養育費の新算定表|2019年に改定された内容と増額した背景を解説!
子供を持つ夫婦が離婚する際、どちらか一方を親権者に決める必要があります。離婚後、親権を持たない親は親権者に対して養育費を支払わなければなりません。
「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子家庭のうち年間就労収入が200万円未満である家庭が半数近くを占めることがわかりました。母子家庭の貧困化は大きな問題となっています。
このような状況のなか、2019年12月23日、養育費の算定表が改定され、新しい算定表が公表されました。
この記事では、従来の養育費算定表の問題点や改定された点を踏まえ、新しい養育費算定表について解説します。
- 目次
☝養育費・婚姻費用の算定表の改定について動画でも解説しています!
養育費とは
両親が離婚しても親子の関係は変わりません。そのため、子供と離れて暮らす親は親権者に対して養育費を支払う義務があります。養育費は夫婦の話合いで合意できればいくらでもかまいません。
しかし、夫婦の話合いで決まらない場合は、調停・裁判へと進むことになります。
調停・裁判では養育費算定表を基に金額が決まる
調停・裁判はいずれも裁判所による手続きです。夫婦の話合いであれば養育費の金額は自由に決めることができますが、調停や裁判に進んだ場合は養育費算定表を基準に金額を決めることになります。
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離婚の養育費の相場|できるだけ多くもらう方法とは
2019年12月23日養育費算定表が新しく改定された
2019年12月23日、養育費算定表が改定されました。改定された新しい算定表については以下のリンク先をご覧ください。
参考:裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」
養育費算定表は、子供の人数(1~3人)と年齢(0~14歳と15歳以上)によって複数の表にわかれています。
縦軸は養育費支払い義務者の職業別(給与所得者または自営業者)の年収、横軸は監護親(権利者)の職業別(給与所得者または自営業者)の年収を示しています。
子供の人数と年齢に該当する表を選び、義務者の年収と権利者の年収が交わる欄が養育費の月額となります。
改定された養育費算定表を用いた場合の養育費の月額は以下となります。
【具体例その①】
・養育費の支払い義務者の年収(給与所得):400万円
・親権者の年収(給与所得):100万円
・子供の人数と年齢:1人(10歳)
養育費(月額):4~6万
【具体例その②】
・養育費の支払い義務者の年収(給与所得):650万円
・親権者の年収(給与所得):300万円
・子供の人数と年齢:2人(8歳と12歳)
養育費(月額):8~10万
旧養育費算定表
改定された養育費算定表とこれまで利用されていた算定表(以降、旧養育費算定表と呼ぶ)で、養育費はどう変わるのでしょうか。前述の例を用いて比べてみましょう。
【具体例その①】
・養育費の支払い義務者の年収:400万円
・親権者(給与所得)の年収100万円
・子供の人数と年齢:1人(10歳)
養育費(月額):2~4万
【具体例その②】
・養育費の支払い義務者の年収(給与所得):650万円
・親権者の年収(給与所得):300万円
・子供の人数と年齢:2人(8歳と12歳)
養育費(月額):6~8万
上記の例では算定表が改定されたことで養育費が増額したことがわかります。
これまでの養育費の相場は低すぎた
養育費算定表が作られるまでは、家庭裁判所が基礎収入や最低生活費を個々に計算して養育費を算出していたため、裁判所にとって大きな負担となっていました。
そのため、養育費の算出を定式化する目的で養育費算定表が作られました。
旧算定表は作成された当時の情勢(2003年)を基に作られたため、「実態に合わない」「金額が低い」「母子家庭の貧困化を招いている」などと言われていました。
新しい養育費算定表は何が改定されたのか
旧算定表が作成された当時と比べ、現在は子育てに必要な食費や光熱費などの費用も上がり、携帯電話を持つ子供が増えたなど、社会情勢が大きく変化しています。
今回改定された養育費算定表はこれらの事情を考慮して見直されたものになります。
養育費は全体的に増額傾向へ
前述の2つの例では算定表の改定によって養育費が増額することがわかりました。
収入などの条件によっては養育費が従来の算定表と変わらないケースもありますが、全体的に見ると養育費は増額する傾向となります。
「自分のケースだといくらもらえる?」「算定表より多く受け取りたい」など、養育費でお悩みの方は弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
2019年に改定された養育費算定表について解説しました。
養育費の問題は金額だけでなく、約束どおり払い続けてもらうことも重要です。離婚後に安定した生活を送るためにも、弁護士に依頼し、アドバイスを受けることをおすすめします。
当サイト「離婚弁護士相談リンク」は養育費などの離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。
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