離婚問題で相手方の弁護士から連絡が来たときの対処法と注意点

基礎知識
弁護士監修
離婚問題で相手方の弁護士から連絡が来たときの対処法と注意点

離婚する相手方の弁護士から連絡が来たら驚きますし、不安な気持ちでいっぱいになることもあります。

このとき、焦って対応を間違えてしまうとトラブルに発展したり、こちら側が不利になったりすることがあります。

この記事では、離婚する相手方の弁護士から連絡が来たらどう対処すれば良いのかについて解説します。

目次
  1. 離婚する相手方の弁護士からの連絡手段とは
  2. 相手方の弁護士から連絡があったからといって裁判になるとは限らない
  3. 離婚問題で相手方の弁護士から連絡があったときにしてはいけないこと
    1. 離婚する相手方の弁護士からの連絡を無視してはいけない
    2. 配偶者に直接連絡してはいけない
  4. 離婚する相手方の弁護士から連絡があったときの対処法
    1. 離婚する相手方の弁護士からの連絡内容を確認する
    2. 自分の主張を正確に伝える回答書を準備する
    3. 相手方の弁護士に連絡するには
    4. 離婚に応じたくないという場合も必ず相手方の弁護士に伝える
    5. 離婚する相手方の弁護士に返答する際は弁護士に相談
  5. 弁護士に相談する前に準備しておくこと
    1. 弁護士に相談したいことをまとめておく
    2. 証拠を集めておく
    3. 離婚する相手や弁護士からの郵便物を持参する
  6. 離婚の相手方への回答書-書式例-
  7. まとめ

☝この記事の内容を動画でも解説しています

離婚する相手方の弁護士からの連絡手段とは

離婚する相手方の弁護士からは「配達証明付き内容証明郵便(以下、内容証明郵便という)」で連絡が来るのが一般的です。

こちら側の住所がわからない場合や通知書を無視した場合などは電話で連絡が来ることもありますが、基本的には電話ではなく内容証明郵便などの手紙で連絡が来ます。

「書留でも良いのではないか」と思うかもしれません。

しかし、書留は郵便物が紛失したり損壊した場合に賠償をしたり、配達記録を証明してくれるものですので、「どういう内容の郵便物を送ったか」ということを証明することはできません。

どのような文書を送ったかを証拠として残したい場合は内容証明郵便を使うことになります。

一方、特別な事情もないのに、相手方の弁護士を名乗る人から電話がかかってきた場合は注意が必要です。

実は、架空あるいは実在の弁護士名を名乗り、金銭を騙し取る手口の詐欺も発生しているのです。

弁護士から電話がかかってきた場合、まずは電話口の相手が本当に弁護士なのかを確認する必要があります。

具体的には法律事務所の名称や氏名、所属弁護士会を確認し、受任通知書を送ってもらうように伝えましょう。弁護士が偽物なら連絡して来なくなるはずです。

受任通知書については後述します。

相手方の弁護士から連絡があったからといって裁判になるとは限らない

日常生活のなかで弁護士から連絡が来ることはなかなかありませんから、弁護士から連絡が来たら「大事になった」「裁判を起こされた」と勘違いするかもしれません。

もちろん、弁護士からどのような内容の通知書が来たかによります。

一般的には相手方から依頼された弁護士が、紛争の相手(今回は自分)に対して、「弁護士が依頼者の代理人になったこと」を知らせることを目的として通知書を送付します。

この通知を受任通知といいます。

離婚問題で相手方の弁護士から連絡があったときにしてはいけないこと

離婚する相手方の弁護士から内容証明郵便などで連絡が来たら、「今すぐどうにかしなければ」と思うかもしれません。このとき、まず冷静になることが重要です。

もし対応を間違えてしまうとトラブルに発展する可能性があります。以下で、相手方の弁護士から連絡があったときの対処法について見てきましょう。

離婚する相手方の弁護士からの連絡を無視してはいけない

相手方の弁護士からの連絡を無視するということはトラブルを放置することを意味します。

書面が届いているにも関わらず無視していると、直接弁護士から電話がかかってくることもあります。場合によっては訴訟を起こされてしまうなど、問題が泥沼化することもあります。

訴訟に発展すると長期化するだけでなく、経済的にも精神的にも当事者の負担は大きくなります。弁護士からの連絡は絶対に無視してはいけません。

配偶者に直接連絡してはいけない

相手方の弁護士から連絡が来たとしても、配偶者本人に直接連絡してはいけません。

弁護士が代理人となった場合、相手方との連絡は弁護士を通して行うよう要求されることがほとんどです。

弁護士を通さず、直接相手方に連絡を取ろうとすると以下のようなリスクがあります。

  • 心証が悪くなる
  • 自分が不利になる

弁護士を通して連絡してくれと要請しているにも関わらず、直接相手方に連絡しようとすれば「自己中心的」「節度がない」という印象を与えます。

また、相手方の主張する離婚理由がDVやモラハラであった場合、相手の要求を無視して直接連絡を取る行為により、「本当にDV(またはモラハラ)があったのではないか」と推認される恐れがあります。

これは離婚協議だけでなく、調停や裁判に進んだ場合も不利な要素となります。相手方との連絡は弁護士を通し、誠意ある対応を取りましょう。

離婚する相手方の弁護士から連絡があったときの対処法

離婚する相手方の弁護士から連絡があったときの対処法

相手方の弁護士から連絡があったらどう対処すれば良いのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。

離婚する相手方の弁護士からの連絡内容を確認する

弁護士から受任通知を受け取ったら不安になるのも仕方ありません。しかし、まずは冷静になって記載内容を確認し、相手方が何を請求しているのか理解することが大切です。

弁護士からの連絡内容を確認する際は以下の点に注意して確認しましょう。

  • 請求内容:何を請求しているのか
  • 請求理由:どういう理由で請求しているのか
  • 回答期限や回答の方法:いつまでに回答すべきか、どのように回答すべきか など

「離婚の相手方への回答書-書式例-」の項にて回答書の書式例を載せています。ぜひ参考にしてください。

自分の主張を正確に伝える回答書を準備する

通知書を確認し、内容を理解したら、自分の主張を正確に伝えるための回答書を準備します。

通知書を受け取った段階では、感情的になっていて冷静な判断ができていない可能性があります。冷静になってから再度内容を確認しましょう。

通知書には離婚について相手方が希望する要件や理由などが記載されています。何を請求されたかによって回答すべきことが異なるため、まずは相手方の主張をよく確認しましょう。

回答書に記載する内容の例を下記に挙げます。

  • 請求内容に対する反論:(慰謝料などを)払うことが困難、金額が高い、親権がほしい など
  • 事実に対する反論:記載内容が事実と異なる など
  • 回答期限や回答の方法などに対する反論:期限を延長してほしい、分割払いに変えてほしい など

このほか、こちら側が言いたいことがあればまとめておきましょう。

相手方の弁護士に連絡するには

相手方の弁護士に連絡したり、受け取った通知書に回答したりしようと思っても、どうやって連絡すれば良いかわからないこともあるでしょう。

受任通知には相手方の弁護士の連絡先が記載されているため、記載された連絡先に連絡することになります。相手方の弁護士に回答する際は以下の点に注意しましょう。

  • 通知書に記載してある期限内に回答する
  • 感情的にならない
  • 面談に応じるかどうかは慎重に判断する
  • 納得できない内容があれば受け入れてはいけない

通知書に記載している期限を過ぎて回答してしまうと、調停や裁判の手続きを進められてしまう可能性もあります。

回答期限があり、期限内の回答が困難な場合は相手方の弁護士に回答期限を延長してもらうように申し出ると良いでしょう。

このとき、期限内の回答が困難な理由や回答予定時期についても併せて伝えると良いでしょう。

さらに、相手方の弁護士が面談での交渉を申し入れてきた場合は注意が必要です。

弁護士との交渉自体緊張するものですが、相手方の弁護士の事務所で交渉すると相手のペースに飲まれてしまうこともあります。

また、交渉する際、相手方の弁護士の言い分に納得がいかない場合は受け入れてはいけません。もし合意書にサインするよう求められても絶対にサインしてはいけません。

話がまとまらない場合は帰宅し、弁護士に相談しましょう。

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離婚裁判は弁護士なしで大丈夫?費用やメリット・デメリットを解説

離婚に応じたくないという場合も必ず相手方の弁護士に伝える

請求された内容だけでなく、そもそも離婚に応じたくないということもあるでしょう。

この場合も、直接配偶者に連絡することは避け、相手方の弁護士に「直接配偶者と会って話したい」という連絡をしましょう。

相手はこちらとの接触を拒否しているため、ただ「会って話したい」というだけでなく、謝罪すべきところは謝罪し、譲歩できるところは譲歩することも併せて伝えることが重要です。

離婚する相手方の弁護士に返答する際は弁護士に相談

「弁護士と直接交渉するのが不安だ」という場合、こちら側も弁護士に依頼して弁護士同士で交渉してもらうと良いでしょう。

弁護士に依頼すれば離婚問題をどう進めれば良いかアドバイスしてもらえるだけでなく、相手方の弁護士との交渉も代行してもらえます。

また、弁護士なら相手方のペースに飲まれることもないため、交渉が不利になりにくくなります。

なお、弁護士に依頼せず、自分で相手方の弁護士に連絡する場合も事前に弁護士に相談するとトラブルを防ぐことにつながります。

弁護士に相談する前に準備しておくこと

弁護士に相談する前に準備しておくこと

弁護士に相談するなら事前に準備しておくことがあります。以下で見ていきましょう。

弁護士に相談したいことをまとめておく

弁護士との法律相談は時間が限られていることが多く、30分程度というのが一般的です。

たくさん話したい気持ちはわかりますが、相談したい内容に優先順位をつけ、時間内に収まるように要点をまとめてメモしておきましょう。

最近は「初回相談無料」という法律事務所も増えていますので、そういったところを活用するのも良いでしょう。

証拠を集めておく

離婚ではさまざまな証拠が必要になります。

例えば、相手方が不倫をしていた場合は不貞行為を証明できる証拠を集めておきましょう。

具体的には、不貞行為を示す写真や音声データ、領収書などになります。 DVの場合はケガの写真や診断書などが有効です。

また、離婚する際は夫婦の共有財産を分けることになるため、源泉徴収票や通帳など相手の財産を証明できるものをコピーして取っておきましょう。

離婚する相手や弁護士からの郵便物を持参する

離婚する相手や相手方の弁護士から受け取った郵便物も法律相談の際に持参しましょう。

送られてきた文書を弁護士が直接読むことで、相手の要求に対してどう対応すべきか判断しやすくなります。

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離婚に強い弁護士の選び方って?弁護士選びで失敗しないポイント。

離婚の相手方への回答書-書式例-

以下は相手方の弁護士から内容証明で連絡を受けたときに送付する回答書の書式例です。

回答書

まとめ

離婚する相手方の弁護士から連絡が来たときの対処法とやってはいけない行動について解説しました。

離婚する相手方の弁護士から連絡が来たら、記載内容をしっかり確認し、弁護士に相談することが大切です。弁護士に相談する際は離婚問題に強い弁護士を選びましょう。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士のポータルサイトです。

お住まいの地域や希望条件で弁護士を検索できますので、ぜひお役立てください。

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