離婚に関する準備の手順をチェックリストで徹底解説!
「離婚したいけど手続きが大変そう…」 「準備しておく必要があるもののリストがあったら嬉しい」 「離婚したいけど何から始めればいいかわからない」
このようなお悩みはありませんか?
この記事では、離婚をするうえで準備しなくてはいけないことを解説しています。チェックリストもご用意しました。
効率よく離婚を進めたい、離婚準備に必要なことを知りたいという方は最後までお読みください。
- 目次
離婚準備簡易チェックリスト
離婚は決めるべき内容や手続きが多くあります。 効率よく離婚を進めるためにも、離婚準備ですべきことをチェックリスト形式でご紹介します。
チェックリストの紹介
離婚に向けて | 離婚届・一緒に提出する書類の準備 | |
---|---|---|
離婚届の提出日の決定 | ||
届出を出す家庭裁判所の確認 | ||
(協議離婚の場合)離婚協議書の作成 | ||
(調停離婚・裁判離婚の場合)弁護士への依頼 | ||
(専業主婦・主夫の場合)就職活動 | ||
別居中・離婚後の住居の確保 | ||
子供に関して | 親権の決定 | |
養育費の決定や支払いのタイミングの決定 | ||
面会交流の有無・条件の決定 | ||
子供に離婚の事実・原因の説明 | ||
子供に離婚までの生活・離婚後の生活の説明 | ||
転園・転校の手続き | ||
助成金や奨学金の申込・申立 | ||
子供の名字・戸籍の変更手続き | ||
元夫婦の離婚後の住所や連絡先の情報確認 | ||
金銭面に関して | プラスの共有財産の整理 | |
マイナスの共有財産の整理 | ||
財産分与の割合の決定 | ||
慰謝料の有無またはその金額について | ||
年金分割の計算・決定 | ||
離婚後のための貯金・銀行口座の用意 | ||
転居に必要な費用(敷金礼金・家賃引越し費用など)の準備 | ||
調停・裁判・弁護士への依頼にかかる費用の準備 | ||
別居費用についての決定 | ||
夫婦間にある金銭の貸し借りの清算 | ||
離婚後の手続き | 健康保険・年金の切り替え | |
運転免許証・パスポートなど身分証明書の変更 | ||
クレジットカードなど各種カード・銀行などの情報変更 | ||
住民票の移動・世帯主の変更 |
なお、上記は一般的な内容です。 夫婦関係や離婚原因によって必要な準備は異なります。
上記チェックリストにない項目についても、必要な手続きや決めるべき内容があれば随時リストに加えていき、オリジナルのチェックリストを完成させましょう。
離婚を準備する前に離婚の流れをざっくり抑えよう
離婚は大きくわけて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類があります。
まず、当事者同士で離婚について話し合います。夫婦間で話し合いがまとまる、もしくは弁護士を立てて協議し、離婚が成立することを協議離婚と言います。
話し合いで決着がつかなければ、家庭裁判所に調停の申し立てを行い、調停委員を介しながら離婚の条件を決めていきます。これを調停離婚と言います。
なお、調停は話し合いによる手続きですが、法的な手続きも多いため、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
調停でも離婚を成立させることができなかった場合、訴訟を起こし、離婚裁判へと移行します。
ただし、訴訟を起こすには不貞行為やDVなどの法定離婚事由が必要です。離婚裁判の判決によって離婚が成立することを裁判離婚となります。
話し合いで離婚が成立すれば最短1日で離婚ができます。しかし、離婚裁判は1~2年かかるケースが一般的なため、精神的にも経済的にも負担が大きくなってしまいます。
協議離婚の具体的な流れを解説します。
離婚を相手に切り出す
離婚を決意したら、相手に離婚の意思を伝えます。なお、下記のような場合は話し合いが長引く可能性があるため、離婚を切り出すタイミングについては慎重に考えましょう。
- 財産や子供の親権などでもめる可能性がある場合
- どちらか一方が離婚を拒んでいる場合
- 熟年夫婦の場合 など
上記以外のケースにおいても話し合いをスムーズに行うために、適切なタイミングを見計らって上手に離婚を切り出すことが重要です。
例えば、浮気やDVなどの離婚原因が相手にある場合、離婚を切り出す前に証拠を用意しておくことが重要です。
離婚を切り出すときは必要以上に相手を刺激しないよう、相手を批判するのではなく、離婚原因について事実のみを落ち着いて伝えるようにしましょう。
「浮気・DVの証拠がある」「ライフスタイルが違う」「子供の教育方針が異なる」など具体的な事実を提示していきます。
「生理的に無理」「愛していない」など感情的な言葉で相手の反感をかわぬよう配慮が必要です。
なお、相手に落ち度がない場合、以下のようなタイミングで離婚を切り出すのがおすすめです。
- 子供ができる前
- 夫が退職する前
- 自分がリラックスして話を切り出せるとき
- 相手が離婚に同意してくれそうなとき
子供ができる前であれば親権や養育費の話し合いをする必要がなく、互いに新しい人生を踏み出しやすくなります。
また、夫が就業中であれば退職金による財産分与が期待できます。夫の退職に合わせて妻が離婚を切り出すケースも少なくありません。
「自分がリラックスして話を切り出せるとき」「相手が離婚に同意してくれそうなとき」は、どちらも感覚的なものです。
「話を切り出しやすい」と感じるタイミングで話すことが大切です。いずれの場合も心の準備ができている状態なので、冷静に相手に離婚を切り出すことができます。
離婚はどうしても感情が入ってしまいがちです。事前に離婚したい理由や条件を書き出しておき、冷静に話ができるように努めましょう。
相手方が感情的になった場合、つられて激昂したり、相手のプライドを大きく傷つけたりするような言動をしがちです。
感情を抑え、相手が離婚に同意しやすい理由や条件、言動に配慮が必要です。
離婚の条件を決める
離婚の話し合いが始まったら離婚条件を決めていきます。
協議離婚では、一方的に不利な条件を迫られるケースや感情に流されて話し合いが不十分なまま離婚に同意してしまうケースもあります。
離婚を成立させる前に離婚条件についてしっかりと話し合い、離婚後の負担を可能な限り減らすようにしましょう。
離婚の話し合いで決める内容として一般的なものを紹介します。
財産分与
財産分与とは、夫婦の共有財産を離婚時に分配することです。共有財産とは婚姻中に夫婦で築いた財産であり、一方が専業主婦(夫)であっても財産をもらうことができます。
なお、財産分与の対象となるものには、住宅や土地・自動車・家具・退職金・年金と言ったプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの財産もあります。
慰謝料
不倫やモラハラ、DVなど、相手方が離婚にいたった原因を作った場合、相手方に慰謝料を請求することができます。
なお、離婚の慰謝料は、離婚をスムーズに成立させるための解決金として支払われるケースもあります。
子供に関して
未成年の子供がいる場合、親権を夫婦のどちらが持つのか決めなければなりません。
親権者指定は揉めやすい傾向があります。
また、子供と離れて暮らす親は離婚後に子供と会う権利がありますが、親権者が相手方に会いたくないケースや「子供に会わせたくない」と望むケースがあります。
子供のことで両親が争うことは子供にとって負担となります。子供の前で激しくもめる前に弁護士を介して話し合うのがおすすすめです。
なお、親権者がどちらであっても親としての責任は両方にあります。そのため、子供と離れて暮らす親にも養育費の支払い義務があります。
日常生活だけでなく、子供の病気や進学などについても十分に話し合い、養育費の額や支払いのタイミングを決めていきましょう。
婚姻費用の分担
離婚の話し合いをしている間、別居するケースも多いです。
婚姻中は別居中であっても収入の多い側が収入の少ない側の生活費(婚姻費用)を分担する義務があります。
婚姻費用は「請求したとき」から認められるというのが一般的です。別居を検討する際は婚姻費用についても決めておきましょう。
離婚協議書を作る
離婚の条件について話し合いが決着すれば、離婚協議書を作成しましょう。
離婚協議書とは話し合いで決めた内容を記載したものです。口約束だけだと、せっかく取り決めた内容を反故にされることもあります。
なお、話し合いで決まった内容に加えて、「離婚に合意したこと」「公正証書にするかどうか」「清算条項について」も記載しておきましょう。
話し合いで決まった内容
離婚協議書には話し合いで決まった内容を細かく記載していきます。
例えば、財産分与であれば、共有財産の対象物やどちらがどちらに、いつ・いくら払うのか、分割か一括かなどが漏れなく記すことが重要です。
離婚に合意したこと
離婚することへの夫婦両人の合意はもちろん、協議書の内容に合意することを明記します。
公正証書にするかどうか
公正証書とは、公証人が公証役場で作成し、保管される公文書のことを指します。
公証人は元公裁判官や元検察官・元法務局長などの法的実務に長年にわたって携わった人で、公募に応じた人のなかから法務大臣が任命します。
公証書は離婚条件や約束事の履行に信頼性・証明力・執行力・安全性を持たすことができます。
また、慰謝料や養育費などが支払われなかった際、速やかに強制執行を行うことが可能です。
公正証書にすることは義務ではありませんが、公正証書化することで、離婚後のトラブルを減らしたり、回避しやすくなったりします。
清算条項について
清算条項とは「離婚協議書に記載された内容以外の金銭に関して請求権が存在せず、請求もしない」という宣言です。
この清算条項に同意して離婚した場合、離婚後に離婚協議書に記載された内容以外の金銭・その他の請求ができなくなります。
離婚届を提出する
離婚届は本籍地または所在地の市町村役所・役場に提出します。
協議離婚の場合、離婚届に2人の証人の署名が必要となります。離婚届の証人は18歳以上であれば誰でもかまいません。
親や親族が証人となるケースが多いですが、頼める人がいない場合は弁護士に依頼すると良いでしょう。
離婚届の提出方法と一緒に提出が必要な書類
離婚届の提出方法は郵送でも持参でもかまいません。郵送で提出した場合、役場に離婚届が届いた日が届出日になります。
調停離婚や裁判離婚など協議離婚以外で離婚する場合、調停が成立したときや判決が確定したときから10日以内に離婚届を提出する義務があります。
提出が遅れた場合は過料を科させる可能性がありますので注意しましょう。
また、協議離婚の場合、離婚届と併せて「本人確認書類」が必要ですが、本籍地以外の所在地に提出する場合は戸籍謄本も提出が必要となります。
調停離婚や裁判離婚の場合は「調停調書や和解調書の謄本」「認諾調書の謄本・審判書」「判決書の謄本や確定証明書」などを離婚届と一緒に提出しましょう。
勝手に離婚届を提出された場合は?
離婚届を提出し、受理されれば離婚が成立します。そのため相手が勝手に離婚届を提出してしまうケースもあります。
一方の了承を得ずに離婚届を提出する行為は刑法第159条の「私文書偽装の罪」に問われます。
離婚届に署名したあとに気が変わった場合などは、離婚届を勝手に提出される前に、離婚届不受理申出(提出された離婚届を受理しないよう申し出るもの)を行っておきましょう。
離婚届が受理された場合、家庭裁判所に離婚の取り消しを申し立て、調停を行い、離婚の意志がないことを証明しなければなりません。
場合によっては、離婚を無効にするための訴訟を起こさなければならない可能性もあります。
再婚について
離婚後の再婚可能時期について、男性は離婚の翌日から・女性は離婚の100日を経過したあとからと、男女で異なります。
これは、離婚後300日以内の子供は前の夫の子供とされ、結婚後200日以後の子供は現在の夫の子供とされることに関係しています。
離婚後時間を空けずに新しいパートナーとの子供を妊娠し、離婚から300日以内に出産した場合、生まれた子供が元夫の子供と推定されてしまうということです。
離婚をする際に準備しておく必要があるもの
離婚の種類や流れを説明しました。ここからは具体的に離婚のために必要な準備について解説していきます。
離婚は、決めるべきことも手続きも多く、精神的に大きな負担がかかるものです。
特に金銭・子供に関しては夫婦間でもめる原因となりやすく、しっかりとした準備が必要となります。
離婚後に備えて経済的に自立できるようお金を準備する
離婚後に経済的に自立できるよう、以下の準備を行いましょう。
- 就職する
- 貯金する
離婚に伴い、引っ越す場合は敷金・礼金・引越し費用・家具から日用品といったお金が必要です。
また、離婚後は自分1人の稼ぎで生活していかなければなりません。離婚を考えたら貯金に励み、生活費を稼ぐことのできる仕事に就きましょう。
離婚に際してもらえるお金に関して知る
離婚をする場合、受け取ることができるお金もあります。どのような場合に何の名目のお金を受け取ることができるのか正しい知識を身に着けておきましょう。
相手・共有財産からもらえるお金
離婚時に相手方から受け取ることができるお金には以下のようなものがあります。
- 慰謝料
- 不倫やDVなど相手から精神的苦痛を受けた場合に請求できるお金
- 財産分与
- 婚姻中の共有財産を離婚時にわけるもの。原則は半分、財産形成の貢献度に差異がある場合は貢献度に依拠する。
- 養育費
- 子供の衣食住、教育、医療に関する費用。離婚後子供と離れて暮らす親は養育費を負担する義務があるため、親権者は養育費を請求可能。
- 婚姻費用(生活費)
- 婚姻中(別居中も含む)の生活費。収入が少ない側が収入の多い側に請求できる。
- 年金分割
- 婚姻期間中の厚生年金納付実績を夫婦でわけるもの。
子供の親権を獲得した際に公的機関から受け取れる助成金
離婚で子供を引き取った場合、以下のように公的機関から受け取れるお金があります。
- 生活保護
- 一定の条件を満たせば申請可能。
- 児童手当
- 0歳~中学校卒業までの児童に対する手当。
- 児童扶養手当
- ひとり親家庭で、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子供を養育している場合に受け取れる手当。
- 児童育成手当
- ひとり親家庭で、18歳に達する日の属する年度の末日以前の子供を養育している場合に受け取れる手当。自治体によって制度がない場合がある。
- 住宅手当(家賃補助)
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子供がいるひとり親家庭などに対する家賃補助制度。
- ひとり親家族等医療費助成制度
- 18歳に達する日以後における最初の3月31日までの子供がいるひとり親家庭に対し、医療費の自己負担額の一部を助成する制度。
離婚後の住居を抑えておく
離婚後(もしくは離婚協議中)の住居については早めに準備しておきましょう。
部屋探しの際、現在の年収や保証人などを提示する必要があり、専業主婦の場合は入居可能な部屋が限られる可能性があります。
実家に帰るのであれば両親や同居している親族などに、あらかじめ事情を説明し、引越しの段取りなどを整えなければなりません。
別居を始めるのであれば婚姻費用の分担についても検討が必要です。
いずれにしても、離婚後に住む家がなくならないよう、離婚後の住居は早めに押さえておきましょう。
離婚後の子供の対応に関して知る
未成年の子供を持つ夫婦が離婚する場合、親権者を決めなければ離婚できません。
両親の離婚が子供にもたらす影響は大きいものです。
一般的に母親が親権を獲得するケースが多いため、両親の離婚に伴い子供の苗字が変わることがあります。
苗字が変わることで周りから心ないことを言われたり、転園や転校によって友達と離れ、慣れ親しんだ環境が変わったりすることで子供が精神的に不安定になることもあります。
離婚する際は子供のことを第一に考え、フォローしながら、離婚条件を決めていきましょう。
親権を得られなかった場合の面会交流に関しても、子供のことを考え、頻度や時間に融通が利くよう時間や曜日に幅を持って設定しておくと良いでしょう。
まとめ
十分に準備をしないまま離婚を切り出しても、納得できる条件で離婚できなかったり、スムーズに話を進めたりすることが難しくなります。
離婚を検討している場合は、離婚にはどのような手続きが必要かを把握し、話を切り出す前に必要な準備が整っているか、チェックすることが大切です。
自分の場合はどのような準備が必要かわからない場合や、自分1人では手続きが難しい場合、相手方との交渉が難しい場合は弁護士にご相談ください。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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