デキ婚(授かり婚)の離婚率が高いと言われる理由と離婚を回避する方法
最近は、妊娠をきっかけに結婚する「デキ婚(授かり婚)」もめずらしいことではなくなりました。デキ婚で幸せな家庭生活を築いている方も多いですが、一方で「デキ婚は離婚率が高い」とも言われています。
この記事ではデキ婚の離婚率が高い原因や離婚を回避するための方法などを詳しく解説していきます。
- 目次
デキ婚(授かり婚)の割合は?
「デキ婚」という言葉が浸透しているように、妊娠がきっかけで結婚する人は少なくありません。
厚生労働省の調査「令和3年度『出生に関する統計』の概況」によると、令和元年における妊娠期間より結婚期間が短い出生は第1子出生全体の18%ほどであると発表されています。
つまり、子供がいる夫婦のうち、2割弱がデキ婚という計算になります。
また、年齢別のデキ婚の割合は15~19歳が約8割、20~24歳で約6割、25~29歳で約2割、30歳以降で約1割となり、年齢が若いほどデキ婚率が高いことがわかります。
参考:厚生労働省「令和3年度「出生に関する統計」の概況 人口動態統計特殊報告(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo07/dl/gaikyou.pdf)」 ※1
デキ婚(授かり婚)の離婚率は高いのか
デキ婚の離婚率は高いと言われていますが、実際に離婚率は高いのでしょうか。
少し古いデータですが、【人口動態統計特殊報告・平成21年度「離婚に関する統計」】によれば、平成17年の夫妻の同居をやめたときの年齢別・有配偶離婚率(配偶者がいる人1,000人当たりの離婚者数)は、女性の場合、19歳未満で約8割、20~24歳で約5割と年齢が若い人ほど離婚率が高い結果になっています。
10代で結婚した人の約8割がデキ婚、10代で結婚した人の約8割が離婚するというデータなどから、「デキ婚の離婚率が高い」と言われてしまうのかもしれません。
参考:厚生労働省「平成21年度 「離婚に関する統計」の概況1 離婚の年次推移(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/01.html)」 ※2
デキ婚(授かり婚)の離婚率が高いと言われる理由
デキ婚の離婚率が高いと言われる理由を見ていきましょう。
互いのことをよく知らないまま結婚してしまったから
デキ婚は、結婚を考える前に子供を授かることになります。そのため、交際期間が短く、相手のことをよく知らないまま結婚してしまうケースも少なくありません。
もちろん、長年交際したすえにデキ婚にいたるケースもありますが、交際期間が短ければ生活習慣や価値観の違い、相手の性格などをよく知らないまま結婚することになります。
この場合、結婚後に相手の嫌な部分や我慢できない部分を知ることになり、「こんなはずではなかった」と後悔することになるようです。
結婚する覚悟ができないまま結婚してしまったから
結婚してから子供を授かる場合、家庭を持つことや親になることに対する心の準備・覚悟ができた状態で結婚や出産を迎えます。
しかし、デキ婚の場合、子供を育てるどころか、家庭を持つことにすら心の準備や覚悟ができていない状態で妊娠の事実を知ることになります。
このような場合、結婚しても、家庭を持つことや親になる覚悟・自覚を持てずにいる人がいるのも不思議はありません。
年齢が若すぎるから
デキ婚する人の大半は10代などの若年層になります。 年齢が若いと精神的に未熟なことが多く、学生や就職して間もないなど経済的に厳しいこともあるでしょう。
また、年齢が若ければ若いほどまだまだやりたいことも多いでしょう。しかし、結婚や出産によってやりたいことをあきらめなくてはならなくなると、後悔の念に苛まれることもあるでしょう。
経済的に苦しくなるから
前述のとおり、デキ婚は若年層に多いため、学生であったり、働いていても収入が少なかったりするケースが多いです。しかし、結婚して家庭を守り、子供を育てるためにはお金が必要なため、収入が低ければ生活が厳しくなります。
生活が厳しくなると些細なことでも喧嘩になりやすく、離婚にいたることも珍しくはありません。
女性側の負担が特に大きく、夫に対する不満が溜まりやすいから
妊娠すると女性の身体に大きな負担がかかります。そのため、妊娠中の女性は生活面で自由が利かないことも増えてきます。
また、子供が生まれても身体が回復するには時間がかかります。しかし、子育ては出産直後から始まるため、体力的にも精神的にも辛くなる方も多いでしょう。
夫が協力的であればそれほど問題にはならないのですが、デキ婚の場合は男性側に親になる覚悟ができていないケースも少なくありません。
そうすると、女性側の負担はますます大きくなり、夫に不満が溜まっていくことで離婚を考えるようになってしまうのです。
デキ婚(授かり婚)からの離婚を回避する8つの方法
デキ婚からの離婚を回避するための方法を8つ紹介します。
夫婦で協力して育児を行う
育児を妻だけに任せるのではなく、夫婦で協力して行うようにしましょう。夫婦が協力して育児を行うことで、女性側の負担を減らすだけではなく、男性側も子育てを通じて父性が芽生えやすくなります。
また、夫婦が協力して子供を育てることで達成感も得られますし、子供の成長の喜びをわかちあうことで夫婦仲を深めることにも繋がります。
夫婦が2人で過ごせる時間を作る
デキ婚はお互いのことをほとんど理解しないまま結婚や出産を迎えるケースも少なくありません。そのうえ、結婚後も子育てに追われ、夫婦2人の時間を十分に楽しめない日々が続いてしまいます。
妊娠中でも子供ができたあとでも良いので、2人で過ごせる時間を捻出し、互いへの理解を深めるように努めましょう。 互いについて良く知り、信頼関係を深めることは子育てにも生きてきます。
周りの協力を仰いだり、時間をやりくりしたりして、夫婦の時間を捻出するようにしましょう。
共稼ぎをする
夫の収入だけでは生活が苦しい場合、妻側も仕事に就くことをおすすめします。子供と一緒に過ごしたいという気持ちもわかりますが、生活苦が原因で離婚してしまえば元も子もありません。
子供を預けて働くことは大変ですが、夫婦で協力して子育てと仕事を両立させましょう。
ストレス発散方法を探す
一般的に、妊娠中の女性は精神的に不安定になりやすいと言われています。特にデキ婚の場合は結婚や出産の覚悟ができていないため、一層ストレスを感じやすくなります。
また、男性側も今後の育児や経済的な不安を抱えることでストレスを感じやすくなります。
お互いにストレスを溜め込めば些細なことで喧嘩に発展しやすくなるため、自分なりのストレス解消法を見つけて乗り越えていくことが大切です。
ママ友を作る
デキ婚をした女性は比較的若いことが多く、育児や家事でわからないこともあるでしょう。こんなとき、ママ友がいれば、育児や家事との両立法などを教えてもらえるかもしれません。
また、同じ境遇のママ友なら会話もしやすく、悩みや愚痴などを聞いてもらいやすい傾向があります。
子供が保育園や幼稚園に通うようになれば自然とママ友ができるようになるため焦る必要はありません。しかし、乳児の間はどこでママ友を作れるのかわからないという方もいるでしょう。
ママ友を作るのが難しい場合は子育てサークルなど、子連れ向けコミュニティに参加してみるもおすすめです。自治体によっては子育て支援課を設けているところもあるので、そういったところに相談するのも良いでしょう。
親や親戚の協力を仰ぐ
子育てや結婚生活で大変だと感じることがあれば、親や親戚など周囲に協力を仰ぎましょう。 「結婚したら自分たちだけで解決しなければいけない」と考えがちですが、困った場合は周囲の人に頼ることも大切です。
特に親は人生や子育ての先輩です。自分たちだけでは解決できなかった問題を解決に導いてくれるかもしれません。
互いに1人でゆっくりできる時間を作る
夫婦や子供と過ごす時間も大切ですが、息抜きとして1人でゆっくりできる時間を作ることも大切です。特に若年でのデキ婚の場合、周囲の友達がまだ結婚していないことも多いです。
周りは楽しく遊んでいるのに自分は自由に遊びに行けないとなると、ストレスを感じてしまいます。
「子供がいるから出かけられない」と考えがちですが、努力次第で1人で出かけることも不可能ではありません。夫婦で育児を分担したり、親の協力を仰いだりするなど、自分の時間を生み出す工夫も必要です。
周りと比較しない
周りの独身の友人が楽しそうにしていることや自由にお金を遣っていることが羨ましく見えることもあるかもしれません。つい周囲の人と比較してしまいがちですが、周りと比較することは止めましょう。
子供が健康に生まれてきてくれることは幸せなことであり、若いうちに出産することは身体的にも負担が少ないものです。
将来的に「若くて綺麗なお母さん」と褒められることもあるかもしれません。周りと比べずに良いところを探すようにしましょう。
デキ婚(授かり婚)にはメリットもある
ここまで「デキ婚(授かり婚)は離婚率が高い」という、ある意味マイナスな側面に焦点を当てて説明してきました。
一方、近年の日本では未婚率の増加や出生率の低下が社会問題となっています。そのような状況下において、結婚して子供を授かることができるというのは喜ばしいことです。
そのほか、デキ婚には以下のようなメリットがあります。
結婚し、子供を持つ心構えができる
「長く付き合っているのに、彼氏(彼女)が結婚を考えてくれない」といったお悩みを抱えている方も少なくありません。結婚のことを考えていなかったとしても、子供ができれば嫌でも結婚を意識します。
「プロポーズしてくれない」「相手が結婚を考えてくれない」とお悩みの方にとっては朗報と言えるでしょう。
デキ婚をする人のなかには、家庭を持つことや人の親になるという自覚を持てないまま結婚する人がいるのは事実です。
一方、交際期間が長くなり、「結婚に踏み出すタイミングがない」といった場合、子供ができたことで家庭を持つことや子育てへの心構えができるケースもあるのです。
離婚を踏みとどまりやすくなる
「結婚は勢い」などと言いますが、離婚は勢いでするものではありません。特に子供がいる夫婦が離婚する場合、子供のことを最優先に考える必要があります。
子供がいる状態で離婚する場合、親権や養育費など多くのことを決めなければなりません。また、子供を連れて離婚する場合は1人で子育てを行い、子供の分まで生活費を稼がなければなりません。
妊娠・出産によって仕事をしていなかった場合は仕事を探すところから始める必要があります。
「デキ婚は離婚率が高い」と説明してきましたが、「子供が小さい間は離婚しないでおこう」など、子供がいることで離婚を踏みとどまるケースもあります。
デキ婚(授かり婚)からの離婚を回避できないときは弁護士に相談
デキ婚からの離婚がどうしても回避できない場合は弁護士に相談することをおすすめします。
子供がいる夫婦が離婚する場合、親権や養育費などの問題が発生します。これらの問題は、1人で解決することが難しく、揉めごとに発展することも少なくありません。
弁護士に相談することで法的なアドバイスがもらえますし、交渉を依頼すれば離婚問題をスムーズに解決することにつながります。
また、法的な根拠に基づき交渉してもらえるため、不利益を回避し、子供のことを最優先に考えたうえで有利に離婚できる可能性が高まります。
まとめ
デキ婚の離婚率は高いと言われていますが、実際には幸せな家庭生活を続けている人も多いです。1人ですべてを抱え込まず、パートナーや家族など周囲の協力を得ながら子育てを楽しむようにしましょう。
デキ婚からの離婚を回避できそうにないという場合は、早い段階で弁護士に相談し、アドバイスをもらうことが大切です。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
※1 参考:厚生労働省「令和3年度「出生に関する統計」の概況 人口動態統計特殊報告」
※2 厚生労働省「平成21年度 「離婚に関する統計」の概況1 離婚の年次推移」
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