離婚裁判における本人尋問の流れと成功させるための8つのポイント

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弁護士監修
離婚裁判における本人尋問の流れと成功させるための8つのポイント

本人尋問は当事者本人が裁判に出頭し、弁護士や裁判官からの質問に答えるものです。

証言台の前に本人が立ち、両脇に弁護士、正面に裁判官が座り、質問され、回答する、といった状況をドラマなどで見た方もいるでしょう。

裁判官が争点を審理する際、本人尋問の内容を判断材料にします。そのため、本人尋問でどのような対応をするかによって裁判の結果が変わる可能性があります。

この記事では、本人尋問の流れや本人尋問を成功させるためのポイントを解説します。離婚裁判を考えている方、本人尋問を行う可能性がある方は最後までお読みください。

目次
  1. 離婚裁判における本人尋問の目的
  2. 本人尋問が行われるタイミング
  3. 本人尋問までの流れ
  4. 本人尋問の流れ
    1. 人定質問
    2. 宣誓
    3. 主尋問・反対尋問・補充尋問
  5. 本人尋問を成功させる8つのポイント
    1. 提出した書類を読み込んでおく
    2. 本番のシミュレーションを行う
    3. 弁護士と綿密に打ち合わせをしておく
    4. 適切な服装を心がける
    5. 聞かれたことだけを簡潔に答える
    6. 嘘をつかない
    7. 感情的にならない
    8. 裁判官のほうを見て大きな声ではっきりと話す
  6. 離婚裁判の判決後の流れ
  7. 本人尋問を成功させるためには弁護士に依頼
  8. まとめ

離婚裁判における本人尋問の目的

離婚裁判における本人尋問とは、離婚の当事者本人が裁判に出頭し、双方の代理人や裁判官らの質問に答えるものです。

本人尋問の目的は、自身の事実認識を適切に説明して、その内容を信用してもらうことです。

本人尋問を通じ、双方の主張に食い違いがある場合はどちらが真実らしいのか、提出された証拠が信用できるものかなどについて裁判官が判断します。

相手方を言い負かすことができたからといって、裁判官があなたに有利な判断をするわけではありません。

ひとつひとつの質問に対し、話に矛盾がないか、証拠と整合性がとれているか、といった視点で裁判官は判断します。

本人尋問が行われるタイミング

本人尋問は離婚裁判の終盤で行われます。本人尋問を行うかどうかは裁判官が決めるため、必須ではありません。

ただし、離婚裁判ではほとんどのケースで本人尋問が行われています。

本人尋問までの流れ

本人尋問までの流れは下記です。

  1. 原告が離婚裁判を提起する(家庭裁判所に訴状を提出する)
  2. 裁判所が第1回口頭弁論期日を指定
  3. 被告が答弁書を提出する
  4. 第1回口頭弁論
  5. 第2回目以降の口頭弁論
  6. 和解勧告・和解協議
  7. 本人尋問
  8. 判決

全体の流れについては下記をご覧ください。

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本人尋問の流れ

本人尋問の流れは下記です。

  1. 人定質問
  2. 宣誓
  3. 主尋問
  4. 反対尋問
  5. 補充尋問

以下、順番に解説します。

人定質問

人定質問とは、尋問を受ける人が当事者本人であることを確認するものです。氏名と住所を聞かれますので、間違いなければ「間違いありません」と答えましょう。

宣誓

証人席で起立し、真実をありのままに話す旨の宣誓書に署名・捺印をします。記入が終わったら法廷で宣誓書を朗読します。

主尋問・反対尋問・補充尋問

尋問は原告、被告の順に行われます。 なお、尋問には次の3つの種類があります。

  • 主尋問
  • 反対尋問
  • 補充尋問

主尋問とは、尋問を申し出た側からの尋問です。相手側からの尋問を反対尋問と言います。主に代理人が行い、主尋問、反対尋問の順番で行います。

代理人が不在の場合、主尋問は裁判官が行い、反対尋問は相手側本人が行います。

  • 主尋問:自分の弁護士(不在時は裁判官)
  • 反対尋問:相手方弁護士(不在時は相手方本人)

なお、補充尋問は、主尋問・反対尋問後にわかりにくい部分があったり、確認が必要な部分があったりした場合に裁判官が行う尋問です。

本人尋問を成功させる8つのポイント

離婚裁判における本人尋問の流れと成功させるための8つのポイント

本人尋問を成功させるポイントを8つご紹介します。

  • 提出した書類を読み込んでおく
  • 本番のシミュレーションを行う
  • 弁護士と綿密に打ち合わせをしておく
  • 適切な服装を心がける
  • 聞かれたことだけを簡潔に答える
  • 嘘をつかない
  • 感情的にならない
  • 裁判官のほうを見て大きな声ではっきりと話す

それぞれについて、下記で解説します。

提出した書類を読み込んでおく

裁判官は尋問の内容とすでに提出された資料と矛盾がないかという視点で判断します。提出した書面と矛盾があれば、嘘をついていると思われる可能性があります。

人間は忘れる生き物です。嘘をつくつもりがなくても、自分がどのような内容の書類を作ったか覚えていないこともあるでしょう。

本人尋問の前に自分が提出した書類を再度確認し、頭に入れておきましょう。

本番のシミュレーションを行う

本人尋問は初めてという方のほうが多いでしょう。何を質問され、何が起こるかわかりません。事前にどのような質問がくるかは相手方の代理人から教えてもらえません。

予め想定される質問を考え、シミュレーションや予行演習を行っておくと良いでしょう。

弁護士と綿密に打ち合わせをしておく

離婚裁判は法的な手続きが多いため、弁護士に依頼される方も多いです。

本人尋問の前に綿密に弁護士と打ち合わせを行い、想定される質問と、それに対してどう答えたらいいかなど、しっかりと詰めておきましょう。

本人尋問によってどれだけ自分の主張を補強ができるかが重要です。特に主尋問は自分の弁護士からの質問です。綿密に打ち合わせを行うことで入念に対策を取ることができます。

適切な服装を心がける

本人尋問当日の服装に決まりはありません。しかし、あまりに派手な服装だと裁判官への印象が悪くなる恐れもあります。

スーツを着る必要はありませんが、清潔感がない服装や露出が多い服装、過度に派手な服装は避け、落ち着いた服装のほうが無難でしょう。

聞かれたことだけを簡潔に答える

本人尋問は時間に限りがあります。 聞かれたことにだけに回答し、余計なことは付け足さないようにしましょう。

言いたいことがあるかもしれませんが、補足しているとほかの質問で時間が足りなくなってしまう恐れがあります。

また、質問された内容について記憶がない場合や知らない場合、無理に答えないことも重要です。

「『知らない』と言いたくない」「期待に応えたい」と考え、無理に回答しようとする人もいます。

しかし、このときに回答したことが後になって不利になったり、「嘘をついた」と思われたりする恐れもあります。

わからないことは「覚えていません」「わかりません」「質問された内容はわかりません」など、正直に答えましょう。

嘘をつかない

嘘をつかない

当然のことですが、本人尋問で嘘をついてはいけません。

「ちょっとくらいなら大丈夫」と思いがちですが、尋問を進めていくうちに、話す内容と矛盾が生じ、嘘が露呈することもあります。

嘘をついていたことが発覚すると、ほかの話も嘘ではないかと疑われてしまい、「信用できない人物」という印象を持たれる恐れがあります。

後になって矛盾が生じないためにも、真実だけを話し、嘘はつかないようにしましょう。

なお、「嘘をつかない」と宣誓した本人が虚偽の陳述をした場合、過料に処せられる恐れがあります。

民事訴訟法第209条(虚偽の陳述に対する過料)
宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、裁判所は、決定で、10万円以下の過料に処する。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
3 第1項の場合において、虚偽の陳述をした当事者が訴訟の係属中その陳述が虚偽であることを認めたときは、裁判所は、事情により、同項の決定を取り消すことができる。

感情的にならない

反対尋問では、あなたを感情的させるために、まるで挑発するかのような、気分を害する質問をしてくることもあります。

このとき、感情的になり、相手の質問を制したり、余計なことを話したりしてしまえば、相手の思うつぼです。

尋問中は自分のペースを崩さず、冷静になることが重要です。

ひとつひとつの質問を心に刻み、自分にとって不利益にならないか、言わなくてもいいことはないかなどを考え、簡潔かつ正直に回答しましょう。

裁判官のほうを見て大きな声ではっきりと話す

本人尋問の目的は裁判官に対して自身の事実認識を適切に説明して、その内容を信用してもらうことです。本人尋問で受け答えする際は、裁判官のほうを見て大きな声ではっきりと話しましょう。

弁護士から質問が来る場合は、横にいる弁護士から質問が来ます。このとき、つい弁護士のほうを見て話そうとしてしまいがちですが、あくまで伝える相手は裁判官です。

前を向き、大きな声ではっきりと話しましょう。

前を向いて堂々と話す姿勢は「言わされているのではなく自分の言葉で話している」という印象を与える効果があり、裁判官に好印象を与えることができます。

離婚裁判の判決後の流れ

判決正本を受けてから2週間以内に控訴がなければ判決が確定します。判決の確定日から10日以内に離婚届を提出します。

本人尋問を成功させるためには弁護士に依頼

本人尋問を成功させるためには、しっかりと事前準備を行うことが重要です。

弁護士なしで対応する場合、主尋問は裁判官が行います。一方、弁護士に依頼した場合、自分の弁護士が主尋問を行うため、徹底的に事前準備・予行演習を行うことで対策が取れます。

また、弁護士なら、反対尋問でどのような質問が来るのか、どう回答すればいいのかアドバイスしてもらえます。

本番はどのようなことが起こるかわかりません。不安になったり、焦ったりすることもあるでしょう。

たった一人で本人尋問に臨むのと、隣に信頼できる弁護士がいるのとでは安心感が違います。離婚裁判に進んだ場合は信頼できる弁護士に依頼しましょう。

まとめ

離婚裁判の本人尋問は信頼できる弁護士に依頼し、綿密に打ち合わせやシミュレーションを行うことが重要です。

弁護士なら離婚問題が有利になるようサポートしてくれますし、本人尋問以外は弁護士が対応するため、負担を軽減できます。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。

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