離婚時に準備すべき男性側の身辺整理|親権や養育費など有利に進めるための対処法
離婚する場合、多くのケースで女性が有利になるといいわれています。そのため、離婚を考えている男性にとっては頭を悩ませることが多い問題です。
しかし、対策をしっかりと行っていれば、離婚で男性が不利になることを回避し、対策次第で男性が有利になることもあります。
そこで、男性にとっての有利な離婚とは何か、離婚で有利になるための方法などを紹介します。
- 目次
男性に有利な離婚とは
女性よりも経済力があることの多い男性は、親権や養育費などの面で不利になることが頻繁にあります。そのため、離婚は女性側が親権・養育費などで有利になるケースが多いです。
しかし、男性であっても方法次第では有利に離婚を進めることができます。 以降、それぞれのポイントごとに詳しく解説していきます。
親権・養育費
子供のいる夫婦が離婚をする際は必ずどちらかが親権を取ることになります。令和4年の司法統計によると調停で父親が親権を取れたケースは1割にも満たず、母親が親権を取ることが多いのが一般的です。
なぜ母親の方が親権を取ることが多のでしょうか。親権獲得には経済力は重要な基準です。しかし、親権者指定では何よりも子供がどちらの親と暮らすほうが幸せかを重視します。
具体的には監護実績や子供の意思を尊重することになります。母親より父親は仕事などで子供と一緒にいる時間が少ないことが多いため、親権獲得の際に不利になってしまいます。
そのため、親権を取るには子供とのこまめなコミュニケーションが重要になります。
また、親権が母親に渡ると父親が養育費を支払うことになります。養育費は毎月支払うケースが多いため、金銭的な負担も大きくなります。養育費の負担を減らすためにも親権を取る必要があります。
参考:裁判所「令和4年 司法統計年報 3 家事編(https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/659/012659.pdf)」※1
婚姻費用
離婚前に別居を選択する夫婦は多いですが、別居すると婚姻費用の問題が出てきます。婚姻費用とは、別居をした際に「収入が多い方が少ない方へ渡す生活費」のことです。
妻に婚姻費用を請求された場合、妻よりも夫の収入の方が多ければ、夫は婚姻費用を支払わなくてはいけません。
別居期間が長く続けば、その分婚姻費用を支払わなくてはいけません。そのため、少しでも婚姻費用の支払いを抑えたいのであれば、できるだけ別居してから早い段階で離婚を成立させることが望ましいといえます。
ただし、妻が別居後に不倫をしたケースなど婚姻費用を請求する側が有責配偶者である場合は、婚姻費用の請求自体が認められないとした判例があります。
さらに、婚姻費用を認められたとしてもその額は通常より低くなるとする判例もあります。
婚姻費用を請求されたとき、別居後に妻が不貞行為をしていることが明らかという場合は婚姻費用の負担を減らせる可能性があります。
財産分与
どんな形の離婚であっても必ず行われるのが財産分与です。財産分与では、基本的に夫婦の共有財産は2等分されることになります。
財産分与は収入などに関係なく夫婦が等しく持っている権利ですので、妻が専業主婦で婚姻中に収入がなかったケースなどであっても財産分与をしなくてはいけません。
財産分与は婚姻中の貯金や車などさまざまなものが対象になりますが、住宅などの不動産も財産分与の対象です。
住宅を購入する際には住宅ローンを組んでいるケースもありますが、男性がローン契約者の場合、別居後も男性にローンの支払い義務があります。
もしローンを支払っている場合、家を売却してしまうのも1つの手段です。しかし、売却する際はローンの残りを一括で支払う必要があります。そのため、住宅の売却の際には家の売却益や貯金でローンを完済できるか計算しておきましょう。
なお、住宅が中古の場合は売却益がローン残債を超える可能性は低いため、残りの費用を妻と折半したり、慰謝料などと相殺することも選択肢として考えておきましょう。
男性が有利に離婚するための準備
男性が不利といわれる離婚を有利に進めるには入念な事前準備が必要です。そのなかでも特に準備しておくべき事柄は次の3つです。
- 夫婦関係の実態の証明
- 財産の把握
- 子供の監護実績づくり・養育準備
離婚の原因がどちらにあるのか、財産分与の対象となる共有財産はどれぐらいあるのか、子供の親権を取るための準備など、離婚のために行っておくべきことは多くあります。
それぞれのポイントについて、以下で詳しく紹介していきます。
夫婦関係の実態の証明
調停離婚や裁判離婚では、離婚にいたる夫婦関係の実態を客観的に証明できる証拠を提出しなければなりません。妻側に問題があって離婚にいたるケースとして多いものには以下の4つがあります。
- DV・モラハラ
- 不貞行為
- セックスレス
- 性格の不一致
各ケースにおいてどのような証拠が有力となるのか解説していきます。
DV・モラハラ
DV・モラハラのケースですが、DVの有力な証拠となるのは病院の診断書です。妻側がDVを認めなかったとしても診断書があれば高確率で事実認定されます。
モラハラは、パートナーの言動を録音したり、被害を受けたときの様子を日記につけておく、妻が破損したものの写真を撮影しておくなどのモラハラ行為を証明するものが証拠として有効です。
不貞行為
不貞行為は配偶者以外の異性と肉体関係を持っていることを証明する必要があります。具体的には、妻と浮気相手がラブホテルに入る写真などが有効です。
セックスレス
セックスレスを証明する際に有効なのは日記やメモです。日記はセックスレスになるより前からつけていれば信憑性が増しますし、断られるときの録音などがあればより確実になります。
性格の不一致
性格の不一致は証明がとても難しいのですが、ここでも日記やメモで、いつ・どんなトラブルがあったのかを記録しておくと証拠として認められる可能性があります。
どのケースでも証拠集めに時間がかかることが多いため、弁護士などと相談して効率良く有利になる証拠を集めることが大切です。
財産の把握
財産分与では妻側の財産をしっかり把握しておくことが重要です。相手側の財産の総額を知らなければ、正確に分けることができません。相手の財産を把握するには次のような書類を確認しましょう。
- 銀行預金や隠し口座の通帳
- 源泉徴収票
- 不動産の権利書 など
銀行や隠し口座の通帳や収入を証明する源泉徴収票、不動産があればその権利書などで、妻の財産が確認できます。これらの書類は全てコピーを取っておきましょう。
コピーがあれば財産の証拠になるため、妻側も財産隠しを行いにくくなります。
また、離婚の協議中だと妻が書類の提示に応じてくれない可能性もあります。そのため、離婚を切り出す前にこれらの書類を確認するようにしましょう。
なお、離婚後も財産分与は可能ですが、離婚から2年という時効がありますので注意してください。
子供の監護実績づくり・養育準備
親権は女性が取るケースが多いのですが、母親の教育やしつけに問題がある場合や経済面が著しく劣る場合は男性が親権を取ることもあります。
しかし、親権はデリケートな問題なので、話し合いだけでなく調停に進んでもまとまらないこともあります。
男性が親権を取りたいのであれば、まず、子供の世話をした「監護実績」を作ることが重要です。監護実績で重視されるのは「子供とどれだけ一緒に過ごしてきたか」です。
男性は、日中仕事で外に働きに行っていることが多いため、妻が専業主婦だった場合などは男性が監護実績において不利になります。
しかし、仕事の量を調整して子供と一緒にいられる時間を増やすなど、こまめに努力をすれば調停に進んだ際に調停委員の心証が良くなります。
また、親権を取るためには離婚後の養育環境を整えることが前提となります。このとき、次のようなポイントに気を付ければ、調停の際に自分の立場を有利にできます。
- 子供と過ごせる時間を増やす
- 子育てに適した家を準備する
- 養育費を当てにせず自分の力で子供の生活の面倒を見る
監護実績の説明でも触れましたが、親権を取るためには離婚後に子供と過ごす時間を増やす必要があります。実績作りのためだけではなく、親権を取った後も子供と一緒に過ごせるよう、仕事の調節や転職などで時間を作りましょう。
経済力のある男性なら、子供との生活に適した広い家を用意する、養育費をもらわなくても子供を育てられること、子供の面倒をみる時間を確保できることをアピールしておけば、親権を勝ち取れる可能性が上がります。
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男性が離婚を有利に進める方法|必要な準備と注意点
妻が話し合いに応じない場合
離婚の問題は夫婦で話し合って解決を目指すのが基本です。しかし、ケンカになったり、意見が食い違ったりして、そもそも話し合いにならないケースや妻が話し合いを拒否するケースも少なくありません。
妻との話し合いが進まない場合は、夫側から家庭裁判所に調停の申し立てを行う方法が有効です。裁判所に間に入ってもらうことで話し合いを円滑に進めていくことができます。
男性が離婚する際の弁護士の選び方
話し合いが成立しない場合、調停を申し立て裁判所に仲介してもらうのも良いですが、弁護士に話し合いの仲介を依頼する方法もあります。
弁護士は離婚協議だけでなく調停に進んだ際も法律的な観点から合理的なアドバイスをくれます。そのため、離婚を有利に進められるだけでなく、精神的な負担を軽減することができます。
弁護士に依頼する際は、どのような弁護士に仲介してもらうかが重要になってきます。男性が弁護士を選ぶ際は以下の点をチェックすると良いでしょう。
- 男性側の相談を前向きに聞いてくれる
- 今後の展開を先読みし、具体的に見通しが立てられる
- 同性・異性にとらわれない
- 安心して話ができる
前提として、男性側の立場を理解して前向きに話を聞いてくれる弁護士であることは外せません。男性側の意見をきちんと聞かずに対応しようとする弁護士は避けましょう。
また、弁護士は、経験豊富で、今後の展開を先読みしたうえで具体的な見通しを立てることができる人を選びましょう。そうすることでトラブルや不測の事態が起きる可能性も少なくなります。
一般的に同性の弁護士を選ぶ方が多いですが、異性の弁護士なら相手の考えが予想しやすくなることもありますので、性別に大きくこだわる必要はありません。
性別よりも、しっかりと話を聞いてくれ、安心して相談できる弁護士を選びましょう。
まとめ
離婚の手続きを有利に進めるには、今回解説したポイントを抑えておくことが大切です。しかし、離婚問題は、手続きや証拠集めなど重要なポイントが多岐に渡るため、1人で全てを進めていくことは困難です。
このとき、離婚問題に強い弁護士に依頼すれば離婚を有利に進めるために十分な準備ができます。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しておりますので、ぜひお役立てください。
※1 裁判所「令和4年 司法統計年報 3 家事編」
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