離婚の危機を乗り越えて夫婦関係を修復する方法とやってはいけないNG行動

基礎知識
弁護士監修
離婚の危機を乗り越えて夫婦関係を修復する方法とやってはいけないNG行動

結婚当初はラブラブだった夫婦も、悪い部分が目につくようになり、会話も減り、衝突が増えたり、「離婚したい」と思ったりすることもあります。

一方、いつも仲良く、良好な関係を維持している夫婦もいます。

この記事では、離婚の危機を迎えたときに上手に乗り越える方法について解説します。

目次
  1. 離婚の危機を迎えやすい時期
    1. トラブルは隠れていた夫婦の問題をあぶり出す
  2. 離婚の危機を乗り越えるために知るべきこと
    1. 感情的にならない
    2. 相手が変わることを期待しない
    3. 自分の気持ちを伝える
    4. 相手の気持ちを尊重する
    5. 離婚届を勝手に出されないようにしておく
  3. 離婚の危機を回避できないケース
  4. 離婚の危機でやってはいけないNG行動
    1. 相手を否定する
    2. 別居する
  5. 離婚が避けられないと判断したら
  6. まとめ

離婚の危機を迎えやすい時期

離婚の危機を迎えやすい時期、つまり離婚トラブルが起きやすく、離婚しやすい時期というものがあります。

令和元年に厚生労働省が公開した我が国の人口動態では、「同居期間別にみた離婚件数の年次推移」に関する調査結果が示されています。

本データは「同居期間別」で離婚件数を調べたものです。別居後に離婚した夫婦もいますが、おおよそ、結婚から離婚までの期間と捉えて差し支えないでしょう。

同居期間 5年未満(件) 5~10年未満(件) 10~15年未満(件) 15~20年未満(件) 20~25年未満(件) 25~30年未満(件) 30~35年未満(件) 35年以上(件) 不詳(件)
2021年 54,510 34,114 24,331 19,793 16,862 10,766 5,028 6,312 12,668
2020年 58,846 36,572 25,557 21,008 17,321 10,517 5,035 6,108 12,289
2019年 63,826 40,052 27,220 22,629 17,827 10,924 5,283 6,362 1,4373
2018年 64,862 40,863 27,597 22,460 17,125 10,247 5,031 6,134 14,014
2017年 66,502 42,339 28,232 22,956 17,255 10,129 4,959 5,945 13,979

本データによれば、離婚件数は同居期間5年未満が最も多く、次いで5年以上10年未満、10年以上15年未満と続きます。

つまり、離婚の危機は結婚後5年以内に迎えることが最も多いという結果です。

結婚し、一緒に暮らして初めてわかったことや相手の悪い部分が見えてきて「これ以上一緒に暮らせない」と思うようになるのかもしれません。

また、人によりますが、結婚して5年以上10年未満と言えば子育てに追われる時期に当たります。

子供が生まれ、育児や家事に追われ、教育方針などで相手と衝突が増え…そんなことも多い時期でしょう。

参考:統計で見る日本「年次別にみた同居期間別離婚件数及び百分率並びに平均同居期間(https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411864)」※2

トラブルは隠れていた夫婦の問題をあぶり出す

2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークや外出自粛が求められるようになりました。

現代の日本において、日中は夫婦のどちらか一方または両方が外に働きに出ているというのが一般的です。

つまり、「24時間顔を合せて生活し続けるのはコロナ禍が初めて」という夫婦が続出することになります。

これにより、今まで感じなかった価値観や性格、危機意識の違いが表面化し、夫婦の間に溝が生じることになります。

また、新型コロナウイルスの感染拡大に限らず震災や事故などの緊急事態が起きると、神経質な人は特に神経質が加速する傾向があります。

今までは相手のことを「ちょっと神経質かな」と思っていた程度かもしれませんが、手洗いや除菌などを過度に要求されることで衝突が増えることもあります。

「改めてこの人で良かったと思った」「仲良くなった」ということなら良いのですが、気持ちに余裕がなくなり、相手の悪い部分が目につき、衝突が増えることで離婚を考える人もいるようです。

関連記事≫≫
コロナ離婚|感染拡大をきっかけに離婚を考える理由と離婚できるのかを解説

離婚の危機を乗り越えるために知るべきこと

離婚の危機を乗り越えるために知るべきこと

離婚の危機を乗り越え、良好な夫婦関係を築くためにも以下のことを知っておきましょう。

感情的にならない

離婚危機を乗り越えるためには「感情的にならないこと」が基本です。

夫婦で話し合い、不満に思っていることや本音を伝えることは大切です。

しかし、感情的になって話してしまうと喧嘩になってしまったり、相手を怒らせてしまったりする可能性があります。

どの問題にも通じることですが、冷静さをなくし、感情的に対処して良いことは何もありません。感情的にならないよう、冷静になることが大切です。

気持ちが落ち着かない場合は、今いる場所から離れ、深呼吸をするなどしてみると良いでしょう。

相手が変わることを期待しない

元々他人だったわけですから性格が違うのは当然です。「合わない部分を変えてほしい」「変わってほしい」と相手に期待してはいけません。

歩み寄ることは大切ですが、相手を変えようとすると窮屈に感じてしまいますし、相手も強要されているように感じてしまいます。

また、変わることを期待してしまうと、うまく行かないことに対して自分自身も疲れてしまいます。

「この人はこういう人だ」「こういう考え方なのだ」と理解し、うまく付き合っていくことが大切なのです。

自分の気持ちを伝える

「相手が変わることを期待しない」というのは、「理解することを諦める」ではありません。

夫婦が良好な関係を築くためには、お互いが自分の気持ちを相手に伝え、それに耳を傾け、「この人はこういう人だ」「こう考えているのだ」と理解し合うことが必要です。

「言わなくてもわかるはず」「察してほしい」ということ自体、相手に期待していることにほかなりません。

相手に感謝しているなら「ありがとう」、反省しているなら「ごめんなさい」、手伝ってほしいことがあれば「手伝ってほしい」など、はっきりと伝えましょう。

相手の気持ちを尊重する

関係修復を図る際は相手の気持ちを尊重することが大切です。

「謝りたい」「気持ちを伝えたい」これらはあくまであなたの一方的な感情です。ひょっとすると相手は「今は1人で静かにしていたい」と考えているかもしれません。

話し合いや歩み寄りを図る際は相手の表情や状況をよく見て、「余裕がなさそうだ」と思ったら自分を抑えることも大切です。

離婚届を勝手に出されないようにしておく

離婚成立には夫婦双方の合意と離婚届を提出する意思が必要です。

しかし、離婚届の記入に不備がなければ、たとえ一方の同意を得ていない場合であっても受理され、戸籍上離婚が成立してしまう恐れがあります。

一度受理された離婚届を無効にするには裁判所の手続きを経なければなりません。

このような事態を防ぐためにも、離婚届の不受理申出制度を活用しましょう。

不受理申出の手順は、住所地を管轄する自治体の市区町村役所・役場で「不受理申出書」を入手し、必要事項を記入したら本籍地の市区町村役所・役場に提出します。

なお、不受理申出書は本籍地の市区町村役所・役場に提出するのが原則ですが、難しい場合は居住地などを管轄する役所・役場に提出することも可能です。

ただし、どの役所・役場に提出しても最終的には本籍地の役所・役場に送付されるため、急を要する場合は本籍の役所・役場に提出するほうが良いでしょう。

離婚の危機を回避できないケース

夫婦の話し合いがまとまらず裁判に進んだ場合、「民法で定める離婚事由(法定離婚事由)がある」と判断されると、離婚が認められてしまいます。

なお、法定離婚事由は以下のとおりです。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病で回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

上記の法定離婚事由について自分に原因がある場合は、離婚を回避できない可能性があるということです。

関連記事≫≫
相手が拒んでも離婚できる?裁判離婚に必要な5つの法定離婚事由とは。

離婚の危機でやってはいけないNG行動

離婚の危機でやってはいけないNG行動

離婚の危機を回避したいときにやってはいけない行動があります。

相手を否定する

離婚の危機を回避したいなら、相手を否定するような言動は絶対にやめましょう。

たとえば、家庭を顧みず、家事・育児も妻任せだった夫が妻に離婚を切り出したとします。

好きな仕事を辞め、家事・育児に専念してきた妻は「私はずっとやりたいことも我慢してきたのよ!それなのに、そっちから『離婚したい』だなんて、そんな勝手なこと許されると思う?!」と言ったらどうでしょう。

少なくとも夫婦関係改善にはいたるとは思えませんよね。

「子供のことで頭がいっぱいで、あなたのことを気にかけてあげられなかった」などと自分にも非があるような態度を示したほうが、相手も自分の身勝手な言動を反省し、離婚を考え直すかもしれません。

「離婚したい」と考えている相手を一方的に否定すれば「やっぱり離婚したい」と思わせてしまう可能性があります。

感情に任せて相手を否定するのは絶対にやめましょう。

別居する

離婚の危機に陥り、冷静になるために別居をする人もいます。しかし、別居してしまうと話し合いをすることが難しくなり、夫婦関係の修復が難しくなる可能性があります。

また、別居の仕方や別居期間などによっては裁判所から「夫婦関係が破綻している」とみなされるケースもあります。

離婚の危機を回避したいのであれば、別居はやめましょう。

離婚が避けられないと判断したら

離婚が避けられないと判断したら

「離婚は避けられない」と判断したら、弁護士に相談しましょう。これだけ努力しても夫婦関係が改善しないということは、夫婦で話し合うのは困難だということです。

離婚協議をするにしても、当事者だけではスムーズに進まず、時間も労力もかかってしまいます。

弁護士が間に入って交渉することで離婚の話し合いがスムーズに進みやすくなりますし、不利益を回避することにもつながります。

まとめ

離婚の危機を乗り越えて夫婦関係を修復するポイントをまとめると以下となります。

  • 感情的にならない
  • 相手が変わることを期待しない
  • 自分の気持ちを伝える
  • 相手の気持ちを尊重する

離婚の危機は誰にでもやってくる可能性があります。なかには、何度も離婚の危機を迎える人もいます。

「ひょっとして離婚の危機?」と思ったら、ここで紹介した内容を参考に上手に乗り越えていきましょう。

「離婚を回避できそうにない」「法律的な問題が出てきた」という場合は弁護士に相談しましょう。

当サイト「離婚弁護士相談リンク」は離婚や男女問題に強い弁護士を厳選して掲載しています。ぜひお役立てください。

※1 裁判所「第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別
※2 統計で見る日本「年次別にみた同居期間別離婚件数及び百分率並びに平均同居期間

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