マザコン夫と離婚できる?マザコンを理由に慰謝料請求するには。
「男は大体マザコン」とはよく聞きますが、結婚後もマザコン行動を続けるマザコン夫もいます。マザコン夫と結婚した妻は、夫だけでなく義母からもひどい扱いを受けることがあります。
一方、このようなマザコン夫の問題点は他人に見えづらいという特徴があります。そのため、マザコン夫に苦しんだ妻が離婚話を持ちだすと周囲は不思議がったり反対したりします。
この記事ではマザコン夫がなぜ問題になのかについて触れ、マザコンを理由に離婚ができるのか、慰謝料請求はできるのかについて解説します。
- 目次
そもそもマザコンとは
マザコン(マザーコンプレックス)は和製英語です。本場の英語にはありません。マザコンは日本人男性に特有な行動のため、この言葉が生まれました。
マザコンとは、母親を過度に信頼し、強い愛着を持つことです。
マザコンについて科学的・医学的な根拠はありませんが、婚姻後、妻よりも母親を第一に優先し、夫婦関係に悪影響を及ぼす場合があります。
既婚男性がマザコンであると問題になる場合とは
既婚男性がマザコンであると問題になる場合にはどのようなものがあるのでしょうか。
義母と夫が2人で妻を攻撃する
マザコンの度が過ぎると、夫が母親とともに妻を攻撃し、又は夫の母親が妻を攻撃する際に 夫が妻の味方になってくれない場合があります。多くの場合、妻は家族の一員とみなされていません。
「子供を産む人」「赤ちゃんに母乳を与える人」「家事をする労働者」としてしか見ていないのです。その結果、マザコン夫は平気で妻を愚弄したり、DVに走ることがあるのです。
家庭を守ることができない
男性がマザコンにいたる理由のひとつに「ピーターパン・シンドローム(症候群)」があると言われています。
ピーターパン・シンドロームとは、年齢的には大人であるにも関わらず、子供のような言動をとる人のことを指します。
ピーターパン・シンドロームの特徴には以下のようなものがあります。
- マザコンである
- 女性に対する固定観念がある
- 異性と対等な関係を築きにくい
- 感情のコントロールができない
つまり、マザコン男性がピーターパン・シンドロームであることは珍しくないのです。マザコン男性は課題に直面したとき、母親の判断をあおぎたい衝動にかられます。
学生時代までなら母親頼りでも問題になりません。しかし、30代や40代になってもそのままでは大人とは呼べませんし、ビジネスパーソンとしても問題です。
このような男性は結婚しても家庭を守ることができません。
あなたの旦那もマザコンかも?
マザコン夫は、付き合っているころや結婚当初は「正体」を現しません。そのため、マザコンであることに気付かないまま、マザコン男性と結婚してしまうことがあります。
まずは自分の旦那が「マザコンかどうか」「将来的にマザコン問題を引き起こすかどうか」を知っておきましょう。
旦那のマザコン度チェック【兆候編】
- 以下のような兆候が出たらマザコン夫の可能性が高くなります。
-
- 妻の前でも「おふくろが~」とは言わず「うちのお母さんが~」という
- 通勤時間が長くなっても母親の住居と近いところに住みたがる
- 母親との電話やメールが多い
- 夫しか知らないはずの妻の行動が母親に筒抜けになってる
- 長期連休以外にも頻繁に帰省する
- 嫁姑のトラブルがあると姑の側に立つ
- 家事は妻がやるものだと思っている
- セックスレスである
旦那のマザコン度チェック【確定編】
- 以下のような言動が多くみられたらマザコンと考えて良いでしょう。
-
- 家を買うとき母親の同居を前提で話を進める
- 母親の料理しか食べない。母親が手料理をタッパーで持ってくると喜ぶ
- 妻の手料理を忌み嫌う
- 「母親より良い女はいない」と断言する
- 嫁姑のトラブルで100%姑の側に立つ
- 母親に家計を任せて妻には「小遣い」しか渡さない
マザコンが嫌で離婚はできるのか
夫婦が合意すれば離婚できるが難しい
基本的にどのような理由であっても夫婦が合意すれば離婚はできます。しかし、マザコン夫やその母親は、妻のことを自分たちより下に見ています。
下に見ている妻が離婚を持ち出せば、夫や義母の目には反逆されたように映ります。さらに、マザコンを理由に離婚する場合、以下のように夫の合意が得られない可能性があります。
マザコン夫はマザコンの自覚がないことが多い
そもそも、マザコン夫は自分がマザコンだと思っていません。母親と仲良くしているだけと思っています。
ですから、妻が離婚を切り出しても「母親と仲が良くて何が悪いんだ?」と言われてしまうのです。
夫の母親が出てくることもある
マザコン夫の母親は基本的に過保護です。ですから、離婚の話し合いに義母が入ってくることは十分考えられます。母親の狙いは可愛い息子が有利な形で離婚することです。
例えば、息子が親権を取れるようにしたり、親権が取れない場合は息子の慰謝料や養育費の支払いが少なくなるように画策します。
そのため、義母は息子の妻(嫁)の欠点や弱点を探し出し、徹底的に攻撃してくるでしょう。
マザコンを理由に離婚するためにすべきこと
マザコンを理由に離婚し、不利益を回避するにはどうすれば良いのでしょうか。
財産の確認をしておく
離婚理由に関わらず、離婚の際、財産分与をおこない婚姻中の夫婦の財産をわけることになります。マザコン夫との離婚は、この財産分与にポイントがあります。
マザコン夫との離婚を考えるなら、離婚を切り出す前に財産の確認をしておくことが重要なのです。なぜ「離婚前」に財産の確認が必要なのでしょうか。
基本的に、マザコン夫は妻を信用していません。家計をすべて夫が握っているケースもあります。
このとき、妻が離婚を持ち出したらマザコン夫は財産を隠そうとする可能性があります。
財産の調査は平穏なうちに済ませておくことが重要なのです。
確認すべき財産は預貯金だけではありません。持ち家に住んでいれば土地と建物の権利書の現物がどこにあるのか把握しておきましょう。
また、預貯金以外にも実印やキャッシュカード、株式などの投資用の口座も調べておきましょう。
マザコン夫の母親には正攻法で対抗する
離婚の話し合いに義母が入ることがあると説明しました。妻がマザコン夫の母親に対抗するには正攻法しかありません。
自分の落ち度を指摘されないためにも、日ごろから家事や子供のしつけをきちんとおこない、身なりも整えておきましょう。
そして子供や自分の親族、さらに自分の友達や夫の会社の同僚、母親以外の夫の親族など、あなたに対する周囲の信頼を得ておきましょう。
マザコン夫の問題点は他人に見えづらいことです。周囲から信頼を得ておき、「あの人が離婚を言い出したのだから、よっぽどのことだ」と思われておくことも重要です。
早い段階で弁護士に相談する
離婚を考えるのであれば、弁護士にできるだけ早い段階で相談することが重要です。マザコン夫との離婚は、夫と義母の2人を相手にして交渉するようなものです。
親権や適切な金額の養育費と慰謝料を獲得するにも弁護士の協力を得ることが大切です。弁護士に相談する場合、なるべく早い段階で相談しましょう。
マザコン夫と離婚する場合、離婚を切り出す前から動き出す必要があります。早い段階で弁護士に相談しておけば、離婚に向けて十分な準備ができます。
マザコン夫との離婚は「夫婦生活が破綻しているかどうか」で決まる
夫婦の話し合いで離婚に合意できなかった場合、最終的には訴訟を起こし、裁判で離婚を認めてもらうことになります。
離婚裁判となった場合、家庭裁判所は民法の離婚原因(法廷離婚事由)に該当するかどうかを判断します。裁判で認められる離婚原因は以下の5つです。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年間の生死不明
- 強度な精神病
- 婚姻を継続できない重大な事由
マザコンを理由に離婚する場合は5番目の「婚姻を継続できない重大な事由」に該当するかが鍵になります。
マザコン夫の態度や行動、発言などが「婚姻を継続できない重大な事由」に該当すると裁判所が認めるかどうかです。
「婚姻を継続できない重大な事由」に該当するかどうかは、マザコン夫の言動によって夫婦生活が破綻しているかどうかで判断します。
別居をしてみる
裁判で夫婦生活が破綻しているかどうかを判断する場合、まず「別居していること」を考慮します。長期間別居すれば離婚を認めてもらいやすくなります。
ただし、別居の仕方によって「離婚原因を作ったのはそっちだ」と言われる可能性もあります。
「どのように別居すればうまく離婚につながるのか」といったことも弁護士に相談すると良いでしょう。
離婚理由がマザコンだけでは慰謝料請求は難しい
離婚の慰謝料は結婚生活での精神的苦痛に対して支払われるものです。したがって、夫のマザコン行動が離婚理由であっても慰謝料を請求することはできます。
ただし、マザコンを理由に慰謝料を請求するのは簡単ではありません。なぜなら、マザコンを認定すること自体が簡単ではないからです。
またマザコン夫もその母親も自分たちに悪意はなく、悪いのは妻(嫁)と思っているのです。
したがって、話し合いや離婚調停ではマザコン夫は自分の正当性と妻の過失を猛烈に主張してくるでしょう。
もし、夫や義母が弁護士を立ててきたら自分だけでは到底太刀打ちできません。マザコン夫の攻撃に対抗し、なおかつ慰謝料を勝ち取るにはやはり弁護士の力を借りたほうが良いでしょう。
DVやモラハラの証拠があれば慰謝料を請求できる
マザコン以外にDVやモラハラの証拠があれば慰謝料を請求することは可能です。また、義母から日常的にDVやモラハラを受けていたとします。
この現状を知りながらも、夫が義母の味方をしたり、状況を改善しようとしなかった場合は慰謝料請求ができる可能性があります。
DVやモラハラがある場合は証拠を集める
DVやモラハラの被害に遭い、慰謝料請求する場合は証拠を集めることが重要です。
暴言を吐かれたときの音声
暴言を吐かれた場合、暴言を吐かれた日時や発言内容、被害状況を細かく書き残しておきましょう。メモ程度でも十分証拠になりますが、録音や録画があれば、さらに強力な証拠になります。
DVによってできたケガの写真
DVを受けてできたケガの写真は証拠として有効です。スマホや携帯でも構いませんので証拠として残しておきましょう。
離婚せずマザコン夫とうまくやってためには
マザコンはひとつの価値観です。これまで貫いてきた価値観や生き方を変えろといっても難しいものがあります。ですから、マザコン夫がマザコンを解消することには期待できません。
一方、あなたが夫のマザコン行動を気にならないようにすることはできます。
マザコン行動を許す
まず、夫のマザコン行動を妻であるあなたが許すのです。
例えば、日常生活のなかで夫のマザコンタイムを作るのはいかがでしょうか。夫がマザコン行動をすることを妻も認めているということです。
具体的には、年末年始は夫婦だけで過ごし、お盆は夫に母親と過ごしてもらうなどです。
その間、妻は自分の実家に行ったり、友だちと旅行するなど自分のために時間を使うのはいかがでしょうか。
夫の好きなところを思い出す
マザコン夫と結婚したのはあなたです。
「結婚前はマザコンであることを知らなかった」とはいえ、何かしら好きな部分があったのですよね。今一度、夫のどういうところが好きだったか考え直してみてはいかがでしょうか。
ひょっとして「母性本能をくすぐる甘えん坊なところが好きだった」なんてことを思い出すのではないでしょうか。
まとめ
マザコンを理由に離婚をするのは難しいです。まして離婚の話し合いに義母が入ってくると話が複雑になります。
マザコン夫との離婚を考えるなら離婚前が勝負です。早い段階で弁護士に相談することで、不利益を回避し、離婚しやすくなります。
当サイトは離婚問題に強い弁護士を多数掲載しております。無料相談を実施している事務所もありますので、ぜひお役立てください。
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