モラハラ夫・妻と証拠がない状態でも離婚できる? 有利な状況で離婚する手順

DV・モラハラ
モラハラ夫・妻と証拠がない状態でも離婚できる? 有利な状況で離婚する手順

配偶者のモラハラがひどくて離婚を考えているけれど、モラハラを原因として離婚できますか?

モラハラがあったという証拠がなくても離婚は可能でしょうか。

どのように進めたら有利にできるのかなど、モラハラ離婚についてお考えの方へ、詳しく説明していきます。

目次
  1. モラハラの証拠がなくても離婚はできる
    1. 協議離婚で配偶者の同意が得られれば離婚はできる
    2. モラハラをする人は協議離婚に同意する可能性は低い
  2. そもそもモラハラとは?
    1. 一般的なモラハラとは
    2. 夫婦間の具体的なモラハラの例
    3. モラハラをする人の特徴
  3. モラハラ離婚の問題点は証拠が残りにくいこと
    1. なぜモラハラの証拠は残りにくいのか
    2. 相手がモラハラだと思っていない・モラハラを受けている人が自分が悪いとモラハラを自覚しない
  4. モラハラ離婚で有利になる証拠の集め方
    1. モラハラを受けたことによって自分がどのような影響を受けたかを資料にまとめておく
    2. 受けたモラハラを日記に詳細に記載する
    3. 会話を録音・録画する
    4. 夫や妻から届いたメールやSNSのメッセージ
    5. 精神科など医師による診断書、通院履歴
    6. 警察や公的な相談機関への相談履歴
    7. 第三者の証言など
  5. モラハラ離婚で慰謝料はもらえる?
    1. モラハラが認められれば慰謝料はもらえる
    2. 金額は集めた証拠が左右する
  6. モラハラ離婚の流れ
    1. 精神を守るため別居する
    2. 協議離婚に向け話し合い
    3. 離婚調停の申し立て
    4. 離婚訴訟を起こす
  7. まとめ

モラハラの証拠がなくても離婚はできる

モラハラの証拠がなくても離婚できる場合があります。また、どういった条件の時に離婚できるのか、みていきましょう。

協議離婚で配偶者の同意が得られれば離婚はできる

夫婦お互いが合意すれば、基本的に離婚できます。モラハラの証拠の有無に関わらず、夫婦の話し合いによる協議離婚や、家庭裁判所で調停委員を介して行う調停離婚で、配偶者が同意すれば離婚は成立します。

モラハラをする人は協議離婚に同意する可能性は低い

しかし、配偶者が離婚したくなければ、すんなり離婚に同意する可能性は低いでしょう。相手にモラハラをした自覚がなければなおさら、協議離婚は困難になります。話し合い自体に応じないなど、当事者同士のコミュニケーションが難しい場合は、弁護士に間に入ってもらうとスムーズに進みやすくなるでしょう。

協議離婚が成立しなかった場合は調停離婚、調停でも離婚が成立しなければ訴訟を起こして裁判所で認めてもらう裁判離婚という方法を取ることになります。離婚訴訟では、民法で定められている法定離婚事由が問題となります。

モラハラを理由に離婚をしたい場合は、モラハラによる夫婦関係の破たん、結婚生活への影響が、民法770条1項5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるのかが問われます。

そこで、配偶者のモラハラによって結婚生活を続けられないと裁判で認めてもらうには、モラハラがあったという証拠が必要になるのです。この証拠は、離婚の際の慰謝料請求でも重要になります。

そもそもモラハラとは?

では、そもそもモラハラとはどういったものでしょうか。DV(ドメスティック・バイオレンス)は、配偶者や恋人など親密な関係の人からふるわれる暴力といわれますが、その形態には肉体的な暴力だけでなく、精神的な暴力もあります。精神的な暴力であるモラハラも、DVの一種といえるでしょう。

以下でモラハラについて説明していきます。

一般的なモラハラとは

モラハラとは、モラルハラスメントの略です。言葉や態度による精神的な暴力、嫌がらせのこととされています。家族だけでなく友人間、会社の同僚同士などでも起こりえます。

夫婦間の具体的なモラハラの例

それでは、夫婦間のモラハラにはどんな例が挙げられるでしょうか。

相手の行動や人格を否定する

何をしても言っても否定する。配偶者のためによかれと思ってしたことでも受け入れない。バカなどと罵ったり、貶めたりする。

細かい間違いや家事の不備を責める

ささいなミスをあげつらったり、言葉の揚げ足をとったりしてバカにする。料理や掃除など家事の粗探しをし、見つけては責める。

自分の考えが正しいと信じ、自分のルールを相手に強制する

たとえ自分が間違っていても認めない。謝らない。勝手に一方的なルールを作り、相手にも守るよう強制したり、命令したりする。破ると怒る。

相手を束縛する

配偶者の実家、友人などとの人付き合いや外出を制限したり、電話やメールをチェックしたりする。仕事を辞めさせる。外で働かせない。

相手を無視する。理由を言わず不機嫌な態度をとる

挨拶をしたり話しかけたりしても返事をしない。とくに理由がないのに食事をともにしない。物に当たり散らすなど不機嫌さを表す行動をしておきながら、理由を尋ねても言わない。

モラハラをする人の特徴

外面が良い

仕事や地域の付き合いなどでは問題なく、むしろ「良い人」と評される場合も多いので、家庭内のモラハラが他人には気付かれにくくなってしまいます。

最初は優しかったのに結婚後に豹変する

外面が良いので、結婚まで優しくふるまうことも厭いません。結婚し、家族となり相手が逃げにくい状況になってから言葉や態度で相手を支配します。

モラハラ離婚の問題点は証拠が残りにくいこと

モラハラを原因とした離婚訴訟では、結婚生活を続けていけない理由としてモラハラがあった証拠が必要になるという話をしました。しかし実際は、モラハラの証拠は残りにくいという問題があります。

なぜモラハラの証拠は残りにくいのか

DVの中でも、モラハラは精神的な暴力です。身体的暴力なら殴る蹴るでケガをしたり、傷やアザが残ったりすると目に見える証拠が残りますが、精神的暴力は言葉や態度なので、証拠が残りにくいものです。

また、モラハラの言動には、1回ではさほど重大ではないことや、夫婦喧嘩で起こりがちな内容もあり判断が難しいものも多いです。さらに、モラハラは日常生活の中での積み重ねなので、証拠として残すのが困難であるという面もあります。

相手がモラハラだと思っていない・モラハラを受けている人が自分が悪いとモラハラを自覚しない

モラハラ加害者

加害者側は、自分の言動はモラハラにあたる、相手にモラハラをしているという自覚は基本的にないといっていいでしょう。自分が正しく、配偶者のために言っていると思っていることも多いです。

モラハラ被害者

精神的暴力を受けても、「自分が悪いから」「自分のせい」で起こるのだと思い込み、モラハラを受けていると自覚していない場合もあります。

「あなたのために言っている」などと相手から正当性を主張されると、暴力はいけないもので、ふるう相手が悪いという判断がつかなくなってしまうことも。

自覚がなければ、これがモラハラだったと判断し、証拠を示すのは難しいといえるでしょう。

モラハラ離婚で有利になる証拠の集め方

モラハラ離婚で有利になる証拠の集め方

証拠が残りにくいとはいえ、離婚を有利に進めるためにはいずれ要るものです。証拠を集める際は、配偶者に見つかるとモラハラがエスカレートする恐れがあるので、見つからないようにすることも大切です。

モラハラを受けたことによって自分がどのような影響を受けたかを資料にまとめておく

モラハラの有無だけでは即、法定離婚事由とはなりません。調停や裁判になった場合、モラハラがあったことと自分への影響を資料で示し、これにより夫婦関係は破たんしており、結婚生活の継続が困難なことから、離婚したいと説得しなくてはならないのです。

夫婦関係の破たんを主張するための証拠として資料が必要になります。

受けたモラハラを日記に詳細に記載する

日記やメモに、日にちや時間、状況、言われたり、されたりした内容、傷ついたことをなるべく詳細に記します。

モラハラをする人は外面がよいことも特徴で、第三者に相談しても、「まさかあの人が?」と信じてもらえない場合があります。したがって日記やメモが具体的であればモラハラを受けていた期間や程度なども伝わりやすくなり、信ぴょう性も増します。

日記であれば、録音や録画より相手に気付かれにくく残せます。

会話を録音・録画する

誰が見てもモラハラだとわかってもらう客観的な証拠としては、ビデオやスマホ、ボイスレコーダーによる録音・録画がやはり有力です。しかし日常生活で起こるモラハラをとっさに録るのはタイミングが難しく、相手に気付かれてしまう可能性が高いため慎重に行わなくてはなりません。

探偵業者に依頼してペン型のボイスレコーダーや隠しカメラなどを使う方法もあります。

夫や妻から届いたメールやSNSのメッセージ

配偶者から送られてきたメールSNSのメッセージのやりとりも記録として残しておきましょう。

精神科など医師による診断書、通院履歴

モラハラによる影響として、鬱病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)など心に傷を負ってしまうこともあります。精神科や心療内科の通院履歴、医師の診断書などを、とっておきましょう。

警察や公的な相談機関への相談履歴

モラハラは精神的な暴力です。自分の身を守り、冷静に状況を把握するためにも、なるべく早く専門家へ相談しましょう。警察や公的機関に相談に行くと、その履歴も資料になります。

第三者の証言など

自分の両親やきょうだいなどの親族、友人といった第三者に相談したり、助けを求めたりした場合は、その記録や証言もとっておきます。

モラハラをする配偶者は外面が良いことが多いので、家の中、夫婦間で起こったことは外部へ伝わりにくいものです。信じてもらえないと思い込まず、第三者に話してみましょう。

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モラハラ離婚で慰謝料はもらえる?

モラハラ離婚で慰謝料はもらえる?

モラハラによる離婚では、慰謝料はもらえるのでしょうか?また、もらえるのであればどのくらいの額になるのでしょうか。

モラハラが認められれば慰謝料はもらえる

モラハラでの慰謝料請求は可能です。ただし、それにはモラハラがあり、かつ、ひどいモラハラであったという程度についての証拠が必要になります。程度も含めて認められた場合に慰謝料が発生するということになります。

金額は集めた証拠が左右する

  • モラハラの慰謝料としては、おおむね数十万円~300万円程度といわれています。それでは、高額の慰謝料が発生するケースはどのような場合かみていきましょう。
    • モラハラの期間が長い、回数が多い
    • モラハラにより鬱病などになった場合
    • 財産分与の金額が低い
    • 請求する側の収入が低い
    • 請求される側の収入が高い
    • 子どもがいる
    • 婚姻期間が長い

つまり、高額の慰謝料をもらうには、モラハラについての詳細を示す証拠などの資料や、医師による診断書、給与明細などの収入を証明する資料といったものが重要なのです。

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モラハラ離婚の流れ

証拠や資料を揃えたら、離婚を相手に求めます。離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚などがあるので、順を追ってみていきます。

(1)精神を守るため別居する

証拠を揃えて準備したら、精神的暴力から自分を守るため、まず相手から離れましょう。離婚を進める上で、モラハラをするような配偶者は話し合いに応じないだけでなく、逆上してモラハラがひどくなりかねません。実家に帰る、賃貸住宅を借りる、シェルターを利用するなど、一時避難でも良いので別居します。

子供がいて親権を得たい場合は、子供の安全や利益を第一に、子供の意思を確認したうえで、別居の際に一緒に家を出ることを考えましょう。親権を争った際、子供を継続して父母どちらが育てたのか、監護の継続性が重要視されます。

(2)協議離婚に向け話し合い

まず、夫婦の話し合いによって行う協議離婚について説明します。

相手が応じた場合は離婚できます。しかし、先にも述べましたが、配偶者が離婚したくなければ、すんなり離婚に同意する可能性は低いといえます。モラハラをした自覚がなければなおさら、協議離婚は困難になります。

キレる、話し合い自体に応じないなど、当事者同士のコミュニケーションが難しい場合は、第三者や弁護士に間に入ってもらうとスムーズに進みやすくなるでしょう。

(3)離婚調停の申し立て

相手が協議離婚に応じない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員が間に入って話し合いをします。

(4)離婚訴訟を起こす

調停でも相手が離婚に合意しない場合は、裁判所に離婚を認めてもらう離婚訴訟を起こすことになります。

モラハラの証拠や資料を示し、夫婦関係が破たんして結婚生活を続けられないと申し立てます。民法770条1項5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとなれば、判決により離婚が認められます。

まとめ

モラハラをする人は、自分で明確に指示や命令をせずに、相手に考えて言わせるよう仕向けておいて「命令していない」「相手が勝手に自分からしたこと」と開き直る場合もあります。

また、モラハラの被害者は、精神的暴力を受け続けて心が傷ついた状態では、物事の冷静な判断が難しくなってしまいます。

一人で抱え込まず、専門機関や、モラハラ離婚についての経験がある弁護士などに相談しましょう。

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