訴えられたときの弁護士費用の相場【離婚】|民事訴訟で勝訴しても相手に請求はできない

裁判・調停
弁護士監修
訴えられたときの弁護士費用の相場【離婚】|民事訴訟で勝訴しても相手に請求はできない

「訴えてやる!」ドラマなどで良く聞くセリフですよね。もし配偶者から離婚で訴えられたらどうすれば良いでしょうか。

訴えられることなんて誰もが頻繁に遭遇することではありません。そのため、いざ訴えられたら誰に相談したら良いのか、どう対処したら良いのかわかりませんよね。

また、「訴えられたときの相談先といえば弁護士!」と考える人もいるでしょう。でも、弁護士に相談したいと思っても、どのくらい費用がかかるのかわからないということもあるでしょう。

この記事では配偶者から離婚で訴えられたときにどう対応すべきか、また訴えられたときに弁護士に相談するとどのくらい費用がかかるのかについて説明します。

目次
  1. 訴えられたときの行動
    1. 放っておいてはいけない理由
    2. 弁護士に相談した方が良い理由
  2. 民事訴訟での弁護士費用の料金の仕組み
    1. 弁護士費用の基準に決まりはない
    2. 弁護士に依頼したときの費用の項目
  3. 訴えられたときの弁護士費用の相場
    1. 相談料
    2. 着手金
    3. 報酬金
    4. 日当
    5. 実費
  4. 弁護士費用は相手に請求できない
  5. 弁護士費用が払えないときには
    1. 民事法律扶助(代理援助)とは
    2. 民事法律扶助(代理援助)を利用するには
  6. まとめ

訴えられたときの行動

そもそも、「訴えられた」とはどういうことを意味するのでしょうか。

離婚の場合、「訴える」とは「離婚の判断をしてもらうために裁判所に申し立てを行うこと」をいいます。訴えられたということは、配偶者が裁判所に申し立てを行ったということです。

配偶者に訴えられると、裁判所から訴状が送付されます。裁判所から訴状が届くことなんてめったにないことですから、どう対応したら良いかわかりませんよね。

ただし、このとき間違った対応をするとトラブルになってしまいます。

放っておいてはいけない理由

訴状は特別送達として送られます。特別送達とは、裁判所が訴状などを送る際に、相手が受け取ったことを証明できる郵送方法です。

送達報告書の受領者覧に押印あるいはフルネームのサインすることで相手が受け取ったとみなします。

ただし、本人が配達員に対して受け取りを拒否した場合、配達員がポストに投函すれば配達したことになりますし、家族などが受け取ってしまえば配達が完了したことになります。

つまり、特別送達は受け取りを拒否しても受け取ったことにされてしまう郵送方法ということです

では、訴状の受け取りを拒否するとどうなるのでしょうか。

この場合、訴状を受け取ったとみなされ、裁判へと進んでしまいます。

訴えられた側は答弁書などの反論をせず、裁判所に出頭することもないため、訴えた側(配偶者)の意見のみで裁判が進みます。

つまり、訴えられた側(あなた)に不利になり、敗訴する可能性が高くなってしまいます。

一方、不在で訴状を受け取れないという場合は郵便局で保管されます。

郵便受けに不在連絡票が入っていた場合は郵便局に取りに行き、受け取ることになります。もし期限内に受け取らなかった場合は裁判所に戻されます。

弁護士に相談した方が良い理由

相手から訴えられたら(裁判所から訴状が届いたら)、答弁書を提出し、裁判所に出頭する必要があります。しかし、どういう手順でどのように対応すれば良いのかわかりませんよね。

訴状が届いたらすぐに弁護士に相談することが大切です。弁護士に相談すると以下のようなメリットがあります。

書類作成や書類の提出を代行してもらえる

裁判では答弁書だけでなく、さまざま書類を作成する必要があります。さらに、これらの書類は作成方法や提出の仕方に決まりがあります。

また、離婚を有利に進めるには書類の書き方にもコツがあります。弁護士に書類を作成してもらうことで裁判を有利に進めやすくなります

自分の代わりに裁判所に出頭してもらえる

裁判は平日の日中、決まった期日に行われます。特に平日仕事がある場合は業務に都合を付けて出頭する必要がありますよね。

弁護士に依頼すれば、自分の代わりに裁判所へ出頭してもらえるため、業務の都合を付けたり、裁判所に出向く時間や手間を省くことができます

法律の知識や裁判経験があるため、裁判をどう進めていくべきか判断してもらえる

裁判で争うとなると法的な知識が必要になります。弁護士は法律や専門知識が豊富ですから、離婚を有利に進めるためにどのような証拠や主張をしていくべきか判断してもらえます。

また、弁護士は裁判の経験も豊富ですから、裁判をどのように進めていけば良いかも理解しているため、心強い味方となってくれます

併せて読むと役立つ記事
離婚裁判は弁護士なしで大丈夫?費用やメリット・デメリットを解説
裁判・調停
離婚裁判は弁護士なしで大丈夫?費用やメリット・デメリットを解説

配偶者に離婚を切り出したものの同意が得られない場合、「裁判で争う」ことになります。このとき弁護士を頼むと…

民事訴訟での弁護士費用の料金の仕組み

離婚などの民事訴訟を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が必要になります。どのような費用がいくらかかるのでしょうか。

弁護士費用の基準に決まりはない

弁護士費用の金額に決まりはありません。以前は弁護士会によって弁護士費用に基準がありましたが、現在は廃止されているため、弁護士が自由に費用を決めることができます。

ただし、従来の弁護士会の報酬基準((旧)日本弁護士連合会報酬等基準)を参考に弁護士費用を定めている事務所も多くあります。

弁護士に依頼したときの費用の項目

離婚などの民事訴訟を弁護士に相談・依頼した場合は以下の費用が発生します。

  • 相談料:弁護士に依頼する前に相談したときに発生する
  • 着手金:依頼された事件に弁護士が着手したときに発生する
  • 報酬金:依頼した事件が解決したときに弁護士に支払う
  • 日当:弁護士が事務所を離れて遠方に行く際に発生する
  • 実費:事件を解決するために必要となる

訴えられたときの弁護士費用の相場

訴えられたときの弁護士費用の相場

離婚で訴えられたときの弁護士費用の相場は以下のようになります。

相談料

相談料は30分5,000~10,000円が相場となります。最近は初回相談料無料という事務所も増えています

着手金

相談料と同様に着手金無料という事務所もありますが、一般的には20~30万円程度が相場となります。着手金は依頼した内容の結果に関わらず返金されることはありません。

報酬金

報酬金は成功報酬とも呼ばれ、得られた利益に対して金額が決まっていることが多いです。

例えば慰謝料などのお金に関する事案であれば、「経済的利益の〇〇%」というように決まっていることが多いです

経済的利益の考え方は法律事務所によって異なりますが、訴えられた側の場合は「請求された金額からどのくらい減額できたか」を経済的利益としてみなすことが多いです。

日当

日当は一般的には裁判所が遠方にある場合などに発生することが多いです。日当は半日以上の活動で発生します。相場は移動距離などによって変わるため、一概にはいえません。

実費

弁護士が裁判所に書類を送付する際の郵送費や交通費、記録謄写費用、宿泊費などが含まれます。

弁護士費用は相手に請求できない

前提として民事裁判では依頼者が弁護士費用を負担します

判決が出ると「訴訟費用は〇〇の負担とする」となっていることがありますが、ここでいう訴訟費用とは印紙代などの費用であり、弁護士費用は含みません。

相手が負けたからといって、負けたほうに弁護士費用を負担させることはできません

併せて読むと役立つ記事
離婚裁判の費用はどちらが払う?相手に負担させることはできる?
裁判・調停
離婚裁判の費用はどちらが払う?相手に負担させることはできる?

夫が不貞行為!もう別れたいと妻が離婚を切り出したものの、話し合いにならなかったため、協議離婚はできず…

弁護士費用が払えないときには

弁護士費用は依頼者が負担するのが基本です。では、弁護士費用を払えない場合はどうすれば良いのでしょうか。

依頼したい弁護士がいるがまとまったお金を準備できないという場合、まずは弁護士にその旨を相談してみましょう

場合によっては分割払いなど、支払い方法に柔軟に対応してくれることもあります。

また、一定の条件を満たす場合は法テラス(正式名:日本司法支援センター)の民事法律扶助(代理援助)を利用できます

民事法律扶助(代理援助)とは

法テラスは総合法律支援法に基づいて設立された機関です。民事法律扶助(代理援助)とは法テラスの業務の1つで、無料の法律相談や弁護士費用の立て替えを行うものです

民事法律扶助の対象者は、日本国民と日本に住所を有し適法に在留する外国人です。

民事法律扶助(代理援助)を利用するには

法テラスの民事法律扶助(代理援助)を利用するには、以下の資産条件を満たし、かつ審査に通る必要があります。

手取り月収

離婚などの夫婦問題で法テラスの民事法律扶助を利用する場合、相談者の金額が以下の条件に当てはまる必要があります。

民事法律扶助を利用する際の月収条件

同居人数が5人以上の場合、1人増加するごとに上記手取り月収額※1に30,000(33,000円)を加算します。また、※1の()は東京や大阪など生活保護一級地の額になります。

なお、夫婦間の問題以外で利用する場合は相談者の月収に加えて配偶者や同居家族の月収も合算した金額で判断します。

さらに、相談者が住宅ローンなどの負担がある場合は上記※2の範囲内の金額が※1の限度額に加算されます。※2の()は、居住地が東京都特別区(23区)の場合の金額になります。

保有資産

民事法律扶助の利用条件には保有資産に関するものもあります。ここでいう資産は自宅以外の不動産、預貯金の合計金額、有価証券の時価に基づいて算出します

なお、法律相談のみの利用の場合は現金と預貯金のみの合計金額になります。

民事法律扶助を利用する際の資産条件

このほか、民事法律扶助には以下の条件を満たす必要があります。

  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  • 民事法律扶助の趣旨に適していること

民事法律扶助の趣旨に適しているとは、犯罪行為や他人への報復、権利濫用や宣伝といったことを目的とした内容でないことを指します。

なお、民事法律扶助はあくまで無料の法律相談と弁護士費用の立て替えです。立て替えた弁護士費用については毎月分割で返済する必要があります

まとめ

離婚で訴えられたらどうすれば良いのかについて説明しました。

離婚で配偶者に訴えられたとき、対応を間違えると敗訴するなどトラブルを招きます。どう対応したら良いかわからない場合はまず弁護士に相談することが大切です。

もし、まとまったお金がなく、弁護士費用が払えないという場合も、弁護士に相談すれば支払い方法を柔軟に対応してもらえる場合があります。

配偶者に訴えられて弁護士に相談する場合は離婚問題に強い弁護士に相談することが大切です。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を多数掲載しております。当サイトからの電話相談は無料ですので、ぜひ活用してください。

離婚コラム検索

離婚の裁判・調停のよく読まれているコラム

新着離婚コラム

離婚問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!

離婚問題の慰謝料は弁護士に相談して適正な金額で解決!

離婚の慰謝料の話し合いには、様々な準備や証拠の収集が必要です。1人で悩まず、弁護士に相談して適正な慰謝料で解決しましょう。

離婚問題に関する悩み・疑問を弁護士が無料で回答!

離婚問題を抱えているが「弁護士に相談するべきかわからない」「弁護士に相談する前に確認したいことがある」そんな方へ、悩みは1人で溜め込まず気軽に専門家に質問してみましょう。

TOPへ