離婚式とは|式の内容や費用、離婚式を行うメリット・デメリットを解説

基礎知識
弁護士監修
離婚式とは|式の内容や費用、離婚式を行うメリット・デメリットを解説

結婚する際に結婚式を行うのと同じように、離婚する際に「離婚式」を行うケースもあります。

この記事では離婚式とはどういったものなのか、離婚式を行うメリットやデメリットなどについて解説します。

目次
  1. 離婚式とは
  2. 離婚式が注目されるようになった背景
  3. 離婚式の手続き
    1. 離婚の手続きをする
    2. 離婚式プランナーへの依頼
    3. 離婚式の招待状を送付する
  4. 離婚式の費用相場【55,000~200,000円】
  5. 離婚式の内容
    1. 二人(旧郎・旧婦)からのあいさつ
    2. 司会者からのあいさつ
    3. 裂人(さこうど)のあいさつ
    4. 友人代表のスピーチ
    5. 離婚届への署名
    6. 最後の共同作業(結婚指輪をつぶす)
    7. 会食
    8. スライドショー(オプション)
    9. 旧郎のブーケトス(オプション)
    10. お色くずし(オプション:通称パイ投げ)
  6. 離婚式を行うメリット
    1. けじめをつけられる
    2. 円満に離婚できる
    3. 離婚条件を守ってもらいやすい
  7. 離婚式を行うデメリット
    1. 費用がかかる
    2. 楽しいものになるとは限らない
    3. 周囲から理解されにくい
  8. まとめ

離婚式とは

離婚式とは、離婚を決意した夫婦が友人や家族の前で人生の再出発を宣言するセレモニーです。

離婚する際、家族や友人に対して口頭やメールで報告するケースが一般的ですが、近年になって離婚式を行う夫婦も増えているようです。

離婚式の内容は夫婦によって異なりますが、前向きに離婚することを周囲の人に報告することができるため、離婚の持つネガティブな印象を払拭しやすくなります。

なお、「2人で離婚式を行うのは抵抗があるが、周りからの励ましはほしい」という方には、ソロ離婚式というサービスもあるようです。

離婚式が注目されるようになった背景

離婚式が注目されるようになった背景

最近は離婚が珍しいことではなくなりました。令和3年の厚生労働省の人口動態統計によると離婚件数は18万組を超えています。

離婚に対する考え方も大きく変わり、「カジュアル離婚」などという言葉もあります。

テレビドラマや映画、漫画でも離婚を題材にした作品も多く、昔と比べて離婚に対して周囲からの理解も得やすい時代になっています。

離婚原因が不法行為ではないようなケースでは堂々と離婚を宣言することで周囲の気遣いや心配を減らすこともでき、次の人生への再出発を踏み出しやすくなります。

離婚式を行うことで、周囲への報告と再出発への決意を固める狙いがあるようです。

参考:厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/dl/02_kek.pdf)」 ※1

離婚式の手続き

離婚式の手続き

離婚式の手続きについて順を追って解説します。

離婚の手続きをする

離婚式は、「離婚する予定の夫婦」もしくは「離婚した夫婦」が行うものです。式の内容によっては、離婚届への署名を行う場合もあります。

離婚は夫婦が話し合い、協議離婚の成立を図ります。話し合いがまとまらない場合は調停、裁判へと進みます。

「離婚式を予定している」ということは、法的な離婚事由がなく、円満に離婚するケースがほとんどでしょう。つまり、調停や裁判ではなく、協議離婚を前提とした夫婦が対象と考えられます。

協議離婚は夫婦が合意すれば離婚が成立します。離婚届を提出する前に財産分与や慰謝料、養育費などをしっかりと取り決めておかなければトラブルの原因になりかねません。

また、口約束だけでは「言った・言わない」の水掛け論に発展する恐れもあります。離婚の話し合いで取り決めた内容は離婚協議書を作成し、書面の形で残しておきましょう。

なお、離婚式を行ったことで周囲から励まされ、夫婦関係を再構築する流れになったケースもあるようです。

離婚式プランナーへの依頼

結婚式を行う場合、結婚式の相談、準備から式当日までウエディングプランナーのサポートを受けながら進めていきます。

離婚式プランナーは離婚式プランナー検定を受けて合格した離婚式のプロです。結婚式と同様、離婚式の相談、準備から式当日まで離婚式プランナーがサポートしてくれます。

なお、離婚式プランナー検定はあまり認知されておらず、離婚プランナーの数が限られるのが現状です。離婚式オフィシャルサイトに記載された連絡先に連絡することで依頼ができます。

参考:離婚式オフィシャルサイト(https://www.rikonshiki.com/)※2

離婚式の招待状を送付する

離婚手続き、離婚式プランナーへの依頼が済んだら、友人や親族など、離婚式に出席してもらいたい人に招待状を送付します。

なお、離婚式は社会に広く浸透しているわけではありません。また、離婚式を行うことに違和感や嫌悪感を抱く人もいます。

離婚式を行うこと自体は何の問題もありませんが、これらの事情により欠席する人もいることを理解しておきましょう。

招待状の送付の仕方については、離婚式プランナーのアドバイスに従いましょう。

離婚式の費用相場【55,000~200,000円】

離婚式にかかる費用は、式の内容や会場によって異なりますが、相場は55,000円~200,000円です。

離婚式にはさまざまなオプションがあり、オプションを追加するごとに費用に加算されていきます。

また、離婚式でも結婚式のように引き出物を準備するケースもあり、引き出物を準備する場合は別途費用が発生します。

離婚式の内容

結婚式のように、離婚式でも離婚式プランナーが存在します。夫婦と離婚式プランナーで打ち合わせを行い、離婚式の内容を決めていきます。

主な離婚式の内容は次のとおりです。

二人(旧郎・旧婦)からのあいさつ

離婚式を行う夫婦が入場し、離婚式が始まります。入場後、旧郎と旧婦が参列者に向けて一言ずつ簡単に挨拶をします。

司会者からのあいさつ

離婚式に先立ち、司会者より夫婦が離婚にいたった経緯などについて簡単な説明があります。

なお、離婚式の司会者は、打ち合わせを行ってきた離婚式プランナーが務めるケースが多いです。

裂人(さこうど)のあいさつ

結婚式では仲人の挨拶がありますが、離婚式では裂人(さこうど)の挨拶があります。

裂人は旧郎・旧婦の共通の友人などが担当することが多く、夫婦双方の前向きな離婚を応援するようなスピーチが行われます。

友人代表のスピーチ

旧郎・旧婦の共通の友人や両者それぞれの友人が代表し、スピーチを行います。

離婚の相談を受けていた友人が担当するケースが多いため、「離婚後も応援していきたい」という温かい内容のスピーチが多いです。

離婚届への署名

離婚届を提出していない場合は、参列者の前で離婚届に署名を行います。署名が済んだら離婚の宣誓を行います。

最後の共同作業(結婚指輪をつぶす)

離婚式では最後の共同作業として結婚指輪をハンマーなどで叩き割る作業が行われます。

潰された結婚指輪を旧郎・旧婦が手に掲げると、会場から拍手や歓声が起こります。

会食

結婚式の披露宴でも歓談時間がありますが、離婚式でも参列者が食事をしながら歓談する時間があります。

歓談の時間であれば、旧郎・旧婦と話をしたり、応援のメッセージを伝えたりすることできます。

スライドショー(オプション)

旧郎・旧婦の出会いから、結婚・離婚にいたるまでの思い出がスライドショーで流されます。

旧郎のブーケトス(オプション)

結婚式では新婦から参列者の女性にブーケトスを行いますが、離婚式ではブーケトスを旧郎が行います。

ブーケトスでは「円満な関係」「夫婦円満」が花言葉のユリオプスデージーというキク科の花などが用いられます。

投げられたブーケをキャッチすると円満離婚できるとも言われており、結婚式と異なり、ブーケから逃げ惑う参列者もいれば、自らジャンプして受け取ろうとする参列者もいるようです。

お色くずし(オプション:通称パイ投げ)

離婚式ではオプションでお色くずし(通称パイ投げ)を行うこともできます。

お色直しの反対で、白いパイ生地を投げ合い、結婚して相手の色に染まった顔を白く包み、リセットするという意味合いがあります。

離婚式を行うメリット

離婚式を行うメリット

離婚式を行う意味があるのかと考える方もいるかもしれませんが、離婚式にはさまざまなメリットがあります。

けじめをつけられる

離婚式を行うことで、これまでの夫婦生活や関係にけじめをつけることができます。

一般的に、女性よりも男性のほうが別れを引きずりやすいと言われており、離婚式も男性側が希望するケースが多く、「けじめをつけるために離婚式をしたい」と考えるようです。

また、離婚式をすることで幸せだった結婚生活を振り返り、良い思い出にしようという気持ちもあるようです。

円満に離婚できる

離婚すること自体に納得していても、何らかのわだかまりを残したまま離婚届に判を押す夫婦もいます。

離婚式では、離婚式プランナーが間に入り、夫婦双方の意見を聞きながら、打ち合わせを進めていきます。

そのため、互いにスッキリとした気持ちで離婚しやすくなり、円満離婚になりやすいと言われています。

離婚条件を守ってもらいやすい

離婚式で離婚条件を公式声明として出せば、離婚条件を相手に守ってもらいやすくなります。

慰謝料や養育費、子供との面会などの離婚条件を設定し、参列者の前で読み上げてもらうことで参列者全員が証人になります。

参列者の前で読み上げられることで、離婚条件が守られやすくなり、離婚後のトラブルを予防しやすくなります。

離婚式を行うデメリット

離婚式はさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。

離婚式を行うことを決める前に、デメリットについても理解しておきましょう。

費用がかかる

離婚式を行うのであれば費用が発生します。低予算で行えるプランもありますが、オプションなどを追加すれば費用は高くなっていきます。

結婚式ではご祝儀を結婚式費用に充てることができますが、離婚式のご終儀の相場は一人あたり3,000~5,000円です。

しかも、参列者数も結婚式ほど多くはないため負担額は大きくなると予想されます。

楽しいものになるとは限らない

終始楽しく明るい離婚式になれば良いですが、夫婦の関係や離婚理由によっては楽しい雰囲気の式になるとは言い切れません。

離婚式プランナーが間に立つので離婚式自体は順調に進められるかもしれませんが、夫婦や両家の家族などの関係性が気まずくなるケースもあります。

周囲から理解されにくい

実際に離婚式に参列した方のなかには、違和感や嫌悪感があったという意見もあります。

また、ご終儀として会費を募って離婚式を行うことに疑問を感じる方もいます。

そもそも、夫婦両方の同意がなければ離婚式自体を行うことができません。

離婚を決意するわけですから、離婚する前から別居や絶縁状態の夫婦もいます。このような場合、離婚式を行うことは難しいでしょう。

まとめ

離婚に対してネガティブな印象が軽減されてきており、離婚式が注目されています。

離婚や再出発に対して前向きに考えることができ、離婚後も円満な関係を築きやすいことが離婚式の利点と言えます。

ただし、実際には円満に離婚できることは少ないのが現実です。

真の意味で円満に離婚をして、離婚後に人生の再スタートさせるのであれば、離婚後のことも踏まえて適切に取り決めを行うことが大切です。

円満に解決し、気持ちよく人生を再スタートさせるのであれば、弁護士に相談しながら進めることも検討すると良いでしょう。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。

※1 厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況
※2 離婚式オフィシャルサイト

関連記事≫≫
離婚のその後の人生|別れる前に決めておくべき事項とは
離婚届の書き方を徹底解説!注意点を押さえて正しく書こう!
賢い離婚の仕方|円満に離婚するために知っておくべきこと
離婚届の証人は誰が良い?証人が見つからない場合の対処法と注意点を解説!

離婚コラム検索

離婚の基礎知識のよく読まれているコラム

新着離婚コラム

離婚問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!

離婚問題の慰謝料は弁護士に相談して適正な金額で解決!

離婚の慰謝料の話し合いには、様々な準備や証拠の収集が必要です。1人で悩まず、弁護士に相談して適正な慰謝料で解決しましょう。

離婚問題に関する悩み・疑問を弁護士が無料で回答!

離婚問題を抱えているが「弁護士に相談するべきかわからない」「弁護士に相談する前に確認したいことがある」そんな方へ、悩みは1人で溜め込まず気軽に専門家に質問してみましょう。

TOPへ