これってモラハラ?モラハラ相手と離婚するためには!

DV・モラハラ
弁護士監修
これってモラハラ?モラハラ相手と離婚するためには!

パートナーから人格否定をされる、毎日罵声を浴びせられる、こんなモラハラに悩んでいる方はいませんか? 我慢して耐えている人も多いですがモラハラは立派な離婚原因になります。

今回はモラハラとはどういった特徴があるか、どうやったら離婚できるかを解説しています。

目次
  1. モラハラとは
    1. モラハラの定義
    2. モラハラの代表例
    3. モラハラをする人の特徴とは
  2. モラハラ相手が離婚に反対しているときの対処法
    1. 協議離婚は難しい
    2. 別居する
    3. 離婚調停を申し立てる
    4. 離婚訴訟を起こす
  3. 調停や裁判を有利に進めるために覚えておきたいこと
    1. 離婚調停の場合
    2. 離婚裁判の場合
  4. まとめ

モラハラとは

家庭内暴力は家族以外から見えにくいため悪化しやすく、長い間人知れず苦しんでいるというケースが多いです。

しかし、近年はニュースやドキュメンタリーなどで家庭内暴力が取り上げられることも多く、身体的な暴力だけでなく「モラルハラスメント」に対する注目も集まっています。

身体的な暴力でなくても家族から大きな苦痛を与えられているという方は、モラハラを受けている可能性があります

自己の人権を守り、平和な日常を過ごすために、ぜひ「モラハラ」について知識を深めてください。

モラハラの定義

モラハラは「倫理や道徳に反した嫌がらせ」と定義付けられており、一般的には「精神的な暴力・嫌がらせ」を指すことが多いです。

身体的な暴力はDV(=ドメスティックバイオレンス・家庭内暴力)として広く知られていますが、モラハラもDVに分類されます。

家庭内で起こる暴力ですから、夫婦だけでなく親子、義親子などいずれの場合でも精神的な苦痛を与える行為や暴言はモラハラとされます。

モラハラと認められる場合、損害賠償を求める民事訴訟を起こせるほか、侮辱罪や名誉棄損罪といった刑事訴訟に発展するほど悪質なケースも存在します

モラハラの代表例

基本的にモラハラは、「本人の人格・能力を否定する」「存在を無視する」「当人を孤立させる」といった行為が該当します

モラハラに該当する精神的な暴力を具体的に確認していきましょう。

相手を貶める発言

  • バカ
  • ダメ
  • 役立たず
  • 誰のおかげで生活できているんだ
  • 人の金で遊んでいるくせに
  • 自分の方がお前より優っている
  • 無能
  • 〇〇のくせに
  • ゴミ
  • まともに〇〇もできないのか
  • ほかの人はできるのになんでお前はできないんだ 
  • 家事ができないならお前が同じだけ稼いでこい
  • 人に寄生して生きているくせに
  • 甲斐性なし など

上記のような内容を含む、相手の能力・人格を貶め、侮辱する発言が繰り返される場合は、モラハラの疑いが高いです。

相手に向かって直接発言するのはもちろん、周囲に当人を貶める内容を話したり、当人の友人や家族の悪口をいう行為もモラハラになります。

相手を束縛する

  • 常に居場所を確認する
  • 必ず電話に出るように指示する
  • 頻繁に電話をかけて動向を確認する
  • 外出を禁ずる
  • 友人関係を管理する
  • スケジュールを管理する

上記のような行為は個人のプライバシーを無視し、精神的な負担を与えるため、モラハラに該当します。

理由なく無視をする

  • 存在を否定する
  • 理由なく突然食事を一緒にとらない
  • 返事をしない
  • 存在しないような態度をとる

このように、その人の存在自体を無視する行為はモラハラに当たります。モラハラをする人には独自のマイルールがあります。

周囲からはモラハラを受ける理由がわからなくても、モラハラをする人のマイルールによって無視・存在を否定されるのです。

小さなミスや家事などすべての行為に関して厳しく指摘する

  • やり残した家事や取り残したゴミ、うたた寝を指摘する
  • 掃除の仕方や洗い物の仕方に文句を付ける
  • 料理の手順や味付けを酷評する
  • 洗濯もののたたみ方に文句を付ける

上記のように、小さなミスや家事に対して、過剰に厳しく・細かく指摘し続けたり、文句をつけ続けることはモラハラとして認められています。

伝え方にもよりますが、重箱の隅をつつくような指摘や文句を続けていればモラハラになる可能性が高いです。

精神的に威圧する態度をとる

  • ミスのたびにため息をつく
  • 舌打ちをする
  • 家や家具に当たったり破壊したりする

実際に身体的な暴力を振るわなくても、相手を威圧する行為やストレスを与える行為は精神的な暴力とみなされます。

小さなことでも、何度も繰り返されることで心は徐々に疲弊してしまいます。

モラハラをする人の特徴とは

モラハラに該当する行為は数多くありますが、モラハラをする人には共通する特徴があります。

  • 外面が良い=会社や近所、親族のなかでは穏やかで「良い人」として振る舞う
  • 共感性が低い=相手の精神的な苦痛や体調不良を考慮しない発言・行動をとる
  • 自分を正当化する=常に自分が正しいと思っていたり、絶対に謝らない
  • 独自ルール(マイルール)を厳守する=自分のやり方・生き方を持っており、ほかの人にもそれを強要する
  • 嘘をつく=すぐにバレることでも、自分を正当化するために平気で嘘をつく

モラハラをするのなか人はマイルールがある人が多くいます。一方で、精神的に繊細な面を持つ人が多いため、周囲からの自分の評価を極端に気にします。

そのため、家から出るとモラルに反する行動をとらない人が多く、モラハラをしていることが周囲からはわかりにくくなるのです

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モラハラ相手が離婚に反対しているときの対処法

モラハラは家族間であればどのような関係でも起こりえます。しかし、特に多いのが夫婦間でモラハラが行われるケースです。

配偶者からモラハラを受けている場合、離婚を考えたとしても、相手に対して引け目を感じたり、円満に離婚できなかったときのことを考えるとなかなか離婚を切り出せないという人も多いでしょう。

また、たとえ離婚を切り出したとしても相手にしてもらえない場合も少なくありません。

モラハラを行う人は基本的にプライドが高いため、モラハラ行為や離婚を認めず、合意への道のりは長くなります

ここからは、離婚を切り出せない・離婚を切り出しても反対されている人が、うまく離婚に進むための注意点や対処法を紹介します。

協議離婚は難しい

「協議離婚」は夫婦が話し合って、離婚をすることや離婚をする条件を決める離婚方法です。しかし、モラハラをしている・受けている関係の夫婦の場合、公平な条件で離婚ができません。

モラハラを受けている被害者側は、相手に恐怖感を抱いていたり、強い劣等感があったり、精神的な負荷がかかっている状態です。そのため、獲得できるはずの権利や財産分与を主張できない可能性があります。

また、モラハラの加害者側の多くはモラハラをしている自覚がないケースも多いものです。

そのため、モラハラを原因に離婚を要求しても、モラハラをしていることを認めなかったり、離婚する原因がないと認識され、話し合いがまとまりません

このような理由から、モラハラを受けている場合は協議離婚での解決は難しいと考えておきましょう。

別居する

モラハラを受け離婚を決意したら、まずは別居をするのがおすすめです。

離婚には、協議離婚のほかに後述する裁判所の仲介による話し合いで離婚や離婚条件を決める「調停離婚」、民事裁判で離婚や離婚条件を決める「裁判離婚」があります。

いずれも、第三者が仲介に入るため、協議離婚と違って公正な条件で離婚を成立させることができます。

前述のように、モラハラが原因で離婚する場合は協議離婚が成立しにくいため、調停離婚や裁判離婚に進むことが多いです。

しかし、調停や裁判は、裁判所と相手との日時の調整が必要だったり、両者の公平性を保つために、半年から数年という長期に渡って行われるのが一般的です。

この間、モラハラの加害者と同居を続けることは、モラハラを受けている方にとっては大きな負担です。

精神的に病んでしまったり、モラハラ加害者に脅されたりして、離婚や慰謝料を諦めざるを得ない状態になる場合があります。

また、同居し続けることでモラハラがエスカレートするリスクもあるため、離婚を決めたら、どの離婚方法を選択する場合でも別居することを念頭に置いておきましょう

離婚調停を申し立てる

離婚は夫婦間での話し合いで行うこと(協議離婚)が基本です。

しかし、夫婦の一方に権力が集中していたり、夫婦間で話し合って離婚することが難しい場合は、家庭裁判所に調停離婚を申し立てることができます。

調停をせずに裁判に進むことは認められていない(調停前置主義)ため、まずは調停の申し立てを行いましょう

モラハラを理由に離婚する場合は別居することが重要と説明しましたが、別居していても夫婦の婚姻関係は続いています。そのため、別居中の生活で必要となる費用を配偶者に請求することができます。

配偶者の収入が多い場合や別居すると生活費が捻出できない場合などは、別居中の生活費の分担を求める婚姻費用分担請求調停も家庭裁判所に申し立てましょう。

離婚調停では申立人と相手方が直接顔を合わせることなく、調停委員が両者から主張を聞き取ることで話し合いが進められます。相手と直接話し合う必要がないため、精神的な負担が少ないことが調停のメリットです。

調停委員のなかにはモラハラについて理解してくれない人もいます。

そのため、有利に調停を進めるためにはモラハラを受けていたという証拠を集め、新聞などの記事と照らし合わせるといった工夫が重要になります。

  • 暴言やモラハラ行為に関する録音・録画記録
  • モラハラに関する日常を記したメモや日記
  • 侮辱・暴言を含む内容の手紙・メール・メッセージ
  • モラハラ改善要求をする手紙・メール・メッセージ

上記のような、モラハラがあったことが客観的かつ後からでも証明できる証拠が有効です。いずれか1つだけではなく、複数あるとより有効に働きます。

このように、離婚調停を有利に進めるためには、「一般常識から逸脱した精神的苦痛を与える行為があった」ということを示す証拠が必要です。

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離婚訴訟を起こす

調停で離婚が成立しなかった場合は、離婚裁判を起こし、裁判所に離婚の判断を委ねることになります。

協議離婚や調停離婚と違い、両者の合意がなくても、裁判官の判決で離婚も離婚条件も決まります

ただし、離婚裁判で離婚を成立させるためには、以下の民法が定める正当な理由(=離婚事由)に当てはまらなければなりません。

  • 不貞行為があったとき
  • 悪意の遺棄があったとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病であり回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

「悪意の遺棄」はあまり聞きなれないかもしれませんが、夫婦が婚姻関係を維持するために必要な義務を放棄することを指します。
例えば、「生活費を渡さない」「理由なく別居する・家出を繰り返す」「健康状態に問題がないのに働かない・家事をしない」「家から追い出す」などが該当します。

モラハラを理由に離婚する場合は、一般的に「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」こと、つまり婚姻関係が破綻していることを主張します。

調停同様、離婚裁判をより有利に進めるために、多くの証拠を提出して裁判官にモラハラとその悪質性をしっかりと認めてもらわなければなりません。

離婚裁判では、離婚を請求する側が証明責任を負うため、離婚事由を証明しなければなりません。離婚を有利に進めるためにも積極的に証拠を提出しましょう。

調停や裁判を有利に進めるために覚えておきたいこと

調停や裁判を有利に進めるためにはモラハラがあった証拠を集めることが大切です。

一方、証拠の集め方や主張の仕方を変えるだけで、よりスムーズに離婚できたり、慰謝料を増額できる可能性があります。

離婚調停の場合

離婚調停の場合、協議離婚が成立しなかった理由が、ただの夫婦喧嘩や性格の不一致だと判断されないよう注意しましょう

モラハラによる被害によりどれだけ苦痛を受けているのか、精神的にどれだけ不安定な状態であるのかを正確に調停委員に認めてもらわなければなりません。

録画や録音・メールなど客観的な証拠が残せない場合はメモや日記が有効ですが、記録の際は「いつ・どのような状況で、どのようなモラハラがあったのか」といった具体性が重要です

モラハラの内容だけではなく、モラハラを受けたことによる感情や身体の変化、など苦痛を受けている状況を把握してもらえるように詳細に記録しておきましょう。

離婚裁判の場合

離婚裁判の場合、モラハラ行為が離婚事由に該当することを裁判所に認めてもらわなければなりません。

そのうえ、裁判をうまく進めていくには、法的知識や裁判を有利に進めるためのコツを把握し、それを実践していかなければなりません。

モラハラで離婚が認められるか、慰謝料の金額がいくらになるかは、証明力が高い証拠の集め方や主張の方法によって決まります

証拠集めの際には、モラハラの回数や期間が客観的に判断できるように、できるだけ多くの記録を集めましょう。

さらに、被害者側の落ち度が小さいことの証拠やモラハラによる精神的疾患の証明など多くのことに気を配らなければなりません。

裁判の際、知人や親族などモラハラ行為を見た・モラハラの相談を受けた・体調や体形の変化を知っているという人に証言をお願いするのも良いでしょう。

モラハラの慰謝料は事案によって数十万から数百万と幅があります。

大きな精神的苦痛を受けているにも関わらず、モラハラの悪質性や常習性が認められなければ慰謝料がもらえなかったり、数十万円しかもらえないこともあります。

また、慰謝料を請求される側(加害者側)の経済状況や年齢によっても慰謝料額は変動するため、適切な慰謝料請求は専門的知識を要します。

このように、離婚裁判では家庭内暴力やモラハラによる離婚の知識と法的知識の両方が必要となるのです。

そのため、ただ裁判を進めるためだけの弁護士ではなく、離婚裁判を有利に進めることができる家庭内暴力やモラハラ、離婚問題に詳しい弁護士への依頼が重要になります。

まとめ

精神的な暴力であるモラハラについて、モラハラの特徴や離婚の方法を紹介しました。

モラハラは周囲の人に気付かれにくいものです。

精神的苦痛を受けている被害者でさえ、「自分が悪いのかもしれない」という精神状態に追い込まれ、モラハラを受けているという自覚がない場合もあります。

また、離婚しようとしても、なかなか話し合いがまとまらず、精神的苦痛が大きくなって離婚を諦めてしまうケースもあります。

モラハラが疑われる場合には、まず別居をして苦痛を遠ざけ、調停離婚や裁判離婚を目指しましょう。精神的に不安定な状態では正当な主張や判断を行うことが難しくなります。

このような場合は、家庭内暴力やモラハラによる離婚に詳しい弁護士への依頼や相談を検討すると良いでしょう。

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