離婚調停で聞かれることは?回答時の注意点と事前に準備すべきこと

裁判・調停
弁護士監修
離婚調停で聞かれることは?回答時の注意点と事前に準備すべきこと

離婚の話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。

離婚調停では調停委員を介して話し合いを行いますが、どのように自分の主張を伝えれば良いか、不安になることもあるでしょう。

調停委員から聞かれる内容が事前にわかっていれば、準備も可能ですし、自分の主張も伝えやすくなるでしょう。

実は離婚調停の初回期日で聞かれることはある程度決まっています。

この記事では、離婚調停で聞かれること、事前に準備すべきことについて解説します。

目次
  1. 離婚調停とは
  2. 離婚調停の流れ
  3. 離婚調停で主に聞かれること
    1. 結婚した経緯
    2. 離婚を決意した理由(申立人)
    3. 離婚に同意しているかどうか(相手方)
    4. 現在の夫婦関係について
    5. 子供について
    6. 夫婦関係が修復できる可能性があるか
    7. 離婚条件について
    8. 離婚後の生活について
  4. 予定外の質問には冷静に対応する
  5. 離婚調停前にすべきこと
    1. 聞かれる質問と主張する内容をまとめておく
    2. 相手方の主張を予想する
    3. 裁判所までのアクセスを確認しておく
  6. 2回目以降は何を聞かれるのか
  7. まとめ

離婚調停とは

離婚する場合、まずは夫婦が離婚について話し合い、協議離婚の成立を図ります。しかし、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。

離婚調停とは、調停委員を介して行う離婚手続きです。 調停での話し合いの相手は調停委員になります。

離婚調停では調停委員を味方につけ、自分の主張のほうが合理的であることを理解してもらうことが重要です。

離婚調停で聞かれることはある程度決まっているため、事前に準備しておくことで離婚調停を有利に進めやすくなります。

離婚調停の流れ

離婚調停は以下の流れで進みます。 離婚調停の申立て 呼び出し状が届く 調停期日が開かれる 調停成立または不成立

離婚を希望する側が家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。申立て後、1~2週間程度で1回目の調停期日を知らせる呼び出し状が当事者双方に届きます。

呼び出し状に記載された日時に当事者双方が家庭裁判所に出向くと調停期日が開かれます。当事者は別々の待合室で待機し、一人ずつ呼び出され、調停委員と話をします。

自分の主張は調停委員を介して相手側に伝えられます。これを数回繰り返し、合意を図ります。

合意に至った場合は調停が成立します。しかし、話し合いがまとまらない場合は調停不成立となります。

離婚調停で主に聞かれること

離婚調停の1回目の期日で聞かれることはある程度決まっており、主に以下のような質問がなされます。

  • 結婚した経緯
  • 離婚を決意した理由(申立人)
  • 離婚に同意しているかどうか(相手方)
  • 現在の夫婦関係について
  • 子供について
  • 夫婦関係が修復できる可能性があるか
  • 離婚条件について
  • 離婚後の生活について

以下、それぞれについて解説します。

結婚した経緯

結婚した経緯

離婚調停に至った理由を把握するために、まずは結婚した経緯を聞かれることがほとんどです。

この質問については、過去の思い出を詳細に話す必要はなく、結婚に至った経緯を時系列で話すと良いでしょう。

離婚を決意した理由(申立人)

離婚調停の申立人には離婚を決意した理由を聞かれます。 離婚調停は離婚裁判と違い、法定離婚事由は必要ありません。

しかし、合理的な理由でなければ調停委員が納得しにくいケースもあります。例えば、「何となく嫌になった」という理由だと調停委員も納得しにくくなります。

調停委員を納得させることが必須というわけではありませんが、納得を得られたほうが調停をスムーズに進めることができる可能性が高まります。

また、調停委員が離婚調停をどうやって解決へと進めていくのかを判断するために重要な質問になります。

この質問に回答する際、つい感情的になりがちですが、冷静になり、ポイントを押さえ、具体的なエピソードを必要に応じて証拠を示しながら主張することも検討する必要があります。

例えば、不倫を理由に離婚したいが相手方が否定しているようであれば、不貞行為があったことを立証できる証拠を示すと良いでしょう。

離婚に同意しているかどうか(相手方)

調停委員は申立人から聞いた内容を踏まえ、相手方に質問をします。申立人と相手方には同じ質問をするのが基本ですが、相手方には「離婚に同意しているかどうか」について聞かれます。

離婚に応じる気がない場合は離婚したくない理由を調停委員に伝える必要があります。

現在の夫婦関係について

現在の夫婦の問題点について整理するため、現在の夫婦関係について質問されることが多いです。具体的には以下のようなことを聞かれます。

  • 同居しているかどうか
  • 生活費はどちらがいくら支払っているか など

婚姻中の生活費は婚姻費用分担義務という夫婦の義務を果たしているかを確認する意味でも重要な質問になります。

子供について

子供について

未成熟子がいる場合は子供のことについて質問されます。具体的には以下のようなことを聞かれます。

  • 面会交流の有無や内容、頻度
  • 子供は親の離婚についてどう思っているのか
  • 離婚に伴い子供の生活環境はどう変わるのか など

夫婦関係が修復できる可能性があるか

離婚調停では夫婦関係を調整するための調停です。そのため、離婚だけでなく、夫婦関係を修復する形で解決策を模索することもあります。

夫婦関係を修復可能で婚姻生活を継続できそうな場合は調停不成立となることもあります。

あなたが離婚を申し立てており、離婚する意思が固いのであれば、曖昧な返事や修復できそうなことを言わず、「修復できない」とはっきり伝えましょう。

離婚条件について

離婚調停では離婚そのものだけでなく、離婚条件についての話し合いも可能です。

離婚する際は財産分与や慰謝料、年金分割、子供がいる場合は親権や養育費、面会交流などの条件を決める必要があります。

そのため、まずは申立人が財産分与や慰謝料、養育費などの離婚条件についてどう考えているか確認され、すり合わせていくことになります。

慰謝料を請求する立場であれば、慰謝料請求する理由や具体的な金額について決めておきましょう。

このとき、どのような理由で慰謝料請求するかによって、必要に応じて事実の根拠となる証拠を示しながら主張します。

財産分与についてはどのような財産がいくらあるのか資料を提出します。

養育費の金額は双方の収入をもとに算定表に沿って算出されるため、夫婦それぞれの収入がわかる資料を提出します。

なお、離婚条件を聞かれる際は相手が応じない場合は訴訟を提起するつもりかどうかを聞かれることもあります。

離婚後の生活について

離婚後は夫婦が別々の生活を送ることになります。そのため、離婚後の生活についてどう考えているのか聞かれます。具体的には以下のようなことを聞かれます。

  • 離婚後にどこに住むのか
  • 離婚後はどうやって生計を立てるのか
  • 子供の面倒を見てくれる人はいるのか など

回答した内容は相手方に伝わる可能性もあります。離婚後の住所や勤務先など、相手方に知られたくない内容については調停委員から質問されても答える必要はありません。

また、調停委員には答えるが、調停委員から相手方には伝えないようにしてもらう、という対応をしてもらうこともできます。

一方、離婚後に住む場所や収入のあてがなければ、離婚する気があるのか疑問に思われるかもしれません。

反対に、離婚後の生活についてしっかりと考えていることが調停委員に伝われば、離婚の意思が固いと印象づけられる可能性があります。

特に親権を争う場合は離婚後の養育環境に問題がないことが重要です。親権を争う場合は離婚後の養育環境が整っていることをアピールすると良いでしょう。

予定外の質問には冷静に対応する

予定外の質問には冷静に対応する

1回目の調停で立ち入った質問がなされることは少ないですが、稀に想定外の質問がなされるケースもあります。調停は話の展開によって予定外の方向に進むことがあるのです。

予定外の質問がなされた際もまずは落ち着きましょう。

質問に答える際、焦って答えたり、無理に答えようとして、事実と異なる発言をしてはいけません。時間がかかっても良いので、よく考えてから答えるようにしましょう。

離婚調停前にすべきこと

ここまで離婚調停で聞かれることを解説しました。

離婚調停は事前準備が結果を左右すると言っても過言ではありません。離婚調停の前に以下のことを準備しておきましょう。

  • 聞かれる質問と主張する内容をまとめておく
  • 相手方の主張を予想する
  • 裁判所までのアクセスを確認しておく

それぞれについて下記で解説します。

聞かれる質問と主張する内容をまとめておく

前述のとおり、離婚調停で聞かれることはある程度決まっています。しかし、何も準備をしなければ調停委員に自分の主張を適切に伝えることは困難です。

離婚調停前に事前に聞かれる内容を確認し、それぞれの質問について調停委員に伝える内容を整理しておきましょう。

相手方の主張を予想する

調停委員の質問に対して相手方がどのような主張・反論をするのか予想し、対処法を考えましょう。

相手方の主張に対する対処法まで準備することで、離婚調停を有利に進めやすくなります。相手方の出方や主張を想像できないという場合は弁護士に相談すると良いでしょう。

裁判所までのアクセスを確認しておく

裁判所までのアクセスを確認しておく

期日当日、余裕を持って裁判所に着けるよう、裁判所までのアクセスを確認しておくことも大切です。

事前に裁判所の公式ウェブサイトや地図アプリなどで裁判所までのアクセスや所要時間を確認しておきましょう。

どのようなことでも、時間に余裕を持って対応するほうが気持ちにゆとりが生まれ、落ち着いて対応できます。

時間に余裕を持って裁判所に着くことで、冷静に調停に臨むことができ、質問に答える際も落ち着いて伝えやすくなります。

なお、実際に行ってみると立地がわかりにくかったり、道に迷ったりするケースもあります。可能であれば、事前に裁判所まで足を運んでみると良いでしょう。

 

2回目以降は何を聞かれるのか

離婚調停は1回で終局するケースもありますが、ほとんどの場合は複数回にわたって行われます。

2回目以降の調停期日では、初回期日の内容を踏まえ、調停委員が争点を洗い出し、アドバイスや調整案を提示したり、さらに踏み込んだ質問がなされたりします。

そのため、初回の期日の際は調停委員や調停委員だけでなく、自分の発言までメモに残し、話し合った内容を整理しておきましょう。

特に、申立人と相手方との主張が食い違っていたり、争いが合ったりする場合はその点を重点的に質問されるため、回答を考えておきましょう。

当事者は調停委員から提示された調整案やアドバイスを受け入れるかどうか意見を述べたり、質問に答えたりしていき、双方の意見が伝えられたうえで調停委員が落としどころを探っていきます。

まとめ

離婚調停で聞かれることについて解説しました。

離婚調停ではある程度聞かれることが決まっているため、ここで紹介した内容を参考にして、準備をしておきましょう。

相手の出方や主張を予想できない、適切に答えられる自信がないという場合は弁護士に依頼されることをおすすめします。

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