介護が熟年離婚を招く?!介護離婚にいたる原因と離婚を回避する方法。

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介護が熟年離婚を招く?!介護離婚にいたる原因と離婚を回避する方法。

夫婦はお互いに喜びと悲しみを分かち合う存在です。しかし、月日の流れが相手を思いやる気持ちを薄めてしまうことがあります。離婚は常に悲しいものですが、熟年期に入った夫婦の離婚は老いが加わるので悲惨です。

そして熟年離婚に「介護離婚」が重なると、もっと悲惨になります。介護離婚の典型は妻が夫の親(義理の親)の介護に疲れて離婚を決断することですが、それ以外の形態もあります。

介護は離婚の「正当な理由」になるのでしょうか。そして「熟年離婚+介護離婚」を回避する方法はないのでしょうか。

目次
  1. 熟年離婚と介護離婚が重なるのは自然なこと
  2. 介護離婚のきっかけは「妻による夫の母の介護」だけでない
    1. 介護離婚の典型は妻が夫の母を介護する場合
    2. 妻が夫の父の介護をする場合
    3. 「介護は妻がするのが当然」という夫に妻が不満を持つケース
    4. 自分の親を介護する妻の態度に夫が不満を持つケース
    5. 妻自身の親の介護がきっかけになるケース
    6. 介護離職が介護離婚につながるケース
  3. 法律的には義理の親を介護する義務はない
  4. 介護は離婚理由になるのか
  5. 「熟年離婚+介護離婚」の二重苦に発展させないために
  6. まとめ

熟年離婚と介護離婚が重なるのは自然なこと

熟年夫婦のなかには「最期の最期までこの人と一緒に居たくない」と思う人もいます。

そんななか、長年の慣れや「熟年離婚はみっともない」という意識から、離婚の一歩手前で踏みとどまっている人もいます。

しかしなんとか離婚を踏みとどまっていたのに、介護が引き金となり離婚を決意してしまうことがあります。それが「熟年離婚+介護離婚」です。

家族介護はとてもストレスが大きい行為です。いわゆる「下の世話」は、他人の糞尿を見たり臭ったり、ときに触れることになります。

これはケアのプロである介護職員や看護師でも、ときに眉をひそめてしまうこともある大変な仕事です。

また、介護を受けている人が認知症を発症すると「物盗られ妄想」を起こすことがあります。

これは、実際は盗難されていないのに「お金を盗まれた」「自分の貯金を引き出せないようにされている」などと妄想してしまうことです。

しかも認知症の方はあたかも本当に起きたかのように臨場感あふれる描写で他者に伝えてしまいます。

泥棒呼ばわりされた介護の担い手は、「ここまでしてあげているのに、どうしてこんな仕打ちを受けるのか」と絶望感を味わうでしょう。

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介護離婚のきっかけは「妻による夫の母の介護」だけでない

介護離婚の典型は妻が夫の母を介護する場合

介護離婚のパターンでよく聞くのが、妻が夫の母(姑、義理の母)を介護するケースではないでしょうか。

姑が健康だったころから妻と仲が悪いと、介護という一大事が起きることで関係悪化が決定的になります

姑の嫌味に耐えてきた妻には「死ぬ間際にまで迷惑をかけるのか」という憎しみの感情がわいてきます。そして妻はある日、「これは私の仕事じゃない」と爆発してしまうのです。

妻が夫の父の介護をする場合

また妻が夫の父(舅、義理の父)の介護をする場合も介護離婚のきっかけになります。威圧的でプライドが高い人は、介護を受けることに屈辱を感じることがあります。

そうなると介護を拒否します。

要介護1~2の軽度の人向けの介護でも「デイサービスになんて行きたくない」「ヘルパーを家に入れたくない」と言い出して、介護をしている義理の娘の手を焼かせるのです。

介護をする妻としては、夫の父親を介護するだけでも大変なのに、そこに非協力的な態度が加わると困難さが増します

そもそも夫に対してすら愛情を傾けることができなくなっている妻は「なんで夫の父親にまで苦しめられなければならないのか」と最終決断をくだしてしまうのです。

「介護は妻がするのが当然」という夫に妻が不満を持つケース

親の介護に直面する年代に多いのが、家事や親の介護は妻がするのが当然という意識です。

こういった夫婦には、すでに「夫がまったく家事を手伝ってくれない」など、妻に不満がある場合があります。

家事や介護というのは、自分の時間や仕事の合間を縫ってやらなければなりません。しかし、これらはいくら頑張っても賃金が発生したり、評価されるわけでもありません。

それなのに、「介護は妻がするのが当然」という態度で夫が妻に感謝の姿勢やねぎらいの言葉をかけないようだと、妻の不満は溜まる一方です

ましてや、「妻が親の介護してくれている」ことをいいことに夫が不倫に走るということもあるようです。こうなると妻の不満が爆発することは否めません。

自分の親を介護する妻の態度に夫が不満を持つケース

熟年離婚+介護離婚では、妻が夫の親を介護しているのに、夫のほうから離婚を持ち出すこともあります。いわゆる「鬼嫁」のケースです。

質(たち)の悪い鬼嫁だと、専業主婦なのに最低限の家事すらせず、子どもの育児やしつけも行き届きません。熟年の夫は長年それを我慢してきたのです。

そして夫の親が弱って介護が必要になったとき、そのような鬼嫁が面倒をみることになると、その介護の仕方にも愛がありません

例えばオムツ交換のときに、平気で「臭いな」と言ったりします。身体介助も手荒で、夫の親は痛みを耐えることになります。

こうした鬼嫁の態度に業を煮やした夫が「お前は俺の弱った親にまでそのような仕打ちをするのか」と、離婚届を突き出すことになるのです

妻自身の親の介護がきっかけになるケース

妻が自分の親の介護をするケースも、熟年離婚+介護離婚になり得ます。

妻の多くは自分の親と別居しています。ということは、妻が自分の親の介護をするときは、親の家に行くというひと手間が必要になるわけです。

介護は手間が少ないと楽になり、手間が多くなると苦痛になります。親の家に行く手間は1回だけならストレスになりませんが、介護は介護の受け手が亡くなるまで続きます

これがやがて大きなストレスになります。

心が狭い夫は、妻が自分の親に献身的な介護をしていると「自分の親の世話は手厚いんだな」「家のなかのことを放置して親の面倒を見続けるのか」などと心ない言葉を言ったりします

妻にとって自分の親への介護は育ててくれたことへの最後のお礼です。それを理解しない夫のことを妻が嫌いになるのは当然です。

介護離職が介護離婚につながるケース

夫や妻が自分の親の介護に専念するために会社を辞めることがあります。これは介護離職といい、社会問題にもなっています。

妻(夫)が夫(妻)の介護離職に猛反発すると夫婦関係は険悪になります。夫(妻)は妻(夫)に「自分の親の介護に反対するとんでもない妻(夫)」と感じるようになります。

妻(夫)は夫(妻)に「会社を辞めれば収入が減る、親を施設に入れればいいのに」と不信感を募らせます。夫婦ともにわだかまりを解消できず、離婚を選択してしまうのです。

法律的には義理の親を介護する義務はない

法律的には義理の親を介護する義務はない

自分の親の介護するケースも介護離婚に発展します。しかし配偶者の親(義理の親)を介護するケースのほうが問題はこじれやすいといえるでしょう

しょせんは他人という感情が起こりやすいからです。

法律上は、義理の親の面倒をみる義務はない、と解釈されています。民法第877条第1項には

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある

と書かれてあります。

自分と義理の親との関係は、婚姻によってできた「姻族」になりますが、法律には「姻族は互いに扶養する義務がある」とは書かれていないのです。

よって、妻や夫に、夫や妻の親を介護(扶養)する義務はありません

介護は離婚理由になるのか

民法第770条は、法定離婚が認められる理由として

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 失踪
  • 精神疾患
  • 婚姻を継続しがたい重大な事由

の5項目を挙げています。

介護は「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性があるので、介護を理由にした離婚は可能です。

介護がまだ発生していない段階ですら、家族間の不仲により離婚が認められるケースがあるからです。

例えば嫁姑問題が深刻化しているにも関わらず嫁の夫が和解に協力しなかったとき、妻(嫁)からの離婚申請が認められることがあるのです。

介護問題によって夫婦の心が離ればなれになったことを立証できれば、離婚は認定されやすくなります

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「熟年離婚+介護離婚」の二重苦に発展させないために

冒頭で申し上げたとおり、「熟年離婚+介護離婚」は悲惨です。そこで離婚に発展させない方法を考えてみましょう。

「熟年離婚+介護離婚」は、介護問題をきっかけにして、それまでくすぶっていた熟年関係が崩壊する、という構図です。ということは、介護を問題化させなければいいわけです。

まず積極的に介護保険制度を使いましょう介護保険制度は介護が必要な高齢者を守るだけでなく、介護をする家族を守る仕組みでもあるのです

介護保険制度を使うには、高齢者が「介護認定」を受けなければなりません。しかし、体の衰えが軽度の場合、高齢者が「介護認定なんて受けたくない」と言い張るかもしれません。

熟年夫婦はまずはこの壁を越えましょう。

介護保険制度には、ケアマネージャーという専門家が介入してくれる仕組みがあります。

ケアマネージャーの利用は無料ですので、介護認定を嫌がる親の説得をケアマネージャーに依頼してみてはいかがでしょうか。

また、それでも親が介護認定を嫌がる場合は、日ごろからお世話になっている主治医や看護師の意見も取り入れるなど工夫して説得してみましょう。

介護保険制度には、物覚えが悪くなった程度の軽度なものから寝たきりや徘徊などの重度なものまで、それぞれの段階に応じた「介護メニュー」がそろっています。

介護メニューを駆使すれば、家族の介護負担はかなり減ります。そして自分の親や義理の親に介護施設に入ってもらえば、夫婦は介護から解放されることになります。

介護不仲も介護離職も回避できるかもしれません。

また、宅配の介護食サービスなどもあります。下記はその一例です。積極的に利用してみましょう。

参考:「コープの【やわらか食】【介護食】【健康管理食】宅配

まとめ

介護がきっかけで夫婦関係に終止符が打たれてしまうのは、「介護という行為」に人の感情を乱す要素が含まれているからです。

だから介護問題は社会問題になっているのです。つまり個人で介護問題を解決することは、そもそも困難なのです。

介護が発生したら、介護保険制度を含むあらゆる社会的な支援を探すなどして、個人の負担を少しでも軽くしましょう。

そうすることで心に余裕ができ、夫婦関係の悪化を抑えることができます。

それでも離婚にいたる場合は、離婚の負担だけでも軽減できるよう弁護士に依頼することをお勧めします。

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