離婚までの期間を最短にする方法|別居や協議離婚のポイント

基礎知識
弁護士監修
離婚までの期間を最短にする方法|別居や協議離婚のポイント

現在の日本では3組に1組の夫婦が離婚するといわれています。

離婚理由として最も多いのが性格の不一致ですが、そのほかに不貞行為や暴力、モラハラ、経済的DV、子供への虐待といった原因も挙げられます。

夫婦間で暴力が振るわれたり不貞行為が行われたりすると離婚を考えるでしょう。まして、身体に危害がおよんでいる場合はより早急に離婚したいと思いますよね。

しかし、相手が離婚に同意しない場合は離婚成立まで大変時間がかかってしまいます。

ここでは早期離婚を目指す場合、どのように行動し気を付けるべきなのかを解説します。

目次
  1. 離婚までにかかる期間の目安
  2. 最短で離婚できるのは協議離婚
  3. 別居は離婚に有効か
  4. 離婚に時間がかかる原因
    1. 相手が離婚に同意しない
    2. 離婚条件をお互い譲らない
    3. 自立するための経済力がない
  5. 早く離婚するためのポイント
    1. 離婚理由、意志をはっきりさせる
    2. 離婚条件を妥協する
    3. 弁護士に依頼する
    4. 調停離婚に切り替える
  6. まとめ

離婚までにかかる期間の目安

離婚には協議離婚、調停離婚、裁判離婚といった段階があります。

離婚をする場合、まず当事者で協議を行い、当事者間で協議が合意に達しなければ、調停委員を交えて調停を行います。そこでも離婚が成立しなかったら裁判となります。

協議離婚、調停離婚、裁判離婚と進むにしたがって離婚成立までに時間を要することになります。一般的に、離婚までにかかる期間は以下の通りです。

  • 協議離婚:早ければ1日、親権など決める内容が多かったり、条件の合意まで難航したりすると数ヶ月~1年かかることもあります。
  • 調停離婚:4~6ヶ月程度が目安とされますが、1年近くかかるケースもあります。
  • 裁判離婚:半年~1年以上と、離婚方法のなかで最も長い期間を要することになります。なかには3年かかったケースもあります。

数は多くありませんが、調停不成立の後、裁判所が離婚を決める「審判離婚」にいたるケースもあります。

最短で離婚できるのは協議離婚

協議離婚とは、離婚に関する話し合いを夫婦だけ、または夫婦と弁護士など関係者で行い、合意にいたったら離婚届を提出するものです。

離婚の際には財産分与や慰謝料、親権、養育費など決めるべきことがたくさんあります。これら離婚条件で利害の対立があると、離婚成立までの期間が長くなります。

協議離婚では以下の2つのポイントを押さえることで、迅速に離婚を成立させることができます。

  • 第三者の意見を聞く
  • 弁護士を立てる

夫婦のみで話し合うと感情的になるので、第三者の客観的な意見を参考にすると良いでしょう。間に入ってくれる誰かがいるだけでも心強いものです。

間に入ってもらう人は、できれば弁護士がおすすめです。弁護士は法律の専門家なので、法律に基づいた具体的な解決策を提示してくれます。

別居は離婚に有効か

別居は離婚に有効か

結婚した夫婦には同居義務があります。長期間同居の義務を怠っている場合、離婚事由となる場合があります。ただし、正当な理由の有無が問題になります。

では、どのような別居なら離婚原因として認められるかというと「双方同意に基づく別居」「暴力を受けている」「経済的DVにあっている」「不貞行為があった」という正当な事由のあった場合です。

したがって、性格の不一致などで正当な理由なく一方的に別居して離婚を請求しても原則認められることはありません。

そればかりか、相手に裁判を起こされた場合に、「同居の義務を怠った」として自分が不利になる可能性もあります。

離婚に時間がかかる原因

離婚は早期成立するケースもあれば、成立まで年単位で時間がかかることもあります。ここからは、離婚の成立までに時間がかかる理由について解説します。

相手が離婚に同意しない

夫婦のどちらか一方が離婚を望んでも、もう一方がそれを拒否した場合、離婚の話し合いの場に相手が出てくるよう説得するだけでも労力と時間がかかります。

離婚を前提に別居を選択する人もいるでしょう。しかし、別居中に相手に引越しされて音信不通になってしまうと話し合いができず、離婚までの期間が長引いてします。

もし別居する場合は、相手の連絡先や住所がわからなくなることのないよう、確認できるようにしておきましょう。

離婚条件をお互い譲らない

離婚協議の際、親権や財産分与、慰謝料などいろいろと意見が対立することがあります。

財産分与や慰謝料といったお金の問題も、すんなり合意にいたることは少ないですが、特に妥協点を見出しにくいのが子供の親権です。

離婚後に親権を持てるのは、父親と母親どちらか一方だけになります。

当然のことながら双方が親権を主張すると話し合いは膠着してしまいます。

親権問題が前に進まない場合は、面会交流の回数を増やすなどを提案することで話がまとまることもあります。

自立するための経済力がない

相手が無職や専業主婦などあなたの収入に頼って生活している場合、自立できるだけの経済力がありません。

もし離婚に応じてしまうと、相手は生活に困窮する可能性が高くなるため、離婚を回避しようと考える人もいるでしょう。

このとき、離婚を望んで別居したとしても、婚姻関係が継続している間、収入が多い側は相手の生活費(婚姻費用)を負担する義務が生じます。

つまり、別居しても生活費の心配がなく、愛情がない配偶者と同居せずに済むという、相手にとって居心地の良い状態を作り出してしまうのです。

その結果、なかなか離婚に同意してくれなくなる可能性が高くなります。

早く離婚するためのポイント

早く離婚するためのポイント

離婚は、お互いがそれを望んで条件が折り合えばすぐに成立させられます。

しかし、相手の同意を得られなかったり、受け入れがたい条件を提示されたりして離婚の話がうまくまとまらないこともあります。

このような場合、離婚成立に向けてどうすれば良いかを解説していきます。

離婚理由、意志をはっきりさせる

配偶者に離婚への同意をしてもらう場合、なぜ離婚を望むのかを明確に伝えないと相手に離婚の決意が伝わりません。

離婚理由を伝えても相手の同意が得られない場合、「離婚への気持ちは変わらない」と強く明確に意思表示をするのも1つの手段です。

強い気持ちを伝えることで、相手に「夫婦でやり直すことは無理だ」とあきらめてもらえる可能性が高くなります。

離婚条件を妥協する

離婚をする際、親権・慰謝料・養育費・面会権・財産分与などさまざまな取り決めをする必要が出てきます。

ここで自分の希望をすべて押し通そうとしたり、相手からの要求を一方的に突っぱねたりすると、当然のことながら離婚協議は長引くことになります。

離婚の協議を長引かせたくない場合は、離婚条件への要求に優先順位をつけましょう。

優先順位の低いものについてはある程度妥協して相手の意見を受け入れることにより、早期の離婚を実現できる可能性が高まります。

弁護士に依頼する

協議離婚の話し合いは、当事者同士だけでなく、代理人として弁護士を立てて行うことができます。

当事者同士での話し合いが長引いている、相手が一切主張を曲げないなどの場合、弁護士に間に入ってもらうと、論点に対し、法律的な観点で合理的な解決案の提示や助言を行ってもらえるので、話がまとまりやすくなります。

また、弁護士に、自分の代わりに相手と連絡を取ってもらうことも可能です。第三者が間に立つことで冷静な話し合いができるため早期の解決が見込めます。

調停離婚に切り替える

日本では離婚の90%が協議離婚によって成立しているといわれます。

しかし当事者間でいくら話し合っても結論が出ない場合には、調停離婚に切り替えて話を進める方法もあります。

調停離婚はどちらか一方が家庭裁判所に申し立てて行われます。

調停では調停委員が双方から話を聞き、意見の調整を行ってくれます。双方が調停委員から示された条件に合意すれば離婚成立です。

調停の合意事項は、裁判における確定判決と同様の効力を持ちます。

まとめ

一度離婚を決意したなら、早く成立させて新しい生活を始めたいと思うでしょう。一方、相手に離婚を切り出してから成立まで長い時間がかかってしまう人がいるのも現実です。

このような場合、いくつかのポイントを押さえて話し合いに臨めば、早期に離婚を成立させることも不可能ではありません。

早期離婚を目指す方はただ闇雲に相手に要求ばかりするのではなく、着地点を見据えた話し合いを行っていくようにしましょう。

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