パパ活は不倫?夫がパパ活をしていたら夫や相手に慰謝料請求できる?
昨今、「パパ活」という言葉を見聞きすることが増え、SNSなどでは「P活」などと略して記載されていることもあります。
パパ活とは、「パパ」と呼ばれる男性とデートすることで女性が金銭を得る活動を言います。
文字面を見るとカジュアルなものにも思えますが、自分以外の女性と夫がデートをしていることに憤りを感じ、許せないと思う人もいるでしょう。
この記事では、パパ活が不倫になるのか、パパ活相手に慰謝料請求をする方法について解説します。また、後半ではパパ活をしていた女性が慰謝料請求されたときの対処法についても解説しています。
いずれの場合も、相手の心情や出方を知ることで、不利益を回避し、対策を取りやすくなります。慰謝料請求をする方もされた方も最後までお読みください。
- 目次
パパ活とは
パパ活とは、女性が「パパ」と呼ばれる男性と食事やデートをし、その対価として金銭の支払い受けるものを言います。
似たような言葉に「援助交際」というものがありますが、援助交際は性交渉の対価として男性が女性に金銭を支払うものを言い、売(買)春以外の何ものでもありません。
一方、パパ活の内容は女性が男性と一緒に過ごすことですので、性交渉の有無を問いません。しかし、実際にはただデートするだけというものもあれば、キスや性交渉を伴う場合もあります。
現在、パパ活専用のマッチングアプリも存在しており、誰でも手軽に異性とやり取りできる環境です。なかには、バイト感覚でパパ活を行う女性もいます。
なお、同様の内容で、男性が女性から金銭の支払いを受けるものをママ活と言います。
不倫になるケース
不倫とは、配偶者以外のものと性交渉を持つことを指し、法的には不貞行為と言います。
パパ活は既婚・独身を問いませんが、既婚者がパパ活をしていることもあります。
パパ活=不倫ではありあませんが、既婚者との性交渉を伴う場合はパパ活が不倫に該当する場合があります。
パパ活相手に慰謝料請求が認められる可能性があるケース
パパ活相手への慰謝料請求が認められる可能性があるケースは以下の2つです。
- 不貞行為がある場合
- 婚姻関係に支障が出た場合
それぞれ下記で解説します。
不貞行為がある場合
パパ活において、既婚男性と女性が肉体関係を持てば不貞行為に該当する可能性があります。
このとき、「パパ」が既婚者であることをパパ活相手が知っていた(故意)、または注意すれば「パパ」が既婚者であることを知ることができた(過失)ことが認められれば、「パパ」 の妻に対する不法行為に該当します。
そのため、すでに婚姻関係が破綻していたなど特別な事情がない限り、婚姻生活の平穏を害されたとして、パパ活相手に対して慰謝料請求が認められる可能性があります。
例えば、以下のような状況にも関わらず不倫関係を続けていた場合はパパ活相手に故意・過失があると判断される可能性があります。
- パパ活の前にパパ活相手に「俺既婚者だけど大丈夫?」とパパが言った
- パパの左手薬指に指輪がはめてあった
- パパのスマホの待ち受けやLINEのアイコンが子供の写真 など
婚姻関係に支障が出た場合
不貞行為がなかったとしても、婚姻生活の平穏を害されたと判断されれば、慰謝料請求が認められる可能性があります。
例えば、婚姻関係を破綻させるほど、パパとパパ活相手が親密な関係にあったケースなどが該当します。
具体的には以下のようなケースです。
- 頻繁にデートや食事を重ねていた
- メールなどで性的なやり取りを繰り返していた など
パパ活相手が慰謝料を支払う必要がないケース
慰謝料を請求しても、パパ活相手が妻に対して慰謝料を支払う責任が生じないケースもあります。下記で詳しく解説します。
肉体関係がない
パパ活相手との間に性交渉がない場合は慰謝料の支払い義務がない可能性があります。
また、不貞行為というためには、性交渉が「自由意志に基づいて」いることが必要です。パパから性行為を強要された場合は慰謝料を支払う必要はありません。
パパが既婚者であることを知らず、知らなかったことに落ち度がない
不法行為とは、故意または過失により相手側に損害を与えた場合に成立するものです。
そのため、「パパが既婚者であることを知らなかった(故意ではない)」「パパが既婚者であることを知らなかったことに落ち度がない(過失がない)」ケースではパパ活相手に慰謝料の支払い義務はありません。
パパ活はマッチングアプリやSNSで出会うことも多いです。そのため、相手方女性はパパが既婚者であることを知らず、知らなかったことに落ち度がないこともあり得ます。
しかし、出会った当初は独身だと思っていたものの、その後のやり取りで既婚者であることを知り得た場合は故意・過失がないとは認められない可能性もあります。
婚姻関係が破綻していた
パパと女性が肉体関係を持ったとしても、元々婚姻関係が破綻していた場合、慰謝料を支払う必要がない可能性があります。
元々婚姻関係が破綻していた場合、法的に守られるべき婚姻生活の平穏を維持する権利はすでに消失していたと考えられるため、妻の慰謝料請求権も消失したとみなされます。
そのため、不貞行為があったとしても、それより以前から婚姻関係が破綻していた場合、慰謝料の支払い義務は生じません。
パパ活不倫の慰謝料相場
慰謝料相場は法律で決まっているわけではありませんが、一般的には不倫の慰謝料相場は50~300万円になります。
金額に幅がありますが、実際には下記の要素を考慮して金額が決まります。
- 離婚の有無
- 不貞行為の期間
- 不貞行為の頻度
- 婚姻期間
- 未成熟の子の有無
- 不貞行為前の婚姻関係
- 発覚後の不貞行為の有無 など
パパ活不倫で慰謝料請求するためには証拠が必要
パパ活による不倫で慰謝料請求するためには証拠を集める必要があります。不貞行為があったことを立証する証拠としては以下のようなものがあります。
- 探偵による不倫の調査報告書
- ラブホテルに2人で出入りする写真や動画
- 肉体関係があったことを伺わせる音声やメールLINEの履歴 など
なお、他人の携帯やスマホを勝手に操作してしまうと、不正アクセス禁止法違反に問われる恐れがあります。詳しくは弁護士にご相談ください。
探偵に相談
夫とパパ活相手がラブホテルに出入りする写真や動画があれば証拠として強いですが、素人が取得するのは困難と言えます。
また、妻は顔が知られてしるため、浮気調査がバレてしまう恐れがあります。不貞行為の証拠を集めるには探偵への依頼も検討しましょう。
弁護士に相談
慰謝料請求に必要な証拠にはどのようなものがあるか、どのように集めればいいかについては素人が判断するのは困難です。
弁護士に相談することで裁判を見据え、法的に有効な証拠についてアドバイスしてもらえます。
また、状況によっては手持ちの証拠を組み合わせることで慰謝料請求ができる場合もあるため、費用を抑えられる可能性もあります。
パパ活相手に慰謝料請求する際の注意点
夫がパパ活相手と性行為を行った場合、売春防止法に違反する恐れがあります(売春防止法第3条)。
また、パパ活相手の年齢が18歳未満の場合、児童買春・児童ポルノ禁止法に違反する恐れがあります。
金銭の授受があったとしても、パパ活相手が「合意はなかった」として、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪で被害届を出す可能性もあります(刑法第176条、第177条)。
また、すでにパパ活相手の配偶者や保護者から慰謝料請求されている可能性もあります。
慰謝料請求する際は相手の素性も調査したうえで、証拠の提示タイミングも慎重に見極める必要があります。
パパ活夫と離婚する方法
パパ活をしていた夫のことを許せず、離婚する場合の手順を解説します。
協議離婚
まず夫との話し合いで離婚の合意を図ります。話し合いで成立する離婚を協議離婚と言います。協議離婚は夫婦で合意できればどのような理由であっても離婚できます。
話し合いで取り決めた内容については離婚協議書を作成し、書面の形で残しておきましょう。
調停離婚
夫が離婚を拒んでいたり、離婚条件がまとまらなかったりする場合は家庭裁判に離婚調停を申し立てます。離婚調停では調停委員を介して離婚の話し合いを行います。
夫婦双方が合意して調停成立となるか、話がまとまらず調停不成立になるまで調停期日は繰り返されます。調停は月1回のペースで行われるため、半年程度かかることが多いです。
裁判離婚
離婚調停はあくまで話し合いによる手続きのため、合意が成立しない場合は訴訟を提起します。離婚裁判は、裁判所に対して離婚を認めるか否かの判断を求める手続きです。
なお、離婚裁判で離婚を認めてもらうためには以下の法定離婚事由が必要です。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
夫とパパ活相手の間に性行為があった場合、法定離婚事由①の不貞行為が存在すると判断されれば、離婚が認められる可能性があります。
しかし、性行為がない場合は法定離婚事由⑤のその他婚姻を継続しがたい重大な事由に該当するかどうかが問題になります。
その他婚姻を継続しがたい重大な事由としては、以下のような事情が該当します。
- DV
- モラハラ
- 生活費を渡さない
- 長期間の別居 など
裁判手続きは書類の準備や訴状作成など複雑な手続きが多く、平日日中に裁判所へ出頭する必要があります。裁判に進んだ際は弁護士に依頼することをおすすめします。
なお、協議離婚の段階で弁護士に依頼することで、スムーズに話し合いが進み、裁判に進むことなく離婚を成立させることができる可能性があります。
【パパ活をしている方へ】慰謝料請求されたときの対処法
ここからはパパ活をしている女性向けに慰謝料請求されたときの対処法について解説します。
相手方の主張を確認する
パパの妻から慰謝料請求されれば驚くことでしょう。しかし、慰謝料請求を放置してはいけません。まずは相手の主張する事実確認をしましょう。
ひょっとすると、慰謝料請求する相手を間違えていたり、身に覚えがないことを主張していたりする可能性もあります。
主張内容を確認し、いつ・どこで・何に対して不法行為があったのかを確認しましょう。
慰謝料の支払い義務があるか確認する
事実確認を行ったら、自分に慰謝料の支払い義務があるかを確認します。ここまで解説したとおり、慰謝料支払い責任が生じるのは、下記のケースです。
- 不貞行為があった
- パパが既婚者であることを知っていた
- 婚姻関係が破綻していなかった
なお、上記については客観的な証拠によって証明する必要があります。パパの妻が証拠を提示しない場合は慰謝料請求が認められない可能性もあります。
また、パパが独身だと嘘をついていた場合、貞操権を侵害されたとしてパパに対して慰謝料請求が認められる可能性があります。
慰謝料の請求金額か適正か確認する
相手方の主張が正しく、慰謝料支払い責任があるからといって、請求された慰謝料の金額も適切かどうかはわかりません。
不貞行為がある場合、相手方は慰謝料の金額を相場より高めに請求してくることもあります。もちろん、当事者同士で合意できれば慰謝料の金額はいくらでもかまいません。
しかし、当事者同士で合意できなければ、慰謝料相場の範囲(50~300万円)となります。相場からかけ離れた金額を請求された場合は慰謝料の支払いに応じる必要はありません。
ただし、穏便に済ませたい、問題を早く収束させたいなど、事情によっては慰謝料請求に応じたほうが良いケースもあります。
弁護士に相談する
自分に慰謝料の支払い責任があるのか、請求金額が適正かどうかは素人では判断が難しいと言えます。
また、支払い責任がない、請求金額が適正でないことがわかっても、相手方とどう交渉すれば良いかわからないこともあるでしょう。
慰謝料請求されたら、弁護士に相談し、アドバイスを受けましょう。
弁護士に依頼すれば、弁護士が相手方との交渉を代行するため、慰謝料の支払い責任がある場合でも、適切な金額に減額できる可能性が高くなります。
また、慰謝料を請求されたことによる精神的な不安も軽減でき、後述する「慰謝料を払わないリスク」なども回避できる可能性があります。
パパ活で慰謝料を払わないリスク
慰謝料請求を無視し続けると、相手方から訴訟を提起される恐れがあります。
訴訟を提起されたにも関わらず何の対応もしないでいると、原告の言い分が認められ、慰謝料の支払い責任を負う可能性があります。
判決が確定すれば、強制執行によって銀行口座や財産、給料を差し押さえされる恐れがあります。
給料を差し押さえされた場合、何らかの事情で給料を差し押さえられたことが勤務先に知られてしまうことになります。
相手方が訴訟を提起しなかったとしても、慰謝料請求を無視し続けることで相手方の心証を悪くしてしまいます。
そのため、後になって減額交渉を行おうとしても慰謝料の減額に応じてもらえない可能性があります。
まとめ
夫がパパ活をしていたからといって直ちに慰謝料請求が認められるわけではありませんが、状況によっては慰謝料請求が認められる可能性があります。
慰謝料請求が認められるためには、不法行為があったことを立証する証拠が必要です。
一方、状況によってはパパ活相手から夫に慰謝料請求される恐れもあります。具体的な行動を起こす前に弁護士に相談し、アドバイスをもらいましょう。
また、パパ活をしていた方は、状況によって慰謝料の支払い責任を負う可能性があるため、慰謝料を請求されたら速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
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