セックスレスが原因の浮気や不倫!離婚や慰謝料請求は認められるのか
「セックスレス夫婦は珍しくない」と聞いて、「うちは違う」と言える人はどれくらいいるでしょうか。むしろ「うちも気がついたらそうなっていた」という人のほうが多いのではないでしょうか。
夫婦のうちどちらかが強烈に「したい」のに「してくれない・させてくれない」場合、トラブルに発展してしまう可能性があります たとえば、外で性欲を満たす浮気・不倫と、そして離婚です。
セックスレスが理由で、つまり配偶者が性交に応じてくれないことを理由に離婚することはできるのでしょうか。また、そもそもセックスレスとはどういう状況のことをいい、日本のセックスレス事情はどうなっているのでしょうか。
さらに、セックスレスに端を発した離婚の慰謝料はどれくらいになるのでしょうか。
- 目次
セックスレスの定義と日本の現状
医師や社会学者らで構成する日本性科学会は、セックスレスを
特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシャル・コンタクトが1カ月以上なく、その後もその状況が長期にわたることが予想される場合
と定義しています。
夫婦がセックスレスになる原因は、セックスに対する嫌悪、勃起障害や性交時の痛みなどの性障害、性欲の減退、そして夫婦間の葛藤です。
セックスレスが問題になるのは、これらの原因が、夫か妻のどちらかに起きたときです。
イギリスのコンドームメーカーのDurex社の調査によると、日本人の成人のセックス回数は年平均45回で、調査した41の国・地域中最下位でした。40位のシンガポールでも年平均73回です。最も多かったギリシャは138回でした。
日本以外のG7では、フランス120回、イギリス118回、アメリカ113回、カナダ108回、イタリア106回、ドイツ104回といずれも年平均100回を超えています。1年は52週ですので、年100回は大体週2回となります。
世界の趨勢からいうと、セックスレスは日本の特性といえるのかもしれません。ですので、日本人夫婦がセックスレスになることは「おかしいことではない」といえるのです。
セックスレスと浮気の関係性とは
セックスレスが引き金となり、夫婦のどちらか、または両方が浮気や不倫に走ることがあります。
セックスレス夫婦の片方が不倫をするケースは2通りあります。
配偶者に性交に応じてもらえず別のパートナーと浮気をする場合
1つ目の流れは、自分は配偶者と性交したいのに配偶者に応じてもらえず、性欲を満たすために別の性交パートナーを探すケースです。
このケースの特徴は、浮気をしているほうに罪悪感が薄いことです。「配偶者がしてくれない・させてくれないから外でする」という言い訳で、自分の心のなかで正当化できてしまうからです。
またこのケースでは、性交を断っているほうにも「自分がしない・させないので、配偶者が浮気をするのは仕方がない」と考えることがあります。
よってこちらのパターンでは大きなトラブルにならないこともあります。
配偶者からの性交の求めに応じず別のパートナーと浮気をする場合
2つ目の流れは、配偶者からの求めに応じない方が浮気に走るケースです。配偶者とはセックスをせず他の相手と性交するのですから、こちらのケースはトラブルに進みやすいでしょう。
浮気をしている方は「配偶者とはセックスをしたくないが、自分の性欲は強い」という状態にあります。さらに「結婚生活は終わっている」と意識していることもあります。
このケースの浮気が発覚すると、浮気された配偶者は「自分はかなり積極的に嫌われている」と感じ激怒することがあります。もしくは極度に自信を失ったり落ち込んだりします。
日本性科学会によると、セックスあり夫婦とセックスレス夫婦を合わせた不倫率は、2012年に男性32%、女性14%となり、2000年の調査より男女ともに3倍に増えました。 そしてセックスレスの夫の不倫率は顕著に高く39%でした。
参考:小学館 Newsポストセブン
「 中高年セクシュアリティ調査 セックスレス倍増、不倫3倍増」
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夫や妻の浮気・不倫が原因で、「離婚したい」と考えるケースは多いと思います。浮気を原因に離婚するためには…
セックスレスを理由とした離婚は認められることがある
セックスレスを理由とした離婚は、民法上は合法になり得ます。民法770条には離婚ができる理由が記載されていて、
となっています。 セックスレスが「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認定されれば、夫婦の片方の訴えで離婚が成立するわけです。
セックスレスが「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認定されるのは、「セックスすることに支障がないのに片方が拒絶するケース」と考えられています。
セックスに支障がないケースとは、例えば、20代の健康な夫婦で性交渉に支障がなく夜などに一緒にすごす時間がある場合です。
この状態で片方が拒絶すれば「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認定される可能性が高まります。
一方、高齢者になったりお互いに性交を望まなかったり、片方が病気だったりした場合のセックスレスは、離婚の正当な理由にはなり得ません。
セックスレスが原因で離婚するとき慰謝料は取れるのか
セックスレスが原因で離婚することになったとき、セックスを求めた方は、セックスを拒絶した配偶者から慰謝料を取ることはできるのでしょうか。
若い夫婦で性交の支障がない場合は、慰謝料を取ることができそうです。ただ高くても10万円程度というのが「相場」のようです。
一方、夫婦の片方が強く求める場合のセックスレスは喧嘩などの争いごとに進んでしまうことも多く、泥沼化すると慰謝料の額が100万円ぐらいになることもあります。
セックスレスが原因で浮気をされて離婚するとき慰謝料は取れるのか
「セックスを望んだのに配偶者に拒絶され、それが引き金となって浮気をし、それが発覚して離婚することになった」
このような場合、セックスを拒絶した側・浮気をした側のどちらも慰謝料を取ることが難しいでしょう。
セックスを拒絶されて浮気をした方には「言い分」はありますが、それが不倫を「正当化する理由」にはなりません。
またセックスを拒絶したことで浮気をされた方は、配偶者の不倫を「責める権利」はありますが、セックスを拒絶した理由が単なる嫌悪感の場合、「配偶者の不倫の原因」になっている可能性があります。
つまり「言い分」「正当化する理由」「責める権利」「配偶者の不倫の原因」などを総合的に判断すると、どちらにも慰謝料を請求する権利がない「痛み分け」という決着も起こりうるでしょう。
もちろん、セックスを拒絶した理由が自身の病気だった場合、それを「不倫の原因」とすることは酷です。この場合、不倫をされた方が慰謝料を取ることができるかもしれません。
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まとめ
日本人のセックスに対する興味の薄さを考慮すると、夫婦間のセックスレスはやむを得ないともいえます。
ただセックスをしたがっている方も、拒絶している方も、ともに結婚生活を継続したいと考えている場合、浮気や不倫を起こさない方法を考えたいところです。
たとえば、「よく話し合うこと」もしくは「夫婦でカウンセリングを受ける」ことが道を開くかもしれません。いずれにしても、夫婦ともに相手に「説明を尽くす」ことは大切です。
「なぜそこまで強くしたいのか」「なぜそこまで強く拒絶しているのか」を告白しあうことで相手への思いやりが生まれるからです。
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