不倫・浮気の誓約書の書き方と作成時の注意点【テンプレート付】

不貞行為
弁護士監修
不倫・浮気の誓約書の書き方と作成時の注意点【テンプレート付】

配偶者が浮気・不倫をしていることが判明したら、再発防止のためにも誓約書を書かせることが重要です。

口では「もう不倫はしない」と言っていても、口頭書面の形で残さないと後で「そんなことは言っていない」と言われてしまう恐れもあります。

しかし、いざ誓約書を作成しようと思っても何から書けばいいのかわからないこともあるでしょう。

この記事では、不倫誓約書の目的や不倫誓約書の書き方、作成する際の注意点について解説します。

目次
  1. 不倫誓約書とは
  2. 不倫誓約書は配偶者に書かせるのが一般的
    1. 不倫誓約書を不倫相手に書かせるケース
  3. 誓約書と示談書、念書の違い
  4. 不倫の誓約書を作成するメリット
    1. 離婚を有利に進められる
    2. 不倫の再発を防ぐ効果が期待できる
    3. 慰謝料請求が認められやすい
  5. 不倫誓約書に記載する5項目
    1. 不貞行為の事実を認めること
    2. 不倫相手との関係解消
    3. 慰謝料の合意内容
    4. 違反した場合のペナルティ
    5. その他の誓約事項
  6. 不倫誓約書の例文【テンプレート】
  7. 不倫の誓約書作成時の注意点
    1. 誓約書の内容を本人に理解させる
    2. 本人自筆の署名と押印
    3. 公序良俗(社会的なモラルや良識)に違反しない
    4. 誓約書の作成を強制しない
    5. 公正証書にしておく
  8. 不倫誓約書に違反があった際の対処法
    1. 相手と直接交渉して違約金を請求する
    2. 内容証明郵便で通知書を送付して慰謝料請求する
    3. 訴訟を起こす
  9. 不倫誓約書の作成を弁護士に依頼するメリット
    1. 法的に有利な誓約書を作成できる
    2. 相手との交渉を任せられる
    3. 不倫誓約書作成後のアフターフォローを受けられる
  10. まとめ

不倫誓約書とは

不倫誓約書とは、不倫が発覚したときに、不倫をした配偶者や不倫相手との示談の際に取り交わす書面のことを指します。

記載する項目に決まりはありませんが、当事者同士の話し合いで取り決めた以下のような内容を記載します。

  • 不貞行為の事実を認めること
  • 不倫相手との関係解消
  • 慰謝料の合意内容
  • 約束を破った場合のペナルティ など

不倫誓約書は、不倫の事実や合意内容の証拠として使えるため、トラブル防止に役立ちます。

不倫誓約書は配偶者に書かせるのが一般的

不倫誓約書は配偶者と不倫相手が話し合って作成することができます。どちらか一方に書かせても良いですし、両方に記入されてもかまいません。

一般的には、夫婦関係については今後決めるとして、まず配偶者に対し、不倫の事実を認めさせるために書いてもらうことが多いです。

これは、不倫相手との話し合いはハードルが高く、夫婦間のほうが話しやすいこともあるでしょう。

不倫誓約書を不倫相手に書かせるケース

不倫相手に対して不倫誓約書を書かせることも可能です。

配偶者に誓約書を書かせる際に不倫相手にも書面を書かせ、署名・押印をさせると良いでしょう。

こうすることで、配偶者と不倫相手の接触を絶たせ、二度と不倫をさせないようにする効果が高くなります。

不倫相手に直接連絡するのが難しい場合は弁護士に依頼すると良いでしょう。弁護士に依頼することで、不倫相手との交渉を代行してもらえます。

誓約書と示談書、念書の違い

誓約書と似た言葉に念書や示談書があります。

誓約書と示談書、念書はいずれも取り決めた内容を証明するための書面になります。いずれもほぼ同じ効力を持ちますが、強いて言えば下記のように、何を主眼とするかに違いがあります。

  • 誓約書:「作成者が」提出者に対して何らかの事項を誓約すること
  • 念書:「作成者が」提出者に対して一定の義務を負うこと
  • 示談書:「当事者双方が」示談書に記載された内容について約束したこと

なお、不倫誓約書はあくまで契約書の一種です。判決書のような法的効力があるわけではなく、相手が約束を守るように強制することはできません。

不倫の誓約書を作成するメリット

不倫の誓約書を作成するメリット

不倫をされた際に誓約書を作成するメリットには以下があります。

  • 離婚を有利に進められる
  • 不倫の再発を防ぐ効果が期待できる
  • 慰謝料金額をこちらで決められる可能性がある

それぞれ下記で解説します。

離婚を有利に進められる

不倫の誓約書は客観的な証拠として有効です。不貞行為があった事実を認めさせることで離婚時に法定離婚事由があったことの証拠になり、有利な条件で離婚を進めやすくなります。

不倫の再発を防ぐ効果が期待できる

不倫の誓約書を作成する効果として、不倫の再発防止があります。誓約書のなかに再度不倫をしたときのペナルティを決めておくことが重要です。

例えば、誓約書に「再度浮気をしたら慰謝料200万円を支払う」と記載した場合、配偶者が約束を破った場合に慰謝料を支払わなければなりません。

一方、誓約書内にペナルティについての記載がない場合、再度浮気をされた際にもう一度慰謝料について話し合う必要があります。

誓約書にペナルティについて具体的に記載することで、後から言い逃れされることを防止できます。

配偶者は「慰謝料を支払いたくない」と考えるのが自然ですから、ペナルティを誓約書に記載することで不倫の抑止力となります。

慰謝料請求が認められやすい

不倫の慰謝料の支払いについて合意した場合、具体的な金額や支払方法も含めて誓約書に記載しておきましょう。こうすることで、慰謝料の支払いに相手方が合意したことの証拠になります。

相手方が約束を破り、慰謝料を支払わなかった場合、慰謝料の支払いに合意していることを立証する証拠となり、裁判に進んだ際も有利になります。

不倫誓約書に記載する5項目

不倫誓約書に記載する5項目

不倫誓約書に記載すべき項目は下記5つです。

  • 不貞行為の事実を認めること
  • 不倫相手との関係解消
  • 慰謝料の合意内容
  • 違反した場合のペナルティ
  • その他の誓約事項

それぞれ以下で解説します。

不貞行為の事実を認めること

まず、不貞行為の事実を認めることを記載します。

不倫誓約書を作成する目的の一つとして、不倫の証拠として使うことがあります。不倫があったことを誓約書に記載することで、相手方に言い逃れができないようにします。

記載する際はすでに判明している事実について下記のポイントをおさえて具体的に記載します。

  • いつ
  • どこで
  • 誰が
  • 誰と(不倫相手の氏名や住所、勤務先、生年月日など)
  • どのような不貞行為をしたのか(不貞行為の頻度・回数など)

【例文】
甲は令和〇年○月○日から令和○年○月○日の間、乙の配偶者である○○(以下「丙」とする)との間で、(場所)において少なくともX回の性交渉を行うなどの不貞行為を行った事実を認め、謝罪する。

不倫相手との関係解消

次に不倫誓約書に記載すべき内容は不倫相手との関係解消です。不倫をした配偶者と夫婦関係を継続するのであれば、不倫相手との関係解消をしてもらう必要があります。

不倫相手との関係解消について誓約書に記載する際は、単に「関係を解消する」と書くのではなく、 不倫相手との接触手段を具体的に記載し、それら一切の交流を禁止すると記載しましょう。

なお、社内不倫の場合は不倫相手との交流が全く取れないと仕事にならないケースもあります。

この場合、禁止する範囲を緩め、仕事に必要な最低限の範囲での交流のみ認めるとするケースもあります。

【例文】
乙は、丙との関係を完全に解消し、面会、電話、メール、LINE、SNSなどによる連絡および接触をしないことを約束する。

慰謝料の合意内容

配偶者との夫婦関係を継続する場合は慰謝料請求をしないこともありますが、離婚を前提としている場合は不倫の慰謝料について合意した内容を記載します。

慰謝料の支払いについて記載する際は、具体的な慰謝料の金額、支払い時期、支払い方法まで定めておきましょう。

【例文】
乙は、甲に対し、令和○年〇月〇日限り、不貞行為の慰謝料として金○○万円を甲の指定する方法で支払う。

違反した場合のペナルティ

違反した場合のペナルティ

誓約書に記載した内容に違反した場合のペナルティについても記載しましょう。

誰であっても「ペナルティを受けたくない」と考えるのが一般的ですので、ペナルティを定めることで相手にプレッシャーを与え、再発防止につなげる効果が高まります。

【例文】
誓約に反して再度不貞行為を行った場合、乙は、甲に対して、不貞行為の慰謝料として金○○万円を支払う。

その他の誓約事項

不貞行為以外にも取り決めておきたい項目があれば、記載しておきましょう。例えば、以下のような内容を記載するケースもあります。

  • 風俗やキャバクラなど性接待のある店に行かない
  • 暴力を振るわない
  • パチンコや競馬などのギャンブルをしない
  • 無断で借金をしない
  • 毎月の給与明細を見せる
  • 会社を欠勤しない
  • ギャンブルをしない など

浮気・不倫とは関係ないことも合意することで、相手の反省を促す効果があります。また、夫婦関係の再構築をする場合は次のような内容について合意するケースもあります。

  • 年に一回は夫婦で旅行をする
  • 家事を積極的に行う など

不倫誓約書の例文【テンプレート】

不倫誓約書の例文をご紹介します。

不倫誓約書テンプレート

不倫の誓約書作成時の注意点

不倫の誓約書を作成時の注意点

不倫誓約書を作成する際は下記の5点に注意しましょう。

  • 本人自筆の署名と押印
  • 誓約書の内容を本人に理解させる
  • 公序良俗に違反しない
  • 誓約書の作成を強制しない
  • 公正証書にしておく

それぞれ以下で解説します。

誓約書の内容を本人に理解させる

不倫をした配偶者に誓約書を書かせるときは、記載内容を本人に十分理解させることが重要です。

記載をした配偶者が内容を理解しないまま誓約書を作成しても、約束を守ってもらえない可能性があります。

例えば、何が不倫で何が不倫でないかの基準が夫婦で違っていると、誓約書を作っても再度不倫をされてしまう恐れがあり、誓約書を作成する意味がなくなってしまいます。

相手が誓約書の内容を理解していないケースでは、弁護士が同席のうえで作成することをおすすめします。

本人自筆の署名と押印

誓約書を作成し、不倫をした本人と合意したら、不倫をした本人自筆の署名と押印をもらいましょう。

このとき、法的に有効な契約書にするために下記の項目に注意したうえで、適切に署名・押印させることが重要です。

  • 誤字脱字がなく、読みやすい字で書かせる
  • 正確に住所・氏名を書かせる
  • 氏名の末尾に押印をさせる
  • 作成日を必ず記載する
  • 押印用の印鑑はシャチハタ不可
  • パソコンで作成した場合も自筆の署名と押印をもらう

公序良俗(社会的なモラルや良識)に違反しない

公序良俗(社会的なモラルや良識)に違反しない

民法第90条により、不倫の誓約書に記載した内容が公序良俗に違反する場合、誓約書の効力が無効になる恐れがあります。

第九十条 (公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

公序良俗に違反する典型例は過度な制約を課すケースです。例えば以下のような場合は公序良俗に違反すると判断される恐れがあります。

  • 配偶者以外の異性と会う際には配偶者の許可を必要とする
  • 常に居場所がわかるようにGPSを持ち歩く
  • 一生配偶者の言うことに従い逆らわないこと など

誓約書の作成を強制しない

不倫をした当事者は必ずしも誓約書を書いてくれるとは限りません。 誓約書を拒否されたとしても強制することはできません。

誓約書を書かせることができた場合であっても以下のようなケースでは誓約書が無効になる可能性があります。

  • 脅迫(民法96条1項):誓約書の作成を強要した場合
  • 詐欺(民法96条1項):相手を騙して書かせた場合
  • 錯誤(民法95条):相手が中身を理解しないまま署名をさせた場合

公正証書にしておく

慰謝料について合意した場合は不倫誓約書を公正証書にしておきましょう。

公正証書とは、公証人が作成し、内容を証明する書類を言います。公正証書に強制執行認諾文言がついていれば、慰謝料の未払いが起きた際、速やかに財産の差し押さえを行うことができます。

不倫誓約書に違反があった際の対処法

不倫誓約書に違反があった際の対処法

不倫の誓約書を作成したものの、残念ながら相手が約束を守らないこともあります。誓約書を作成したことで、相手方が負うべき責任は明確ですので、厳格に対処することができます。

誓約書の内容に違反があった場合の対処法は以下の3つです。

  • 相手と直接交渉して違約金を請求する
  • 内容証明郵便で通知書を送付して慰謝料請求する
  • 訴訟を起こす

それぞれ以下で解説します。

相手と直接交渉して違約金を請求する

まず、相手方と直接交渉し、書面の形で「誓約書の第〇条に違反しているため違約金△円を□月□日までに支払ってほしい」と、合意しているペナルティについて請求します。

約束を反故された際、厳格に対処できるように「本誓約書に違反した場合は金△円を支払う」という文言を盛り込んでおきましょう。

ここで厳格に対処せず、許してしまえば、「誓約書は形だけ。書いてと言われたから書いただけ」と思われ、同じことを繰り返される恐れがあります。

本気であることを示すため、相手方に反省を促すためにも違約金を請求しましょう。

内容証明郵便で通知書を送付して慰謝料請求する

直接話し合っても解決できる見込みがない場合は内容証明郵便で通知書を送付し、慰謝料(誓約書の違約金)を請求しましょう。

内容証明郵便とは、送付した日時や内容、誰から誰宛てに差し出されたかについて、日本郵便が証明するものです。

内容証明自体に特別な法的効力はありませんが、法的手続きへ移行することを示唆することで相手にプレッシャーを与える効果があります。

弁護士に依頼し、弁護士の名前で内容証明を送付すると相手が応じてくる可能性が高まります。

訴訟を起こす

内容証明郵便を送付しても相手が応じない場合は訴訟を提起することも検討しましょう。

誓約書の内容を反故にされたうえ、違約金にも応じようとしないとなると、徹底的に責任を追及しなければ解決は難しいと言えます。

なお、裁判の手続きは複雑なため、弁護士に相談のうえ、進めていくことをおすすめします。

不倫誓約書の作成を弁護士に依頼するメリット

不倫誓約書の作成を弁護士に依頼するメリット

効果的な不倫の誓約書を作成するなら、弁護士に依頼することをおすすめします。不倫の誓約書作成を弁護士に依頼するメリットは主に以下の4つです。

  • 法的観点からのアドバイスをもらえる
  • 相手との交渉を任せられる
  • 法的に有利な誓約書を作成できる
  • 不倫誓約書作成後のアフターフォローを受けられる

下記で詳しく解説します。

法的に有利な誓約書を作成できる

誓約書は法的に有効なものでなければ作成する意味がありません。内容が曖昧だったり、必要事項が抜けていたりすると、いざというときに証拠としての効果が得られなくなる恐れがあります。

弁護士に依頼することで、判例を踏まえ、不利益を回避しながら効果的な誓約書を作成することができます。

相手との交渉を任せられる

誓約書を作成する際は相手方が記載内容を理解していなければなりません。しかし、当事者同士で話し合いを行うと、感情的になってしまい、話し合いが進まないことがあります。

弁護士に依頼することで、弁護士が相手方との交渉を代行してくれますので、スムーズに誓約書の作成を進められます。

不倫誓約書作成後のアフターフォローを受けられる

前述のとおり、不倫の誓約書を作成したにもかかわらず、相手が不倫を繰り返したり、慰謝料の支払いを拒んだりするなど、約束を反故にされることもあります。

このような場合、弁護士に依頼していれば、アフターフォローを併せて受けることができます。

具体的には、依頼者に変わり、弁護士が相手方に違約金などの金銭を請求したり、訴訟を提起したりしてもらえます。

誓約書の作成業務の専門家といえば、行政書士を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、行政書士は依頼者に代わって相手方と交渉することはできません。

抜け漏れなく、適切な不倫誓約書を作成し、作成後のアフターフォローまで受けられるのは弁護士だけです。

まとめ

不倫誓約書は再発防止や慰謝料請求の有力な証拠になります。しかし、不備があれば証拠としての効果が得られなくなる恐れがあります。

相手との交渉や適切な書き方がわからないという場合は弁護士にご相談ください。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚・不倫慰謝料問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。是非お役立てください。

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