不倫の慰謝料請求をしたい!夫(妻)や不倫相手に増額請求する方法。
配偶者が不倫をしていたことが発覚した場合、大きな精神的ショックをうけます。「泣き寝入りするのは悔しい」「配偶者や不倫相手に慰謝料を請求したい」と考えるのは当然のことです。
しかし、「どのぐらいの慰謝料がもらえるのかわからない」「どうやって請求していいのかわからない」とお悩みの方も少なくないでしょう。
そこで今回は、慰謝料の相場や慰謝料の請求方法、慰謝料を増額させる方法などについて解説します。
- 目次
☝この記事の内容を動画でも解説しています
不倫慰謝料の相場
慰謝料とは
慰謝料は、不法行為によって受けた精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。
夫婦は互いに貞操義務を負っています。いいかえれば、配偶者以外の異性と性的関係を持たない義務を負い、配偶者に対しては自分以外の異性と性的関係を持たせない権利があるということです。
不倫とは、配偶者以外の異性と性的関係を持つことです。つまり、不倫は配偶者と不倫相手が共同でこの権利を侵害する共同不法行為にあたります。
したがって、配偶者に不倫をされた場合、配偶者だけでなく不倫相手に対しても慰謝料を請求することができるのです。
不倫慰謝料の相場
慰謝料は経済的な損害と違って明確な計算式があるわけではありません。ですから、請求自体はいくらでも構いませんし、相手がそれに応じれば受け取って問題ありません。
ただ、何らかの相場がないと相手に請求する額を決めようがないでしょう。
裁判所が認める不倫慰謝料は、100~500万円程度と言われていますので、これが一応の相場といえます。
ですから、基本的にはこの額を目安に後で解説する「慰謝料を増額する要因」を主張して慰謝料を請求していくことになります。
不倫慰謝料の決め方
先にも述べたように、不倫の慰謝料の額は合意ができれば自由です。
合意を得るためにはまず話し合うこと、できなければ訴訟で解決することができます。
話し合いで決める
一番スピーディーで精神的な負担も少ないのが、当事者間の話し合いです。
請求相手と金額の合意ができればすぐに決着します。
不倫した側も社会的立場があり、できるだけ穏便に済ませたいと考える人もいるでしょう。
そのような事情から、相場以上の高額な慰謝料を支払うこともあります。
傍から見れば高額過ぎても双方が納得すれば、何の問題もありません。
合意できれば示談書を作成する
慰謝料の合意ができれば、示談書として書面で残しておきましょう。
口約束では支払われなかったり、遅延するなどトラブルになる可能性があります。
合意後、できるだけ早く正確な示談書を作ることで、万が一不履行が起こったときに請求する証拠として利用することができます。
また、夫婦が離婚しない場合は示談書のなかに「不倫関係を解消する」という内容も含めておきましょう。
不倫慰謝料請求訴訟を起こす
不倫した配偶者や不倫相手と慰謝料の合意ができない場合は、慰謝料請求訴訟を起こせます。
それぞれの主張や証拠を裁判官が法的観点から考察し、慰謝料の有無や額を決定します。
慰謝料請求訴訟を起こす場合、不倫していたという客観的証拠が重要なカギを握ります。
2人の間に性的関係があったという事実の証明が必要になるので、曖昧な情報では慰謝料を勝ち取れないこともあります。
慰謝料請求訴訟を起こす場合は、まず不倫の証拠を集めることを優先しましょう。
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【注意】慰謝料請求権の時効は3年
不倫の慰謝料請求をする際に、覚えておかなければいけないのが「時効」についてです。
不倫発覚後は精神状態も乱れやすく、離婚するともなれば手続きや引っ越し、職探しなどで忙殺されることがあります。
また、証拠集めや不倫相手の素性を調べるのに時間がかかることもあるでしょう。
しかし、慰謝料請求ができるのは不倫発覚後から3年以内です。
生活が落ち着いてから、証拠をたくさん集めてから・・・と先延ばしにして3年経過してしまった!となれば、不倫の事実があったにも関わらず慰謝料請求ができなくなるのです。
不倫慰謝料請求を視野に入れるのであれば、早期に実行することをオススメします。
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不倫慰謝料の請求方法
内容証明郵便を送付する
不倫相手や別居中の配偶者に慰謝料を請求する場合、相手に対して内容証明郵便を送付するのが一般的です。
内容証明郵便は、郵便局が文書の写し(謄本)を保管することで、誰がいつ誰にどのような文書を送付したかを証明してくれる制度です。
内容証明郵便に特別な法的効力があるわけではありませんが、少なくとも「そんな文書は受け取っていない」とは言えなくなるという効果があります。
また、普通に生活していて内容証明郵便を受け取る機会はほとんどありませんので、内容証明郵便で相手方にプレッシャーをかけることで、その後の交渉を有利に進められる可能性もあります。
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裁判所の手続を利用する
内容証明郵便を送付して相手方と交渉しても合意ができなかったり、そもそも相手が交渉に応じなかったりする可能性もあります。そのような場合は裁判所の手続を利用することになります。
配偶者に対し、離婚と慰謝料をあわせて請求する場合、まずは離婚調停を申し立て、そこで離婚や慰謝料について話し合います。
ここで合意ができなかった場合には離婚訴訟を提起し、あわせて慰謝料を請求します。
不倫慰謝料を増額させるには
証拠を収集する
慰謝料を増額させるには、何よりも証拠を集めて保管しておくことが重要です。
裁判では慰謝料を請求する側が不倫を証明しなければなりません。また、裁判前の交渉でも相手が何の証拠もなしに慰謝料の支払いに応じるはずがないからです。
不倫とは配偶者以外の異性と性的関係があることをいいます。ですから、不倫の証拠としては不倫相手とラブホテルに出入りする写真など、性行為があったことを強く推認させるものが必要になります。
また、配偶者だけでなく不倫相手に対しても慰謝料を請求するには、不倫相手に不法行為責任が生じる必要があります。
そのためには不倫相手に故意または過失があることが必要です。つまり「配偶者が既婚者であると知っていた」あるいは「不注意で既婚者と気付かなかった」ことが要件とされます。
配偶者と不倫相手のメールやSNSのやりとりなどで不倫相手が配偶者を既婚者と認識していたかどうかの有力な証拠になるでしょう。
さらに慰謝料を増額させるには、前述の「慰謝料の増額に影響する要因」についての証拠を収集する必要があります。
弁護士に依頼する
必ず増額できるとまでは言えませんが、弁護士に依頼することで慰謝料を増額させることが期待できます。
これまで慰謝料を増額させる要因やそれに関する証拠などについて解説してきました。
しかし自分のケースでどのような要因があり、それを裏付ける証拠にどのようなものがあるか、どのように証拠を集めるかといったことは簡単には判断できないと思います。
専門的な知識・経験の豊富な弁護士に依頼すれば、慰謝料の増額要因を見落とさず、証拠を適切に収集できるようになり、慰謝料を増額できる可能性があるのです。
不倫慰謝料の増額に影響する要因
慰謝料の増額に影響する要因としてまず考えられるのが不倫によって生じた結果の重大性です。たとえば、次のような事情が考えられます。
また不倫自体の悪質性も慰謝料に影響します。具体的には
などの事情が考慮されます。さらに不倫の場合に限らず、一般的な慰謝料の増額要因として次のようなものがあります。
高額の慰謝料が認められた事例
それでは実際の裁判で高額の慰謝料請求が認められた事例をいくつか紹介しましょう。
慰謝料320万円が認められた事案(岐阜地裁平成26年1月20日判決)
婚姻期間8年あまり、子ども2人、約6か月間に20回の性交渉があったと認定したうえで、 不倫相手が不倫の時期や期間について虚偽の事実を告げたことが、自身の責任を矮小化させるためのものであり、これによって原告の精神的苦痛が増大したとして、慰謝料は320万円が相当とした。
慰謝料500万円が認められた事案(東京地裁平成27年3月24日判決)
被告が平成11年から同25年までの間に原告の夫との間で5人の子をもうけ、平成25年11月に原告に不倫が発覚した後も交際を続け、平成26年には第6子が生まれていることなどからすれば、原告の精神的苦痛は相当のものであるとしつつ、原告の夫は原告に離婚を求めたことは一度もなく、原告の夫が購入した家に原告と原告との間の子を住ませ、不倫が発覚するまでは月額45万円から50万円程度の生活費を原告に支払うなどしてきたことから、原告の請求する1500万円は過大で、500万円が相当であるとした。
なお、原告の夫は東京都でクリニックを経営する医師です。
慰謝料500万円が認められた事案(東京地裁平成27年7月23日判決)
婚姻期間6年余り、子どもなし、約2年の不倫関係を認定し、不倫が婚姻関係破綻の原因であり、原告には婚姻関係破綻に至るような落ち度はなく、被告らが不貞関係を隠匿するため虚偽の事実を供述しているなどの諸般の事情を考慮すれば、原告の精神的苦痛は大きいとして、慰謝料は500万円が相当であるとした。
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不倫の慰謝料請求で注意すること
不倫の慰謝料請求をしたいなら、正しい情報把握と有効な証拠の収集が必要です。
恋人同士のようなやり取りのメールがある、2人で食事に行った領収書を見つけた、だけでは不倫の事実があったとは認められません。
また、身分を偽って不倫している場合もあるので、不倫していた双方から正しい情報の聞き取りをしましょう。
不倫相手が既婚の事実を知らなかったとき
配偶者が独身だと偽って、不倫関係を始めることもあります。
この場合、配偶者の不倫相手は法的責任が問われません。
一方、配偶者は不倫相手を騙して関係を持ったということになり、不倫相手から慰謝料請求を受けることもあります。
「相手が既婚と知っていて付き合ったか」は慰謝料請求で重要なポイントにもなるので、必ず確認しておくようにしましょう。
不倫が行われる前に婚姻関係が破綻していたとき
不倫は、結婚における平穏な暮らしを侵害するものです。
第三者が夫(妻)と性的関係を持ったことによって、夫婦関係に亀裂が入ったということが前提です。
すでに婚姻関係が破綻している場合は、配偶者以外と性的関係を持ったとしても不倫には当たらないのです。
婚姻関係の破綻として認められるのは、以下です。
長期間別居している
それぞれが別の家に住み、夫婦としての接触がない場合は認められやすいでしょう。
定期的に会い、夫婦関係を改善するための会話などがある場合は、長期間別居をしていたとしても婚姻関係の破綻にはなりません。
モラハラやDVがある
精神的、肉体的に相手を追い詰める行為は婚姻関係を破綻させる重大な原因です。
しかし、ケンカの際にカッとしてつい1回手を出してしまった、暴言を吐いてしまったという程度ではDVやモラハラには該当しません。
継続的に言葉や肉体的な暴力があるかどうかで判断されます。
働かない、浪費癖がある
生活するにはある程度の収入は必要になり、その収入のなかでやりくりしなければなりません。
働かない、浪費して借金をするという行為は「共同生活を成立させる意思がない」と判断されても致し方ありません。
過度な宗教活動
信仰の事由は認められていますが、宗教活動にのめり込みすぎて家庭を顧みない、育児をしないというのは家庭を崩壊させる原因となります。
相場を超える慰謝料に執着しない
慰謝料の金額にこだわりすぎると、問題の長期化や裁判に持ち込むことになります。
高額な慰謝料でも相手に支払い能力があれば可能ですが、そもそも収入や預貯金を超える金額は払うに払えません。
もし裁判に持ち込んだとしても、相場の額を提示されることがほとんどです。
長い間労力をかけた割に希望通りにならないことも考えられるので、相場を超える慰謝料に執着しすぎないようにしましょう。
過度な謝罪は期待しない
不倫相手に謝罪して欲しいと思うのも人として理解できる感情です。
なかには、対面や手紙で謝罪される人もいます。
しかし、慰謝料には過ちを償う意味があるため、慰謝料の支払いが謝罪の意でもあります。
過度な謝罪は期待せず、慰謝料の支払いをもって完結させることが望ましいでしょう。
まとめ
不倫慰謝料の相場や請求方法などについて解説しました。本文でも紹介したとおり、不倫慰謝料の相場には大きな幅があり、適切な対応をしないと、もらえるはずの慰謝料がもらえないという事態に陥りかねません。
最近は離婚について無料で法律相談を受ける法律事務所も増えてきましたので、1人で悩まずに気軽に弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
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