離婚調停における陳述書の書き方と注意点

裁判・調停
弁護士監修
離婚調停における陳述書の書き方と注意点

離婚調停では、裁判所に陳述書を提出することができます。

離婚調停は話し合いで合意を図る手続きです。調停の時間は限られているため、陳述書を提出することで話し合いをスムーズに進めることができ、時間短縮を図ることが期待できます。

この記事では、陳述書とはどういうものか、離婚調停における陳述書の書き方や注意点を解説します。

本記事を読めば、陳述書の効果的な書き方を理解でき、離婚調停を有利に進めやすくなります。

目次
  1. 陳述書とは?
  2. 離婚調停で陳述書の重要性(メリット)
  3. 離婚調停の陳述書で失敗しないための注意点
    1. 客観的事実のみを具体的に書く
    2. 時系列に沿って記載する
    3. 長文になりすぎないように簡潔に書く
    4. 相手方への悪口や反論ばかりにならないようにする
    5. 口頭でも説明できるようにする
    6. その他の注意点
  4. 離婚調停における効果的な陳述書の書き方
  5. まとめ

陳述書とは?

陳述書とは自分の考えや離婚調停にいたった経緯、言い分などを簡潔にまとめた文書です。

離婚調停の申し立てにおいて、陳述書は必ず提出しなければならないものではありません。

しかし、陳述書を作成して事前に調停委員に読んでもらうことで、離婚調停の限られた時間を有効活用できます。

離婚調停で陳述書の重要性(メリット)

離婚調停は30分程度の話し合いを2回ずつ交互に行います。また、状況によっては調停委員が条件のすり合わせなどを提案してきます。

つまり、離婚調停にいたった経緯や自分の考えなどを話せる時間は限られているのです。

口頭で説明するだけのケースと比べ、事前に調停委員に陳述書を読んでもらえば、効率よくスムーズに話し合いを進めやすくなります。

また、事前に陳述書を読んでもらうことで、あなたの言い分や主張を調停委員が理解しやすくなります。

申立書にも離婚調停申立ての理由などを記載する欄がありますが、考えや主張を十分に書けるような仕様ではありません。

陳述書を提出することで、申立書には書ききれない想いや主張を調停委員に伝えることができます。

口頭で伝えることに不安がある方や緊張して言いたいことを言いそびれてしまったという方も陳述書を提出することで自分の主張をしっかりと伝えることができます。

離婚調停では調停委員を味方につけられるかどうかが鍵を握ります。調停委員に自分の気持ちや主張をしっかりと使え、理解してもらうことは、離婚調停を有利に進めるために重要です。

なお、離婚調停が不成立となった場合、訴訟を起こし、離婚裁判に進むことがあります。離婚調停で作成した陳述書は離婚裁判において再利用ができます。

揉めそうだと思ったら、離婚裁判も見据えて陳述書を作成すると良いでしょう。

離婚調停の陳述書で失敗しないための注意点

陳述書を作成する際の注意点について解説します。

客観的事実のみを具体的に書く

陳述書を書く際は感情的・抽象的な表現は避け、客観的な事実だけを具体的に書きましょう。

「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」を意識し、第三者がイメージできるように書くことがポイントです。

<DVの記載例>
夫(妻)は○年○月○日、自宅のリビングで、〇〇という発言がきっかけとなり、長女の目の前で、〇〇に対し、「~~」と言いながら顔を殴りました。当初、暴力は週1回程度だったため、我慢しようと思いましたが、段々エスカレートしていき、○年○月~○月にわたり、毎晩顔を殴ったり、倒れたところを足で蹴られたりするようになりました。結果的に○年○月○日、顔を殴られたことで「全治1か月の鼻骨骨折」と診断されました。

時系列に沿って記載する

時系列がバラバラな文章よりも時系列に沿って書かれた文章のほうが読みやすく、理解しやすいものです。

読み手(調停委員)の立場になり、記載する内容について時系列で簡潔に記載しましょう。

記載する日時が間違っていると、「嘘ではないか」と思われる可能性があります。日付は正しく記載しましょう。

長文になりすぎないように簡潔に書く

言いたいことは山ほどあるかもしれませんが、陳述書は項目ごとに整理してわかりやすく、長文になりすぎないよう簡潔に書きましょう。

文章が長すぎると、伝えたい内容がぼやけてしまい、却って伝わりにくくなるおそれがあります。読み手(調停委員)の立場に立って、わかりやすい文章を書くよう心がけましょう。

相手方への悪口や反論ばかりにならないようにする

離婚調停を申し立てているわけですから、相手方に対して不平不満を抱いているのは自然なことです。

しかし、陳述書に相手方の悪口ばかり書いてしまうと、調停委員に「感情的になりやすい人だ」「自己中心的」という印象を与え、心証を悪くするおそれがあります。

離婚調停では、相手方の主張が事実と異なる場合、反論し、話し合いを進めていくことになります。

しかしながら、陳述書には反論ばかり書くのではなく、客観的な事実を元に、自分はどうしていきたいのか、主張したい内容は何かを明確に記載しましょう。

口頭でも説明できるようにする

陳述書に書いた内容は口頭でも説明できるようにしておきましょう。

いくら陳述書を作りこんでも、調停の場において自分の口で説明できなければ、「本当にこの人の考えたことなのだろうか」と調停委員に疑われてしまうおそれがあります。

陳述書を読み込み、調停の場で質問されることを想定し、口頭で説明できるようしっかりと準備しておきましょう。

その他の注意点

陳述書の用紙はA4サイズ・縦置き・横書きが基本です。枚数は多くても5枚程度に収めましょう。

用紙の左端に3cm程度余白を空け、2ページ以上になるときはページ番号を付けましょう。

表題は「陳述書」、書き出しに宛名「○○家庭裁判所 御中」「○○家庭裁判所○○支部 御中」と明記してから内容を書き、作成年月日を記載し、署名・捺印(認印可。シャチハタ不可)をしましょう。

言葉遣いは「ですます調」、誤解を避けるためにも主語はできるだけ省略しないほうが良いでしょう。また、あなた自身の表記は「私」、相手方は「夫(妻)」が一般的です。

離婚調停における効果的な陳述書の書き方

陳述書には離婚調停にいたった経緯や言い分をまとめた内容を記載します。以下の項目を時系列でわかりやすく記載しましょう。

  • 氏名・年齢(自分と相手方)
  • 現住所(自分と相手方)
  • 職業・勤務先(自分と相手方)
  • (子供がいるときは)子供の名前・年齢・性別・学校
  • 当初の生活状況
  • 離婚調停にいたった経緯
  • 現在の生活状況
  • 最終的に自分がどうしたいか(離婚したい・親権者や慰謝料などの離婚条件) など

陳述書には決まった形式はありません。手書きでも可能ですが、修正などの手間を考えるとパソコンで作成することをおすすめします。

陳述書記入例

なお、子供に関する事項については、調停委員が知りたい内容が決まっていることが多いです。

子供に関する事項を記載する際は「子の監護に関する陳述書」の記載例を参考にすると良いでしょう。

参考:裁判所「人事訴訟事件の進行に応じて提出する書面の書式等(https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/zinzi_soshou/index.html)」※1

まとめ

陳述書を提出すれば、離婚調停という限られた時間を有効に使うことができ、調停委員に自分の考えや主張を伝えやすくなるため、離婚調停を有利に進めやすくなります。

ただし、陳述書の書き方によっては調停委員の心証を悪くしてしまうおそれがあります。

適切で効果的な陳述書を作成するためにも、弁護士に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。

※1 裁判所「人事訴訟事件の進行に応じて提出する書面の書式等

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