婚約破棄による慰謝料はいくら請求できるの!?徹底解説!
- 目次
婚約破棄の慰謝料相場について動画でも解説しています!
婚約破棄で慰謝料を請求できるケース
婚約は男女が将来結婚をすることを約束することです。婚約することは結婚する「予定契約」を結んだと考えられ、法的にも責任(=債務)が生じます。
そのため婚約の成立後に破棄することは、正当な理由がない限り「約束違反(=債務不履行)」となり、損害賠償の責任を負うこととなります。
婚約破棄による損害とは、「精神的な損害」「結婚に向けた支出に対する金銭的な損害」の2つが該当します。
婚約破棄による損害に対する慰謝料請求の対象には以下のようなものがあります。
- すでに周知した婚約が破棄されたことに対する精神的な苦痛
- 結婚式場・新婚旅行・新居の予約金
- 婚礼家具の売却損
- 寿退社による失業の逸失利益
- 贈与した婚約指輪の売却損 など
一方的に婚約破棄を破棄された場合もしくは婚約破棄となる原因がもたらされた場合には、損害に対する慰謝料の請求が可能となります。
ただし、どのような婚約破棄でも損害賠償・慰謝料請求ができるわけではありません。まずは婚約破棄で慰謝料を請求できるケースを紹介します。
婚約がすでに成立していた
慰謝料を請求するためには、「婚約が男女間で正式に成立していること」が必須条件です。
プロポーズを行っていなくても、事実上結婚に向けて話し合いや準備を進めている場合は婚約状態と判断されるため慰謝料請求ができる可能性があります。
婚約状態と認められる状況には以下のようなものがあります。
- プロポーズをしていた
- 婚約指輪を贈与していた
- 結納の儀や結納金の授受を終えていた
- お互いの両親に結婚を前提とした挨拶を行っていた
- 当人間で結婚することに合意していた
- 結婚に向けて住居探しや貯金をしていた など
婚約が客観的に証明できる
婚約は口頭でも約束を成立させることができますが、慰謝料の請求には「婚約が客観的に証明できるもの」が必要となります。
婚約(結婚のの予定契約)が結ばれているとはっきりしている場合でも、その事実を当人同士しか知らなければ証明のしようがありません。裁判となった際に婚約状態にあったことを認めてもらうためにも、客観的な証拠が必要です。
婚約状態であったと証明できる証拠には以下のようなものがあります。
- 婚約指輪
- プロポーズの手紙・動画
- 知人や両親の証言
- 結婚式場の予約履歴
- 結納の儀式の受書や仲人の証言
- 結婚の準備に関するメッセージやメール など
双方納得できる理由がない
婚約破棄は、婚約中に発生する問題の内容によっては破棄されることは大いにあり得ます。しかし、「双方場納得できる正当な理由」がなければ、一方的な約束違反となるため婚約破棄は認められず、慰謝料請求が可能となります。
婚約破棄が認められる正当な理由には以下のようなものがあります。
- 暴力行為
- モラハラ行為
- 不貞行為
- 結婚人関する約束や条件内容に関する一方的な変更
- 社会的モラルに反する行為・言動
- 相手の精神疾患
- 失業や金銭的困窮 など
上記のような行為が認められなければ、相手方の約束違反に対する損害賠償が請求できます。反対に、上記のような婚約破棄が認められる行為をあなたが行った場合は、婚約破棄をされたうえ、不法行為に対する慰謝料が請求される可能性があります。
婚約破棄による慰謝料の相場
自身に非がなく婚約破棄に対して納得できる理由が提示されたなった場合は、証拠を集めて慰謝料を請求することができます。
ただし、婚約破棄の慰謝料は状況・結婚を取りやめるにいたった理由・証拠の証明能力によって金額が大きく異なります。慰謝料相場は100万円程度ですが、実際は数十万円~300万円程度の幅が出てきます。
どのような要素によって金額に大きな開きが出ているのでしょうか。
高額となるケース
まずは高額な慰謝料請求が可能となるケースについて紹介します。
交際期間
交際期間が長いとそれだけ結婚に対する期待が大きくなるため、精神的な苦痛が大きいと判断されます。そのため慰謝料が高額になる傾向にあります。
結婚準備を行動に移していた
両親や親族・知人・職場に婚約の報告を済ませていた、結婚式場や新居探しを始めていたなど実際に準備が進んでいた場合は慰謝料が増額されます。これは、準備が進むほど結婚が現実味を帯びるため、期待が高くなった状態からの婚約破棄は精神的な苦痛が特に大きいとみなされるためです。
寿退職していた
結婚をするために退職していた場合は、婚約破棄による人生への影響が大きいため慰謝料は高額になります。さらに、退職するほど結婚に期待していた、準備を進めていたという状況も推測できるため、精神的な苦痛も大きいとみなされます。
この場合、退職前の職場における地位やこれまでのキャリア、年齢による再就職のハードルの高さも慰謝料の金額を左右します。
妊娠していた・中絶を余儀なくされた・子供が生まれていた
婚約破棄された側が女性であれば妊娠している可能性もあります。この場合、婚約破棄されることは精神的にも大きな苦痛となり、身体にも影響を与えます。
婚約破棄が原因で中絶した場合も精神的・身体的な負担は非常に高くなるため、精神的・金銭的な損害賠償額はかなり高くなります。
これらのケースでは女性側が一方的に負担を強いられる状況となるため、高額な慰謝料の支払いは避けられないでしょう。
さらに、子供がすでに生まれていた場合は相手の将来に大きな影響を与えるばかりか、子供の人生に対する責任も発生するため高額な慰謝料請求ができます。慰謝料とは別に子供の親権や養育費についてもしっかりと話し合わなければなりません。
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相手の暴力やモラハラ・不貞行為によるものである
大きな精神的な苦痛が与えられる行為によって、婚約破棄となった場合の慰謝料も高額となります。破棄された側に非がない(または小さい)ほど慰謝料は上がる傾向があります。
暴力行為やモラハラに関しては、婚約破棄とならなくても身体的・精神的な損害賠償として慰謝料が請求できます。
少額となるケース
続いて、婚約破棄に対する慰謝料支払いは認められるが、少額となるケースについて紹介します。
交際期間・婚約期間が短い
交際期間・婚約期間が長ければ慰謝料が上がる一方、交際期間・婚約期間が短い場合は少額になる要素となります。
婚約破棄された側(被害者側)にも非があった
婚約を破棄された側にも何らかの落ち度がある場合には、慰謝料が減額される可能性があります。
被害者側に不貞行為や暴力などがあり、婚約破棄にいたる原因の1つとなったことが相手方の主張として認められれば、慰謝料が支払われたとしても少額になる可能性があります。
婚約の事実を示す証拠の証明能力が低い
婚約していたと推測できるが婚約の事実が客観性に欠ける場合は、慰謝料が低額となる傾向にあります。婚約自体が不確かであれば裁判所も高額な慰謝料の支払いを求める判断がしにくくなります。
実際に高額になった判例
前項の結婚破棄に対する慰謝料が高額になる・少額になるケースをふまえて、実際に裁判所で高額な慰謝料支払いを命ずる判決が出た事例について紹介します。
平成14年10月22日 神戸地方裁判所 損害賠償請求事件
結婚間近となっていたにもかかわらず、婚約破棄・暴行により慰謝料が高額となったケース。お互いの親にも結婚を前提として付き合っていることを伝え、顔合わせを行っていた。周囲にも婚約を伝え、新居も原告名義でローンを組んで購入していた。
入居も決まっていたため、新たな家具の購入など結婚の準備を進めていたにも関わらず、結婚破棄を要求。さらに、関係の修復を求めた原告を暴行したことにより、慰謝料は高額となり330万円の支払いが命じられた。
婚約破棄による慰謝料請求の流れ
最後に、婚約を破棄された場合の慰謝料請求の流れや対応方法について紹介します。実際に慰謝料の支払いを受けるには、単に相手に支払いを要求するのではなく、金額の交渉や相手との駆け引きが重要となります。
相手がこちらの提示額をスムーズに支払う意志がある場合は別ですが、一般的には法的知識に長けており、交渉のプロである弁護士に依頼するのが良いでしょう。婚約破棄による慰謝料請求の流れについて見ていきます。
まずは話し合いによって交渉する
慰謝料請求の第一ステップでは、婚約を破棄した相手に慰謝料の金額や理由を提示し、話し合いによる決着を目指します。
交渉方法は、直接会って話しても電話でもかまいませんが、確実に相手が支払うかどうか不安な場合もあるでしょう。また、慰謝料は確実に支払ってもらいたいが、相手と顔を合わせるのはつらいという場合もあるでしょう。
このように、自力での交渉が難しい場合は弁護士に交渉代理を依頼すると良いでしょう。
うまく交渉が成立しなければ慰謝料請求を申し立てる
慰謝料の支払いや金額の交渉が決裂した、もしくは相手に全く支払う気がなく交渉するだけ無駄だと判断される場合は、家庭裁判所に調停を申し立てましょう。
精神的な苦痛のみの請求であれば「慰謝料請求調停」となります。精神的な損害以外、例えば金銭的な損害や暴力などによる身体的な損害を含む場合は「損害賠償請求調停」となります。
調停とは、家庭裁判所の裁判官と調停委員が当人間の話し合いの仲介をすることで離婚破棄の慰謝料に関する問題の解決を目指します。
裁判官・調停委員は、双方からそれぞれ主張を聞いて、どちらの主張が正しいのか判断していきます。
婚約を破棄された側が調停を申し立てた場合、婚約状態にあったこと・申し立てた方には落ち度がない(または小さい)ことなど、いかに自身の主張が正当であるかを主張します。
調停委員は、申立人の求める慰謝料の支払いや金額が妥当であるかなど解決案の提示やアドバイスをする役も担っています。
ただし、調停はあくまでも、当人間の話し合いが前提ですので、最終的には当人それぞれが合意するか否かで慰謝料の問題を決着させます。
調停は弁護士がいなくても話し合いを進めることはできますが、証拠の有効な使い方や主張の展開方法など有利に調停を進めるテクニックを実践するためにも弁護士に依頼する人も多いです。
それでもこじれたら裁判を申し立てる
調停でも決着がつかなければ家庭裁判所で訴訟を起こし、裁判官による判決によって慰謝料問題を解決しましょう。調停と同様、精神的な苦痛は「慰謝料請求訴訟」、精神的な損害以外を含む場合は「損害賠償請求訴訟」となります。
訴訟となれば事件として扱われ、最終的な判決には原告・被告関わらず従う義務があります。調停と同様に、訴訟を起こした原因となった婚約破棄に関して相手の悪質性や自身の得た不利益・苦痛を主張します。
自身に有利な判決をくだしてもらえるように、婚約状態にあったことやどれだけ婚約破棄による苦痛を得たのかを裁判官に具体的にわかってもらえるように証拠を多く提出しましょう。
ただし、裁判は高度な法的知識と交渉力・経験がなければ自身の主張や状況を正しく裁判官に伝えることができません。
したがって、場合によっては慰謝料を受け取れなかったり、受け取れたとしても少額の支払いになる可能性があります。そのため、裁判を起こす段階になると大半の人が弁護士への依頼を選択します。
まとめ
今回は婚約破棄をされた際に慰謝料を請求するための条件や慰謝料の相場、慰謝料の受け取りまでの流れを紹介しました。
婚約していても結婚していないからと無責任な行動を取る人もいる反面、結婚していないから泣き寝入りするしかないと損害賠償を請求するという思考を持ち合わせていない被害者も多いものです。しかし、婚約状態にあったと客観的に認められれば、婚約状態であっても法的な責任を負います。
一方的に正当な理由なく婚約を解消された場合は、慰謝料の支払いを求めて自身の権利をしっかりと主張しましょう。慰謝料の請求は、話し合い→調停→裁判の順番で進んでいきますが、調停や裁判は長期化する可能性が高くなります。
そのため、早い段階で決着をつけるためにも証拠の提示や交渉方法には注意が必要です。弁護士に依頼すると依頼料はかかります。しかし、早急な解決と受けた苦痛に対して妥当な慰謝料を受け取るためには弁護士への相談も視野に入れておきましょう。
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