親権者とは|親権者の決め方と知るべき5つのポイント
未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合、夫婦関係を解消するだけでなく、親権についても考えなければいけません。
今回は、親権とはどういうものなのか、親権者の決め方やポイントをピックアップしてわかりやすく解説いたします。
- 目次
親権者とは
親権者とは文字どおり子供の親権を持つ親のことを言います。
親権は自動的に決まるわけではなく、離婚の話し合い(協議)や調停、裁判などで決めることになります。
「親権は母親がなるものでは?」と思われがちですが、状況によって親権者は変わるため、必ずしも母親が親権者になれるわけではありません。
なお、離婚届には親権者を書く欄があり、親権者を決めなければ離婚することはできません。
親権とは
親権は一般的に馴染みのある言葉ではありますが、実際にどのようなものなのかわからないという方もいるでしょう。親権は以下の2つの権利から構成されています。
- 身上監護権
- 財産管理権
親権は揉めやすい問題ですので、しっかりと理解しておく必要があります。
身上監護権
身上監護権とは子供の面倒を実際にみる権利のことを言います。一般的に、親権と言えば身上監護権をイメージされることも多いでしょう。
親権を決める際、身上監護権と財産管理権をわけることはなく、一括してあつかうことがほとんどです。
ただし、状況によって、夫婦で2つの権利をわけることもあります。これについては後述します。
財産管理権
財産管理権とは子供が得た財産などを親が代わりに管理したり、法律行為の代理人になる権利です。
交通事故に遭った場合、本来なら損害賠償請求ができますが、未成熟子が自ら損害賠償請求を行うといったことは現実的ではありません。
そこで子供の代わりに、財産管理権を持つ親が加害者に対し、治療費や慰謝料を払うよう請求できるのです。
親権者を決める手続き
ここからは、どのようにして親権者を決めるのかについて解説します。親権者は主に次の3つの方法で決定します。
親権者の決め方 - 協議離婚 -
離婚はまず夫婦の話し合いで解決を図ることになります。これを協議離婚と言います。
協議離婚の場合、話し合いの過程で親権者を誰にするか決めていきます。夫婦の話し合いだけで合意ができれば、どちらが親権者でもかまいません。
親権者の決め方 - 調停離婚 -
夫婦間の協議で話し合いがまとまらない場合は、裁判所の調停手続きで親権を決めていきます。
調停とは裁判所で調停委員などを介して話し合いをする離婚方法です。
当事者同士だと感情的になり、話し合いができないこともありますが、調停委員を介して話すことで、冷静に話し合いがしやすくなります。
調停は裁判所を利用するため仰々しく感じますが、あくまで話し合いで解決を図る方法です。
親権者の決め方 - 裁判離婚 -
調停でも親権者を決められない場合は裁判で決めることになります。
調停はあくまで話し合いですので、双方が合意しなければ成立しません。一方、裁判に進むと、裁判官が法的な根拠に基づいて親権者を決めることになります。
裁判を起こせば親権者が決まりますが、裁判所に出向いたり、法的な手続きが増えるため、当事者の労力や負担が大きくなります。
親権者を決める5つのポイント
夫婦間の話し合いで親権者が決まらず、調停や裁判に進んだ場合は以下の5つのポイントで親権者として適切かどうか判断されます。
養育実績
親権者を決める際、夫婦のどちらが多く子供に愛情を注いできたかを見ることになります。
愛情は目に見えないため、どちらのほうが長い時間子供と接してきたかで判断します。
また、親権者を決める際、「これまでの養育環境に問題がなければ環境を変えないほうが良い」とみなされます。
そのため、これまでの養育実績や主に養育をしていたのはどちらかであったかといったことが重視されます。
離婚後の養育環境
離婚後に子供がどのような環境で過ごすかも大切です。例えば子供が学校や幼稚園にかよっている場合、両親の離婚で遠方に引っ越すことになれば転校や転園を余儀なくされます。
親権者を決める際は、子供への影響が少ないほうが望ましいとされています。そのため、子供の養育環境が変わらないこともポイントになります。
離婚後の養育能力
離婚後に子供を養育できるかどうかも判断基準となります。
子供の養育には体力と精神力が必要です。そのため、親権者は肉体的にも精神的にも健康であることが求められます。
また、離婚後はひとりで子供を育てることになるため、子供の身の周りの世話ができるのかということもポイントになります。
なお、子育てには経済力も必要ですが、親権者は養育費を受け取ることができるため、あまり重要視されません。
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離婚の養育費の相場|できるだけ多くもらう方法とは
子供の意思
親権を決める際は子供自身の意思も大切です。特に子供の年齢が10歳前後になると子供の意思が尊重されます。
なお、子供が15歳以上のケースでは、裁判所は子供の意思を聞くことになっています。
乳幼児の場合は母性優先
乳幼児など、特に子供の年齢が幼い場合は母親が親権者になることが多いです。
乳幼児の場合、授乳や寝かしつけなど昼夜問わず育児が必要になります。日中は保育所などに預けることもできますが、夜間となるとそうは行きません。
そのため、子供が乳幼児の場合は母親が親権者として適切だと判断される傾向があります。
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子供の親権を勝ち取るために離婚前にすべきこと|親権の相談は離婚弁護士へ
離婚時に父親が親権を獲得する方法|養育実績と環境が子供の行き先を決める
離婚調停で親権を獲得するには?押さえておくと有利になるポイント
離婚後に妊娠が判明した場合
夫婦によっては離婚後に妊娠が発覚したというケースもあるでしょう。
この場合の親権者は基本的に母親となります。これは、子供の出生前に両親が離婚した場合、子供の親権者は母親となると民法に定められているためです(民法819条)。
もちろん、話し合いにより、父親が親権を持つこともできます。
親権者と監護者をわけることもできる
親権は身上監護権と財産管理権にわけてあつかわれることはほとんどありません。
しかし、状況によっては親権者(財産管理権者)と監護者をわけることができます。
たとえば、実際に世話をする(監護者)のは母親、財産を管理する(親権者)のは父親といったケースです。
特に親権について争いがある場合、円満かつスピーディに解するためによく用いられる方法です。
親権者は変更することができる
親権は一度決定すれば変更はできないように思われがちですが、決定後も状況に応じて変更ができます。
例えば、親権者が病気で子供の世話が満足にできないケースや子供が親権者から虐待を受けているといったケースです。
このように、親権者を決めた場合であっても、「親権者として不適格」と判断された場合は親権者の変更が可能です。
ただし、一度決めた親権者は話し合いだけで変更することはできず、親権者変更調停を行う必要があります。
両親とも親権者になれない場合
経済的な理由や病気など、両親とも親権者に不向きなケースもあります。両親とも親権者になれないような場合は後見人を選ぶことになります。
祖父母がいる場合は祖父母が未成年後見人となり、祖父母がいない場合は児童福祉施設などが後見人となります。
まとめ
親権者はさまざまな要素で決まります。
「親権を獲得したい」「すでに決めた親権者を変更したい」など、親権について悩んだら、弁護士に相談することをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は親権や離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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