DV冤罪とは|DV冤罪がでっち上げられる理由と対処法
冤罪とは無実の罪を意味します。実際には実際に罪を犯していないにも関わらず、罪を犯したとして扱われることを言い、「濡れ衣」とも言います。
DV冤罪とはその名のとおり、DV(身体的な暴力)を行っていないにも関わらず、DVがあったかのように主張されることです。
この記事ではDV冤罪とは具体的にどのようなものを指すのか、実際にDV冤罪をかけられてしまったときの対処法を紹介します。
- 目次
DV冤罪とは
DV冤罪とは、DV(身体的な暴力)を行っていないにも関わらず、DVがあったかのように主張され、罪を被せられることです。
DVが法定離婚事由の「悪意の遺棄」または「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると判断されれば、裁判で離婚が認められます。
正しく対処しなければ、やってもいないDVを理由に離婚が認められ、慰謝料を請求される可能性があるのです。
なぜDV冤罪がまかり通ってしまうのか
近年、DVやモラハラに関する法律が整備され、DV被害者への支援や保護活動も進んでいます。これを逆手に取り、DV冤罪をでっち上げるケースがあります。
虚偽の証拠や理由により、DVがなかったにも関わらず、DVがあったとして主張することが可能になってしまうのです。
DV冤罪をでっち上げる理由とは
DV冤罪をでっち上げる理由は主に以下のようなものがあります。
- 早期に離婚したい
- 親権を獲得したい
- 都合の良い条件で離婚したい
DVがあったと判断されれば裁判で離婚が認められ、慰謝料請求も認められます。
また、子供の目の前で暴力を振るう行為は子供の福祉に反するため、親権者指定にも影響をおよぼします。
DV冤罪をでっち上げられたときの正しい対処法
DV冤罪をでっち上げられたときには、状況証拠を固められている可能性があります。 不利にならないよう適切に対処する方法を紹介します。
相手方の言いなりになってはいけない
証拠を捏造され、DV冤罪をでっち上げられたとしても、離婚協議や調停であれば双方の同意がなければ離婚は成立しません。
そのため、相手方の主張や理由に納得のいかない場合は離婚に同意してはいけません。
DVの事実を冷静に否定する
身に覚えがないにも関わらず、DV加害者扱いされれば、冷静でいることは難しいでしょう。
しかし、感情に任せて怒鳴ったり、反論したりすれば、「暴力的な性格だ」と判断され、ますます不利になります。
感情を抑え、冷静にDVの事実を否定しましょう。
離婚不受理申出の手続きを行う
配偶者がDV冤罪をでっち上げる理由の一つに「都合の良い条件で離婚したい」というものがあります。
そのため、「提示された離婚条件に納得がいかない」「離婚したくない」という場合はあらかじめ離婚不受理申出手続きを行いましょう。
離婚届は双方の同意したうえで提出するのが基本です。
しかし、役所が離婚に同意しているかどうかを確認することはないため、一方が離婚届を勝手に提出すれば、同意がなくても受理されてしまいます。
配偶者がDVの証拠を捏造するような考えを持っている場合、離婚届を勝手に出すこともあり得ます。
離婚届不受理申出を行うことで、配偶者が勝手に離婚届を提出しても、受理されることはありません。
相手方の虚偽の主張をよく聞く
謂れのないことを聞かされるのは不快なものです。しかし、相手方の主張が嘘であっても、まずは相手方の主張をしっかりと聞きましょう。
よく聞いていると矛盾点や問題点が出てくることもあります。矛盾点や問題点を見抜くポイントとしては以下の2つです。
- 以前の主張と今回の主張が異なる
- DVの内容が具体的でない
たとえば、以前は「平手で顔を殴られた」と言っていたのに「足で蹴られた」と主張したり、DVがあった日時や状況を覚えていなかったりするケースなどが該当します。
相手方の主張の矛盾点や問題点を見抜き、しっかりと把握しておきましょう。
DV冤罪をでっち上げる目的を理解する
DV冤罪をでっち上げる目的として「都合の良い条件で離婚したい」というものがあると述べました。
しかし、その裏には、「好きな人ができたから」「離婚して不倫相手と再婚したいから」という理由が隠れているケースもあります。
不倫した側からの離婚請求は認められにくいため、DV被害を主張し、「DVを理由に離婚する」という流れに持っていくことが重要になるのです。
もちろん、「DVではなく、ほかの理由で離婚したいのではないですか」と相手に聞いても、正直に答えるはずはありません。
配偶者の言動や行動、別居理由などを振り返り、不倫が疑われる場合は証拠を集めておくことが重要です。
虚偽の証拠をあばく
相手方が証拠を捏造してDV冤罪をでっち上げた場合、DV冤罪を裏付けるためにも虚偽の証拠を暴く必要があります。これについては次項で解説します。
DV冤罪の証拠の嘘をあばくには
DV冤罪は次の二つのケースに大別されます。
- 客観的な証拠がないのに「DVを受けたから離婚と慰謝料請求をする」と言われるケース
- 虚偽の証拠(ケガの写真や診断書など)を捏造し、離婚を請求されるケース
上記のうち、質が悪いのは「虚偽の証拠を捏造されたケース」です。
離婚協議や調停では、双方が同意しなければ離婚は成立しません。しかし、訴訟に進んだ場合は注意が必要です。 裁判所は客観的な証拠を重視します。
そのため、虚偽の証拠であっても、「証拠として十分だ」と判断されれば、DV冤罪が認められる可能性があります。
なお、虚偽の証拠を暴くポイントは以下の3つです。
- ほかの理由でケガをしてはいないか
- カルテの開示を請求する
- DV冤罪前後のやりとりを調べる
ほかの理由でケガをしてはいないか
ほかの理由でケガをして、そのケガの写真や診断書を使ってDVを受けたと主張するケースがあります。
医師の診察を受けておらず、ケガの写真だけが提出された場合は、以下のような証拠を集め、DVではなく、ほかの理由で負ったケガであると主張しましょう。
- 家族や子供の証言
- 目撃者の証言
- DV冤罪当時の日記やメモ
なお、上記は妻側から提示してもらうことになります。
本当にDVを受けたのであれば、DVを受けた日時や経緯、状況について具体的に主張できるはずです。
もし、妻側が証拠の提出を拒んだり、曖昧な主張しかできなかったりする場合はケガの証拠の信用性も低下することになります。
カルテの開示を請求する
診断書が提出された場合は必ずカルテの開示を請求しましょう。
診断書には症状や病名程度しか記載されてないケースがほとんどですが、カルテなどの医療記録には診察時の状況やケガや症状について詳細に書かれていることがあります。
これらの詳細な記録が証拠の嘘を暴くことにつながることがあります。
カルテの開示は裁判の場合は文書送付嘱託または文書提出命令という手続きを利用することになります。離婚協議では交渉のなかでカルテの開示を請求します。
もし、相手方がカルテの開示を拒む場合、冤罪の可能性が高くなるため、離婚や慰謝料請求を拒絶することを主張しましょう。
DV冤罪前後のやりとりを調べる
DV冤罪当時の夫婦のやりとりも証拠の嘘をあばくことにつながります。
例えば、DVがあったことを主張した日時の直後(または翌日)に夫婦円満であったことを示すLINEやメールのやり取りがあれば、直前にDVがあったと考えるのは不自然と言えます。
状況にもよりますが、LINEやメールのやり取りのなかにDV行為や攻撃性を示すものがなければ、DV冤罪の証拠の嘘を暴くことにつながります。
DV冤罪をかけられないための心がけ
「やっていない」ことの証明は難しいと言われています。DVについても「DVをしていない」という証明は非常に困難です。
DV冤罪をでっち上げられないためにも、次のことに注意しましょう。
- 疑われることをしない
- すぐに弁護士に相談する
疑われることをしない
DVを行う人はモラハラ気質であることが多いです。以下のような行為はモラハラ行為ととられかねないため、避けるように心がけましょう。
- 怒鳴る
- 理不尽なことを言う
- しつこく電話をかける
- 相手を侮辱するような内容のLINEやメール
- 無視 など
DV冤罪をでっち上げようと考える人はどんな些細なことでもDVの証拠として利用しようとする可能性があります。
例えば、上記の行為があるたびに録音やメモ、日記に残しておく恐れもあります。
証拠が増えれば増えるほど、DV夫のイメージが膨らみ、でっち上げる側に有利になってしまいます。
すぐに弁護士に相談する
DV冤罪をかけられた、またはDV冤罪をでっち上げられそうだと思ったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
冤罪をかけられた人の主張として「突然DVだと言われた」というものが多いです。しかし、DVをでっち上げる側は以前から着々と準備を進めているケースがほとんどです。
冤罪をかけられた側としては「自分はDVなどやっていない。正当な主張をしていれば負けるはずがない」と考えているかもしれません。
しかし、妻側は事前に弁護士に相談し、DVの証拠として有効なものについてアドバイスを受けたり、証拠収集の方法を聞いたりしています。
弁護士がDV冤罪を主導しているというのは考えにくいですが、弁護士としては、依頼者が「DVを受けている」と嘘の内容で相談すれば、有効な証拠や証拠収集方法についてアドバイスするのは自然なことです。
弁護士のアドバイスに従い有効な証拠を十分に集めれば、たとえDV冤罪であっても裁判で離婚や慰謝料請求が認められてしまう可能性もあります。
嘘の主張で離婚が認められ、慰謝料まで払うことになる可能性があるということです。
このような状況を避けるためにも、DV冤罪をかけられた、DV冤罪をでっち上げられそうだと思ったら、早い段階で弁護士に相談しましょう。
まとめ
DV冤罪をでっち上げられたときの対処法について解説しました。
DV冤罪をでっち上げるということは「十分に準備をしている」と考えるのが自然です。DV冤罪の兆候を感じたら、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」はDV・モラハラなどの離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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