10位 酒を飲み過ぎる
お酒を飲みすぎて怠惰な生活になってしまったり、会社を解雇されたり、飲酒代が家庭の経済を圧迫したりするような状況になってしまったら、最終手段として離婚を考えなくてはならないでしょう。
さらに、酔っぱらった状態で暴力を振るわれることもあります。
暴力を振るわれる場合は逃げることを考えましょう。また、深酒の習慣は専門的なカウンセリングや投薬で改善するという方法もあります。
もし離婚をすぐに決めたくないのなら、夫を説得してカウンセリングや投薬で様子を見るというのもひとつの方法です。
全体の離婚率の統計
以下の表は、厚生労働省が発表した直近の婚姻率や離婚率をまとめたものです。この表によると、2020年はおよそ1,000人に対して1.57人が離婚していることになります。
2010年から2020年までの推移を確認してみると、年々離婚率が下がっていますが、婚姻率も下がっていることがわかります。
参考:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況 第2表-2 人口動態総覧(率)の年次推移(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei20/dl/05_h2-2.pdf)」※2
子供の有無別の離婚率
少し古いデータにはなりますが、厚生労働省が発表している「離婚に関する統計(2009年度版)」によると、2008年の離婚数の総数は実に25万1136人、そのうち未成熟の子供がいる夫婦の離婚数は14万3834人、未成熟の子供がいない夫婦では10万7302人となっており、未成熟子がいる夫婦の離婚率のほうが若干高いことが分かります。
しかし、子なし夫婦自体が少ないことや「離婚率は結婚から5年以内が多い」とも言われており、子供の有無が離婚におよぼす影響については不明です。
参考:厚生労働省「平成21年度 離婚に関する統計(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/02.html)」※3
熟年夫婦の離婚原因
熟年離婚の場合、離婚の原因はどのようなものが多いのでしょうか。
夫の定年退職
夫が会社員だった頃には自由時間があった妻でも、夫が定年退職をして家にいると、いろいろな用事を言いつけられたり文句を言われたりして、自分の時間が減るだけでなく、心の自由も奪われることが少なくありません。
また、夫は夫で「今まで頑張ってきたのだから、少々のわがままは許されるだろう」という心理が働くため、妻に横柄な態度を取ってしまうこともあるのでしょう。
これらの事柄は話し合いで解決することもありますが、ちょっとしたことから夫婦の溝が深まって離婚に至るケースが多いようです。
子供の自立
「子はかすがい」という言葉からも分かるように、夫婦仲が多少ギクシャクしていたとしても子供のために頑張っていた夫婦は多いはずです。
しかし、年月が流れて子供が独立してしまうと、仲を取り持っていた子供がいなくなって関係性が崩れてしまい離婚に至るケースがあります。
親の介護問題
夫婦円満であれば、夫婦で協力し合って双方の親を介護するでしょう。
しかし、夫婦仲にヒビが入っている場合は、お互いに「義親の介護は真っ平御免」ということで、離婚になることがあります。
ほかにも、義親の介護を一方のみが担っており、配偶者が協力的でない場合に、ストレスやすれ違いが発生して離婚に発展するケースもあります。
女性の自立
昭和初期あたりではまだまだ女性の職業が少なく、女性が自立して一人で生計を立てることができませんでした。
しかし、現在では自立した女性が増え、夫がいなくても、生活できる女性が増えてきたことも熟年離婚が増えている大きな原因として考えられます。
若い夫婦の離婚原因
「成田離婚」という言葉が脚光を浴びた時期がありました。最近では「スピード離婚」という言葉が新たに台頭してきています。
この言葉は主として若い夫婦に当てはまると言われていますが、彼らが離婚する理由はどのようなところにあるのでしょうか。
できちゃった婚
できちゃった婚であっても、お互いに夫婦になったこと、そして親になったことをしっかりと自覚していれば、直ちにスピード離婚とはならないでしょう。
しかし、お互いの生活スタイルを理解していないまま、できちゃった婚をした場合では、夫婦でいることや親になった義務感が先行してしまい、慣れない生活に疲れてスピード離婚するケースが少なくないようです。
収入が少ない
若い夫婦の場合、互いに収入が少なく、経済的に困窮し、離婚に至るケースがあります。
「お金ならなんとかなるだろう」という甘い考えが離婚を招く、ということです。
まとめ
今回は、男女別の離婚理由や熟年・若年世代の離婚理由などについてご紹介してきました。
これらの原因を確認してみると、その中には双方の努力で解決できる問題もあることが分かります。
「離婚したい」と一度でも頭によぎると今すぐにでも離婚したくなりますが、それは最終手段です。
その前にできることは必ずあるはずです。
漠然と離婚を考えている方はもちろん、離婚に気持ちが大きく傾いている方も、今一度冷静になって本当に離婚しか手だてはないのか考えてみましょう。
「いろいろ努力したけれどやっぱり離婚したい」と思ったら、離婚に強い弁護士に相談しましょう。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
※1 司法統計年報「家事 令和元年度 19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」
※2 厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況 第2表-2 人口動態総覧(率)の年次推移」
※3 厚生労働省「平成21年度 離婚に関する統計」
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