失踪した夫・妻との離婚方法|離婚条件や費用についても解説

その他離婚理由
失踪した夫・妻との離婚方法|離婚条件や費用についても解説

配偶者が家を出てしまい、もう何年も行方がわからない。配偶者と連絡を取ろうにも連絡がつかず、行方もわからない。

こんなとき、早く離婚して新しい人生を歩みたいと思うかもしれません。

では、そもそも行方のわからない相手と離婚できるのでしょうか。この記事では失踪した配偶者と離婚できるのか、離婚できる場合はどうすれば離婚できるのかについて解説します。

目次
  1. 失踪した配偶者との離婚条件
    1. 生死不明の場合
    2. 悪意の遺棄の場合
  2. 失踪した配偶者と離婚する方法
    1. 裁判離婚について
    2. 裁判離婚の流れ
    3. 裁判離婚手続きのポイント
    4. 配偶者の所在が判明したら
    5. 失踪宣告制度を利用する
  3. 失踪による離婚費用の相場
  4. まとめ

失踪した配偶者との離婚条件

通常、離婚は夫婦の話し合いで合意できれば離婚が成立します。しかし、話し合いを行っても離婚が成立しない場合は裁判で法的に離婚を認めてもらう必要があります。

裁判で離婚を認めてもらうためには離婚理由が民法770条で定める以下の法定離婚事由に該当することが必要になります。

民法 第770条
1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
 一 配偶者に不貞な行為があったとき。  
 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

配偶者が長期間失踪している場合、「悪意の遺棄」または「配偶者の生死不明」に当てはまるかどうかが鍵になります。以下で詳しく見ていきましょう。

生死不明の場合

配偶者の生死不明を理由に離婚が認められるケースには以下の条件を満たす必要があります。

  • 生死不明の状態が3年以上続いている
  • 上記の状態が現在も続いている

上記に該当するケースには以下のようなものがあります。

  • ある日突然帰ってこなくなり、連絡がまったく取れないまま3年以上経ったケース
  • 3年以上誰からの目撃情報もないケース
  • 警察に捜索願を出したが、3年以上手がかりがつかめなかったケース

このように、配偶者の生死不明を理由に離婚を認めてもらうには「頑張って探したけど見付からなかった」という事実が必要になります。

反対に、「行方不明だが警察に捜索願を出していない」「所在は不明だが電話などの連絡は取れる」「「知人の目撃情報がある」といった場合は「配偶者の生死不明」を理由に離婚を認めてもらうことは難しいでしょう。

悪意の遺棄の場合

「悪意の遺棄」とは、「夫婦関係を破綻させるため、あるいは破綻しても良いと思って配偶者を見捨てること」を意味します。

悪意の遺棄には例えば以下のようなものがあります。

  • 正当な理由なく配偶者が家出をして別の場所で暮らし始めた
  • 生死不明とまではいえないが、一方的に家を出て行方不明になってしまった

悪意の遺棄は生死不明とまではいえなかったり、生死不明である期間が3年未満であっても認められることがあります。

併せて読むと役立つ記事
相手が拒んでも離婚できる?裁判離婚に必要な5つの法定離婚事由とは。
裁判・調停
相手が拒んでも離婚できる?裁判離婚に必要な5つの法定離婚事由とは。

夫婦間の話し合いで離婚の合意ができれば、役所に離婚届を出すだけで協議離婚を成立させることができます。しかし、いろいろな…

失踪した配偶者と離婚する方法

失踪した配偶者と離婚する方法

配偶者が失踪し、生死不明の状態が続いているケースでは通常と異なる離婚方法を取ります。この場合、次の2つの方法から選択することになります。

  • 裁判離婚
  • 失踪宣告

どちらの方法を選ぶかは財産分与や遺産相続、再婚の可能性などを総合的に鑑みて選ぶことになります。

裁判離婚について

通常、離婚する場合は夫婦間で離婚条件などを話し合い、双方で合意が得られたら離婚が成立します。これを協議離婚といいます。

話し合いによる離婚が成立しなかった場合は裁判所に離婚調停を申し立てることになります。調停でも離婚が成立しない場合は離婚裁判を起こし、裁判所に離婚を認めてもらうことになります。

しかし、配偶者が失踪しているケースでは離婚について話し合うことはできません。協議離婚も調停離婚もあくまで当事者で話し合いを行う方法ですから、離婚裁判で離婚することが認められているのです

離婚裁判で離婚を認めてもらうには民法で定められた法定離婚事由が必要です。例えば、悪意の遺棄を理由に離婚するのであれば「正当な理由もなく配偶者が家から出て行ったこと」を証明する必要があります。

また、配偶者の生死不明を理由に離婚したいのであれば「配偶者が行方不明で生死不明の状態が3年以上続いていること」を証明できれば離婚が認められます。

配偶者が行方不明かつ生死不明の状態が3年以上続いていることを証明するには以下のようなものが有効です。

  • 捜索願の受理証明書
  • 事故や災害などの証明書
  • 親族・知人・友人の陳述書

裁判離婚の流れ

通常、離婚裁判は家庭裁判所に訴状を提出して訴訟を提起することから始まります。裁判所は訴状を受け取ったあと相手方に対して訴状と呼び出し状を送ります。

しかし、配偶者が失踪している場合、配偶者の行方はわかりませんよね。このような場合は公示送達という手段を取ります。

公示送達とは相手方の住所や所在地がわからない場合であっても訴状を送ったこととみなす制度のことです。公示送達による離婚裁判の流れは以下のとおりです。

  • 公示送達
  • 離婚裁判
  • 離婚成立
  • 離婚届の提出

公示送達で必要な書類

公示送達をする場合は以下の書類が必要になります。

  • 通知書:配偶者に到達させる意思表示がある通知書。原本1部、コピー4部を作成する。内容証明でも可。
  • 意思表示の公示送達申請書:所定の申請書に記入・押印し、通知書のコピーを末尾に付ける。
  • 郵便切手:1,034円分 ※詳細については後述します。
  • 添付書類など

参考:裁判所「意思表示の公示送達申請書」

裁判離婚手続きのポイント

公示送達を行い裁判が始まっても、当然配偶者は出席することはありません。当事者や代理人が裁判に出席せずに行われる裁判のことを欠席裁判といいますが、今回のケースは欠席裁判とは意味合いが違います。

欠席裁判では、ほとんどのケースで原告側の主張が認められます。しかし、公示送達による裁判では、相手が裁判に出席していなくても「離婚が相当である」という理由を主張しなくてはなりません。

なお、公示送達、その申請が認められ、裁判所で掲示されてから2週間後に効力を発揮します。裁判で離婚が認められたら、判決から10日以内に管轄の役所へ離婚届を提出しましょう。

裁判などの手続きを取らずに離婚届を出した場合、届出が無効になるだけでなく、私文書偽造罪などに問われ、処罰対象になることがあります。

財産分与や遺産相続

離婚する際、婚姻中の共有財産を公平にわけることが認められています。これを財産分与といいます。配偶者が失踪している場合も、通常の離婚と同様に財産分与を行うことができます。

ただし、配偶者の生死や所在がわからないため、実際に財産を回収することは難しいこともあります。

一方、裁判離婚が成立すると配偶者との法的な関係はなくなります。そのため、離婚成立後に配偶者の死亡が確認できたとしても配偶者の遺産を相続することはできません。

借金をしていた場合

配偶者が借金をしたまま失踪した場合、借金が配偶者の名義であれば、離婚後、あなたに借金の返済義務が生じることはありません。ただ、配偶者名義の借金であっても、あなたが連帯保証人になっている場合は失踪した配偶者の代わりに借金の返済義務を負うことになります。

一方、後述する失踪宣告を行い、配偶者の財産を相続した場合は借金の返済義務が生じます。

配偶者の所在が判明したら

当然のことながら、失踪していた配偶者の所在が分かった場合、通常の離婚と同じように手続きを行います。

協議離婚

相手の所在がわかっているわけです。夫婦で離婚について話し合い行い、合意できれば離婚が成立します。

調停離婚

夫婦で話し合っても離婚が成立しない場合は裁判所に離婚調停を申し立てます。

なお、離婚裁判で離婚が成立したあとに配偶者の所在がわかった場合は離婚が取り消されることはありません。

失踪宣告制度を利用する

失踪し、生死不明の配偶者と離婚するもう1つの方法が失踪宣告です。

失踪宣告とは不在者の生死が一定期間明らかでない場合に、不在者を法的に死亡したとみなす制度です。一般的に、配偶者が7年以上生死不明という場合に失踪宣告が認められます。

一方、震災などの自然災害や飛行機の墜落、戦争などが原因で生死不明となった場合は危難が去ってから生死不明が1年以上続いた場合に失踪宣告を行うことができます。

ただし、失踪宣告はあくまで「配偶者を死亡したもの」とみなす制度ですので、死別と同じ状態です。そのため、失踪宣告をしたからといって戸籍からはずれるわけではありません。

また、失踪宣告は離婚ではないため、慰謝料や財産分与は発生しません。

一方、死別とみなすわけですから遺産相続ができます。

失踪宣告を行ったあと、配偶者が帰ってきた場合は婚姻関係が復活します。失踪宣告後に再婚したいと思うのであれば、失踪宣告後に婚姻解消の手続きを取るか、離婚裁判を行いましょう。

失踪宣告に必要な書類

失踪宣告制度を利用する場合は以下の書類が必要になります。

  • 申立書
  • 不在者の戸籍謄本
  • 不在者の戸籍附票
  • 失踪を証明するもの
  • 申立人との利害関係を証明するもの(戸籍謄本など)

参考:裁判所「家事審判申立書」

併せて読むと役立つ記事
離婚裁判は弁護士なしで大丈夫?費用やメリット・デメリットを解説
裁判・調停
離婚裁判は弁護士なしで大丈夫?費用やメリット・デメリットを解説

配偶者に離婚を切り出したものの同意が得られない場合、「裁判で争う」ことになります。このとき弁護士を頼むと裁判はス…

失踪による離婚費用相場

失踪による離婚費用

失踪した配偶者と離婚する場合、以下の費用が必要になります。

離婚裁判

公示送達をして離婚裁判を行う場合は以下の費用がかかります。

公示送達

・収入印紙代:1,000円 ※意思表示の公示送達申請書に張り付けるもの
・郵便切手代:1,034円(内訳:500円×2枚、10円×3枚、1円×4枚

裁判費用離婚裁判

・収入印紙代:13,000円 ※婚姻関係の解消だけを求める場合
・郵便切手代:約6,000円 ※裁判所により異なる

なお、離婚裁判を弁護士に依頼した場合には上記に加えて下記の費用がかかります。

離婚裁判を弁護士に依頼した場合の費用

相談料:30分5,000円程度
着手金:20万~50万円程度
成功報酬:10万~60万円程度
実費
日当 など

失踪宣告

失踪宣告を行う場合は以下の費用が必要になります。

失踪宣告を行う場合の費用

収入印紙代:800円
郵便切手代:裁判所によって変わる
官報公告料:4,729円(失踪に関する届出の催告2,998円+失踪宣告1,731円)

まとめ

配偶者が失踪したことを理由に離婚を考える場合、通常の離婚と手続きや方法が異なります。また、離婚裁判と失踪宣告のどちらを選択すべきかは、受け取れる財産や離婚後のライフプランで変わります。

そもそも離婚自体、法的な知識が必要です。さらに配偶者が失踪したケースでは問題がより複雑になります。

自分がどちらの方法を選択すべきか迷ったら、離婚問題に強い弁護士に相談すると良いでしょう。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」には離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。当サイトからの電話相談は無料ですので、ご活用ください。

離婚コラム検索

離婚のその他離婚理由のよく読まれているコラム

新着離婚コラム

離婚問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!

離婚問題の慰謝料は弁護士に相談して適正な金額で解決!

離婚の慰謝料の話し合いには、様々な準備や証拠の収集が必要です。1人で悩まず、弁護士に相談して適正な慰謝料で解決しましょう。

離婚問題に関する悩み・疑問を弁護士が無料で回答!

離婚問題を抱えているが「弁護士に相談するべきかわからない」「弁護士に相談する前に確認したいことがある」そんな方へ、悩みは1人で溜め込まず気軽に専門家に質問してみましょう。

TOPへ