離婚調停を拒否したいあなたへ。調停に出ないリスクと解決策

裁判・調停
離婚調停を拒否したいあなたへ。調停に出ないリスクと解決策

「離婚調停を申し立てられたけど相手の顔なんて見たくない」

「そもそも離婚するつもりもないから調停に出たくない」

「自分に離婚原因はない」

そんな風に思っていませんか?

離婚調停は裁判所で行われる手続きですが、あくまで話し合いによって合意を図る手続きです。

調停に出席しないことには、あなたが考えている以上に大きなリスクが伴います。

この記事では、離婚調停の欠席がもたらすリスクと、調停に出席したくない場合にどうすべきか、離婚を拒否したい場合にどう対処すべきかについて、わかりやすく解説します。

目次
  1. そもそも離婚調停は拒否できるのか
  2. 離婚調停を欠席するとどうなるのか
    1. 裁判所から出廷を促される
    2. 調停が不成立となる可能性がある
  3. 離婚調停を拒否し続けるリスク
    1. 自分の主張を伝える場を失う恐れがある
    2. 離婚条件で不利になる恐れがある
    3. 裁判で離婚が認められる恐れがある
    4. 裁判官や調停委員への心証が悪くなる
  4. 離婚調停に出たくない場合の現実的な解決策
    1. 裁判所に期日変更を申し出る
    2. 弁護士に代理人として出席してもらう
  5. 離婚を拒否したい場合の対処法
    1. 婚姻を継続したい理由を洗い出す
    2. 離婚届不受理申出を行う
    3. 弁護士への相談
    4. 円満調停の申立て
  6. 離婚を拒否したいときにやってはいけないこと
    1. 感情的になる
    2. 長期間別居する
  7. まとめ

そもそも離婚調停は拒否できるのか

離婚調停は家庭裁判所に申立てを行い、夫婦が話し合いで合意を図る手続きです。夫婦の合意を前提としているため、夫婦双方の出席が求められます。

相手方が離婚調停を申し立てた場合、家庭裁判所からあなたのもとに「期日通知書(呼出状)」の入った封筒が届きます。

封筒は家庭裁判所の名前が書かれており、期日通知書のほか、案内文や家庭裁判所周辺地図などの関係書類が同封されています。

期日通知書には調停の日時や場所、申立人・相手方氏名や事件名が記載されており、出頭を求める旨が記載されています。

もっとも、離婚調停は法的に出席を強制されることはありません。

呼出状が届いたからといって、必ずしも出席しなければならないわけではなく、法的なペナルティもありません。

離婚調停があくまで当事者間での話し合いの場のため、出席を強制することはできないためです。

離婚調停を欠席するとどうなるのか

調停を欠席した場合、以下のような事態が起こる可能性があります。

  • 裁判所から出廷を促される
  • 調停が不成立となる可能性がある

それぞれについて下記で解説します。

裁判所から出廷を促される

初回の欠席の場合、裁判所がその理由を確認し、再度呼び出しを行うというのが一般的です。

欠席する場合、事前に家庭裁判所に連絡します。欠席理由がやむを得ないものであれば、日程を再調整して調停を続行することになります。

期日変更申出の方法については「裁判所に期日変更を申し出る」項にて後述します。

調停が不成立となる可能性がある

正当な理由もなく何度も2回以上欠席した場合、調停委員が「調停成立の見込みなし」と判断し、調停不成立となるケースがほとんどです。

これは、調停が当事者双方の話し合いによる合意を目的としている手続きであるためです。

なお、再三裁判所が呼び出しを行ったにも関わらず、調停期日に出席しない場合は5万円以下の過料が処される可能性があります。

また、調停が不成立になった場合、相手が離婚訴訟を提起する可能性があります。

これについては「裁判で離婚が認められる恐れがある」項にて後述します。

離婚調停を拒否し続けるリスク

離婚調停を拒否し続けるリスク

「調停出席を拒否すれば離婚を回避できる」と思っていませんか? しかし、それは大きな間違いです。

調停を拒否し続けることには以下のようなリスクがあります。

  • 自分の主張を伝える場を失う恐れがある
  • 離婚条件で不利になる恐れがある
  • 裁判で離婚が認められる恐れがある
  • 裁判官や調停委員への心証が悪くなる

それぞれについて下記で解説します。

自分の主張を伝える場を失う恐れがある

離婚調停では、当事者双方が調停委員を介して自分の主張を相手方に伝えます。

つまり、離婚調停を拒否するということは、自分の主張を伝える場を自ら放棄することになるのです。

あなたが離婚調停を拒否したからといって、相手方の離婚の意思が変わる可能性はありません。

あなたが調停に出席しなければ、提出された書類の内容や相手方の主張だけが調停委員に伝わることになります。

それが誤った内容であっても、調停委員には相手方の意見しか届かないため、その主張が通ってしまう恐れがあります。

そのため、離婚調停を拒否することであなたの立場が不利になる可能性があります。

離婚条件で不利になる恐れがある

離婚調停では、離婚そのものだけでなく、慰謝料や財産分与、親権、養育費などの離婚条件についても話し合います。

離婚調停の出席を拒否し続けると、自分の主張を伝えることができません。

そのため、あなたの希望は考慮されず、相手の主張する条件がそのまま通ってしまう可能性があるのです。

裁判で離婚が認められる恐れがある

調停が不成立に終わった場合、相手方が離婚訴訟を起こす可能性があります。

裁判を欠席し続けると、あなたに「離婚を争う意思がない」とみなされ、判決が下されることになります。

裁判では法律に基づき、裁判所が離婚の判断をくだします。

「法定離婚事由に該当する」と認められた場合、あなたが離婚を拒否しても納得ができなくても、原告の主張に基づき、離婚が成立してしまう可能性が高くなります。

もっとも、どうしても判決に納得できないという場合は判決文を受け取った翌日から14日が満了するまでであれば控訴することができます。

裁判官や調停委員への心証が悪くなる

調停での内容は裁判でも考慮されるというのが実情です。

調停に出席しないことは、「話し合いに応じる意思がない」「真剣に向き合っていない」と受け取られ、裁判官や調停委員に悪い印象を与えてしまいます。

そのため、裁判で初めて自分の意見を主張しても「なぜ調停で伝えなかったのか」と思われ、心証を悪くしてしまう恐れがあります。

離婚調停に出たくない場合の現実的な解決策

離婚調停に出たくない場合の現実的な解決策

「それでも調停に出たくない」

「調停に出る時間が取れない」

このような方のために、現実的な解決策をご紹介します。

  • 裁判所に期日変更を申し出る
  • 弁護士に代理人として出席してもらう

それぞれについて下記で解説します。

裁判所に期日変更を申し出る

体調不良や仕事の都合など、やむを得ない理由で調停期日に出席できない場合もあるでしょう。

このような場合、離婚調停の欠席で不利にならないためにも、裁判所に対して期日変更の連絡を行います。

呼び出し状に担当書記官の名前が記載されていますので、担当書記官宛てに連絡します。

期日変更を申し出る際は、調停を欠席する理由を説明する必要があります。

体調不良などの理由で欠席する際は医師の診断書などを提出し、事情を説明しましょう。

風邪などいつまでに回復するか見込める場合は日程調整に応じてもらえる可能性が高いでしょう。

鬱病などの精神疾患の場合は回復時期を見込むことが難しいため、調停期日の変更に応じてもらえない場合もあります。

このような場合は後述する弁護士に代理人として出席してもらうといった対応をおすすめします。

弁護士に代理人として出席してもらう

最も現実的で効果的な解決策は、弁護士に代理人として出席してもらうことです。

弁護士に依頼すれば、あなたの代わりに弁護士が調停に出席し、あなたの主張を伝えてくれます。

これにより、相手と直接顔を合わせることなく、不利益を回避しつつ、あなたの権利を守ることが可能になります。

また、弁護士は法律の専門家ですので、代理人として交渉することでより有利な条件で合意できる可能性が高まります。

離婚を拒否したい場合の対処法

離婚調停の出席を拒否したい理由が「そもそも離婚するつもりがない」という場合の対処法をご紹介します。

  • 婚姻を継続したい理由を洗い出す
  • 離婚届不受理申出を行う
  • 弁護士への相談
  • 円満調停の申立て

それぞれについて下記で解説いたします。

婚姻を継続したい理由を洗い出す

「離婚したくない」と思うのであれば、なぜ離婚したくないのか、その理由を具体的に整理しましょう。

離婚したくない理由として多いものには以下のようなものがあります。

  • 夫婦関係は破綻していない
  • やり直す努力をしたい
  • 自分は離婚原因を作っていない
  • 子供がまだ小さいため、子供への影響を配慮したい など

離婚したくない理由を事前に整理しておくことで、話し合いの際に相手方を説得しやすくなります。

話し合いで解決できれば相手方が調停を申し立てる可能性が低くなります。

調停に進んだ際も、調停委員に対して自分の主張を論理的に伝えやすくなり、離婚を回避できる可能性が高まります。

離婚届不受理申出を行う

離婚の話し合いが進まない場合、相手方が勝手に離婚届を提出する可能性があります。

このような場合に備え、「離婚届不受理申出」を市区町村役場に提出しておきましょう。

こうしておくことで、あなた自身が離婚届を提出しない限り、離婚届が受理されることはありません。

弁護士への相談

弁護士への相談

「相手方から請求された離婚を拒否したい」

「夫婦関係を修復したい」

このような場合も、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士なら相手方が離婚を求める理由や法的根拠を把握し、あなたの主張が法的に認められるかどうかの見通しを提示してくれます。

また、弁護士に依頼することで、代理人として相手方との交渉を行うため、不利益を回避し、有利に話し合いを進めやすくなります。

調停に進んだ際も、弁護士があなたの主張を法的根拠と説得力のある交渉術を用いて伝えてくれるため、安心です。

円満調停の申立て

夫婦関係の修復を望んでいる場合、円満調停を申し立てることも一つの方法です。

円満調停とは夫婦関係の修復を目的とする調停です。

円満調停を申し立てることで、あなたの真摯な姿勢を示すことができますし、夫婦がどのようにすれば関係改善につながるかについて、調停委員を介して話し合うことができます。

円満調停については下記記事を参考にしてください。

関連記事≫≫
夫婦円満調停とは|調停の流れや手続き方法、離婚調停との違いを解説

離婚を拒否したいときにやってはいけないこと

離婚を拒否したいならやってはいけないことがあります。

  • 感情的になる
  • 長期間別居する

それぞれについて下記で解説します。

感情的になる

相手方は離婚を望んでいるため、話し合いのなかであなたのことを非難してくることもあります。

しかし、売り言葉に買い言葉で相手を責めるような言動をしてはいけません。

感情的な言動は、話し合いをこじらせる原因になるだけです。何を言われても感情的にならず、冷静に話し合いを行いましょう。

長期間別居する

離婚の話し合いのなかで、一時的に別居するケースもあるでしょう。

しかし、長期間別居することはやめましょう。

長期間別居していると、裁判に進んだ際に「夫婦関係が破綻している」とみなされ、法定離婚事由のひとつである「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当するとして離婚が認められる可能性があります。

離婚を避けたいのであれば、できるだけ同居した状態で関係修復に努めましょう。

まとめ

離婚調停の出席を拒否すれば、一時的には楽だと感じるかもしれません。しかし、その代償として大きなリスクを負うことになります。

「離婚に応じたくない」

「相手と顔を合わせたくない」

このような場合でも、弁護士に相談し、代理人として出席してもらえば、あなたの主張を適切に伝え、不利な条件で離婚が成立するリスクを回避しやすくなります。

離婚調停の呼び出し状が届き、拒否するかどうかで悩んでいるのであれば、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士と現状を話すことで、今後の見通しが立ち、冷静な判断がしやすくなります。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は調停・裁判をはじめ、離婚問題に精通した弁護士を厳選して掲載しています。まずはお問い合わせください。

離婚コラム検索

離婚の裁判・調停のよく読まれているコラム

新着離婚コラム

離婚問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!

離婚問題の慰謝料は弁護士に相談して適正な金額で解決!

離婚の慰謝料の話し合いには、様々な準備や証拠の収集が必要です。1人で悩まず、弁護士に相談して適正な慰謝料で解決しましょう。

離婚問題に関する悩み・疑問を弁護士が無料で回答!

離婚問題を抱えているが「弁護士に相談するべきかわからない」「弁護士に相談する前に確認したいことがある」そんな方へ、悩みは1人で溜め込まず気軽に専門家に質問してみましょう。

TOPへ